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ヨアキムは選択した。選んだと自分では思っていたが、もしかたしたら答えははじめから決まっていたのかもしれない。


借金返済に追われる魔術師のヨアキムは、龍に閉ざされた牢獄都市へと向かう。
牢獄に囚われた魔女を開放するという依頼を果たすために。
杖を使った魔術が、独特のものみたいなんですが、その辺りの説明がもう少し欲しかったかなぁ。

あとは・・・ギスタークが分かりやすく屑でいっそ安心しましたけれど。
しかし、あの程度の俗物が偽王として君臨出来てる、って三眼王の血統はいったい何をしていたのか。
アレで5代目だという事ですけれど。
初代は、強力な仲間を従えた開祖みたいなもんだから、問題は・・・まぁ敵視とかはされてたろうけど、ないとして。
ギスタークがどうやって偽王となったのか。実は父親の代から入れ替わっていて、それを継いだ、とかが愚物の君臨としては穏当なコースかと思うんですけど。
その場合は、三代目か四代目あたりが怪しいのかな。流石に、初代の次、二代目から入れ替わりっていうのは無理なんじゃないかと。できたとして、真の血統が今まで残ってるっていうのも考えにくいし。

しかし先代までは質実剛健だった部屋を、趣味悪いものにしたとも書いてありましたし。
そもそも王が入れ替わるような政変があったというのに、気が付かれない者なんだろうか。
後継者の家族は、息がかかっていた相手に殺された風ですし、まるっきり知られていないってわけでもなさそうですけど。王家の親衛隊である9人の神将とかは疑問に思っていないのだろうか。
指示に従っている面々が居るっていうことは、真の王と誤解しているのか、あるいは神将自体が既に腐っているのか。
これ以上ないほどわかりやすい紋様があって、それによって得られる力があるなら、それを鑑定する道具とか当てもよさそうなものですが。

王の血筋と力が疎まれた、にしてもたがたが5代――5代目が偽物だと考えると実質4代ですか――で腐り落ちるような組織で国を運営できるのか疑問が残りますけど。
腐った官吏が利権を得るために、絶大な王を追いだした・・・いや、竜をも従えるような王をそうやすやす追い出せても国成り立たないと思いますけど。
いくら初代のなした業とはいえ、4代でそこまで血も能力も薄れないでしょう。
イスタ歴、という暦で847年なのに、5代目というあたりに答えがあるんですかね。継承できる人物が限られている、とか。
・・・あぁ、そもそも紋様が封印されていて、力を発揮出来なかったから、力が脅威とならず追放された、っていうパターンもありなのか。
イビスゲイルを狂った状態とはいえ支配できていたという事は、「偽の王紋」が存在して、それで騙されているのか。
うーん、案外考え出すと止まらないな。

・・・ギスタークがいかにして王になったのかが、この作品の一番の謎かもしれません。
現状だとわからないので、悪魔と契約して、立場を入れ替えたとかで良いような気がしてきました。
この世界悪魔いるのか知らないですけど。ただまぁ、その手の願望をかなえた結果って悲惨な道しか残ってないですけどね。

3か所を3人で封印しているんだったら、一か所ずつ解けていくようにすればよかったのに。
額の紋章も、一人目で出てくるし。
まぁ、それを言ったら手の甲の紋章が、なぜ既に出ていたのかっていうのも謎ですけど。

こう、全体的に嫌いじゃないんですけど、テンポが遅いといいますか。
盛り上がりが足りなかったかなぁ、と思います。
最後の方に、真の王と偽の王が~云々出てきますが、なんか、インパクトが足りないというか。
一冊丸々プロローグみたいな感じで、今回は全体的に盛り上がりが足りない。
王道で、外れではないんですが、もうちょっと振り切った話を読みたかった