気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

鈴木理華

天使たちの課外活動4 アンヌの野兎

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「すごい。信じられない。甘いのに美味い!」

 

辺境最速の船の船長として、講演を頼まれたダン。

タイミングよく連邦大学にいた怪獣夫婦から食事に誘われて……それが「テオドール・ダナー」だって言うんだから、巡り合わせですねぇ。

 

『トゥルークの海賊』13巻後のエピソードらしくて、とある集合写真に熱を上げてる辺り、ダンも船乗りだねぇ、というか。そちらを読んでなくても読めますが、読んでからだと更に面白い。ゝリアクションした人がいますもんね。

テオドールと和解したパラデューが宣言通り入り浸ってるのは、笑う。忙しいんじゃないんですか。

「店に飾る」という条件に限って、特別な審美眼を発揮するテオドールの能力を試したくなる辺りは、アンヌの父親という感じがする。彼女も同じようなことをやって、能力を認めるに至ったんだろうな……。

 

アンヌが方々に手を回して、テオに最高の一品を作ってもらう為、連邦大学で無音飛行機を飛ばす許可を取って居たりするとか、情報が増える度に彼女の格が上がっていくのは凄い。

閉店していた時期に連絡が途絶えていた遠方の知人を訪ねようと思ったテオドール。

心配したルゥが怪獣夫妻に護衛をお願いしていましたが、賢明だったと言わざるを得ない。

 

長い付き合いのある生産者の方々は、テオドールの無口さとか彼の腕前とかを信頼し、後を追ってきたアンヌの父親であるパラデューに弔意を示したりと、とても心優しい人々で、良い縁だなぁ、と思っていたものですが。

それぞれにテオの料理が好きで、料理を食べる為に昼食に三人を招待するローリー、鉱物が好きぎて気がついたら平らげていたトレミィとかいいキャラしてましたよね。アガサおばさんのところで出された卵料理を食べた時のパラデューの反応も面白かった。

 

パラデューが店内で零していた、とある財団にまつわる噂話が影響してきたのは、ルゥやダイアナみたいに「嘘ぉ」って言いたくなりましたね。犯人たちの考えの浅さにも驚きましたが、テオドール・ダナーの影響力の凄さを侮っていましたね……。

Ⅱ世が護衛も付けず訪問していたのを、もっと評価するべきだった。リィに甘いモノを食べておいしいって言わせる、シェラの悲願を果たせてしまう位には、神業を持ってる御仁だったんだな……テオドール、すごい。


天使たちの課外活動3 テオの日替わり料理店

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「また、食べに来てもいいだろうか?」

「いつも今日みたいな料理ってわけじゃねえが、それでもいいんなら、いつでも」

 

中学生と高校生に義務付けられた、社会体験学習。

いわゆる職場体験をリィとシェラがすることになって。隠れ家的な店の主であるジェイソンから、彼の知人のレストランに行って貰えないか、と相談されることに。

悪評がたった経緯には同情しますが……リィの言っていた「遅すぎるけど……寝っぱなしよりはましかな」という発言には完全に同意。

 

まずは実際に訪れて、料理を食べさせてもらってましたけど。三人が驚くほどの絶品で……ただ、しばらく閉店していたせいもあって、店内も店主の装いにも気にかかる事ばかり。

それでも聖域である厨房がしっかりと清潔にしてる辺り、料理に関しては誠実なのはうかがえましたが。あまりにも才能偏りすぎな……。

亡くなったという奥さんはサポートするの大変だったことでしょう。本人はそれに不満なんてないどころか、かなり充実した人生をおくっていたみたいなので、後悔もなさそうなのはなにより。

 

寂れたレストランの復興。店主の料理には問題がなくとも、強面かつ無口で意思疎通は難しい。

そんな程度の問題で引き下がるリィとシェラではなく……表紙からモロバレですけど、かつて使ったメイド服を再利用して、容姿を最大限武器にして宣伝して回るのはお見事。

同学年の生徒たちは、別の職場で体験を行っているために見学できず。先輩方やほかの学年の生徒たちが盛り上がっていたのは笑えましたね。ハンスもファビエンヌも実際足運んでるんだもんなぁ。

監督役の先生からは苦言を呈されたり、校長を引っ張って来て文句を言ったり、色々と邪魔される場面もありましたが。

 

逆に言い負かしてる辺りは流石と言うほかない。そんな些細な横やり以外に、店事態を目的としてるらしい嫌がらせがあったり、奥さんの遺した様々な仕掛けがあったりと、ただレストランを手伝うよりも刺激的な体験が出来てましたね。

……というかこれも、二人が来てなかったら問題が悪化していたタイプのトラブルで、二人がトラブルに飛び込んでるのか呼び寄せてるのか、分からなくなってくるな……。

リィが遺されたメッセージに気が付いていたの、機械にも結構慣れて来てる証なのかなーとか思いました。いい物語でした。

天使たちの課外活動2 ライジャの靴下

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「……そこまで馬鹿じゃないことを期待するよ」

 

8割がたは「ライジャの靴下」にまつわるエピソードですが、巻末にyorimobaで掲載されたらしい外伝「お師匠さんが来た!」が収録されています。

タイトル通り、ライジャの師匠がやってきてリィ・シェラ・ルゥの三人に顔合わせしていくエピソードですね。ルゥの気配を探知して建物の周りをゾロゾロついて回るの、本人たちからすると、やめてくれ!って感じでしょうけど、正直笑えました。

 

時系列的に「ライジャの靴下」は師匠のアドレイヤ・サリース・ゴオラン氏に会った後のエピソードで、リィがアドレイヤおじさん呼びする描写が入ったりするので、外伝の方から先に読んでもいいかもしれません。

 

 

ライジャにかけられた冤罪を晴らすため活動した経緯から、お悩み解決を課外活動のテーマにしたリィ達。

そこにライジャが、無記名で送られてきた靴下の送り主を探したい、という依頼を持ってきて。特殊な毛糸が使われていたので、その出所を調べることに。

 

かなり大規模な課外活動の団体「ホーマー大学手芸倶楽部」に接触。問題なく接触するために、団体に一時加入したりしてますけど。倉庫の品ぞろえを見てシェラとルゥが「これなら十分加入する価値がある」とウキウキしてるのも面白かったですね。

靴下の制作者を探す活動の中で、思わぬ横やりが入ったりもしてましたが……気を遣う所、間違えてるんだよなぁ、あの上司の人は。うん。

 

あとは『クラッシュ・ブレイズ』で登場したビアンカが再登場して、ヴァンツァーと相変わらずの交流をしてるのも嬉しいところ。

課外活動1巻みたいな問題活動を起こす生徒も居れば、彼女みたいに態度を変えず付き合ってくれる貴重な人も居るわけで……ヴァンツァーにも結構いい影響与えてそうで、なんだろう彼の人間味ましてる感じがしてホッとする。

天使たちの課外活動

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「では、先ほどの質問の答えでもありますが、今後もそのようになさってください。もしあなたの感覚で何か変だと思う事がこれからもあったなら、ぜひその少年たちに――あなたの信頼できる友人たちに打ち明けてください。それが最善の方法であると、わたしは確信します」

 

リィとシェラ、いろんなトラブルに遭遇して学校に居ないタイミングが多かったので、出席日数の観点でちゃんと進級できるか心配していたんですが。

無事に中等部二年になれたようで、まずは一安心。そして連邦大学では14歳になると「課外活動」を行える、という話をルゥから聞いて。

 

サークルとかとは違う活動形態で、ボランティアに近いけど継続的に、なるべく学外の人間との交流を伴う事とかいろんな条件があるようで、金銀黒の三人一緒に何かしようというのはすぐ決まったものの、趣味嗜好が異なるので「じゃあ、なにをするのか?」というのが決まらず。

『クラッシュ・ブレイズ』シリーズと似たテイストですが、連邦大学の学生たちメインになっているのと、文化的に辺境に近い惑星トゥルークの僧侶であるライジャが新キャラとして登場してリィ達と交流する事で、また違った読み味になってますね。

 

OB寮長が訪問して来るイベントが実はなんどかあったらしいですが。いずれもリィとシェラが居ないタイミングだったため、今回こそはと声をかけられて。

会うだけで終わるハズが、その内の一人がストーカー疑惑を掛けられ……ハンスから調査を頼まれることに。

 

クラッツェン総合学長は、連邦大学の理念と役割をよく理解している尊敬できる教育者ではありますが。やはり人数が多くなると不届き者も出てくるものだなぁというか。

リィ達が把握できているだけで、かなりの問題が勃発してて、教育者の方々は胃が痛いだろうなぁ。大事ばっかりで下手に愚痴も零せないだろうし。

ライジャに迫った女生徒の件もあるし、末端まで理念を行届かせるのはまぁ、無理なためこういう問題も起きるでしょうけど。

 

OB寮長の一人であるデイヴが事件の事後処理が終わった後、緘口令が敷かれている事情についてリィとシェラに語っても他所には漏れないだろう、と信頼して明かしてくれたのは良かった。二人の普通じゃないところを、十分理解してそれでも変わらず交流してくれる先輩が居るのは救いですね。

【16巻】クラッシュ・ブレイズ ファロットの休日

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「それはね、多分、いつも本当のことしか言わないような人は恋愛には向いてないからよ」

(略)

「真理だ」

 

クラッシュ・ブレイズシリーズ完結巻。

表紙にいるファロット二人――レティシアとヴァンツァーがメインのエピソードが描かれます。

 

「レティシアの場合」は『スペシャリストの誇り』で描かれた連続殺人事件。犯人側の生存者として残された二コラは、結局大学を中退したそうですが。

彼が何を思ったのかレティシアに接触してきて、父親が脅迫されているから助けて欲しいと頼み込んでくる話です。どうも二コラは、レティシアがそうした裏組織の人間だと思い込んだままだったようで、力を借りたかったみたいですが。

 

……エピソード読み終えてから思うに、彼も父親の血が濃いなぁというか。本当にレティシアがそういう組織の人間だったら、手を借りたっていう弱みを得ることになったんだけど、その辺りの理解が浅そうだよなぁ。

先んじてリィに相談しに行って、シェラに殺されかけてましたしね。今回の一連の騒動を経て、二コラ自身は道を踏み外したりしなりしないんじゃないかと思いますが。レティシアの実験はどうなるのやら。

 

「ヴァンツァーの場合」のエピソードの方が好きですねー。

文化芸術祭を見る為に北半球のログ・セールを離れて南半球のグランピア大陸を訪れたヴァンツァー。帰還しようとバス停に急いでいた所、盲目の少女とぶつかってしまって。

どちらも相手が避けるだろうと思っていたための、ヴァンツァーにしては珍しい衝突でしたけど。

 

その際に指示装置が壊れてしまったため、彼女を家に送っていくことになって。

少女の「ママ」に頼まれごとをして、家にお邪魔して。面倒事の解決に協力したり、予定を聞かれて「空いている」と答えたり。彼にしては珍しい対応が重なりますが。

それだけこの母子の印象が良かったんだろうなぁ、と言うか。ぶつかった時のビアンカはちょっとアレでしたけど、それ以降は確かに読んでいてストレスなかったですし。短めのエピソードですが二人ともが好きになれる話でした。

 

ビアンカがなぜか命を狙われていて。ヴァンツァーが居たからこそ、狙われていることに気が付けたし、その理由にも推測がついて。

解決に向けて動き出したところで横やりもはいってましたけど、それにも問題なく対処できたわけで。善人が救われて悪人に罰があたる、良い出会いだったなぁ、と言う感じで楽しめました。

【15巻】クラッシュ・ブレイズ オディールの騎士

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「一つと言わず、きみからならいくらでも借りるぞ。もちろん後で何倍にもして返すからな」

 

惑星バラムンディでバカンス中のケリーとジャスミン。

二人が気ままに過ごしていた所、地元の有力者ラロッシュのその一人娘オディールにちょっかいを出されることに。

この二人相手に、ハニートラップやらなんやら仕掛けようってのは、あまりにも無理があるというか。オディールの友人を自称する男三人がジャスミンに迫って、返り討ちにあってましたしね。

 

その後、嫌がらせとしてこの星に居ない筈の毒持ちサソリとかヘビとか蜘蛛とかカニがレンタカーにぶちこまれる事態にもなってましたが……。

毒のある部位でなければ美味だから、と嬉々としてバーベキューの素材にしてる辺りこの二人に嫌がらせするの、本当に難しいですよね。

この程度だったら気にも止めないけど、下手に刺激しすぎたら怪獣2匹が大暴れするわけですし。

 

今回の敵役になるラロッシュ氏は、あまりにも小物でしばらくあしらわれる羽目になってましたが、ザマーミロとしか。宇宙暮らしの風来坊二人とクーア夫妻を侮ったラロッシュが悪い。

ラロッシュをからかいたかったわけではなく、その一人娘であるオディールの歪んだ在り方が気がかりだったジャスミンが、彼女と交流するためのネタとして使われてたわけですが。

 

釣るための餌に、リィに譲った個人所有の惑星ヴェロニカを持ち出すんだから鬼というか。必然的にリィまで巻き込まれて、また攫われてるの笑っちゃった。

ダン達ピグマリオンの乗組員まで巻き込む、予想以上の大捕り物にもなっていましたが……。ピグマリオンの操縦士トランクが拉致されたこと。ケリーの船であるダイアナが一時離脱していたこと。

条件が重なって、ダンの船の操縦をケリーが一時担当するなんて夢のような光景が見られて、シリーズの読者としては感無量でしたね。

心を縛られていたオディールが、解放されたのは本当に良かったですけど……オチがかなりコミカルになってて愉快でした。ちゃんとそこに挿絵おいてる辺りもグッド。


【14巻】クラッシュ・ブレイズ 逆転のクレヴァス

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「きみはなかなか……おもしろい人ですね」
「警部さんには負けると思いますけど」

 

『追憶のカレン』ではシェラが行方不明になりましたが。今回はリィが誘拐される話です。

……どっちもこの一文だけ見ると嘘だ! と言いたくなる感じですね。

カレンの家族に、いったいなぜ彼女は嘘をついて家を出て死んでしまったのか。その説明のために赴いたシェラとルゥ。リィは眩しすぎるから、と外で待っていたようですが。

そこで誘拐犯に遭遇して。

 

家族のところに「誘拐した」って連絡が入ってましたけど。アーサー、リィが攫われたとは夢にも思わず、チェルシーの安全確保に動いていたのは、正直笑った。ベルトランの家族が誰もリィに危険が迫ってると思ってないのも、読者的には納得しかない。警察は困惑してたみたいですけどね。

 

そもそもリィを攫ったのも、人違いだって言うんだからどうしようもない。

恩人の娘と連絡が取れなくなり、犯人側からの要求を果たすための交渉材料として誘拐をしようとしたみたいですが……行動指針がバグってるんだよなぁ。リィに常識を説かれるって相当ですよ。

実際のところ、要求してきた設計図が欲しかったのではなく、リィを誘拐したミックを犯罪者として確保するのが目的だったようですけど。

大山鳴動して鼠一匹どころか、鼠はいなかったってオチになるのは、誰も幸せにならないオチだったなぁ。無能呼ばわりされた黒幕側のタッカーが、ルゥとリィを巻き込んだことで脂汗かく羽目になっていたのはスカッとしました。ざまぁみろ。

 

【13巻】クラッシュ・ブレイズ 海賊とウェディング・ベル

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「俺は今日で船を下りるが、あんたはまだ《門》を跳んでるんだな」

「ああ。あの女がいるからな」

 

ガリアナ星系では海賊被害が横行していた。

星系のほぼ全域がショウ駆動機関で跳躍できない、変わった特徴を持つために発展が遅れた地域であり……そのために、門を使った海賊家業が盛んになったって言うんだから、時代の流れと言うかなんというか。

海賊が門を使っているというのも最近になって判明したことで、ダンはピグマリオンⅡでゲート・キャッチャーを運搬した後、門探索にまで協力する事に。あっさり見つけたのは、ケリーの血だろうか。

 

……ただ、タイミングが悪かった。

ジャスミンがクーアを訪れているタイミングで、ガリアナ星系の海賊に家族が連行され、解放されなかった。それなのに交渉が途絶したとクレームに来た家族に出会って。

その家族は近日中に結婚式を行う予定で、ホスピスに居る人もいて延期したとしてその時まで生きていられる保証がない。

 

そんな話を聞いたジャスミンが、自分で連行された家族を取り戻しに行くあたり、行動力が凄まじい。そして、ケリーの知識にあった門を跳んで向かったら、折悪しくそこがダンの発見した門で軍艦と鉢合わせたっていうんだから、最悪です。

ただ対峙しただけならまだしも、考えの浅い軍人が即座に砲撃してきてクインビーが危険に陥った辺りが、最悪さを増しているんですが。

 

ジャスミンが海賊の本拠に連行されて、そこで力を示して慕われる結果になっていたのも彼女ならではな感じがしますけど。

身代金交渉のために人質を集めている街に連行されて、そこで他の人実もまとめて開放するために行動して実行してのけるのはお見事でした。

 

【12巻】クラッシュ・ブレイズ 追憶のカレン

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「わたしたちってなんて善良で、なんてお人好しの海賊なのかしら。呆れちゃうわ」

「今回ばかりはしょうがないだろう。人助けだ」

 

シェラが手芸部に協力して作成したキルト。

それは地域の作品展で好評を博し、セントラルでも展示されることになったとか。

手芸部の女子たちに声を掛けられてシェラは、珍しくリィを伴わずセントラルに赴いて、そこで他校の少女から声を掛けられた後……消息を絶った。

後日、その少女だけが亡くなって発見され、シェラの生存も危ぶまれることになってしまいますが。

 

リィはもちろん、シェラが死んでないのを確信していたものの手がかりは少なく。ルゥの占いを頼ったけれど、座して待てと言われることに。

『夜の展覧会』で知り合ったグレン警部が再登場して、良い活躍してくれたの良かったですね。絵の鑑定にリィを呼んだりしてましたし、柔軟な対応が出来る警部のこと結構好きです。

 

状況は停滞せず、シェラかもしれない少年を発見する事は叶いましたが。

彼は自分の事を「アルフォンス」であると言い、薬も服用していたためにリィの鼻をしても確信できない状態で。

 

おまけにアルフォンスの家は財産関連の問題を抱えていて……後継者に指名されたアルフォンスの14歳の誕生日に大々的に閉ざされていた金庫から遺書を取り出す、なんて催しまで行われてましたが、上手く潜り込んでる天使たちはお見事でした。

金庫には遺書以外のものまで納められていて、厄介だからと怪獣夫妻まで動いていましたけど……かつての切り札がここで化けて出てくるのか。どこから漏れたんだ……?

ケリーとダイアナが、初めての海賊家業に従事するシーンが笑えて好きです。

【11巻】クラッシュ・ブレイズ マルグリートの輪舞曲

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「だけど本当にいやなのは……一番いやなのはね。あたしが自分で、あたしとあんたを比べることよ。そんなことをしたって意味がない。何にもならない。わかってるのにね。――ほんとにいやになる」

 

中編3つからなるエピソード。

まずは『優しい狼』。リィの姉であるドミューシアが体験入学で連邦大学にまでやってきたものの、受け入れ先がなんの因果かリィがいるアイクラインの高等部だったそうで。

彼女が他校との交流を目的にしたダンスパーティーに参加した所、ホプキンス大学フットボールチームのエースであるキアランって男子が声をかけてきたものの……リィと似ていないことを、あげつらうような言動をして彼女を泣かせた。

 

それを黙ってみているリィではなく、ルゥに自分を女の身体にしろと迫ることに。

レティシアからアドバイスをもらって、「女で失敗させる」という作戦を実行するための行いでしたが……叩きのめすために演技を徹底していて、おっかなかった。

自分が大切にしている相手に手を出されたら、本当に容赦しませんよね。彼自身に悪意があったわけではないと分かりますけど、視野は狭いし。じっさいに、彼が知らなかったとはいえ面倒ごとが近くで生じていたわけですから、どうしても評点は辛くなりますな。

後日ロッドでボコボコにされてそうだし、多少は溜飲下がりましたけど。それにしたってなぁ。

 

続いて『初戀の詩』。

ジンジャーの舞台にヴァンツァーが招待されてましたが……『サイモンの災難』でようやくジンジャーの名前を知った彼は、出演作品を見始めたところだったとか。なんというか、真面目だなぁ。

デビュー作が「駄作だけどジンジャーが出ているから」と連邦大学の映像図書館に保管されてるの、良いなぁ。かつてジャスミンと造り上げたキャラが、多くの人に認められてるって事で嬉しくなる。

 

ジンジャーに連れられて、彼女に懸想している少年に対面させられたり。かと思えばその少年が攫われたのを察知して、救助に向かうことになっていたり。なかなかに騒がしい一日になってましたねぇ……。

ヴァンツァーの居ないところで語られていた話ですが、人工冷凍睡眠を使って長い時間を眠っていたジンジャーが眠らない事にしたっていうの、中々のビッグニュースでは。

 

最後が『怪獣の宴』。怪獣夫妻が、同じくジンジャーの劇を見に行く話ですが。

『優しい狼』で女性になってたリィも客席にいたり、色々リンクしていたのが面白いですね。着飾ったジャスミンとケリーが並ぶと、かなりの迫力があっただろうなぁ。表紙絵もインパクトあって好き。

劇場で怪しい企みが進行していて、巻き込まれたジャスミンが連行される事態になってましたが……彼女を連れていくとか、裏組織にしたって無茶をするなぁとも思いましたが。

叩きのめされている様は、いっそ痛快でした。合掌。

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 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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