気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

精霊幻想記

精霊幻想記26 虚構の在処

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「……見返りをお求めにならないのはなぜなのでしょうか? ノブレスオブリージュとも異なるようにお見受けしますが……」

(略)

「単純ですよ。見返りとして何かをしてほしい、こう動いてもらいたい、ということが何もないだけです。何かあれば要求するのでしょうが、それだけの話です」

 

リーナの結界の中であれば、今まで通りに交流が出来るようになったリオ。

超越者としての制限がある中でも色々と手助けはしていたわけですが……。特に大変なのはレストラシオンですよねぇ。

クリスティーナの即位でちょっと浮上はしたものの、拠点としていた土地を追われガルアーク王国に逃げ延びている状況なので、予断を許さない状況ですし。

 

ガルアークの名誉騎士アマカワハルトが、かつて冤罪を着せた少年リオであることはクリスティーナ達には伝わっており、だからこそこれまで積極的な工作は抑えられていたわけですが。

ユグノー公爵はそのあたりの事情を知らないために、どうにかリオを取り込めないかと画策することに。

そんな中で漏れ聞こえた「リオ」という名前だったり、スティアードや当時の事を知る子女に話を聞いた結果、かつては最善と信じた行いが自らの首を絞めようとしていることに気が付いて。

 

その上でユグノー公爵は、なんとか軟着陸させようとしていたわけです。

……まぁそういう政治的な配慮とか根回しとかで動き出そうとしたところを、スティアードが台無しにしていくわけですが……。いつまで経っても、君は変わらなかったねぇ……。

あのヒロアキですら、近ごろはマシになってきている部分があるというのに。

 

超越者や勇者についての秘密。あまり公に広められる話でもなく、一部上層部と勇者たちのみの間で共有が図られているようで、そこは納得できますが。

下手に共有できないのもあって、探ろうとする貴族が出てくるのもまぁそれはそう。まぁ、ガルアークの貴族であるグレゴリー公爵、スティアードを唆してたり、ユグノー公爵にベルトラム本国の何者かとパイプを繋ごうとしていたりしてますし、何かしらやりそうな気がしますが、どうなるやら。



精霊幻想記25 私達の英雄

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「そのまさかよ。彼をこの地に呼び戻すわ」

 

ガルアーク王国にて、炎の勇者タカヒサがレイスの手に落ちて。

その時に発された業火は王城からも明らかに見えた。マサトは兄が関連しているのでは……と疑いを持っていましたが。

レイスが賢神の残したゴーレムをハッキングして操り、王都に出現させたために大人しく相談できる状況でもなく。

アイリスが姿を現して非難を促す程度には危険……どころか、権能を使える超越者にとっても面倒な手合いだそうで。

 

七賢神のリーナの生前の仕込みによって、美春に憑依して色々とサポートしてくれていましたが、それが無かったら大分厳しかったでしょうね……。

今の彼女は裏技のような手法で存在しているだけで、過去からの準備によって望んだ未来をつかみ取ろうとしているわけですが。

仮面とはまだ違った形で、神のルールを無視する手段を構築してみせたのはお見事。

それによって、忘れられていたリオの記憶を他の人々が思い出してくれて……懐かしの交流の機会を持てたのが良かったですねぇ。ついに、という感じがする。

色々と状況が落ち着いた後、セリアが母を連れて挨拶に行っているシーンとか微笑ましくて良かったですね。

 

制限付きではあるけれど、ガルアーク国王たち勇者を擁立している陣営の人々に、勇者の抱えている危険性について伝えられたのは良かった。

ゴーレム相手に竜王の眷属であるソラがかなりバチバチやりあってくれて、強さが実感できたのも読んでて楽しかったですね。

リーナ、美春と夢で交流していた時にもそういう感じでしたが、今を生きる人々に未来について教えることは悪影響を齎すこともあるため、基本的に伝えることはできないというスタンスで。

 

リオ相手にも分岐になりうる選択肢を提示してくる、不審なアドバイザー仕草をしてきたわけですが……いったいどんな未来が見えていたらあぁいう提案をしてくるんだろうか。

彼女が持ち出したアイテムが重要な役割を果たすのかなぁ?

怪しいは怪しいんですけど、美春がそれを受け入れなかった結果がアレだという前例を見せつけられているわけで。信じがたいけど、完全に無視も出来ないというのが悩ましいなリーナ。直接言葉を交わせるようになったからこそ、より扱いが難しくなった感はある。

さて、26巻のサブタイトルだけ予告で出ましたが「虚構の在処」ねぇ。伏線回収回になるということで、楽しみではありますがどうなるやら。

精霊幻想記24 闇の聖火

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「大きなご褒美もあるから、楽しみにしていなさい」

 

推定魔族なレイスが教皇フェンリスとして君臨し、迷宮と切っても切れない関係のあるアルマダ聖王国。

彼を兄と呼ぶ迷宮に引きこもっているエルもいるし、明らかな敵地であるのにリオ達は情報が不足していて手探り状態なのがつらいところですね。

エルが直接顔を見せに来たことで、リオがかつての竜王とは違う存在であることにも気付かれてしまいましたし。

 

後は、ガルアーク王城から失踪したタカヒサについて。

金も持たずに失踪した彼は娼館街に迷い込んでしまい……着ているものの質が良かったために、ボンボンの子息と誤解され客引きされることとなって。

対応してくれた少女はタカヒサに寄り添ってくれましたが、館の主は裏社会側の人間だったというか。荒くれに近くて……追い込まれていたタカヒサは、一線を越えてしまうことに。

 

そうやって被害が出たことで、相手は退くことを選ばず……勇者であろうと殺しにかかるんだから、闇が深いというか。

その傍にレイスに与している傭兵ニックがいたことで、タカヒサの状況について筒抜けになってしまったのが痛い。

 

これでレイス陣営が、タカヒサとレンジの2人の勇者抱え込む形になったわけですか。しかも勇者の権能について理解して、それをある程度目覚めさせようとしてる節があるのが厄介ですよね……。

さらに言えば、ベルトラム王国本国も大分浸食されていますし、ルイ個人は信頼できても立場的にはどんどん危うくなっていきそう。

記憶さえ取り戻せば、リオに味方してくれるであろう勇者が、紗月と雅人くらいかぁ。ヒロアキはどうなるかわからんからな……。初期に比べるとマシになってきてるけど。

 

美春が再びリーナと夢で対話してましたけど、やっぱりあそこで「許す」というのが、リーナ的には最善だったみたいですが。決断の時が過ぎたことで、未来が分岐してしまったと言いますし、ますます面倒なことにはなっていきそう。

リーナの未来視は彼女の権能だと言いますし、それを他者に教えることにはリスクがあるというので、何も情報与えずにいるの止む無しな部分があるとはいえど、リオ達陣営が情報的に後れを取りまくっている状況だと、キリキリ吐けって気持ちにもなるんだよなぁ……。

25巻のサブタイトルがちょっと期待できそうなので、そこは楽しみですね。でも、2024年予定かぁ……1月とかに出ませんか?(欲張り)






特装版の電子版、BOOK☆WALKERでの販売が10月末までなのでご注意を―。

精霊幻想記23 春の戯曲

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「だから、気持ちを切り替えて旅を続けよう」

 

セリアはレイスとレンジの追跡から逃げ切ることに成功。

その足でガルアークの王都に帰るのを良しとせず、実家に影響が出るだろうから、と訪問を決意。それをリーゼロッテに相談してくれたおかげで、アリアという戦力を借りられたので偉い。

実際アリアが気を引いてくれたおかげで、弱みに成りうる母を保護することに成功したわけですしね。

 

領民への責任があるからと王国に残る決断をしたクレール伯爵は、貴族としての矜持を感じられて良いですけど……。

アルボー公爵派が力を持っている状況でどれだけのことが出来るだろうか。敵がレイスとつるんでいて、今回セリアを追撃したみたいに勇者レンジを持ってきたりするのが面倒なんですよねぇ。

ベルトラム王国本国には勇者ルイもいますけど、彼はまだ良識持ってる方なのが救いか。

 

一方でガルアーク王国側に集った勇者たちは、タカヒサ以外は特訓に乗り気。

ヒロアキがゴウキに「指南役務まるのかよ」って絡む一幕もありましたが、実力を確かめてからはしっかり認めてましたし、昔に比べると丸くなってきてますね。

……相変わらずどころか焦りからどんどん悪い方向へ進んでいるのがタカヒサで……。彼は美春のことをみすぎて、傍にいてくれたリリアーナの事を思いやれなかった。

そういう積み重ねによって、ついに絶縁状を叩きつけられたわけですけど。まぁなるべくしてなったというか。終盤、落ちるまでの速度感がヤバい。

 

美春がリーナから「間違った選択をすることを強く勧める」とか言われていた中で決断を下したわけですが。

次回予告では「正しい選択だった。そのはずだった」みたいに書かれてるのが不穏ではある。リーナ的には、アレを受け入れる方を勧めてたってコト……? 

 

リオは忘れ去られた勇者エリカの最期の願いを聞き届け、彼女の過去について知ることに。そこで勇者の力が覚醒する条件の推測もしてましたが……試そうにも試しにくいんですよね。

その用事が済んだ後に、リオはソラと共に神魔戦争が始まった地を訪れます。

これまでの主要な舞台となっていたガルアーク王国やベルトラム王国は、シュトラール地方東部の大国で……真逆の西部から神魔戦争が始まったそうです。

 

そんな最西端の地にあるのが、アルマダ聖王国。

聖王国と名乗るだけあって六賢神信仰が強い土地のようですが……宗教的立場のトップに立っているのが厄ネタだと発覚して頭が痛い。

この地は六賢神の実験の影響か、迷宮と呼ばれる魔物が湧き出る場所があり、その奥地にも魔族らしい存在がいるようですし。

聖王国も実質的に魔族に乗っ取られているのでは……? ベルトラム王国でもアルボー公爵派に影響力持ってるし、帝国の外交官も務めてるので、大分あちこちに爪痕残してるのが面倒すぎる。

新情報も出てきましたが、これからにつながる繋ぎの章って感じで若干盛り上がりには欠けましたね。

精霊幻想記22 純白の方程式

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(そう、よね。今までの私だったら、きっと貴方を頼っていたはず。けど、もうそれじゃ駄目なのよ。いつまでもリオや貴方に容易に頼って、守ってもらってばかりの私ではいられない。今後は私だって頼もしい戦力になるんだってところ、見せたいの。だから……、今回は私を信じて、一人で行かせてくれないかな?)

 

超越者になってしまい、神の敷いたルールに縛られことになってしまったリオ。

皆の記憶から消えてしまっても。彼女達を守るために力を振るう事に制限が掛かったとしても。守りに行けるリオが本当に格好いいですね。

ソラちゃんと早期に会うことができて、誓約を誤魔化す仮面を借りられたのは本当に大きい。

……暗躍しているレイスがそれらの事情を察して、リオの行動を縛ろう目論んでるのは頭が痛い問題ですが。

 

朗報なのが、セリアが記憶を取り戻してくれた事。

これも七賢人のリーナの遺産であるようですけど、それによってセリアは並列思考と思考加速という賢人の眷属がもつ特殊な能力を扱えるようになって。

ここだけ見るとセリアがリーナの眷属として世界に登録されたのか、って感じがしますけど……その割に、セリアの記憶が他の人々から消えていく気配がないので、リーナの仕込みな感じがしますねぇ。

 

直接の眷属ではなくて、眷属の末裔っぽいあたりが鍵なんだろうか。術式で誤魔化してるんだったらそれこそ竜王の方にテコ入れしてほしかったものですけども。

でも、これまで頼っていたリオとアイシアとの交流が難しくなってしまった状態だからこそ、セリアの活躍が光っていたので演出的にはとても美味しい。

しかしリーナ、セリアに中途半端に託した一方で、自身の転生体である美春の方にも不穏な言葉残していったり、何企んでるんだか。一応味方陣営のハズだけど、微妙に信じ切れない感が強い。

 

あと、今回注目したいのはレイジという、敵に回りその能力を存分に振るう勇者が現れた事で、ガルアーク国王たちが沙月たち味方陣営の勇者の力量を測ろうと決めたことでしょうか。

平和な時代であれば象徴としてあってくれれば良かったけど、いざという時に全く対処できませんなんて言えないから、同格の味方陣営に頼るのは正しいですよねぇ。

フランソワが結構胸の内を明かしてくれたのと、その辺りを察して適度な距離を保っていた沙月との関係が結構好きですね。勇者と国の関係で、一番理想的なのはガルアークだろうなぁ。

 

沙月は現状を加味してそれを受諾。レイジに敗れたサカタヒロアキもまた頷いて、エリカの後任になってしまった雅人も覚悟を決めていましたが……タカヒサだけはまーたごちゃごちゃ言ってるのがなぁ。

リオの記憶が失われたことで、千堂兄妹は一回自分達を縛っていた悪感情をリセットして自分の行いを振り返ることが出来たようで。

亜紀の方はしっかり前進してくれた感じがありますけど、タカヒサの方は足踏みどころか後退してる疑惑すらあって、また厄介な事起こしそうだなぁと思いました。やだなぁ、見えてる爆弾って。

今のタカヒサに比べると、敗北から成長したサカタヒロアキの方がマシに思えて、いよいよタカヒサの地位が危ない。危なくなかった時期がないか。



ドラマCD音源付限定の電子書籍版は、販売が22年10月末までなのでご注意を(閲覧期限なし)。

精霊幻想記21 竜の眷属

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「ありがとう。けど、ここで動かなかったら、俺は一生後悔する。それは確かなんだ。だから、行きたい。いや、行くよ」

 

超越者となったことで、皆の記憶から失われたリオ。

家族を殺され、ようやく復讐を果たした彼に幸せな未来が待っていてほしかったのですが。まだ運命は彼に戦えと言うらしい。

20巻でエリカに宿った何かがリオを「竜の王」と呼んだこととか、気になる情報が多かったですけど。

 

アイシアが「能力行使すると忘れられてしまう」事を自覚していたように、彼女がある程度の情報を思い出してくれたのは、本当に助かりましたねー。

と言う事で、メタ的なこと言うとこれまでまかれていた伏線関係を回収する説明エピソードが多めになってました。

アイシアの持っている記憶も完璧ではなかったので、それを補う新キャラの登場とかもありました。それで、過去何があったのかと言うのは結構判明したように思いますが。

 

……だいたい六賢神のせいじゃないか!! なんてろくでもない……。

神魔大戦の起きた経緯、勇者という存在の秘密とかが分かったのは嬉しいですけど。こういう設定開示エピソード大好きなので。

リーナという忘れられた賢神の一人が色々と策を練って、リオ達の状況を作ったようですけど。彼女の能力も万全ではないというか、過去においてもかなり失敗してる感はありましたよね……。

 

六賢神が行った神魔大戦のきっかけとなった実験を止められてないし、その後の対応に関しても後手に回ったし。16ってことを加味しても、「千年後の彼と貴方にすべてを託すことになってしまう」じゃないのよ……と言いたくなってはしまうなぁ。

でも、彼女の残していた縁がきっかけで、忘れ去られたリオを繋ぎ止める存在もまた明らかになったりするわけで、うーん評価が難しいなリーナ。

 

そしてこれらの情報を踏まえて考えると、レイスの正体って神魔戦争の魔物側の存在でほぼ確定でしょうかねぇ。超越者の存在や縛り、かつての大戦の事について詳しいのとかもそれで説明つきそうですし。

徒に能力を行使すると、忘却が加速するっていう制限が加わってしまったリオが、彼を忘れ去った仲間を守りに来るのか試したり、打つ手がいやらしすぎるのでその内痛い目見て欲しいものですが、さて。

 

あとは、聖女エリカもあれだけの能力を行使したことによって超越者認定されて忘却の対象になっていたのは……うん、彼女にとっては幸いなことでしょう。この世界が大嫌いだった彼女が、本当の意味で解放されたように感じた。

でも、世界が「勇者が1枠消えたなら、新しい勇者呼ばないとね!」とか速攻で言ってくるのは予想外。それに選ばれてしまったのがまた今後に響きそうというか。

 

……でもこれで、皆がリオの事を思い出せたとして。リオに好意的な勇者が沙月、ルイに加えて3人になりそうなのはまだマシですか。

残りは勘違い勇者ヒロアキと、レイスの首輪付きのレンジ。それに美春に執着して、一度失敗したタカヒサだからな……。

というか、最後タカヒサはどの面下げて登場してるんですか。リオにボコられて引きこもってたんだから、そりゃ彼を忘れたら動き出すよね……巻末の22巻予告見たんですが、もう一回と言わず何回か怒られろ。

 

精霊幻想記20 彼女の聖戦

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「これは、私の聖戦よ!」

(略)

「私を止める権利は、貴方にはない!」

 

無事にリーゼロッテを救出し、帰還したリオ。

帰還する前にもう一度アイシアが敵地に潜入して「エリカが生きているかもしれない」という断片情報だけでも得られたのはなにより。

リオは報告する際に、不明な部分が残る機関となったことを謝罪してましたが。ガルワーク国王のフランソワが依頼したのは「リーゼロッテの救出と、敵対行動を起こした国への示威行為」なので目的は果たしている、と鷹揚に受け入れてくれたのは良かった。

 

ここにきて更に功績を挙げたリオの事を良く思わない貴族からのちょっかいなんかも入りましたが、軽くあしらって。

そうやってちょっかい出して来た家の領地がエリカによって制圧されたのにはちょっと笑ってしまった。合掌。

都市を占拠されたとなれば放置するわけにもいかず。軍の派遣が決められて、汚れ仕事だと理解した上でリオも加勢することに。

 

プロローグでエリカになにが起きて聖女となったのか、その経緯も簡単に描かれましたが……復讐という目的から推測できる範囲ではありました。まぁ、だからと言って呑み込めとは言えない無情さがありましたけどね。

死のうと思っても勇者の力で死ぬことが出来ない。絶望した彼女の起こした聖戦のはて、ついに望みが叶ったのは良かったですけど……。

 

扉絵で描かれたアイシアの別れの言葉。どういう展開になるのかと思いましたが、リオがその別れを良しとせず追いかけてくれたのはホッとしました。

ただ、それによってリオの身にも代償が生じてしまったのは、あまりにもひどい。

ルシウスへの復讐を果たして、受け入れてくれる人も増えて。これから厄介事に巻き込まれながらも幸せになってほしいと思っていたんですけど、どうなるかなぁ……。

「竜の王」とか「裏切り」とか気になるワードが出て来てますし、その辺りの真相に関しても明らかになってほしいけど、22巻はサブタイトル未定で来年発売予定ってことですし、まだ時間がかかりそう。


精霊幻想記19 風の太刀

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「ハルトがいない今だからこそ、私達も一緒に戦ってこの窮地を乗り越える必要があるんです。ここでまもられてしまったら、私はきっとこの先もずっとハルトに守られ続けるだけの存在になってしまうから……。守られるだけの存在じゃないって、示したいんです。自分が弱いせいで、ハルトに距離を置かれたくないから!」

 

リーゼロッテを助けにリオとアイシアという最高戦力が離脱していて。

実際、覚醒した勇者を相手にするにはそれぐらいは必要でしたが。

その隙を逃さず、リオに有効そうな人質を確保しようとレイスが動いて。

いやぁ、復讐されるような行状積み重ねてる団長の敵討ちに動く傭兵団とか、片腹痛いものがある。因果応報だよ……。

 

レヴァナントを大量に投下して混乱を招き、魔剣で武装した傭兵団が攻める、と。

作戦としては効果的ですよね……襲撃場所がリオ達に好意的な人が多い、ガルアーク王都だったのは幸いでした。

セリアや精霊の民3人とか、個々の戦力だったら搦めとられていた可能性が高かったですよね。

騎士の助力もあったし、彼女達も守られてばかりの現状を良しとせず戦う気概を示してくれたのは格好良かった。

 

美春も守られてるばかりじゃなかったのはいいですね。

戦闘能力は低いけど魔力量が多いというのを活かした、いい仕事をしていたと思う。

沙月さんもキャラが好きなので活躍してほしくはあるけど、聖女の一件で覚醒した勇者のヤバさを実感したので、大人しくして頂いている方が安心できる気はする。

 

とは言え、色々危ない場面もありましたよねぇ。回収されたルシウスの魔剣をつかった攻撃で負傷者は出るし、精霊の顕現っていう手札を切らされましたし。

危ない所で駆けつけてくれたゴウキさん、挿絵になるのも納得の活躍。そもそもサブタイトルの「風の太刀」からしてこの人でしたからね……。

 

今回の襲撃を切っ掛けに、名誉騎士の粗探しをしたい貴族から、リオの屋敷が重点的に狙われたところを追及されそうですし。

まぁ、貴族の問題については国王陛下がリオ達よりなので、そこまで心配はしてませんけど。

 

それよりも問題は、ロダニア陥落を目指してレイスが手を打とうとしてるのと、聖女の方が侵攻を始めようとしてる所なんですよねぇ。

片方だけでも面倒そうなのに、同時に来そうなのがヤバい。
次回のサブタイトル的には、聖女側の方が先にメインを張りそうですが。レイス放置していい理由にはならないんだよなぁ……。

精霊幻想記18 大地の獣

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「私もいる。リーゼロッテは一人じゃない」

 

アニメ化も決定して、ますます好調なシリーズ。めでたいですね。

攫われたリーゼロッテを救うべく、ガルアーク王国国王からの依頼を受けて、聖女を負うことにしたリオ。

さらにリーゼロッテの侍女であるアリアも同行し、アイシアの協力も得て、本気で追いかけていましたが。

レイスがそれを監視していて、この機会に手を打とうとして来るのが実にいやらしい。

 

天上の獅子団の傭兵たちを、団長の弔い合戦と煽って動かしているみたいですが。リオ以外を対象とした、傭兵なりの報復とか正直嫌な予感しかしませんね……。

部下には慕われていたようですし、外道なりに通じるモノがあったのかもしれませんが。

度々手を出されても困るので、実働部隊もどうにか潰してしまいたいな……って気分になる。

19巻予告を見ると、ある方が活躍してくれそうで、そこはちょっと楽しみではあるんですけど。

 

一方のリーゼロッテ。

神聖エリカ民主共和国に連れ込まれ、宰相のアンドレイなどから国の事やエリカ自身の事について話を聞いていましたが。

随分とちぐはぐな国と言うか。理念は尊いと思いますけど、その思想は革命を先導したエリカに吹き込まれたもので、まだまだ底が浅いというか。

それを受け入れる土台が無い状態で、先進的な知識だけ注がれて全く活用できていない。

 

人柄は善良でも、それ故に騙されやすい。そして、流されやすい。エリカが居れば何とか出来るという考えや、王侯貴族へのヘイトが高まりすぎてて、自分達こそ正義だというという妄信状態になってるのが……ただただ、愚かしくて悲しい。

 

実質聖女を筆頭にした宗教国家でしょ、これ。……狂信者ばっかりで、トップが圧倒的な力を持つ勇者っていうのが厄介極まりないんですよね。

ガルアーク国王が、紗月に正統性を保証してもらおうとしたように。「勇者」相手に強く出れない国が多いですしね、この大陸。

 

エリカの、婚約者と一緒に転移したが彼は殺された、という状況には同情しますが。その手段は受け入れがたい。

そもそもエリカが、「覚醒」した勇者であり、それの行使にためらいを見せないって時点で危険なんですよ。これを見ると、サカタヒロアキをお飾りの勇者にしようとしたユグノー侯爵の判断も正しかったように思える。

 

リオとアイシアなら追跡も救助も簡単に終わるので、何かあるとは思ってましたが。

エリカの呼び寄せた「大地の獣」が強大過ぎて、リオすら苦戦していたのには驚かされました。覚醒した勇者、本当に強いんですね……というか、

 

というか、覚醒した勇者の簡単には死なない、のレベルがヤバすぎてどうやって対処すればいいのか分からないレベルですねぇ。

レイスに言わせれば、まだ切り札持ってそうですし。『話が違う』とエリカが言ってるのは、誰から聞いた話なのか謎のままですし。

……復讐を果たした後のリオの前に現れる敵が、現役の復讐者って言う構図は狙ってると思うなぁ。そこを突かれると彼も弱いし。

しばらくシリアス路線が続きそうとのことで。リオには穏やかに暮らしてほしいものですが、そんな未来は遠いな……。

精霊幻想記17 聖女の福音

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「……ええ。その人達は私の身近にいてくれて、復讐のためだけに生きようとしていた私でも一緒にいたいのだと言ってくれました。それで気づかせてもらったんです。私は失ったモノと同じくらい、大切なモノを得ていたんだと」

 

ガルアーク王国に屋敷を貰ったリオ。

功績を上げ続けている名誉騎士を良く思わない輩はどうしても出てくるので、味方を増やしておくに越したことはない。

という事で、彼の有能さを見せつけるべくガルアーク王家が手を打った結果のようですね。

実際ハルト腕前もさることながら、リーゼロッテが欲しくなるほどの様々な物品を製造できる知識だとか、コネとか色々持ってますからね……。

 

正統に評価しつつ一線を守って交流し、好感度稼いでおくのは大事です。敵に回してられませんよ、こんなハイスペック男。

ある程度思惑があるとはいえ、ルシウスと言うコマを失った事で、レイス達も「当面は」という区切り次ながら手出しを控える事にしてますしね。

 

戦闘の講師を務める事となって、初回講習で実力確認のための実践をして、全員に危なげなく勝つ当たり凄い。

王女や貴族令嬢の側近で、弱い筈ないんですけどねぇ。ルシウスを復讐の相手として、腕を磨き続けてきたから当然と言えば当然なんですが。

指導を受けた面々からは好印象を持たれて、穏やかな日常を過ごしているなぁ、という感じでしたが。

 

統治体制を討ち滅ぼし、国を興した聖女がガルアーク王国へ接近。

その前に帝国に足を運び、皇帝二ドル相手にもひかずに自分の主張をする辺り、怖いもの知らずでもあるようで。

行動力のある狂人で、さらには聖装を持つ勇者とか、この世界の人々には易々と止められない怪物になってるじゃないですか。

以前描かれた支配層を打倒した場面から厄介さは健在でしたが、他国に出てこないで引きこもっててもらえませんかね……。

 

リーゼロッテを攫い、ガルアーク王国に対して実質宣戦布告をして。

結果としてリオと敵対するルートに入ったようなものですし、次の巻では思いっきり叩きのめしてほしいなぁ、正直。

タイトルにも登場した通り、聖女のインパクトが強くて、精霊の民の里で懐かしい顔と出会ったり、故郷に復讐の達成を報告に行くという一大イベントが霞んでしまったな……。

いや、それはそれでリオの今後にも影響するだろう重大事ではあるんですが。

次回予告的にも対聖女のエピソードが先に来そうですしねー。12月予定の新刊が楽しみ。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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