「騎士とは、強い戦士を指す言葉じゃない。生き様だ。騎士たらんと己を律し、意思を貫き続ける限り、そいつは立派な騎士だ」
「…………」
「むろん、騎士は弱き者には務まらない。騎士の――“その剣は弱きを助ける”。騎士が戦士として強くあることも重要なことだ。だから、まずは剣を捨てろ。自身を鍛えろ」
作中最新時系列より、1千年の昔。今なお語り継がれる英雄達が群雄割拠した、輝かしき伝説の時代。
その時を生きた騎士の一人がシド。伝説時代最強とすら称えられたが……数々の悪名もまた伝わり《野蛮人》シド卿とすら呼ばれ、使えていた主である聖王アルスルに誅されて最期を迎えたとされるとか。
……ただプロローグだったり、今も王家に伝わっていた伝承と言い、アルスルとシドの間には今に伝わる絆が確かにあったようですけどね。
1000年後の未来、最後の王族として追われていたアルヴィンは、伝承に従いシドの墓に血を捧げ、彼を復活させることにした。
追手として派遣された暗黒騎士を、復活したシドは容易く撃退してくれて。
ただアルヴィンに味方したのは、どことも知れぬ場所で主であるアルスルに会い、託されたから。主の命は聞くけど、アルヴィンを新たな主に認めたわけではなく……。
その上で、アルヴィンの騎士としての振る舞いはしっかりするし、アルヴィンのクラスメイトへの指導も真面目にやりはするんですよね。
ただ《野蛮人》という呼び名から警戒する相手へ、訂正するようなこともないし何かしら含むところあるんでしょうけど。
伝説時代の騎士からすると、今の時代の騎士は頼りなかった。妖精剣という武器の性能に頼りすぎていて、自分自身を磨いていない上に……かつては当たり前のように使われていたウィルという技法が失伝していたからだった。
今の常識と違う教えをするシドへの反発だったり、公爵家が政争にかまけていたりと問題も多かったですけど。
その実力で多くの障害を蹴散らしてくれたのは、素直に格好良かったと思います。