「どんな経験もあなたを作るあなたの一部だわ。それを受け入れて生きるのが貴方に与えられた大切な課題なのよ」
アレシアから託された、癒しの絹。
それによってマークスは王妃ベルナを助けることに成功して。
食べると吐いてしまうことが増えたという彼女に、せめて果物だけでも食べて欲しかった思いが、予想以上の結果で帰ってきたのは喜ばしいと言ってよいでしょう。
隠していた力が表に出る懸念はあっても、それでも絹を託したアレシアの想いに応えるべく、王妃にも口止めしてちゃんと秘匿を徹底したマークスは偉い。
マークス達、ラミンブ王室の人々は善良な人が多くはあるんですが。
砂漠にある貧しい国であるために、出来ることに制限もあるんですよねぇ。
北にはファリル王国という、豊かな資源を背景に軍の増強に力を入れ、周辺国を征服してるそうですが、そんなファリルの侵攻からも結果的に見逃されてるみたいですし。
過去には不利益を押し付けられることもあったとか。
それに絹布の検証を行っていたイゼベルの家族が巻き込まれていたり、さらに深掘りすると魔法使いの立場が弱いことに繋がって……魔女として処刑されたアウラを前世に持つアレシアが責任を感じてしまう場面なんかもありましたが。
アレシアは、なんというか背負いこみすぎなんですよねぇ……。前世のアウラからして、冤罪で処刑されているわけですし。
癒しの力こそまだ秘匿できていますが、明らかに広範囲に影響のでる「雨」の存在は隠しきることはできず。
ファリルの王がその雨に目を付けて、第四王子へルードに「連れて帰ってこれそうなら連れてこい」と命じて、遊説の名目で送り込んでくることになって。
へルードが探りを入れたり、農園にまで踏み込んできたことで、アレシアはこれまでのように逃げ隠れして隠し続けるのは難しいと判断。マークス達を信じる決断を下したわけです。
そうして王族との交流が増える中で……アレシアはかつてアウラだった自分が信じていた人に裏切られていたことを知って。絶望しかけた中で、ヤエル先生と会話したことで前向きになることが出来て。
これまで無意識に雨を降らせることしかできなかったアレシアは、魔法使いとして能力を自由に扱えるように才能を開花させたわけです。……まぁ、開花してからも、寝てるときは無意識に雨を降らせてしまうのは変わらなかったみたいですが。
アウラの処罰が誤りだと周知されたこと。アレシアが新たに生まれた魔法使いとして国に登録し、大切にされている姿を見せることで少しずつ国に良い影響が与えられていったのは良かったですね。
それはそれとして相変わらずの改行の多さでそこはちょっとうーん、ってなりましたが。