「このダンジョンを選んだのは決してブラックタイガー様への当てつけではなく、わたくしの家から日帰りできて野次馬が集まりづらい立地にある深層ダンジョンがちょうどここしかなかったからで、まったく他意はありませんですの」
流された悪評への対抗策として、配信付き深層ソロ攻略を告知したお嬢様。
告知配信には工作員と思しきアカウントまでいたけれど、彼等すら「正気か!?」となるような、ダンジョン発生から今日まで達成者がほとんどいない偉業。
それをお嬢様とは言え16歳の女子高生がやろうとしてると言えば、そりゃ常識人はこうなる。いやでもお嬢様だからな……作中でも言われてるけど、『お嬢様』って単語に対する深刻な風評被害が起きてる。
そしてカリン……というか、参謀の真冬が配信の舞台に選んだのが、カリンへの裏工作を実施したブラックタイガーが主に攻略している奥多摩渓谷ダンジョンだった。
深層を超えた深淵まで存在する、未踏破のダンジョン。でもカリンにとっては「踏破済みだろうと未踏破だろうとほとんど情報を集められないという点では一緒!」とパワーでごり押してるの笑っちゃった。
メインの目的である「深層ソロ攻略」の前に以前は失敗したカリンお嬢様流の「紅茶片手にお優雅配信(in下層)」をやったりしてるし、実際余裕何でしょうけども。
真冬以外にも、光姫みたいな友人がフォローしてくれてるの良いですよね。
……光姫様、解説といいつつファンとして暴走しまくってましたけど。いやちゃんと「こんな無茶出来るのはカリンお嬢様だけだから、真似しちゃいけません」とか締めるべきところは締めてましたけど。基本強火ファンだからな……。
光姫様のファン層から、カリンお嬢様の強火ファンモードの光姫様が「闇姫様」呼ばわりされてるの笑っちゃった。
深淵まであるダンジョンだと、下層から強化種が登場するという厄介ポイントがあるみたいですけど。
古参お嬢様リスナーたちが「まさかカリンお嬢様の一撃で沈まないとは……」と驚愕してたのは、順調に常識破壊されてるなぁというか。この騒動でお嬢様を知った初見さんとの温度差が面白かったですね。
そして深層でもいつものドレスで望んで、物理を無効化する敵でもいつもどおりパワーで押しとおっていってるの凄まじかったですねぇ。
実体が水蒸気だから拳で散らしても再生するモンスターは、超速の拳で熱を発して蒸発させて。受けた攻撃のエネルギーを蓄積してから反射するタイプには、限界突破するほど打撃をお見舞いする。
あまりにも強すぎるというか、危なげが無さすぎてカリンのレベルは一体どれほどなのか……って感じですけど。
過去に起きた悲劇と言われている深層で全滅したパーティーのことを「たったレベル2000台で深層に挑んだ方」とか称してて。レベル2900が最高戦力のブラックタイガーが攻略に苦戦してる深層を楽々突破してるってことは、普通に桁一つ違う可能性もあるな……。
お嬢様をコピーしたモンスターが、なんかその強力なパワーを扱いきれず自壊してましたしねぇ……。
ブラックタイガー、敵に回す相手を間違えましたねぇ。まぁ後ろ暗い事いろいろやってるし、自業自得ではあるか。