気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

米澤穂信

氷菓15

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「あたしには才能がある ちっぽけでゴミみたいな才能だけど

でも わたしはそれに仕えなきゃいけなかったんだ」

 

「わたしたちの伝説の一冊」。

漫画研究会でのいざこざの渦中にいる伊原。

そこまで親しくはなかった相手とはいえ、自分のノートを羽仁が盗っていったことに動揺して。福部は、伊原の抱えている問題に巻き込んで欲しいと言って、一緒に状況を整理していくことにして。

折木の「走れメロス」の感想文から連想が進んで行くのは面白かった。

 

伊原と福部の良い縁が描かれていたり、伊原の心境が定まっていくのだったり、某人物の才能に仕えるって表現だったりは好きな描写ですねー。

漫研の騒動そのものはギスギスした結果として、転がり落ちていく過程で伊原が巻き込まれている感が強くてなぁ……。

 

第六十二話、またしても折木の読書感想文について。

『山月記』を恣意的にくみ取って感想を書いていたの、愉快な視点で面白かったな。それを「面白いけど面白くしすぎたところがつまらん」と評してるの、良い先生だったなぁ。

そして、もう一つの折木が隠したかったものについても掘り返されたりもしていましたが。

ワチャワチャやってる古典部の仲良さそうな雰囲気、良いですよねぇ。

 


氷菓14

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「でも折木さんだって黙ってましたよね」

「……なんとなく言いそびれた」

 

古典部の面々が乗り込んできて、折木の誕生日を祝ってくれることになった。

後輩の大日向が結構ウキウキして祝ってくれることで、これまでの4人では起きなかっただろうイベントが発生してるのでそこはグッジョブ。

しかし、これまで誰も折木宅に遊びに来る機会がなかったのに、迷わずこれたのはなんでか? という疑問を抱かれることになってしまって。

適度に誤魔化そうとしている折木の内心描写が面白かった。

 

それは生き雛祭りを手伝った後、風邪をひいて寝込んでしまった折木のお見舞いに千反田が来たことがある、という何気ないエピソードがあったからなんですが。

2人ともが他のメンバーに「なんとなく言いそびれた」と、黙っていたのが何か好きですねぇ。

32Pの「折木さんだって黙ってましたよね」って言ってる千反田の表情とか、その前後の2人の雰囲気が好み。

 

後半は、伊原の漫研絡みのエピソード「わたしたちの伝説の一冊」。

漫画を描く派閥と読むだけ派閥との争いが激化していく中で、巻き込まれていく話なんですけど。

騒動の中で伊原が「なんのために描いてたんだっけ」って悩む羽目になったり、どんどん底なし沼に沈んでいくような空気感は苦手なんですよねぇ。

コミカライズとしては丁寧に描いていてくれるんですが、その分刺さる刺さる。

氷菓13

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「わたしはここを最高に美しいとは思いません――」
「可能性に満ちているとも思っていません」
「でも……折木さんに紹介したかったんです」


『遠回りする雛』の解決編。
最初のページに居る「わたしずっと気になっていたんです!!」やってる千反田が可愛い。
長久橋の工事に許可をだし、祭りに混乱をもたらしたのは誰だったのか。
彼女が気にするのではないか、と周囲に気を配って、情報をしっかり集めていた辺り、折木も学習してきたというか、慣れてきた感じがありますね。

それぞれに怪しいと思う人が居て、書き合ってみたら、特徴が一致。
折木の方は話を聞く中でピンときて。雛の準備で動けなかった千反田の方の心当たりは、彼らを知っているからこそ出る答えで。
違うアプローチで一致するのは面白いなぁと思いました。千反田の方は消去法ではありましたけど。

祭りも無事に終わったので、追及する事もなく。
役目を果たした折木が帰るのを、千反田が見送って。彼女の家が名家と呼ばれる所以を語っていましたが。その家の娘からすると、小さな世界で……それでも自分が帰ってくるルーツ。
彼女の迷いと、それでも胸の中にある矜持が見えるようで。かなり好きなエピソードですね。

2年生編も開幕してましたが、下手すると原作に追いついてしまうんだよなぁ。
一応『ふたりの距離の概算』と『いまさら翼といわれても』と2作あって、月刊誌連載だからしばらくは持つとも言えるのか。
タスクオーナ先生のコミカライズ素敵なので、続いてほしいなぁ。
新入生歓迎会の「欲しくないと言えば嘘になります」とか、表情が変わっていく様子が楽しい。
アニメの設定資料などない領域に踏み込んで、タスクオーナ先生は四苦八苦されたそうですが、かなり満足しました。

 





……巻末において。
米澤先生、並びにタスクオーナ先生が静かに追悼の意を表されていました。
何ができるわけでもありませんが。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

巴里マカロンの謎

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「わかった。わたしがあなたを、助けてあげる」

 

ついに出た、小市民シリーズの最新刊!

実に11年ぶりだそうです。え、11年。そんなに……? でも秋期限定はリアルタイムで買ったから、そんなもんか……

今回は短編集で、公式Twitterによれば『冬季限定』は別に出す予定とのこと。ここにきて新刊が出たので、まだ待てる。

 

二人がまだ1年生だったころの秋から冬にかけてのエピソード。

小さな事件が4つ、収録されています。『巴里マカロンの謎』、『紐育チーズケーキの謎』、『伯林あげぱんの謎』、『花府シュークリームの謎』。

前三篇はミステリーズに掲載されていたもの、最後一つは書き下ろし。

待ちきれなくて、雑誌購入していましたが。『巴里マカロン』が初回2016年だからやはり4年ほどはかかる訳ですね……

『伯林あげぱんの謎』と『花府シュークリームの謎』が好きですね。特に後者の最後で、小佐内が珍しい姿を披露していて、可愛かったです。良かったね……

 

新規オープンした店舗を訪れて、マカロンを3種類選べるセットを注文した筈なのに……気付いたら更に4つ目が乗っていたり。

他校の文化祭で、小佐内さんが生徒に連行されて。手がかりを求めて、小鳩くんが消えたCDを探す羽目になっていたり。

相変わらずの日常で起きた謎に、筋道をつけて辿り着くのがお上手というか。二人のやり取りが楽しい。

巴里マカロンの謎 (創元推理文庫)
米澤 穂信
東京創元社
2020-01-30

氷菓12

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「ああ――――――」

「――――――しまった」

 

手作りチョコレート事件の解決編と、遠まわりする雛の出題編ってところですかね。

いやぁ「雛」のエピソードは好きなので、こうして漫画になると感慨深いというか。

折木の、省エネ主義が脅かされている状況というのが。

その影響がまざまざと描かれていて、本当に綺麗なんですよ。

 

原作の米澤先生のゲストコメントも印象的ですねー。

「『氷菓』という小説を書いた時、古典部の四人には過去だけがあり、未来がありませんでした」。

作品が続くにつれて変化していってる様子を、この後に続く文で短くまとめてくれてました。

 

順番が前後しましたがチョコレート事件。

折木視点では、うかがい知れない、福部里志の心中。                                

友人を信じて嘘をついた折木。言いたくない心情を明かすことになった里志。

その裏側で話し合っていた女子二人。

他人の事なんて、わかりませんからね。時に傷つけあうことだってある。言葉にしないと分からない事も、言葉に出来ないこともある。

そういう意味では、里志はちゃんと伊原と話してるんだから真摯だと思いますけどね。一年は長いようで短いですからね……



ミステリーズVol.92&93(小市民シリーズ掲載号)

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「我慢? 我慢だって、これをか? ははは、常悟朗、無理だ!」
 

積んでました。

Vol.92なんて表紙に2018って書いてありますよ。何してるんだ自分。

小市民シリーズが掲載されてるので買った号ですね。

シリーズ初の犯人あてをやっていたようで、92で『伯林あげぱんの謎【試食編】』、93で『伯林あげぱんの謎【実食編】』を掲載しています。

 

謎を提示し、次号で回答編。……どころか次の94号では講評までされてるそうで。どれだけ積んでるんだ……

まぁ、謎解きは苦手なので、期間内に読んでいても応募はしなかったと思いますが。

ミステリ系読むのは好きですが、さっぱり推理とかは出来ないので、作中の人物と一緒に「へぇ、そうだったのか」と驚くタイプ。

今回も推理するまえに回答編が手元にあったからサクサク読んで、「これはこれで楽しいが想定された形ではないよな……」とか思ってました。

 

メタ的に、不要な登場人物はいないだろうから怪しいかなーとは思ってましたが。

現場でちゃんと論理立てて推理出来る小鳩君は相変わらずだなぁ。

新聞部のアンケート回答が出揃ったため、提出にいったら厄介事に遭遇する運もありますけどね。

新しいパン屋の記事を書くにあたって、ドイツにあるらしいゲームをすることに。

なんでも揚げパンの中にマスタードを入れて誰が当たるか遊ぶゲームだそうですが……当たった人が記事を書くことになっていたものの、誰も辺りを引いてないという。

これはいったいどういう事か、という謎。

当たりを引いた人も災難でしたが、調査の為に結局新聞部全員辛さの餌食になったのには笑った。


ミステリーズ! Vol.92
奥田 亜希子ほか
東京創元社
2018-12-12

ミステリーズ! Vol.93
真藤 順丈ほか
東京創元社
2019-02-12


本と鍵の季節

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そうしながら、僕は友を待っていた。

 

図書委員をしている僕と、皮肉屋の友人松倉詩門。

二人のもとにはなぜかいくつもの謎が舞い込んできて。

同じ図書委員の先輩からの相談、割引目当てで連れ立って行った美容室での変事などなど。

思考や行動のスタンスに違いがある二人が、つるんでる様子がなんか好きです。

 

帯には「爽やかでビターな図書室ミステリ」と書かれていましたが。

謎を解いてスッキリ! って形ではなく、目の前にある謎を解き明かしても、明らかにならない情報もあって、どこか不気味な余韻を残している。

 

確かに苦くて、世知辛い。

「どんなに立派なお題目でも、いつか守れなくなるんだ。だったら守れるうちは守りたいじゃないですか」と口にできる高校生がどれほどいるだろう。

その発想に至るまでの経緯を思うと胸が痛む。

 

けれど、その苦さを飲み込んでなお、変わらずに進む彼らの様子には脱帽する。

だってそうでしょう。謎解きをして、人の身勝手さに振り回されていたのかも知れない、と思って。

それでなお次の頼み事を受けているのは、性分といえばそれまでかもしれませんが、凄いことだと思いますよ。

願わくば、二人がこのまま変わらず居てくれますように。


本と鍵の季節 (単行本)
米澤 穂信
集英社
2018-12-14


米澤穂信と古典部

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タイトル通り古典部シリーズと作者の米澤穂信さんに焦点を当てた公式のまとめ本。

『氷菓』の発売が2001年でもう15年を超えてるんですね……長いなぁ。

最新作の『いまさら翼といわれても』で、結構千反田が揺れてましたので、その後どういう決断を下すのか、というあたりはとても気になっています。

どうか、結末まで見届けられればいいんですが。気長に、待ちたい……

 

古典部の新作短編「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」が収録されています。

ほぼコレ目当てで買ったといっても過言ではない。

掲載から本にまとまるまでが長いからなぁ……我慢できないので、掲載に気付いたら買う事にしてます。

 

時間軸としては、少し前ですね。

まだ一年生の大日向が部活に顔を出していた時期なので『二人の距離の概算』よりも前ですねぇ。

ある人物が描いた読書感想文について盛り上がる、というエピソードですが。

折木、省エネ主義の割に、色々と過去から飛び出てくる男だな……

「鏡には映らない」や「長い休日」などでも彼の過去の一部は描かれていましたけど。

昔から変わっていない部分があるんだなぁ、という感じもしてなんかほっとしました。

……黒歴史、とまでは言わないまでも何年も経ってから掘り起こされた折木自身はたまったもんじゃないでしょうけどね……

 

古典部メンバーの本棚の一部を作者が考えた、って言う企画とかも中々面白かったです。気になった作品に手を伸ばしてみたいような気はしますが。

既に積読が山になっているので、あれをもっと削ってからだな……

米澤穂信と古典部
米澤 穂信
KADOKAWA
2017-10-13


ミステリーズ! Vol.86 

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小市民シリーズの短編、『紐育チーズケーキの謎』が掲載されていたので購入。

ある中学校で行われる文化祭に行こう、と小佐内さんに誘われた小鳩くん。

なぜわざわざ中学校なのかといえば、知り合いに誘われたから。

文化祭でパティスリーが出るから、という名目もあったようですけど。

 

「マカロン」絡みのトラブルで遭遇した、古城秋桜。

知り合ってからも小佐内さんとの交流が続いていたようで。

パティシエを目指しているという彼女はスイーツに詳しい小佐内さんに懐いて、電話をかけて来たり、遊びに来たりしていたとかなんとか。

 

目的のパティスリーに行った後、別行動をとることに。

なんだかんだ小鳩くんが文化祭満喫している風で笑う。

で、小佐内さんは知り合いと共にまわっていたけれど……そこでまたトラブルに巻き込まれて。

とっさの判断力はさすがのひと言ですね……

そして最終的に「なにもしなかった」という彼女が、相変わらず過ぎて、もう流石としか言えない。

 

しかしまぁ、彼女が何もしなくても裏事情を言った古城さんとかパソコン部員が先生に告発する可能性もなくはないので、今回は甘い対応だったなぁ、と少しだけ思いました。

本気の復讐じゃなければ、こんなものか。



折れた竜骨4

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「勇士たちよ よく来てくれました」

「我がソロンを守るため…」

「エイルウィンの名の下に力を見せなさい!」

 

毒を盛られたファルク。

即座に二コラに追うように指示を出し、同時に自分は解毒薬に手を伸ばして。

たまたま店を訪れたエンマの手を借りて二コラが暗殺騎士の弟子を撃破していました。

使われたのは強力な毒だが……それに故に名が知られ、兄弟騎士団のファルクは解毒薬を持っていた。

 

脅してくることは無く、手を出してくるなら殺すか殺されるか。

しかし、それにしても弟子を浪費するような手段を打ってくることはない筈で、ファルクもその辺りを疑問視してはいましたが。

……どんどんと情報が増えていって、魔法がある世界だって言うのに、ちゃんと頭を回している辺りファルクのキャラが好きですねぇ。

 

暗がりの描写が、ちょっと読みにくい感じ。

牢屋を調べに行った時とか、軍用倉庫に行った時とかの場面が何とも。

調査の途中で呪われたデーン人が襲撃してきて、被害を出しながら、不利な状況でもファルク達は戦っていましたが。

傭兵として雇われたコンラートたちが駆けつけて、多少は状況がマシになってきてました。まぁ、戦闘はまだ続いているので、油断できるような環境ではまだありませんがねー。



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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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