「――――俺は君の教育係だから。立華さんを守ってあげるのが俺の役目だと思うんだ」
「…………そうか」
同じ町にある男子校・蒼鷹高校と、女子高・雀桜高校。
代々学校ぐるみで仲が良く……雀鷹カップルなんて言われるくらいに、カップル成立して薔薇色の高校生活を送るって言うのが黄金パターンだったみたいです。
しかし、雀桜高校に立華一織という少女が入学したことで状況が一変。彼女は『雀桜の王子様』として女子たちの視線を独り占め。
一織と同世代の蒼鷹校生たちは、恋人を作ることが出来ず灰色の青春を送ることに。
主人公もまさにその煽りを受けた世代であり、雀桜の生徒と話すこともなく高校2年生に進級してしまった。
まぁ彼は彼で「雀鷹カップルなんて言われてるくらいだし、簡単にカップルにはなれるんじゃないか」という思って進学した部分もありつつ「誰でもいいわけではない」って考えているタイプで、友人の佐々木ほど飢えてるわけではなかったみたいですけど。
そんな代わり映えのしない日常が続くかと思いきや、バイト先の新人として『王子様』がやってきたことで、彼の生活が変わっていくことに。
先輩バイトとして一織の教育係を任された夏樹くん、真面目に仕事してるなぁ……というか。
『王子様』の為に雀桜校の生徒が殺到して、それまでの体制で回すのは大変なくらいお客様がやってくる状況になって。
スタッフからも「現状じゃ回りませんよ」という声が出て、客寄せになってる一織の評判通りの態度を前面に出した王子様接客を一時取りやめようって方向になってましたが。
教育係の夏樹くんは、一織に我慢を強いるのではなく自分たちが頑張ればなんとか回せると主張して、みんなもその勢いに乗った結果通ってました。
一織相手のパーフェクトコミュニケーションではありますけど、店的にはそれでいいのかという部分はある。一応、かなり早めに次の新人を採ってくれたり、出来る事はしてますけど。負担強いすぎるのも良くないぞー、と思いつつ当人たちが良しとしたからな……まぁ。
学校生活でも雀桜の人気者である一織との縁が出来たことで、体育祭の応援に雀桜の生徒を呼ぶことにも成功したりと、影響範囲がデカいんですよねぇ一織。
少しずつ交流を進めていく中で、2人の関係が進展していくの良かったですね。読みやすいラブコメでした。