「――傷ついたり、傷つけたりする覚悟はできた?」
「……ああ」
『三角の距離は限りないゼロ』と同じ学校が舞台なんですねー。
『三角』の2巻で登場した、柊時子と細尾晃がメイン。
細尾と幼馴染という事で広尾と須藤も登場してます。
これ読んでから2巻読んでたら、更に楽しかっただろうなぁ。
他の作品とリンクする描写とか、結構好きなんですよ。
『十四歳』という小説に惚れ込んで、読みこんでいた細尾。
高校に入学して、最初のホームルーム。早く帰りたいな、と思いながらクラスメイトの自己紹介を眺めていた。
そんな彼の、出席番号が一つ前の少女。彼女は『十四歳』に登場するヒロイン、トキコにそっくりで。
少し接点が出来て聞いたところによれば、彼女の姉が本の作者で、ヒロインのトキコは彼女をモデルにしているとか。
それがきっかけで交流が始まって……少しずつ距離は近づいていく。
けれど、「トキコ」と「時子」は似ているけれど、どうしても違う所がある。
人一人を一冊の本で描き切るのは困難ですし、そもそも人は年を重ね、変化してくわけで。
ズレが重なり、違和感を覚えるようになって……一度は、距離を取ったりもした。
それでも側に居てくれる友人がいる、というのは宝だと思いますねぇ。良い青春モノでした。