「すべて自分で選んだことです。俺はお連お責任で、義務を放棄して出涸らし皇子と呼ばれた。それは誰のせいでもありません。そして今回、前線に出るのも俺が選んだことです。義務を感じたからこそ、レオは選んだ。ですが、俺が煽情に向かうのは帝国のためではない。家族と近しい人たちのためです。俺は――家族や近しい人が最後に謝る未来は見たくない」
北部諸侯の連合軍が早々に敗れ、レオ達の立てこもった城も敵に包囲されつつある。
皇帝としては信頼できる人物を応援として出したいが、先だって騒動が起きた状況であることから、会議は停滞していたようですが。
アルがいま覚醒したという体裁で助けに行くことを名乗り出て。それが認められてアルもまた北部を訪れることに。
三年前に皇太子が北部国境で死んだことから北部諸侯は冷遇されていて、皇族相手にも思う所がある。そんな地域だそうですが。
出涸らし皇子と言われる自分だからこそ出来ることがあるだろう、と主張して北部連合諸侯軍を作ろうと足掻くことに。
レオがいるからには、アルもいつかは出てくるだろうと警戒を続けている竜王子が敵としては厄介過ぎるなぁ……。
アルはレオ用の支援武器として魔導戦杖を携えて行ったわけですが、北部領地でくすぶっていた人材ノーヴァという竜とその相棒フィンを見出し、武器を貸与することにしたりして。フィンが実際戦場で活躍してくれてるので、なんだかんだそういう皇子出来るんですよね、アル。
フィン達と連れてきた戦力で、ひとまずレオ達への支援を完遂して。
その直後からアルは北部諸侯への根回しをしようと、唯一出涸らし皇子である自分をほめてくれた恩義ある人物へ会いに行っていたわけですが。
老齢だったこともあれど、心労も影響してかまさに亡くなってしまい葬儀が行われている場面に出くわすことになって。別口の騒動も起きていて、そういう意味ではギリギリ間に合ったとも言えますが……。
「あなたの助言が欲しかった」と素直に涙を流すアルは、結構珍しい表情見れて良かったですね。
皇子として知られると、北部貴族との隔意が壁になってしまうと傭兵シュワルツという偽名を使って、恩人の孫娘シャルロッテとの交流も始めてました。
割と早い段階で皇子バレして、その上で北部をまとめるための協力者になれたのは良かったですねぇ。彼女のもう一人の祖父、北部の重鎮ローエンシュタイン公爵の説得に2人で一緒に赴くの良いシーンだった。
強かな老公爵を、説得してのけたのはお見事。失われる命について互いに理解していたからこそ、という一面もありましたが……それでも、必要な材料がなければ公爵は肯かなかったでしょうしね……。