気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

竹岡美穂

黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで

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『暖かく安全な場所からあえて抜け出ることは容易ではない』
(略)
『それを、あの二人は殻から抜け出した。だから任しただけのことだ。案ずることもない』
「二人って、誰と誰のこと?」
『少女と、約束の少年。あの二人はそれに十数年を費やしたが、まあ仕方あるまい』


読み返したついでに記事作成。
細音啓さんの原点。他の作品も好きなんですけど、この作品が一番好きかもしれない。
名詠式。
呼び出したいものと同色の触媒と、専用の詠をもって、何かを呼び出す術式。
赤い絵具で花や鳥を呼び出したり。上位の詠唱になると、ワイバーンとか攻撃力ある危険な名詠生物もいるんですが。

そういう名詠式を学ぶ学校。
赤、青、黄、緑、白。5色の名詠。
一つを極めるのに十年以上かかると言われている中、ただ一人、全てをマスターした虹色名詠士なんかも登場するんですが。
彼はキーパーソンではあっても、主人公じゃないんですよね。
既にある程度、完成してしまっているから。

この作品の主人公は、夜色名詠という存在しなかった名詠式を学ぶ、ネイトという少年。
異端の名詠は、少年の母親が作り上げ、彼が継いだもの。
最も今なお勉強中で、使いこなすまでは至っていませんが。
そんな少年が、学校へとやってきて、クルーエルという優しい少女と出会い。

ネイトはまだ十三歳だという事もあって、まだまだ未熟です。
でも、母の残した名詠と真摯に向き合い、努力を続けている姿勢は、称賛されて然るべきだと思うんですよね。
才能の無さとか、母との約束を交わした相手とか、いろいろ分からないことがありながら、迷いながらも、きちんと積み重ねをしている。
だから、クルーエルもネイトを見習ったほうが良いのかななんて言ったんでしょうし。
ネイトの純真さを見ていると、読んでるこっちの心も落ち着くような感じがします。
イラストもよくあっていて、澄んだ空気のような、透き通った雰囲気がして。
この優しい世界が自分はやっぱり好きだなぁ、と改めて実感しました。


吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる2

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「いいや、やっぱりダメだ」
詩也はこぶしを握って立ち上がった。
「オレは吸血鬼になったけど、人間でもいたいんだ。人に混じって、人として生きていきたいんだ」


ひょんなことから吸血鬼となってしまった詩也が、演劇で頑張ろうとするシリーズ。
今回はバスケの方はあまり描かれてなかったですねー。
1巻で試合も出てたし、イベントとして消化されてしまったという感じなんだろうか。
まぁ、あのバスケ部の先輩だって一回だけのキャラじゃないだろうし、その内出てくるか。

自分の吸血衝動に悩む詩也。
それを抑えきれず失敗してしまった場面を、別の演劇集団「チーム・ベガ」のアイドルに見つかって。
どんどん泥沼というか、いち子女史の助言を活かして出会った瞬間に逃げてれば悪化はしなかったんじゃないのかなぁ、っていうのはありますが。
今だ慣れない環境、慣れない体質と問題を抱えている詩也にとっては難しいか。お人よしだし。

吸血鬼としての悩みを抱えながらも必死に生きている詩也はますますいいキャラになってきたんじゃないでしょうか。
ベガのアイドルとのスキャンダルとみて落ち着かない綾音や、その妹の理歌とのフラグも立てて着々と周囲の好感度上げていっているのがまた。
まぁ、今回会見をやったりしたネタもあるので、相応に評価落ちてる部分もあるのでイーブンなのだろうか。
雫の登場頻度が上がっていて個人的にはうれしい限り。
スラムダンクにつられて登場するあたりはなんとなく笑えるというか、可愛い。
昔のことについて色々と零したりと、気になることは積み重なっていってます。
何を考えているのか。彼女の言葉は当たるのか。
冒頭のセリフ。ミナの母はいったい誰なのか。今のところどこに転がってもおかしくない気がしますけども。
次回はもう文化祭ってことで、劇も迫力あるものになるんですかね。


野村美月&竹岡美穂 プレミアムブック

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やわらかな雪が、まるで天からのクリスマスの贈り物のようだと、ぼんやり考えながら――。
傷ついた愛しい人を抱きしめる切なさと喜びに、震えつづけていた。


藤壺~陸と千星の三冊が発売していた時のキャンペーン特典。
応募者全員サービスって素晴らしいですよね。

内容としては完結した『ヒカル~』と『吸血鬼~』のイラストとSS。
陸と千星はイラストと、作者からのコメントだけですが。
これについては、変にSS乗せちゃうとあの最後のいい終わり方が崩れちゃいますし、あれぐらいでちょうどいいんじゃないですかねー。
作者の語る「書き終えた物語のその後の想像」がいいなぁ、という感じで。
あぁいう続きがあっても面白いだとは思いました。ただ下手に手を出すと蛇足になってしまいそうな感じはありますし、想像で納めておくのが一番穏当ですかね。

ヒカルのSSも吸血鬼のSSもいい感じでしたねー。
クリスマスデートをした是光と式部のエピソード。
二人で映画をみてそれに影響を受ける綾音と詩也のエピソード。
短いながらに、満喫させていただきました。
こういうのいいなぁ、と思いますし、こういうのが増えないだろうかとも思うんですが、中々厳しいですかね。

蒼井葉留の正しい日本語

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「……言葉なんて、ただの道具じゃねーか」
そう。縁にとって、言葉は手段だ。頭の中の物語を伝えるための乗り物だ。それ以上でも以下でもない。
だからゲンミツな意味なんて関係ない。後ろにどんな歴史を持っているかなんて知らない。ただもう相手に伝わりさえすればそれでいい。それの何が悪いのだと思っている。


ラノベ作家を目指す男子、縁。
辞書を愛読し、日本語の美しさにときめく少女、葉留。
二人は寮に同じタイミングで入った新入生。
この二人の交流とかがメインになっている学園ラブコメになる・・・んじゃないですかね?

縁が設定の割に微妙―というか。
帰国子女にする必要あったんだろうか。
海外にいる間日本語に触れる機会が家族を除けばアニメと漫画しかなかった、と言っていますが。
葉留を日本語オタクにするんだったら、いっそ対比として縁の日本語力をもうちょっと衰えさせてもよかったんじゃないのかなぁ、という感じ。
で、変に謎めいた展開を演出しようとしている感じもあって、なんか結局何が書きたいのかがはっきりしない。
謎解きにするのか、恋愛にするのか、青春にするのか、絞った方がよかったんじゃないのだろうか。

イラストは嫌いじゃないですけどねー。
竹岡葉月さんの文章はなんか好みには噛み合わない感じがして何ともいいがたい。
あと、なぜか絵師の名前表記がいつもの竹岡美穂じゃなくて、カタカナになっていたのはなぜなんだろうか。
改名したのかと想ったら、そうでもなさそうですし。

蒼井葉留の正しい日本語 (ファンタジア文庫)
竹岡 葉月
KADOKAWA/富士見書房
2014-05-20

陸と千星~世界を配る少年と別荘の少女~

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自分が今いる世界が、どれだけ冷たく厳しくても。自分という人間がどれほど無益でも、欠陥品でも。すべてが暗く歪んでいて残酷なわけではなく、清らかで、あたたかな人が――誰かに必要とされ、喜びとなっている人が、ちゃんと存在している。
どうか陸くんが、
どうかあの子が、
どうか、どうか、幸せでありますように。


両親の離婚話を控えて、別荘に追いやられた少女、千星。
笑って見せることで壊れそうな家の空気を保とうとしてきた。
けれど、本当は泣いたほうがよかったのだろうか。

父はなく、母と暮らす少年、陸。
しかし母はいまだ恋に生きる人間で外に男を作っては出かけたっきり戻らず、振られたら帰宅する繰り返し。
そんな歪んだ生活を続ける中で、自分が笑ったことがあっただろうか。

そんな、家や家族に対して問題を抱えた二人の少年少女の話。
千星は、離婚調停の場に居合わせるのもアレだからと別荘に追われるわけで。
陸は生活の為に新聞配達のバイトを行っていて、別荘に配達に行った際に、彼女と出会う。
散歩中に帽子を飛ばされ、木に引っ掛かって困っていた千星に帽子を取って渡すという感じで。

作中で二人が交わした会話ってあまり多くはないんですよね。
途中はそれぞれの家の問題とか、抱えている悩みとかを描いていく個人のパートなので。
けれど、お互いに「彼/彼女はきっと自分とは違って幸せな生活を送っているのだろう」という思いを持っていて。
自分は大変だけれど、彼/彼女の家庭が幸いであるならばいいと考えている。
恋というよりはお互いに憧れたんじゃないのかなぁ、という感じの二人。
青春を生きる彼らの葛藤とか、そういう描写がやっぱりうまいよなぁ、と思います。

昔、バイト先の同僚から言われたネタがもとになっているそうで。
原案を作ったのは結構前のこと。ただ、企画として地味なので眠っていて、けれど気に入っていたので、あちこち流用されている部分もあるようです。
たとえば「笑えない少年と泣けない少女」の部分は『ヒカル』で再利用されているとか。
読者的には最新作ですが、作者的にはある種の原点でもある作品。
安定しているので、するする読めました。

陸と千星~世界を配る少年と別荘の少女 (ファミ通文庫)
野村美月
KADOKAWA/エンターブレイン
2014-06-30

〝藤壺” ヒカルが地球にいたころ……10

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きみがいてくれて、本当によかった。
ぼくも、ようやく、さよならを言えた。
あの人を愛して苦しんだ日々に。
生まれてはじめて流すあたたかな涙とともに、さよならと。


紫織子の写真が添付された、怪しげなメール。
それを受けて是光は、ミコトと連絡を取り、ヒカルの愛した最後の花へと会いに行く。
徹頭徹尾、是光がヒーローだったなぁ、という感じでしたけど。
悩みながらも、友人の為に「ヒカルの代理人」として問題を解決していくその姿は、まぶしいくらい格好いいものでした。

もし、ヒカルが生きていたら。
親友と呼ばれるそれになれていたんだろうなぁ、と思うとシリーズの終わりが、どうしようもなく切なく悲しい。
けれど、最初から約束されていた終わりでもありますし、友情にも恋愛にも決着がつきました。
いい終わり方だったと思います。
まぁ、恋愛模様には全開で実質決着がついていたので、今回は「藤」と「ヒカル」の関係、もう一人の六条の二つに焦点が絞られてました。
ほかのキャラクターの登場が少なかったのが残念ではありましたが。
まぁ、キャラ増えてきたから見せ場作りまくってたら話ぼやけるのでこれぐらいがちょうどいいとは思うんですが。
文学少女のように、短編集とかでないだろうか。

花里の抱えていた秘密、まさかここで出てくるのか、という部分がまた。
中々恐ろしいものを抱いていたものですが、それでも一朱を友達とした是光を止めるにはちょっと力足りなかったかなぁ。インパクトはあったけれど。
そして、そんな友人の別の顔を見ても受け入れていた式部も、強いというか、なんだかんだ是光に似ているような。
笑い上戸の花を得た是光が、進級してちゃんと友人で来ているようなのが、ほっとしました。
別れがあって、切ないですけど、爽やかな感じもするいい終わり方だったんじゃないかと。


”六条” ヒカルが地球にいたころ……9

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「すごく、困っていますし……大変です」
と、つぶやいた。
「でも」
清楚な瞳が、是光を見上げる。
「今度は、自分で頑張ってみようと思うんです」

式部と葵から告白を受け、さらに夕雨が帰ってくるという状況に是光は結構パニック。
ドキドキしている気持ちに間違いはないようだけど・・・と迷っていると、また事件が。
朝衣と葵はもめたらしい。夕雨は怪我をしたらしい。式部はなにか行動が怪しげだ。
守ると誓った是光だけど、二人同時には守れない。
それでも必死に行動を起こしていく姿は、これまでの是光とは違っていた感じがします。
けど、迷いながらも行動していく姿は、それはそれで格好いいと思いますがね。

序盤の各方位からの朝ちゃん押しが笑えた。
まぁ、葵も式部も、帰ってきた夕雨だって、それぞれの良さがあって、割とわかりやすい部類なので、ここで是光と付き合わなくても別の誰かが現れる可能性は高いでしょう。
けれど、朝ちゃんは気高いし、行動力あるし、なかなか相手が見つからなそうではあります。
結構面倒くさくて、かわいいと思いますけどね、傍から見ている分には。

さて、そんな序盤の修羅場ーな雰囲気もありましたが途中から結構ドロドロ。
まぁこれはこの作品のお約束か。
夕雨が帰ってきたのは、怪しい商売をするため。
そんな噂を見て行動を起こしたり、ヒカルの花をめぐるメールがまた回ってきて皆を惑わせたりと大変な展開に。
是光が、途中で決断を下したというか、振り切って想いを言葉にしていましたが。
恋愛的にはこれで決着ってところですかね。

最後一朱と友達になると是光が宣言したりしていて驚きましたが。
考え直してもいいよ・・・? と周囲がいろいろ言いたくなるのもわかる感じ。
まぁ、あれを受け入れられる是光は器が大きいですよね。
そして最後、明らかになった、もう一人の六条。
まさかこう来るとは、という展開で驚きました。


吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる1

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生き続けることに飽きたそのときは。
――永遠の恋を、はじめてみればいい。
――それは永遠に生き続ける者にしかできないことだ。


バスケの強豪校で練習に打ち込んでいた詩也。
だが、彼は通り魔に襲われ命を落としかけ、吸血鬼に救われる。
雫という少女は、何か目的を以て接触してきたというか、様子をうかがっていたようですが。
十二年は待つつもりだったという当たり、随分前から目星つけられていたようですけど。
吸血鬼と変えた後、ほとんど接触がないっていうのも不気味というか。
3度会い、少し会話は交わしているからまったく放置ってわけでもない。
そもそもの「正しく答えられたら、永遠の命をくれてやろう」という問いかけに対しての詩也の答え。
詩也自身も「正しいとは思えない」と感じている、あの答えを受け入れたのはなぜなんでしょう。
まぁ、雫に関係するエピソードは追々、ってことでしょう。

詩也を吸血鬼に変えた本人、雫は十字架など諸々を恐れない存在のようですが。
イメージに引っ張られているのか、詩也はにんにくの類も苦手になっているようで。
そして、吸血鬼と思春期の男子と合わさると、吸血に関しては葛藤の種となるわけで。
相変わらず心理描写が上手いなぁ、という感じで。
青春まっただ中な彼の迷いとか、演劇の相手役である綾音との会話とかが、もう眩しくて仕方ない。

綾音は、学校で聖女のように謳われ、ファンクラブもあるほど。
ただ、身長が女子としてはかなり高い部類で、演劇を行うにも相手役の男子を超えてしまうからなかなかパートナーが決まらないという状態で。
そんな時詩也に出会って思わず引き込んでしまうわけですが。
この人も中々天然というかなんというか。聖女と言われるのも納得ですな。
詩也の病気という言いわけも受け入れて、何とかできないかと考えるあたりは何とも。

葛藤しながら、詩也がバスケの試合をしていたのも印象深いところで。
転校して、演劇という畑違いの事をやることになって悩んでいる中で、捨ててきたはずのバスケの試合に参加する。
悩みを深くした部分もあると思いますが、そうした悩みを見せたからこそ綾音との劇につながったわけで。
劇の台詞の応酬をうまく見せてくれたよなぁ、という感じで。
綾音の妹のこととか雫のこととか、これからどうなっていくのか気になる部分もあるので、楽しみに待ちたいシリーズですねー。


プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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