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「どんな人間だっていつかは死ぬ。そして死してこそ、唯一無二の安寧へと身を委ねる事ができる。“死”は平等だ。上層も下層も、契約者も傭兵もただの人間も、いずれは死ぬ」
(略)
「いずれはどんな人間にだって、救いは平等に訪れる。だからこそ、他人の区別なんか考えもしないだけだ」

超越者シリーズ最新作。
1章始まりのエチュード 「00プロローグ」から追憶のセレナーデ87「テッサリアの戦い」まで。

まぁ、同時に「Blade Blaze Online」 も連載しているのでペースは遅めですが。
超越者シリーズという事で話が進むと、「魔王」と「女神」という過去作品のキャラクターもちょっと出てきますが。
「Blade Blaze Online」 と比べると、その干渉の度合いは低いものとなっていますね。
煉がそのうちに含んだ世界の一つ、という事でしょう。

奈落の渦という人類滅ぼす災厄と、そこから出てくる黒い魔物。
この世界は、 「奈落の渦」によっていくつもの街が滅び、それでも生き残った人々がどうにか知恵と戦力を振り絞って、渦と戦う世界。
ただ、この世界は大分歪な構造をしている。
神霊と呼ばれる存在がいて、それと契約した人間、契約者が戦闘の軸となっているわけですが。
大きな力を持ち、実際に戦果を挙げているからこそ、非契約者を虐げる輩もいたりして。
おまけに、拠点となる都市は上層と下層に分かれていて、下層はスラムみたいな様相を成しているのに、上層では安穏と過ごしている連中がいたりする。
別の国に行くと契約者に頼らず魔物を打倒す方法を模索している国があったりするんですが。
 
主人公たちの起点となる場所が、そういった蔑視が根付いているっていうのがまた。
上位神霊と契約した、下層出身の少年ウルカ。
最上位の神霊ジュピターと契約した、上層出身のミラ。
人を切断することで興奮する、聖女の付き人アウル。
魔物を汚らわしいと断じ、魔王と女神を崇拝する最強の聖女リーゼファラス。
そして、戦いの中での死を求める、黒衣の傭兵カイン。 

超越者シリーズお約束の『欠片』持ちは下三人ですが、上の二人は常識人枠なのでどうにか抑えてもらいたいところ。あとは上位神霊との契約者という事で立場があったりするので、案外重要な役回りだったりしますし。
ミラもウルカも結構未熟なところがありますが、ゆがんでいながらも自分を曲げないカインたちに影響されて成長している部分もあります。
死生観を能力を核としているカインがキーパーソンとなるんでしょうけど。
まぁ、欠片持ちなんてどこかしら壊れているようなものですけど、カインはその中でも結構ぶっ飛んでいるように見えるので好きですよ。
死なない能力を発現し、死に場所を求めるという矛盾した行動をとる。
厳しい戦いの中で、死なずに笑い続けるカインの行動が 。現状「カインが死ぬ=反撃で相手も死ぬ」という恐ろしいコンボが決まっているのでまたすさまじいもので。

1章、始まりのエチュードは渦に対応するための作戦で、カインたち5人が出合うエピソード。
カインの回帰が使用されたりと、最初から大盤振る舞いな感じです。上位神霊との契約者がすごい力を持っているのに倒せない敵が出てくる時点で、この世界の人類割と詰んでる気がしますけど。
2章、交わる道のクインテット。主要5人が、高位の神霊ジュピターに目をつけられ私兵となる話。
カインが、特殊な場所で魔王と女神と面会するといった場面もありますが、次に向けた準備の話。
3章、炎舞うロンドは、私兵となって初めて派遣される話。契約者とは違う、技術によって魔物と戦っている国の基に赴き、渦と対峙することに。カインの力も大概ですが、それをものともしないリーゼファラスも流石。最強の聖女の看板は伊達じゃない。
というか、死なないカインと魔物嫌いのリーゼファラスと相対した敵が哀れに思えてくるレベル。圧倒的すぎて勝ち目ないし。

そして最新のエピソード、追憶のセレナーデ。
秘されていたカインの過去に迫る話ですし、過去渦にとらわれた都市を解放するために動く話でもあります。
流石に5人だけでは無理なので、他の上位契約者とかも集めての作戦ですが。
カインたちとは違う「欠片」もちが何やら動いているようですし、彼の能力がいったい何なのかも気になるところです。
過去を思い出したカインが雰囲気変わったり、一風変わった技に目覚めたりしてますが、周囲は敵だらけ。
さてどうやって打倒するのか、と思いますあが・・・群体だろうがなんだろうが、多分勝ち目ないからなぁ、哀れな敵です。
ミラやウルカとかの一応一般人枠というか、殺せば死ぬ方にどれだけ被害出せるかのみが渦の魔物の出しうる戦果っていうのが何とも言えない。 まぁ、それだけ精鋭を集めているってことですけどね。