気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

転生してハイエルフになりましたがスローライフは120年で飽きました

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『そうですか。ええ、貴方は、私が見てきたハイエルフの中でも、とびきりの、一番の変わり者でした。そして共に過ごして一番楽しいハイエルフでした。ですから、もしも剣となった貴方を持った誰かが私の前に現れたなら、私はこの背に乗ることを許すでしょう』

 

シリーズ完結巻。

まさかの冒頭の章から、長くかかわってきたルードリア王国が滅亡したという話から始まるのは驚きましたねぇ……。

ヨソギ流の本家が貴族として迎え入れた時のように、新興貴族の武家が増えていく中で旧来の貴族との間で溝が深まり、最終的に破裂して群雄割拠の時代になった、と。

 

ヨソギ本家も小国を建てて、そのためにヨソギ一門へ波及する流れが出来ていたり。だからこそ、名を捨てる決断をする者も出てくるなど、いろんな決断がありますわな。

懐かしのヴィストコートは、プルハ大樹海の傍らにあるために戦力が整っていたことと、下手にそこを削ると魔物被害が広がる可能性があるために、ひとまずは無事だったようで安心した部分も無くはないですが。

 

色々と変わってくる中で、エルフのキャラバンについても問題になって。

黄古帝国で、金に詳しいとされる長蛇公。かの御仁がキャラバンとの取引枠の縮小を提言してきたことで、今の代表がエイサーへ会談への同行を頼んでくることになって。

それもまた、かつてエイサーがシヨウの国で感じたエルフの農業のように、長命種が力を持ちすぎる事への懸念があって、なかなか興味深い御仁だと思いましたね。

仙人の素養を認められたソレイユが、健やかに育っている様子が見られたのも良かった。

 

エイサーは彼が世話になった人々の記録を残すべく、石工の技を学び彫像を作っていましたが。その技術を教えてくれたマイオス先生の実家、マルマロス伯爵家が没落し家財を手放す、なんて話も聞こえてきて。

元々マルマロス領があったシグレアという国が亡くなり、別の国の所属となり立場も変わりつつも、マイオス先生の言い伝えを残し続けたのは、長命ならぬ人間の家としてはかなり凄いことをやったのでは。

 

エピローグで、森を出てから知り合ったエルフ、アイレナとの別れを描き。さらにはそこから、エイサー自身のハイエルフとしての終わりをも描いて。

最後まで彼は彼らしかった、というか。精霊として生まれ変わってからも、風の精霊とかではなく、鉱物に宿る精霊となって剣にしてもらおうか、なんて思いながらハイエルフとしての生を終えて行ったの、あまりにエイサー過ぎてちょっと笑っちゃった。

そして「後日譚 あるかもしれない未来」で、実際に剣となった彼の姿を見られたのは良かったですね。……なんか世界すごいことになってましたけども。

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「ボクがこの子を預けたいのは、怒り狂ったエイサーじゃなくて、ボクを誰よりも幸せにしてくれたエイサーだ」

 

表紙にも登場している通り、久しぶりに黄金竜が登場。

……それどころか、南方の大陸に眠る古の種族である黒檀竜が目覚め、大陸一つを焼き滅ぼしたという話まで出て来て。

同胞に終焉を齎すべく北の大陸も燃やすべき、と黒檀竜は訴えたようですけど。エイサーと交流していた黄金竜は、エイサーの意見も聞きに来てくれて。

もし黄金竜が躊躇わず北の大陸を焼こうとしたら、戦う心づもりで話し合いに臨んだエイサーは覚悟決まってましたね。

 

南野大陸のハイエルフと、それに力を貸す南方大陸のハイエルフ由来の精霊。

そんなコンビネーションに驚かされたときに、彼の故郷の長老たちや旅路で触れあった精霊たちが助力しに来てくれたのは熱かったですねぇ。

宿る環境から動かない精霊だが、それは「動けない」わけではない。少し無理する必要はあるというけれど、来てくれたのは本当に良かった。

そうやって世界の滅びを回避し、だからこそ南方大陸の再生についても手を貸すことになっていたのは……まぁ、責任というかなんというか。彼らしくはありますね。

 

しれっと書かれていましたが、草草原を統一した大部族が黄古帝国に攻め込み、決戦の果てに撃退されたとか。

それが「風と炎を崇めるバルム族」だっていうんだから、エイサーの出会ったツェレンとジュヤルが上手くやって一族を大きくしたんでしょうし……その結果として、大きな争いに繋がったのは物悲しいものがある。

 

西武での動乱を終えたウィンは、トップが絶対的な権力を握る帝政を取ってサバル帝国を建国。ハーフエルフである彼は、血を残すことが難しいだろうという事情もあって。

ある程度余裕がある時期で地位を譲り、後見に経って国を纏めようとしていましたが。その際に、エイサーの協力を仰ぎたいと手紙で伝えて来たわけですが。

わざわざエイサーを呼び出した裏には、当然別の思惑もあって。それが、人間の妃との間に生まれたが権力争いの中で母の命を奪われた、幼い赤子を守ることで。

……戦いの中に身を置いて、多くを失ってきたウィンでしたが、それでも幼少期にエイサーに導かれたことが、彼の光になっていたのは本当に良かったですね。

そうやって託された少女、ソレイユがエイサーとアイレナを父母として、とても純真な良い子に育ったのは何よりでした。思わぬ才能を見出されたりもしてましたけど。

 

あと、今回印象的だったのはやはり番外編の「クソエルフの友」でしょう。

ドワーフの王となったアズヴァルド視点。長年の友エイサーと最期の別れをした後の、彼の心境について。エイサーとの交友が自身の誇りであったり、最期まで友でありたかったからこそ、自分の死をエイサーに看取らせるのではなく、意地を張って最後まで倒れずにエイサーを見送ることを選んだ彼の在り方が、好きでした。


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「やりたい事をやるだけで、皆が少しでもお楽しくて幸せになるなら、僕はそれを嬉しく思うよ。あれこれふんぞり返って指図だけするよりも、ずっと楽しいからね。そこまでって言われる程の事は、してないかな」

 

森に生きて、多くがそのまま森で死ぬエルフ。

しかし精霊の助けを借りられて、さらには長く生きるエルフがその気になれば、かなりの脅威になるというコトをエイサーの助力によって変化していったエルフの国で実感することになりました。

 

この地のエルフは、人間とのかかわりが以前からあり……農業に関わる変わり者エルフとして知られていたテューレが、食糧問題解決の助けになってくれたわけですが。

森の恵みで賄える範囲でしか営みを増やしてこなかったエルフが、土地を得て本気で農業をやったらその長寿もあって大陸からエルフ以外を駆逐できる可能性をエイサーは感じ取ってましたが。

テューレが踏みとどまる選択を取れる人で良かった。賢さからの判断かと思ったら、番外編の「テューレの独白、征服と支配」でちょっと違った内面が知れて、驚きましたが曲者エルフって感じがして良かった。

 

そうやってエルフの国に助力した後、養い子ウィンの下を訪れたエイサー。

人間至上主義の宗教と戦い続けて来た亜人達の連合軍ですが、聖地を奪ったものの教主には逃げられた。さらに、教主は邪仙だという話まであって。

ウィンには「このタイミングの悪さも、エイサーらしい」なんて言われてましたが。見た目だけなら自分より年上に見えるようになってしまっても、自分の養い子だから、としっかり助力していったのは彼らしかったですね。

 

そうして騒動が決着した彼を、成長した不死なる鳥のヒイロが迎えに来て。

この世界における終焉についての話とかも効くことになったりしてましたが。エイサーが森に帰った時にあったサリックスも言ってましたが、森を出たことで逆に世界の真実について詳しくなっていってるの、ちょっと面白いな。

ヒイロの成長もあって、ついに巨人との対面も果たしてましたしね。アイレナと約束した白の湖についても辿り着いていて、実に長い旅だったなぁ……と思いましたが。ハイエルフのエイサーが居なければたどり着けなかった場所ではあるけれど、まだまだ旅の途中でもあるんですよねぇ……。



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「伯爵様は、もう貴方に教える事は何もないから、今すぐにでも町から立ち去るようにとの仰せです」

(略)

「うん、わかったよ。だけど一つだけ先生に伝えて欲しい。『全てが解決したら、また何時かお会いしましょう』って」

 

大陸東部の旅を終え、カエハの墓参りを済ませたエイサー。

彼の事を知るシズキやソウハはまだ存命でしたが、当然結婚していましたし……シズキも既に歳を重ねて先代当主になったりしているだけの時間が過ぎていたわけですが。

彼らの子供達も既に十歳以上の子供ばかりであり……突如現れたハイエルフに不審げな眼差しを向けてきたりもしてましたが。

シズキは「エイサーは父のような人だが、気に食わなければどんな形でも挑んで確かめればよい。この人は客人ではなく家族だ」というようなことを伝えているの、エイサーをよく理解している感。

 

扶桑の国で刀の作り方を学んできて、それをドワーフの王となったアズヴァルドへ伝えていたりエイサー、相変わらず手広く活動していましたが。

断章の「王座にて」で、過去のドワーフの王ですら刀は再現できず慟哭したという逸話が語られていて、エイサー絶対そこまで考えてないけど、影響を与える範囲が広いというかなんというか。

母には反対されたというけれど、シズキがエイサーをヨソギ流の相談役としてなって欲しいと言ってきたり。曾孫たちと交流する中で、エイサーに色々な影響を受けて自分の道を決める子が出てきたり。

エイサーに懐いたアイハが成長した後の番外編「初恋の終わり」とか、結構好きですね。

 

その後、エイサーは深い森に入ってハイエルフの長老にあったり、不死なる鳥についても知ることが出来たり。ハイエルフの魂の在り方についても、説明を貰ったりと色々と世界の真実についての理解も深まるエピソードが多かったです。

旅を再開したエイサーは、これまでの旅路で出会った人の記録を残したいと今度は彫刻の技術まで学ぼうとしたり。その中で、職人的な顔を持つ貴族の人と愉快な交流をしていましたが。権力闘争の余波で、望まぬ別れを迎えたエイサーがそれでも手を打って去っていったのが彼らしくて好き。

ウィンに合うべく西へと旅しているエイサーですが、人間至上主義の宗教が広まっており、色々と居心地の悪い地域ではあったわけですが。

トラブルに見舞われても彼個人だったら問題なく超えられますが。エルフが森を出て国を得たなんて話を聞いていってみたら、不足している部分が多く……かつてアレイナに助けられたことを思い出し、十年をこの国の為に使うと決めたのは良かったですね。

 

今回は特に良い断章、番外編が多かったですね。

エルフの井戸のある村が発展して今では町と呼べる規模になったけど、今でも「エルフの井戸の村」と呼ばれているのとか、そこに住む水の精霊が元気で、とてもほのぼのしましたね。



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「私達は渦を避けることもできるし、渦に守られて暮らすこともできる。貴方はただ、あるがままに貴方であればいいわ。エイサーが良い人だって、もう私達は知ってるから」

 

エイサーは、黄古帝国を出発して船で東にある島国・扶桑国へついに到着。

そこは魔族の末裔である鬼族と、扶桑の地で暮らす人々の間で長く戦いが続いている土地であった。エイサーは、その土地にある扶桑樹という巨大樹を見たり、学んだ剣術であるヨソギ流にまつわる何かを探しつつ、いつも通り穏やかに過ごしていましたが。

 

その過程で、歴史にも詳しいゴンという翁や彼と親しくしている人魚ミズヨと出会ったりもして。

黄金竜という世界の始まりを知る存在と出会ったことで、エイサーはこの世界の脆さというものを感じつつ、それでも変わらずに進める彼の在り方はなかなか貴重なんではないでしょうか。

ハイエルフである彼が近づいたことで扶桑樹が動いたり、彼本人にその意思がなくてもなかなか騒ぎになることしたりもしてましたが。それも含めていつも通りか。

 

帰路の船旅では妖精を信仰する島に滞在することになって、妖精と接触することになったり。帰還したらしたで、大陸中央部ではまた騒乱が起きてて。野心的なズィーデンが領土を更に広げ、火種となっていたようですけども。

戦火が届きかねない位置にあるジャンぺモンが無事で、ノンナの血縁が宿の経営を継いでいてくれたのは、ちょっとホッとしましたねぇ。エイサー長命種ゆえに緩く書かれているけど何かあると大分時間を費やしているので、多くの人とは一期一会なわけですが。

語り継がれていくものは確かに会って、変わっているけど変わっていない部分もあるエピソードが見られるのはこの作品の良いところだと思ってます。

巻末の断章で、ノンナの子孫であるアイナとノンナが遺した「宝さがし」をしているのも、結構好きです。それだけ大事にしてくれたんだなぁ、という気持ちになる。

 

悪い方向に変化したところでいえば、魔剣を一緒に作った魔導師カウシュマンの研究が、国に吸収されて彼の系譜を汲む弟子とは会えなかった……どころか、追手まで派遣される事態になっていたりしたところでしょうか。

まぁこれもまた一つの流れだし、人間の追手なんてエイサーからすれば簡単に対処できる範囲ではあったわけですけども。襲撃の際に、かつてダメだしをした魔道具が改良されて形になっているのを見て、「やるじゃないか、カウシュマン」と内心で喝采を送っているあたり、エイサーは本当に自由だよなぁ。

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「ここが私の、カエハ・ヨソギの、剣の道の、人生の果て」

 

BOOK☆WALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで6月末まで。
エイサーは久しぶりにヨソギ流の道場へと帰還。

カエハの息子シズキが当主になっていたり、かつて成長を見守った子供たちが成人し、それぞれに子供が出来ているなど時間の流れを感じる描写が多かったですねぇ。

……そして、カエハの子供が成長しているということは当然、彼女も同じくらいの時間を重ねているわけで。

つまりはハイエルフとして長くを生きるエイサーが、定命の人々と交流する中で避けられない別れが迫っていたわけです。

 

そんな中で、良き人々に見守られて育ったハーフエルフの子供ウィンが、エイサーの元から巣立つ決心をしたりと、序盤は別れが重なりましたね……。

そうやって喪失を積み重ねながらも、歩みを止めないあたりが実にエイサーらしいとも思いますが。

目的をもって西に向かうウィンを見送り、彼自身は大陸を東へ東へと進んでいくことにして。そこでまたいろんな人々と出会うことになるわけです。

 

例えば、大陸東部に広がる大草原に暮らす遊牧民だとか、古き伝承が継がれている黄古帝国だとか。

遊牧民たちとの交流は、風の精霊に頼まれ彼らが気に入っている子を助けるため、争いに介入したりもしてましたね。そこで全面的に襲われていた部族の意見を肯定するでもなく、我を通しつつ子どもを育てているのも彼らしかったですかね。

巻末の番外編『風』ではエイサーが助けることになった少女である、風の子ツェレンの心情が描かれていて、彼女の解像度上がったのは良かった。

 

あとは黄古帝国で仙人が登場したことで、エイサーがハイエルフの長老衆が隠していた事まで連想できていたり、新たな出会いもあったりしたのが面白かったですね。

エイサーがとある相手に旅路を語ることになって、大分帝国には滞在していたみたいですけど、トップの内2人の描写がないのは気になってたんですが。

いつか彼が帝国に害を為す相手と化したときに冷静な判断を下すため、会わない決断を下していたそうで。バランスに気を使いつつ続いてきた国なんだなぁ、と実感しましたね。

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「もしかすると、明日僕が死ぬかもしれない。……ないとは思うけれど、ないとは言い切れない。だからそんな先の話は考えても仕方ないんだ。そして寿命だけを問題とするなら、アイレナだって僕よりずっと早く死ぬ、それを恐れるなら、僕はもう誰とも関われない。そんな生き方は、僕は嫌だね」


BOOK☆WALKER読み放題で読了。期間限定タイトルで1月31日まで。 

ハーフエルフの子供を迎えるために、アイレナのところを訪れたエイサー。

無事にその男子ウィンに受け入れられたのは良かったですけど……会いたさ優先できたからこの後ノープランだ、って気づいたときは相変わらずだなぁ、ってもう呆れより先に感心してしまった。

でも、それをそのままアイレナに言うと怒られるどころか、最悪以前の養われ生活に逆戻りだ、とそれらしいプランをそこで考えられるようになったのは成長でしょうか。

……エイサーがしっかりプランを話してくれた時に「驚きました」とかアイレナに言われてるので、どうせまたノープランだろうと思われていた節はありますけど。

 

ウィンを連れていく先として思いついたのが、かつて彼が訪れたジャンぺモンの町で。

成長した少女ノンナと再会。彼女にウィンの世話をお願いしつつ、鍛冶仕事で稼いだりして日々を過ごすのは、なんというか彼のこれまでの旅が生きてるようでうれしかった。

しばらく滞在してウィンが去る時に泣いたっていうのは、それだけの良い時間を過ごせたってことですしね。

 

ウィンを連れて旅をして。久方ぶりにルードリア王国の王都を訪れカエハたちと再会できたのは良かったですけど。

彼女たちは健在ながら……カエハの母に「呪いをかけた」と言われるのも納得できる状況ではありましたね。納得できるかと言われればし難いですけど。

そうなってしまったことが、変えられるわけでもないですからねぇ……。でも、カエハとエイサーの距離感、これはこれで嫌いじゃないから脳がバグる。

 

ほかにもエイサーはドワーフの国を訪れて、師匠と再会したり。北の帝国に根付いた敵を倒しに行ったりといろいろとしていますが。

彼自身にもその過程で変化があったり、彼に影響されたことで周囲の人々も変わっていくのが面白い。ドワーフの国に、エイサー以外のエルフが来るのだってそれまでは考えられなかったことでしょうしね。

 

書下ろしパートで断章と番外編がありましたが。

番外編「ハイエルフの足跡」では以前出てきたエルフの井戸の村が登場したり、異国で別れたエイサーの友カウシュマンの葛藤と決意が見られたり、ウィン視点から見たエイサーが見られたりしたのが嬉しかったですねぇ。


転生してハイエルフになりましたが、スローライフは120年で飽きました

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「いいえ、師よ。僕の目には先程の、貴女の剣が焼き付いています。道標は再び示されました。貴女の居ない三年で僕が今ここに辿り着いたように、僕は再びその道標を目指すでしょう」 

 

WEB既読。タイトル通り、ハイエルフに転生した青年が森での生活に飽きて飛び出す話ですね。

ハイエルフの寿命は一千年を超えると言われ、集落の面々は森の中で行うスローライフに疑問を持たず暮らしていた。けれど、前世の記憶がある主人公エイサーは上手く馴染めなかった。

いやむしろよく120年続けたなと思いましたけど。寿命が長いからか、かなりのんびり屋というかどうとでもなるみたいな精神を感じる。

 

肉を食べたくて森を出て、幸いにも冒険者のエルフに出会い、人の世で暮らすための助言を貰う事も出来た。

折角外に出てきたんだから色々やりたかったエイサーは、ドワーフの鍛冶師に飛び込みで弟子入りするなど、この世界の常識邪考えられない事を仕出かしますが。

……なんだかんだそこで10年修行したりするんですよね。で、今度は王都に行って剣を学び、そこでまた数年過ごしてますし。章によっては人間の時間感覚だと驚く位の時間があっさり過ぎ去ったりします。

淡々としてると見ることも出来るし、ハイエルフらしさが出てるともいえます。私は結構好きですね、この塩梅。

 

ただ、学びたい事ばっかり出来ているわけではなくて。

例えば環境を汚染する貴族に怒った精霊をなだめる役目を任されたり、エルフの同胞を迫害する相手へ行う仕返しに力を貸したりもしています。

そうやって大きな力を振るった以上はその国に滞在できないとか、ハイエルフと呼ばれるだけの力があって、力に対しての責任を持ってる感じがするのが好き。自分の影響力を甘く見過ぎな部分はアレですが。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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