「……選択の自由ですか。もしも、その未来が実現するとしたら、目が眩みそうです」
(略)
「まぁ、責任は重くなるけどね。自由に責任は付いてくるものだから。でも、責任ある立場こそが人を育てることもあるんでしょ?」
「それをアニスフィア団長に言われると、何の反論も思いつきませんね……」
魔学都市は大いににぎわい、その分アニスは書類仕事に追われたりして大変そうです。
忙しさの合間に、シャルネ用の魔道具である魔法弓ケラヴノスを作ったり、ナヴルたちを未来の可能性について語ったりと、いつも通りの日常を過ごしてるともいえるんですけどね。
最初の挿絵で、机に突っ伏して頬を膨らませているアニスが描かれているの可愛くて良かったですねぇ。ちゃんとタイプライターの魔道具も描かれているのもポイント高い。
そんなある日、アニスはプリシラから相談を持ち掛けられることに。
信頼を得たい時にどうするかとプリシラに問われて、「逆に、自分が相手を信じる」と答えられるの、アニスの強さですよねぇ。彼女の境遇で、それでも誰かを信じられるのは彼女の善性を感じて好きです。
そして、プリシラから隣国であるアーイレン帝国の関係者ファルを紹介されることになって。
アニスと敵対したくないというファルは密偵としての顔もあるのは間違いない、としつつ彼の目的を聞くことにして。
そして違法奴隷の足取りを追っていたという彼から、帝国の一部過激派がアニスの暗殺を画策している、なんて聞かされたわけですが。
アニスの母が外交で諸国を巡っているとは言われていましたが、帝国の皇帝がファンだとか言われているのは笑った。実際、そういう面もあるっぽいですしね。
国の主として、戦力確保したいという一面も当然あるでしょうが。今回も、騒動にかこつけてアニスやユフィリアを見定めようと動いていたあたりは強かです。
貴族の家系に魔法使いが多く生まれるパレッティア王国は、かなり特殊な立ち入りの国であること。戦力は凄まじいが、建国の由来からか内側にこもるお国柄だから、わざわざ手出しする国もない、という他国から見たパレッティア王国観が見られたのは面白かったです。
ユフィリアやアニスが国を改革していくなら、他国との付き合い方については考え直さないといけない、という課題も見えて来たわけですけどね。
どちらかというと帝国との関係どうするか、という方が大問題であって、暗殺騒動さっくり解決していたのが笑った。そりゃまぁ、アニス暗殺とかそうそう成功するわけもないんですが……。
敢えて自分を狙わせて一網打尽にする、って言うのが有効なのは確かですけど。それを選んだことで拗ねたユフィリアがアニスに抱き着いている挿絵があったりするのも微笑ましくて良かった。いいぞもっとイチャつけ。