気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

藤崎珠里

精霊つきの宝石商1 特別なエメラルド

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「俺たちは、君にその力があるからこそ、君を養子に迎えたい。だが、君を利用する気はないんだ。……精霊に愛された人間が魔力を流した魔宝石を見るのは、今日が始めてだ。この輝きを見られただけで、もう人生に悔いはないとさえ思える」

 

気付けば子供の姿になって異世界に迷い込んでいた主人公のエマ。

彼女は、宝石を眺めるのが好きでジュエリーを心の支えにブラック労働を乗り越えるOLだったようですが。

迷い込んだ異世界で、直ぐに見つけたのが宝石を売っている店で。

それもただの宝石じゃなく、魔力が込められた魔宝石と呼ばれるものだった。異世界に迷い込んだエマは、なぜか魔力や魔力に惹かれる精霊を見ることの出来る特別な目を宿していた。

……いやまぁ、目だけじゃなくてエマ自身が精霊に愛されているみたいで、彼女が魔宝石に魔力を込めるととんでもない代物が出来てしまったりもするみたいです。

 

宝石商の夫婦は、エマが精霊に愛されていることを知った上で養子に迎えて、でも利用する気はないと言った通りに、彼女に無理に魔力を込めさせるようなこともせず、誠実に愛して育ててくれてたみたいで、異世界転移最初の出会いがこの夫婦で良かったですねぇ。

長らく子宝に恵まれていなかった夫婦に、エマを養子に迎えてから実子が出来たみたいですけど、姉妹仲も家族仲も良好みたいですし。

そしてエマが成長したある日、2号店をエマに任せたいという話が出てきて。エマはそれを受けることにしたわけですけど、妹のアナベルも魔力がないから魔法石を直接扱う事は出来ないながら、姉の手伝いがしたいと会計士の資格を取ろうと頑張ったり、緊張してる時相手に癒してもらったりしてるの、実に微笑ましくて良い。

 

既製品とセミオーダーを行っていた一号店と違い、フルオーダーと、庶民向けの安価なアクセサリーを用意した2号店という違う方向性で戦おうとしてるのも、ちゃんと考えてますね。

客層違うけど、フルオーダーなんてそんなポンポン来るものでもないし、別の路線の商品おいてるのは正しいと思う。完全ブランド化して、フルオーダーだけでなんとかなるなら特化していっても良いと思いますが。庶民向けの安価なアクセサリーとかまだ広がってない世界みたいですし、どっちも挑戦的な路線だから試行錯誤は有り。

 

……まぁ初期からとある伯爵から、「妹に贈るための宝石が欲しい」という依頼を貰って。

自分も妹大事にしてる身だから、と精霊に愛された子である自身の特性を駆使して依頼を達成したところ、なんだかんだ交流が増えくことになるわけですが。

店主と客、貴族と平民という始まりなのと、エマの性格もあって素直に友人とは言えないあたり不器用だなぁ……とも思いますが。良い友人付き合い出来てる感じがするので良いですね。

お店的に考えても、上流階級への繋がりになりそうな縁だし。貴族からの依頼をしっかり果たしたのは、今後の評価的にプラスだろうし。

エマも魔法石……というか宝石全般に魅了されている子ですが、彼女と縁のある人も同じように宝石を愛している人が多くて、優しい世界で癒されました。

5分で読書 全力の「好き」をキミにあげる

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「そもそも、らしいとからしくないとか、本当は他の人が決められることじゃないと思うし……その人がやりたくてやってることなら、全部その人らしいんじゃないかな」

「……うん。そうかも」

 

KADOKAWA刊行のアンソロジー『5分で読書』の1冊。

アンソロなので、テーマに沿って複数作家さんの短編が掲載されているのが基本になるわけですが。

この『全力の「好き」をキミにあげる』は1冊まるごと、藤崎珠里先生の作品で構成されています。

小説家になろうで両片思い系の恋愛短編を多数投稿してる作者さんで、以前から読んでいたのもあって、書籍化はめでたく嬉しいものですね。

 

2作だけ前後編の構成で、残りはそれ単体で読める形なので、1編ずつじっくり読んでいく形をとれるのもいいですねー。

糖度高い作品過剰摂取しすぎると倒れちゃいますからね、自分のペースで読めるのはいいわ。

 

好きな女の子と共通点が多いから、と相談相手になっているけれどそれなら自分の事を好きになってくれてもいいのに、と悩む少女を描く『鈍感なのは』。

一目ぼれした勢いで告白して、それ以降もアピールを続けた少女の想いの強さが語られる事になる『伊吹くんに、毎朝一番におはようって言える人になりたいです。』

『片思い中の幼なじみとの添い寝、その顛末について 前/後編』というタイトル通りの作品などなど。

どの物語でも恋心を抱えた少年少女が可愛らしく、読了後幸せになってほしいなと思える要素で溢れている、良質な短編集でしたね。

 

特に気に入ったのは『㊙委員長の楠田くんは、ファミレスでバイトをしている』で、バイトしている委員長を発見してしまい通いづめていた早川さんが、途中でちょっと冷静になって距離を取ろうとしたら、逆に委員長から踏み込んでくる流れが良かった。

もう一つの前後編構成『どの本にもいない』に出てくる読書好きの少女、結音ちゃんも小動物見てるような可愛さがありました。

いやぁ、甘かった。どの作品も満喫しました。

恋の季節を、きみと

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「……きらいなわけないでしょう」


あらすじ・相関図等が見られる作者様のツイートがあるので「こちら」もあわせてどうぞ。
文フリで刊行された同人誌ですが、kindle版もあります。わたしはそっちを買いました。

同じ学校に通う少年少女の群像劇。

春夏秋冬で章が分かれ、それぞれの恋の風景が描かれています。

じれったくて、恋に焦がれている様子が可愛くて、幸いあれかしと祈りたくなる。

どのエピソードも素敵ですが、秋の章が一番好きかなー。

 

「春の章 たんぽぽの笑顔」

そそっかしい所のある少女、立岡桜。

自分でも大雑把、ずぼら、だらしないとかいう形容が似合うなんて思ってますし。

机の上に山積みにした教科書を崩してしまった時、近くにいた堤くんが手伝ってくれて。

その時にみた、彼の笑顔が気になるようになった。

「可愛く笑うんだねー」と友人のユキに話して怪訝そうな顔されてるのには笑った。その後、ばったり遭遇した本人にも言ってのけるあたりは凄い。

可愛く笑ってるのは君の方だ、と言われて照れてる場面とか良かったです。どっちも可愛い。

 

「夏の章 ゆめみるおとめ」

クラスメイトの男子、蓮見くん。

彼に告白されて、自分がそれを喜んで受け入れる夢をみた安槻るみ。

夢の影響で、彼に目が行くようになって……様子がおかしいと、蓮見くん自身に気づかれるし、るみの友人である大鳥空乃は面白くなさそうに彼女を見る。

連日、蓮見くんの夢を見るように。場面は都度違い、デートしたり照れたり、惚気たりするような感じで。

いやいや、自分はこんなキャラじゃないだろうと思いながら、夢は進展し……

キスする段に至り、とりあえず蓮見くんの友人、姫野くんに相談する事に。

なんかかんやあって解決しますが、安槻さんが寛大で良かったねー、蓮見くん。

 

「秋の章 ピアスの夕暮れ」

夏の章でも登場した、大鳥空乃。

彼女が所属する美術部の、先輩視点の話。読み返して気付きましたけど、男子視点メインなのこれだけか。一回目楽しんでスラスラ読んでたのであまり意識してなかった。

空乃は、大切な友人である安槻るみに恋人が出来たことに衝撃を受けていて。

彼女に気にしてほしくてピアスまで開けてみた。けれど、最初に気づいたのは先輩で。思わず八つ当たりをしてました。

「口を開かなければ清楚」な空乃。そんな彼女の素を知っているのは、安槻と先輩くらいで。空乃自身もこの二人に対しては遠慮せず物を言うようですけど。

生意気で、面倒な後輩である彼女の事を気がついたら好きになっていた先輩の行動力が凄い。そこで踏み込めるんだ……

その後、空乃がそれまでただの先輩だったのに、名前をつけて呼ぶ場面とか、あぁ、もう好き……お幸せに……

 

「冬の章 白雪姫の探し物」

春の章で登場したユキ、正しくは白雪。お相手は夏の章で出てきた姫野くん。

春の主役だった立岡桜が「恋人ごっこして、好きになった方が負け」というゲームを提案してきて。漫画に影響されてたようですけど。

「最初から負けてるからゲームが成立しない」とユキは桜に返してましたが、大丈夫だと太鼓判を押されて。

放課後に遭遇したときに、そのゲームの話になって。姫野くんが、それに乗っかって来て、なし崩しにゲームがスタート。

他の章では概ね「付き合うまで」が描かれていますが、この章は「恋人ごっこ」から始まるので糖度高めな感じ。……他の章が甘くないわけじゃないですけどね!

作者様の作品絡みのツイートが素敵だったので追記。
もし季節それぞれの子が好きなところを言わないと出られない部屋に入ったらというツリーが「こちら」。
後日談というか裏話は「こちら」。
特に裏話の方では春組の告白がどちらからだったか、とか色々語られていて、素敵なので読了したらぜひ。先輩がチョコ好きだと思ってるからそれを選ぶ空乃とか、そこまでチョコ好きでもないけど分けてくれる空乃が好きだから嬉しそうな先輩とか……もう、凄い。好き。


プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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