気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

諏訪真弘

凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ4

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「人生はクソだ。何1つ思い通りになりゃしねえ……だが、それでも俺は、俺達は、戦うことを選んだ、そう、選んだんだ! 諦めるでもなく、受け入れるでもなく、戦うことを!」

 

致命傷を負ってしまった味山只人。

しかし耳の部位保持者であったことが幸いして、復活することに成功。部位保持者になること自体は災いみたいなものですから、不幸中の幸いというべきかどうか。

……まぁでも実際、あそこで味山が復活して、暴れまわってなかったら彼の友人たちやバベル島そのものが悲惨な結末を迎えることになったでしょうし、幸運を拾ってはいるのか。

ただし、その幸いはハッピーエンドを約束してくれるものではなくて。

 

ひとまず致命傷はふさがって、それ以降も制限なく使えていましたが、使うたびに「耳」に近づいてしまうという呪いのような制約もあって。

味山はまぁ、「怪物のような力であろうと、指定探索者だってある意味怪物ぞろいだし、俺は人間だ」とその力を受け入れて謳歌していましたが。

 

脳みそが派遣してきた肉人形や坂田による襲撃、耳が齎す「TIPS」や……恐らくは2週目特典として与えられたであろう、バッドエンドの分岐の数々。

それによって、復活した直後に足を止めることになってしまったわけです。

TIPSが提案するAルート、Bルート。どちらを選んでも被害甚大、大切な誰かが死ぬ。

いつか選んだような第三の選択肢は、味山只人には与えられない。

 

「耳」はさらに踏み込んで凡人探索者である彼の抱えている欠陥をあげつらっていくわけですけども。本当の意味で変わらない部分があるとしても、悲しいのもまた真実だから。

進んで喪う選択はしない。

……だからこそ。別の道を模索する。味山只人に与えられないのであれば……部位保持者としてより踏み込んで、彼は「プランC」を掴みとったわけです。

 

耳の化身と同じような変身を遂げてなお、人の意志を残した特殊なスタイルになってバベル島と西に東に大暴れ。

起きるはずだった悲劇のいくつかを踏み越えて、生き残るために多くを救っていった彼は、作中では「酔っていた」みたいな扱いをされていますが、かなり熱い演説をしてくれるわけです。

いやはや、これまでもその片鱗を見て来たつもりではありましたが、なるほど綺崎凛やアレタはこれに焼かれてしまったわけか。そりゃかなわんわ。

いや、実に主人公していたと思いますよ。挿絵が「耳」に汚染されてましたけど。濃すぎ。

指定探索者ですら心折れそうになる戦場で、彼女達を助け、「説得判定」へのチャレンジをした結果、なんか口説き落としたみたいな形になってるし。そのうち刺されるぞ。……刺されてたわ。坂田にだけど。

 

あと本編にそこまで関係ないトークですけど、朝顔・夕顔姉妹と思われる挿絵があったんですけど、めっちゃ可愛くなかったですか。キャラ造形めっちゃ好み。

……その挿絵が挟まっていた雨桐さんの過去エピソードはアレでしたけど。抱え込んでんな、闇を。王さん、めっちゃいいキャラしてて格好良かったですけども。

凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ3

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「……味山さま、なぜアレタ・アシュフィールドや、貴崎凛。綺羅星のように輝く彼女達が貴方に執着し、時に魔道のか、お分かりですか?」

(略)

「貴方が、他人を必要としない人間だからです」

 

プロローグが、探索者組合がダンジョンでの配信を解禁したことを受けて、アルファチームも配信を行うことにして。

怪物種の中では珍しい食事を怪物種のみに絞っている蛇・マザーグースを、別の怪物種オウサマガエルから守る、という一風変わった任務で。

 

味山がカメラ役なこともあって、アレタが普段と違う表情を見せることにコメントで愉快な反応がついていたのは笑えた。怪物種に飲み込まれて腹の中で暴れて脱出できる探索者がどれくらいいるというのか。

後のシーンでとある人物が、遺物を使って味山の情報を抜き出そうとしてましたが、そこでも「凡人」認定されていましたが。凡人とは……?

技能認定が能力の上限が定まっている、と記されていてそういう分け方であれば確かに彼は「超人」ならざる「凡人」なんでしょうけど。

 

雨霧さんの分析のように、味山の非凡なところな単純なスペックに現れない精神性だとかに現れていますよね……。

神秘を食べる度に夢の世界で元となった神秘の残滓と会話したりすることになってますが。初対面なら初対面なりの挨拶がある、と仕切り直し入れたりしてるの彼なりの哲学何でしょうけど、切り替えがハッキリしすぎてていっそ怖い。

 

味山、男連中とバカ騒ぎしたり綺麗な女性に鼻の下伸ばしたり、割と年頃の男っぽい顔もありますけど。戦闘時とか覚悟決まった時の彼は、また違う顔みせてくれるんですよねぇ。そういう所が良いと思っていますが、とは言え最後の挿絵はちょっと予想外の顔すぎるんだよなぁ。

耳の部位保持者である彼に目を付けた別の部位保持者が動き始めて。途中、衝撃的なページが挟まって、非日常へと踏み出すことになりましたが……それにしたって、大騒ぎ過ぎてこの後の展開が読めません。4巻の発売も決定したようですし、続きを楽しみにしてます。


凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ2

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TIPS€ お前は耳と同じだ。お前の人生にも、お前の命にも、なんの価値もない。お前は空っぽで、乾いていて、他人と本当の意味で心を交わす事もない。お前は1人きりで生きて、1人で死ぬ

 

「やかましい。――それでも続けるのが人生だ」

 

あめりやでの縁もあって、雨霧さんとの付き合い続いているのいいですねー。

……他国の工作員っぽくて情報収集って側面もあるんでしょうけど。彼女、個人的にも気になっているところも多分にありそうですし。アレタも相変わらずバチバチしてるし。

他人事だから微笑ましいなぁって気分になるけど、絶対に近づきたくない。なんなら女将さんの「こいつら趣味悪ゥ」って方が共感できる。

味山さん己を貫き通すタイプで、相手の善悪や力関係とかで態度変えないから、孤高になりがちな強者たちに特効入るんでしょうねぇ。

 

休暇を満喫していた味山はアレタに呼び出され、チームでとある仕事を受けることに。

それは、未登録の遺物所持疑惑のあった上級探索者トオヤマナルヒトの探索任務。

いやぁダンワルからしば犬部隊先生の作品に触れた身なので、ここで繋がりがハッキリ見えるの良いですねー。

ダンワルコミカライズ1巻でも調査報告書あげてる描き下ろしあったしな……。

彼らのアルファチームが本来なら受けるはずだった依頼があって、けれど1巻の騒動があったために仕事を減らした時期があった。トオヤマナルヒトは、それを代わりに振られた人物であり、そこで消息不明となった。

 

それに責任を感じてアレタが一人で依頼を受けようとしていたのは、英雄思考っぽかったけど、チームメンバーが彼女を一人にしない選択をしたの良かったですね。

昨今ダンジョン内で異変が生じがちなことと、場合によってはトオヤマナルヒトの遺物を回収できるかもしれないということで、各国が戦力を派遣する争奪戦のような形式になっていました。

味山のことを良く思っていない軍人だったり他の探索者たちからの横槍が入ってきたりもしてましたが。アルファチームは味山の事を信用していくれていたり、耳の力も駆使して実際に有用な情報提供をして、少しずつ評価を挙げていたのは良かったですね。

 

耳の異能を得た味山は、ヒントを得るその力を駆使して「神秘」を取り込んでいったりしていたわけですが。

水中活動技能を得られるキュウセンボウは1巻で得てましたが。今回の対象となったのが「鬼裂」という存在で……それは現代では名を変えて貴崎となっていた。つまりは、味山が以前所属していたチームであり、今も彼に関心がある後輩の少女の実家だったわけで。

そんな彼女と交流することで、確かな取っ掛かりを得ていましたけど。キュウセンボウほど素直じゃないというか。向こうから逆に試されていたの、怖すぎるな。

「お前が本当に味山只人であるかを試している」って、だって鬼裂側が「味山」という存在を把握して、その物差しを持っていないと測れないじゃん……。

 

4話の終盤に流れていたヤバいニュースだったり。1巻のプロローグみたいに、間に挟まっていた不穏さを感じる、推定:未来の味山の戦闘シーンといい、味山だけでも厄ネタの宝庫っぽいんだよなぁ。どうなっていくんだろう。

彼はあくまで「耳の耳糞を与えられた」……つまりは、耳そのものというか、その一部だけを持っている人間に過ぎないんですよね。

多くの被害を出したという耳の怪物が今回ついに登場したわけですが、いや本当に厄介過ぎましたね。耳の怪物単体でもおっかなくて、指定探索者であろうと犠牲になりえる強さだって言うのに、それを恐れた怪物種が常ならぬ行動をとったせいでより被害が甚大になっていて、白旗上げたくなるくらいでしたね……。

 

ヒントを聞ける味山は、他のメンバーよりも少しだけ適した行動をとりやすい状態になっていましたが。追い詰められた状況下で彼に与えられた2つの選択肢は、仲間の誰を殺して誰を救うのかの選択を強いるものだった。

その上で、別の可能性を模索してより危険な戦いに身を投じた味山、凡人と言いつつ光るものも持っていて、格好いい主人公だと思いましたね。ヤバさもマシマシでしたけど。



凡人探索者のたのしい現代ダンジョンライフ1

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「――これは、予感よ、ソフィ。彼はそのうちすごい探索者になる。誰もが凡人ってさげすむ彼はそのうちきっと、星すらも超える探索者に。痛快でしょ?」

 

ダンジョン「バベルの大穴」が現れた現代世界。

そこで探索者として活動している味山只人は、指定探索者の中でも52番目の星と呼ばれる女性アレタの補佐役についているものの、当人には才能の輝きがない……タイトルにある「凡人探索者」であった。

 

最も、彼は少し前の探索で「耳の怪物」と戦って生き残った折に、特異な力を得たことで国の組織から注目を集める対象になっていた。

アレタの補佐であり、彼女から期待されている上に彼女自身も惹かれてる気配がなければ、即座に実験対象にされていた可能性がある危険な立ち位置でもありましたが。

でも味山が特異体質を得たの、「全世界同時に起きた記憶障害」の時期みたいで、それって1か月前なんですよね。味山、それ以前から探索者していたみたいですし……。

なんならその力を得たタイミングであろう「耳の怪物」との戦闘中ですら、アレタに対して「これは俺の探索だ」と言ってしまえる、尖ったメンタルを保持してる人物だったわけですが。

 

味山が得たのは耳の力。「ヒントを聞くことのできる」結構便利な能力ですけど、「それはお前の10倍は強い」とかそれじゃねーんだよ! みたいな情報もチラホラ出てくる、ユーザーフレンドリーではない設計ではありますが。

結局は扱い方次第で、重要なヒントくれることもあるので、そういう意味では味山はかなり上手く「耳」と付き合ってる感じはしましたね。

ちょっと耳が良くて、制限付きながらブーストも出来るけれど、あくまで素のスペックとしては凡人探索者に過ぎない。それでも、やりたいことがハッキリしているタイプというか、追い込まれたときに我を通そうとする在り方は見ていて楽しいので好きです。

あとルーチンなのか、戦闘時に端末に対して「味山只人の戦闘記録~」って定型の宣言をしてから戦いに望むの、地味ながら好きな描写ですね。

 

アレタが味山のこと結構気に入っていて、同じように粉かけようとする女性陣相手に毎回威嚇しに来てるの、飼い主を取られまいと威嚇するペットみたいな味があって可愛いと思います。

そこまでするなら早く付き合えば? とか思いますけど。あと、味山に惹かれてる女性陣誰も彼も個性が強いので、そのうち彼刺されると思います。刺されてもなんだかんだ生き延びそうだけど。

そもそもその威嚇しに来てるペット、国相手に脅しをかけて相手の譲歩を引き出せるくらいの爆弾を抱えた指定探索者という、この世界におけるトップランカー、なんなら怪物寄りの存在なんだけど。

 

この作者さんの作品、ダンワルこと『現代ダンジョンライフの続きは異世界オープンワールドで!』から読んでいて、繋がりを感じる部分もありましたね。

ダンジョンと探索者という設定とか、人知竜っていう単語が登場したりだとか。

この作品の気になるポイントとしては、プロローグがめっっちゃ不穏な気配しか感じないところですかねぇ。

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