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「サラ、お前がグランチェスターを名乗るのであれば覚えておきなさい。領主一族は領民を守るために存在する。飢えや外敵から彼らを守ることは我らの義務なのだ。なればこそ領民が納めた血税を横領した者らの所業を決して許してはならない」

 

商人の母と貴族の父の下に生まれた少女、サラ。

両親は駆け落ちしたためそれぞれの実家との縁は切れていたようですけども。父が事故で亡くなり、その後に母も病に倒れたことで、母の最期の手紙を受け取った父方の実家に引き取られることに。

しかしそこで子どもたちから「平民風情」といじめられ、池に落ちたところ見捨てられ死にそうになり……前世の記憶を取り戻し、魔法の力にも覚醒。

 

母の手紙を受け取った祖父はサラを庇護してくれているが、グランチェスターの家に入れて貴族として遇してくれたわけではない。祖父の死後、自分の立場がどうなるかは明るい展望がない。

ただ前世の記憶を取り戻したうえでみると、貴族令嬢としての生活水準は整っていて……トイレや風呂とかが無いのは、まぁ実際辛いだろうなというところではあります。

作中世界、男尊女卑というか女性にはアカデミーに通うことが認められていなかったり、いくつかの職業に就けなかったり制限が多い状況でもありましたし。

 

彼女はひとまずいずれ裕福な平民になろう、そのために必要な知識を身に着けようと決意することに。

そして祖父に直訴して、まずいじめっ子たちから離れるべく王都の屋敷ではなく、グランチェスターの領地に行くことの許可をもらって。そこで家庭教師をつけてもらって自己研鑽に励もうとしたわけですが。

 

……少し前に起きた横領の影響や、書式が統一されていない問題などもあって、そこでは大量の仕事が積みあがっていた。

それを放置できずにサラは元キャリアウーマンとしてのスペックを存分に発揮して、仕事をさばいていくことに。前世でも今世でも労働を経験した女性であったサラは、メイドたちにサポートを頼める部分は頼みましょう! とバリバリ改革を進めていくことに。

 

そこで自身のスペックを認めさせて、少しずつ自分のできる事を増やしていく話。自身が8歳の少女なので、この世界では認められてこなかった「女性の実力のある職人」を引き込んでいくの良いですね……。

「商人令嬢はお金の力で無双する」というタイトルですけど、1巻時点では状況説明とまだ足場固めみたいな感じで、言うほどお金で無双してないですけど物語が広がっていきそうな面白そうなネタは仕込まれているので、続きは読んでみたいかな。