気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

藤村由紀

Unnamed Memory Side Story 紅毒の眠る床

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「貴方に、何が出来るというのです?」

「そうだな。隣国からかけられている圧力を撥ね退けることくらいは」

(略)

「ならばそれを証明してみせなさい。殿下から全ての憂いが取り除かれた時……私は貴方の要求に応えましょう」

 

-world memoriae-シリーズの同人誌。
電子版が配信されてるのでそちらで購入。

精霊術師で薬師でもあるヘルジェール。

夜を渡り歩くと言われる薬師で、請われれば病を治す放浪者。

かつて彼女が癒した相手から呼ばれ参上した彼女は、薬ではなく彼女自身を欲しい、という男と引き合わされて。

 

滅亡の危機に瀕している国を救うための取引を持ち掛け、ヘルジェールの身柄を要求した。

ヘルジェールはそこまで言うのなら、証明してみせろと男に告げて。

男――オスカーは、剣の腕を見せて武門の派閥に取り入って。

侵攻する手間の割に得るものが無いと分かれば大人しくなる、という論理は分かるけど狙ってやれる人は少ないと思うぞ……

オスカー自身も「簡単ではない」というもののその後に「出来ないことでもない」と軽く言うんだもんなぁ。

 

-world memoriae-を読んでいると、早々にヘルジェールの秘密については察する事が出来るわけですが。

彼女はかなり不安定な部分があって。オスカーが約定を果たすか見守るため、宮中に滞在している彼女に接触して来る勢力も。

わざわざ爆弾に火気近づけなくても、と思いますけどね。

 

逸脱者である二人。

彼らは決して不滅ではなくて、何度も喪失を繰り返しながら、長い旅をしている。

その喪失の中で、我を忘れて一度は暴走してしまった魔女へ、それでも強く在れというオスカーは、どこまでも王なんだよなぁ。

最後オスカーの差し出した手を、彼女が握ったのが、とても美しくて……同時にどこか残酷だとも感じてしまう。

あぁ、でもこの二人の関係が好きなんだよなぁ。



Fal-raisia3 –world memoriae-

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「あの人を、止めて」

 

Fal-raisia、完結巻。

第四の大陸そこに穿たれた楔の辿った結末の話。

レイシアの狙いを阻止するために、情報収集をしています。

レヴィとユディトは動き始めた軍部を止める為に別行動となって、キーファとミリアムだけ。

リーズの故郷に行って調べるものの振るわず。

 

オマケにそこから離脱しようとしたら軍部に確保されて、キーファは査問を受けることに。

あそこで素直に信じる辺り、まだ甘いなぁ。

でも、そうやって見捨てられない彼だからこそ、継承の片割れに選ばれたんだろう、とも思います。

査問会でキーファから思ったように情報を得られなかった上層部が、自分達から情報を明かしてくれたのには笑った。

 

人の精神は、人が思うよりも、強い。

キーファは人を信じ、一度は折れそうになり……片割れであるミリアムに背を押され、レイシアの前に立った。

人間の意地を押し通して、楔を打破した二人に幸いあれ。

 

そしてレヴィとユディト。

この作品、単体でも楽しめますし、キーファとミリアムの上司である彼らは頼りになる存在ですが。

–world memoriae-シリーズを読んでいると、彼らにもう一つの顔があるという事が分かる、というか。知っているんですよね。

此度の「一目惚れ」の結末が、また痛い。無茶しすぎだよ、レヴィ……と思わずにはいられないですけど。同時に彼らしい、とも思うんですよねぇ。

読み終わった後、作者様のサイトにある「鳥籠の女」読み直してきましたよ。えぇ。

Fal-raisia2 –world memoriae-

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「私たちは、自分たちはいつ死んでも当然と思っています」

砂に汚れた窓から、無限の荒野が見える。

「それでも、好きに思う人を殺して死ぬよりは――守って死ぬ方が、きっと満足ですよ」

 

故郷を滅ぼしたのが軍部だった。

その事実に気付いたけれど、真実を知るために軍部に残ったキーファ。

指揮官で会ったセラと彼女が属していた組織の足取りを追っています。

上官であるレヴィのカードを借りてその権限で情報を探したりもしていましたが、情報の断片しか得られず。

 

施設内で調査をしていたら、捕虜となったテドラの構成員と出くわして。

以前の拠点制圧時の戦いで異能持ち。彼女が捕虜になったとはキーファも知らなかったものの。怪我をしながらも脱走した彼女を放っておけず、手を貸すことにして。

軍部の人間が何を、と警戒されていますけどね。

幼馴染の少女がテドラにいたという事実もあって、ほんの少しでも警戒を解けたというのも大きい。

キーファ、エギューラを使った治癒機構に興味あるって言うのも嘘じゃないのがアレですけどね。

 

後書きによると、制作進行の都合で、今回はあらすじみたいな部分だけでイラストを描いてもらったとか。

……本編を読んで絵師さんどんな反応したんだろうか。表紙のリーズかわいいです。

 

そしてキーファの故郷、滅びたシエズに足を運ぶことに。

レヴィがユディトを確保したりしてたせいで、途中でテドラの関係者に囲まれたりしてましたけど。

無事に辿り着き……消息不明になっていたミリアムを発見。

情報を突き合わせて、キーファとミリアムに力を継がせ、諜報部が探していた「レイシア」の屋敷を探索する事に。

そこでまた多くの断片と気付きを得るわけですが。

諜報部、しつこいなぁ。いや、ひとつの街を滅ぼして、生存者を確保して記憶操作までしてる連中が易々と手を引くはずもないですけどね。

Fal-raisia –world memoriae-

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「俺は、本当のことを知りたい」

 

同じ作者さんの「Unnamed Memory」や「Rotted-S」と世界観を同じくする作品。

まぁ、舞台となる大陸は違うんですが。

先に挙げた二つが船で往来があるくらいには近いこともあって、ある程度似通った部分もあったのに対し、今回は色々と変わってますね。

 

後書きでも書かれていたんですが、他の作品では「魔法」、「魔力」と呼ばれる力がこの大陸ではエギューラと呼ばれていて。

科学技術とかが発展して、それに組み込まれるような形でエギューラを使った武器も作られていました。

そもそも『エギューラ症候群』という病と思われている、いうのも他の大陸と違うんだと強く意識できるポイントで良いですねー。

 

幼い頃に故郷を焼かれ、「軍部」に保護されたキーファ。

この大陸では、国や政府と言った機構が既になく。軍部が力を行く中で、対抗勢力としてテドラという教団が生まれていた。

そして、キーファの故郷を焼いたのはテドラだ、と聞かされて。

保護されてから軍部の中で過ごしてきた彼ですが、ある日、新しく来た上司の指示の下行った他勢力の制圧作戦の中で、幼馴染の面影を持つ少女に出会って。

 

作戦終了時に見失ってしまったものの、その存在は彼に大きく影響を与えて。

つい彼女の事を考えたりもしてました。

そんな折に、テドラの拠点の1つへ攻め込む任務が下された。

意気込んで参加したキーファは……そこで、真実を知る事に。

道中指揮官が一人でツッコんでその間の指揮を任されたり、襲撃を受けて死にかけたり、最後には味方の爆撃に巻き込まれかけたりとかしてましたが、良く生きてるなキーファ……

人が良いからうっかり騒動に巻き込まれて死にそうな気配がある。強く生きて欲しい……

灰の見る夢(Unnamed Memory)

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「後悔しませんね?」

「お前といて後悔したことは一度も」

 

172月刊行の同人誌。

Unnamed Memory』の番外編。

小説家になろうの方にも再録された「奇跡のような嘘を貴方と」(17年夏コミ頒布ペーパー)みたいな、消された試行の断片なんですが。

出会い方が違っても。オスカーとティナーシャが隣り合う、その関係がただ尊いと感じる。

 

ティナーシャ視点で話が進みますが。

ちょっと休憩するつもりで横になった数時間の間に塔を踏破されたら、そりゃ驚くよな……

塔で眠っていた少女をオスカーは魔女と思わず、魔女に囚われている下女か何かと誤解して。彼女を連れて塔を降りることに。

「魔女の怒りを恐れないんですか?」「怒られたらその時謝るさ」

契約者と魔女とは違う距離で、ファルサスで過ごす二人の姿が新鮮でした。

 

そしてヴァルトが現れて、オスカーの事を彼が前に居なくても「王」と呼び続けるその姿をティナーシャに指摘される、という流れが好きです。

「彼は王以外の何物でもないよ」。一体どんな気持ちで、この言葉を口にしたのだろう。

多くの蓄積を経て、都度全てを教えることを諦めた。

それでも行動を止めない彼はかなり手ごわい手合いだと思うんですが……幾度の試行の中では、こうあっさり退けられるパターンもあるんだな……

 

「彼がそう望むなら叶えないという選択肢はない」っていう一文があったんですが。

もうティナーシャ、オスカーの事本当に大切にしてるんだなぁ、というか。彼女にとっての唯一だというのが、よくわかる。

やっぱり『Unnamed Memory』はいいな…と実感しました。

ヴィヴィア・バベルと屍人姫

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「急いでますけど、単に私の論文の締め切りが近いので」

「締め切り」

「論文を準備しつつ、上司の無茶ぶりに応えなきゃいけないのが宮仕えの世知辛さです」

 

確かに死んだはずの婚約者。

彼女の屍が、見覚えのない紋章を焼き付けられた状態で、夜の街を動き、追いかけても捕まえられなかった。

そんな不審かつ不穏な体験をした猟師がはるばるファルサスの王都まで来て陳情をして。

酔っ払いの見間違い、そんな風に思われたのかかるくあしらわれて。

 

まぁ、ファルサスといえば、いつかの時代の王太子が側近一人つれて、方々の怪奇話の現場を訪れていた国ですし。

このぐらいの不審な話はじつはそこらに転がっているのかもしれない……

という冗談はさておき。陳情を全て信じて、一から十まで全力で対処するなんてのは土台無理な話で。調査が必要だ、というのも嘘ではないんでしょうが。

形式通りに処理した後、その様子を見て興味をもったトップが人員を差配してるあたりフットワーク軽いというか、なにしてんの王様……

 

そうして無茶ぶりをされたのが雫――ヴィヴィア・バベルで。

なんというか、強かになったなぁ彼女。宮仕えの世知辛さを語ってましたが、それを味わっているのはファルサス城関係者くらいなのでは……

いや、キスクもワンチャン……? ニケ辺りは振り回されてそうですけど、火種は大体こっちだからな……

子供たち世代――IPの時代に入ると、どっちもどっちな状況になりそうですが。

 

閑話休題。

調査に訪れた街で、サクサク調べ解決していく雫が頼もしい。

色々と知識も増やしているようで、封印資料の類の情報もいくらか把握してました。

……まさか最後にあんなオチがつくとは予想してなかったですけど。この世界、懐広いな、というか。思いもよらぬ引き出しがまだまだあるな……と思いました。

カクヨム版『Unnamed Memory 香りのない花』感想

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「貴方、呪いを解いてもらいに私の塔に来たんじゃなかったでしたっけ……」
「お前に求婚しに行ったんだ」
「過去の改竄はやめなさい。そんなのレグだけで充分です」

カクヨム連載『Unnamed Memory』第112話からスタートした『香りのない花』の感想。
え? カクヨムで描けって? カクヨムのアカウント作ってなくて。ちょっと今新しい事する気力がないので、また後日。

書籍版1巻の後となるエピソード。元はコミティアの原稿ネタだったようですが。休みが合わず余りイベントいけてないので、正直こういう形で読めるのはありがたいですねー。いや、冊子になったらなったで最終的に買ったとは思いますけど。

一人暮らししてると通販で頼むにも中々受け取れなかったり、店舗受け取りにしても、引き取りに行ってる暇がなかったりと、生活習慣に適合してない……という愚痴はさておき感想ですよ。

お妃候補に数えられる令嬢が来訪する事になって「病欠の予定があったかな」と口走るオスカーは何というか流石。
自分の立場とそれに負う責任を自覚しているから、色々言いながらもちゃんと対応はしてますしね。
「結婚しよう」「しないよ!」というやり取りを表現を変えて、言い続けるオスカーもオスカーだし、都度ちゃんと反応するティナーシャもティナーシャというか。
「気晴らしに猫を触りたいからこっち来てくれ」と言われてちゃんとオスカーの近くに行くティナーシャが好きです。

城を訪れた令嬢は、オスカーに近づいて。自分の護衛に間諜がいると告げて。
実際に騒動が起きた上に、禁呪の気配まであったもので、オスカーとティナーシャは彼女に同行して、間諜を彼女につけた叔父の下を訪問する事に。
城での事件で隠蔽工作に加担して、それを即座に見抜かれたラザルは哀れというか。いつもいつもお疲れ様です……

魔女に鍛えられた結果、塔を魔女の予想以上で登ってくるオスカーはもう本当に能力高すぎて怖い。
塔絡みのエピソードだと作者様のサイト「no-seen flower」の100題に挑戦「58.神秘なる塔」が笑えて好きです。ついに仕掛けを自作する辺りとか。

敵地に踏み込んで、ティナーシャが対策の為にオスカーに術をかけて。
色々と無防備すぎて、オスカーは本当によく自省できてるものです。
王剣の使い手と魔女が赴いて解決できない事はほとんどないと思いますが。
それでも、魔女の守護を超えて攻撃が出来る相手が居たのには驚きました。
守護を突破した方法も予想外でした。
「悔しいです」と率直に言っていた魔女は、今回の件を活かして結界の改良したりしてると、負けず嫌いな部分が光って美味しいですけど。
王の隣で魔女が笑っている、とても幸せな一幕でした。

紅き唇の語りし夜は 月の白さを知りてまどろむ

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「巫に贈るものだ。きちんとしておきたい」

(略)

彼女の為に捧げるのだ。全てに変わらない想いと、真っ当な筋がなければ。

 

『月の白さは知りてまどろむ』という作品の短編ですねー。

WEB本編は一度第五章で完結となり、後日談となる六章以降が連載されてるんですよね。

小説家になろうとカクヨムで掲載されていて、カクヨムの方に八章が途中まで乗ってます。気長に続きを待っている。

シシュとサァリの物語の続きが読めるというだけで、もう、本当に幸せなのですよ。

 

さておき、この同人誌『赤き唇の~』は第五章前に起きた事件を描いています。

シシュとサァリの関係が近づいて、けれどまだその道が重なっていない。この不器用な二人の交流が見ていて微笑ましい。

戦闘力とか言う単位で見ると、どっちも常人離れしてるんですが。

それを気儘に振るうのを良しとせず、けれど使うべき時には躊躇わない。その在り方が、美しいと思う。

 

この短編だけでも、本当にお互いがお互いを大切に思っていて。

アイリーデの人々に、シシュが客として選ばれるんだろうなというのがよくわかる。

シシュが贈り物をしようとして真っ先にサァリが候補に挙がるあたりで、明らかですけど。

「将を射んとする者はまず馬を射よ」とか「外堀を埋める」のように、目的を達成するためにまっすぐ行くのではなく、周辺から問題を片付けろという言い回しがありますが。

……この二人「相手を大切にしたい」という大目的を既に達成しているし、サァリなんて「シシュのそういうところが好きなの」とか言うのに、その手前にある問題で立ち止まってるからな……

 

好きな雰囲気で全体まとまっているんですが……特に気に入ったエピソードは、シシュが菓子屋出禁になってた所ですかね。

あの不器用さがシシュらしい。一応出禁解除の条件もはっきりしていたので、それを為した後、きっと彼は土産に買っていったんだろうなと思うと、なんかほっこりする。

 

最近『Unnamed Memory』ばかり推してましたが、『月の白さを知りてまどろむ』も好きです。WEB版で良いからみんな読もう……。

(23年4月追記)
DREノベルスより刊行されている『月の白さを知りてまどろむ』の電子書籍版の特典として付属することとなってます。今から読みたい人には電子版月白、オススメです。

Babel2 剣の王と崩れゆく言葉

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「俺の負けと?」

「ええ。私の勝ちです」

「それで死んでもか?」

「私が死んでも」

 

カンデラを脱出した雫たちですが……

城に満ちていた禁呪の瘴気の影響で、転移陣が汚染されて座標指定が狂っていたとか。

ファルサスを通り越して、大陸の西側まで飛んでしまって。

……まぁ、それ以上ずれてたら海の真ん中とかになっていたので、陸地に富んだ分だけ運が良かったとみるべきですが。

 

辿り着いた先で、死んでいるのに動く……ゾンビ状態の馬と遭遇したり、変わった少女とその保護者と遭遇したりもしていましたが。

WEBで別作品読んでいるとこの辺りで既にニヤニヤ出来ると言いますか、不思議な二人組のイラストつかなかったのは少し残念だなぁ、とか思ったりしました。

 

縁があって、なんとかファルサスまでたどり着き……エリクの伝手とかも使い王と謁見することも叶いましたが。

王は雫の事情を聴くと、「務め」として排除しようとして。彼女は一度はその場を逃れますが……

 

その後、自分で王の前に立つんですよね。王を呼びつけて、矜持を以て、彼に傷をつけようとした。

雫の怖い所はここですよね。怖いと思いながら、悔しいと思いながら、それでも目を逸らさずに、行動することが出来る。

彼女自身の譲れぬ誇りが確かに合って、だからこそ、彼女は今もこの世界を生き抜いている。

 

「理性を持たない人間は動物か?」

「自ら理性を退けるなら。少なくとも、人ではありませんね」

とか、言えてしまうあたり彼女もスペック高いというか。この彼女を埋もれさせる姉と妹とは一体……

エリクと一緒に行動していた積み重ねも影響しているとは思いますがね。

 

そして彼女は、この世界に来た時のように、色々と事件に巻き込まれていって。

ファルサスですら事件の渦中に居ようとは。それで生き残ってるんだから彼女もタフだよなぁ。

この世界に広がっている言語障害の話が最後出てきて、「思い違い」にエリクも雫も驚きを隠せない様子でしたが……

ここで他の勢力が動いて、雫拉致するんだから、彼女も大変だ……

後書きで次はいつ頃刊行できるか分からないとありますが、単に作業のペースの問題ならいいですが、打ち切りとかになるととても悲しいんですが……ぜひ完結まで続いてほしいものです。

 

Babel world -memoriae- ACT3~幕間

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「そうなんですけど。でも逃げても取り返しがつかない、なくしてしまって、きっと一生それを後悔するだろうって……そういう時があるんです」
(略)
 あるかないか分からない可能性に賭けて逃げ出したとしても、その可能性を得られるのか分からない。たとえ得られたとしても、失ったものを取り戻せるかは分からないのだ。
 そして、取り戻せても、きっとそれはもう失う前と同じものではないのだろう。
 だから退かない。
 人の本質は精神に在り、その尊厳は容易く踏みにじられるものではないと示す為に。

バベルの3章感想ー。
書きたいことが多くて、まとめて感想書くと大変だから、章ごとにしてみたんですが……
今度は他の感想書くのに追われて、なんかどんどん先延ばしにしてしまったというなんとも言えない感じに。 

現代大学生の雫は、突然異世界に放り出されてしまって。
たまたま出会った魔術師と一緒に帰る方法を探して魔法王国まで行ったのが2章までの話。
で、最後の最後に、他国のスパイが接触してきて雫を拉致るんですよね。
全く持って面倒な話というかなんというか。
「異世界の人間」っていう稀少価値を存分に使っていますが。

生体言語という、「生まれ持った言語」があるとする常識。
それは魔法がある以上にこの世界が異質であると見えるわけですが。
雫としては当然に思える、「言葉は覚えるものだ」という認識がこの世界にはなくて。
異常自体と判断され、解決の為に様々な実験が行われて、犠牲になった子供も出ているわけで。
優しい彼女がそれを見過ごせるはずがなく。
無鉄砲で、いっつも無茶ばっかりしているので、見てるとすごくハラハラしますね。
それでも、失敗だって重ねながらも、王族に気に入られたり、痛い目見ても自分を曲げない強さがあるあたりは結構好感持てますよ。

しかしまぁ、王族っていうのはどいつもこいつも。
歪んでいるというか、歴史がある分闇が深いというか。
最初の方のヒステリックな姫はあまり好きになれませんが、途中から、雫が信を置くに足るだけの器量を見せてくれて。
それで過去の行い全てが消えるわけではないですけれど、先のために、地位にふさわしいだけの行動をしてみせたのだと証明されたのは、いいことでしょう。
最も、今後が大変そうなのは……まぁ、ファルサスが近くにある以上しかたのないことか。
幕間にある章のまとめが、割と笑える。空気読まないファルサス王とか。
なんか毎回のように最後ピンチに陥っていた気がしますが、今回はとりあえず、無事に解決したようで何よりです。
国同士の交渉でちょっとバチバチなっていたのは……マシな部類でしょう。 
プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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