気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

鈴木理華

【10巻】クラッシュ・ブレイズ サイモンの災難

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「そうよ、デニス。わたしを見て。わたしには昔はない。過去の栄光なんかわたしには何の意味もない。あるのは見えない明日だけ――そこに何があるかは行ってみなければわからない。そう考えたらどう? どんなことだってできると思わない?」

 

連邦大学の惑星で映画撮影を行うことにしたサイモン。

地味で小さな映画ではあるけれど、その中でも良い人材を揃えられた。ただ、監督が望む「謎めいた高校生」の演技を、役者が出来ず。

良い人材が居ないかと学校を観察していた所、ヴァンツァーに目を付けて。光る人材を見つけると「こんな役が似合いそう」とマシンガンの様に語る変人で……「頭脳明晰な犯罪者タイプ」とか初対面で語り掛けてきたら、そりゃ通報されても文句は言えないでしょう。

 

ひとまずは主演女優のアイリーンの嘆願などもあって、一度だけ見逃されることになっていましたが。

彼女はヴァンツァーが良く知る人物に似ていて、怪しい監督はともかく、好感の持てる相手からの声がけがあったために見学に行くことも了承していましたが……ジンジャー、なにしてるの。

そしてジンジャーに協力している怪獣夫妻とか、ヴァンツァーの縁でリィやシェラまで見学に顔を出したりしていました。

 

メインはこの映画撮影の現場で起きるトラブルなんですが……冒頭は、とある惑星で起きた事故で橋が落ち、そこから白骨死体が見つかったという話なんですよね。

そこからいきなり変な監督の話になるので、初見だとびっくりします。白骨死体になるほどの時間が過ぎた、過去の事件。

 

映画撮影現場では関係者に毒を盛られそうになったり、財力のあるグループが契約で上映権を取り上げようとして来たり、狙撃手が手配されたり、一介の監督を狙うにしては大掛かり過ぎる騒動が起きてるんですよね。

リィにシェラ、ヴァンツァーにレティシア。怪獣夫妻。そんな存在が関わっていたからこそ犠牲が出ないで済みましたけど、場合によっては被害甚大だったと思うとちょっと背が冷える。

 

216P以降の、種明かしする瞬間の関係者各位が衝撃を受けているシーンが好きです。

審査員たちが「命拾いした!」って思っているの、正直他人事だから笑えましたが、実際その立場だったら胃が痛かったろうなぁ……。共演者たちの反応もむべなるかな。


【9巻】クラッシュ・ブレイズ 夜の展覧会

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「だから、何をするつもりなんだ?」

「おれの絵を取り戻す」

 

ルゥにはかつて、あちこちの時間を飛び回った時期があり……300年前に死んだドミニクという画家とも出会っていた。

ドミニクはルゥを描いた絵に「暁の天使」というタイトルを付けて、リィに託すという遺言を残した。その当時は、リィもルゥも生きていない時期で、絵は美術館に寄贈されることとなった。

所蔵したがった好事家は多くいたが、何人も死んでしまったために呪いが掛かってるなんて噂が流れるほどの、文化財。

 

たまたま美術館を訪れて、その絵が相棒を描いたものであり自分に当てられたものだと気が付いたリィは、それを入手できないものかと画策を始めますが。

連邦の代表でもクーアの総帥でも、正攻法で入手できるようなものでもなく。どうしたものかと思っていたら、リィの関与しない形で盗難事件が発生。

関係者の胃は痛かっただろうなぁ、と思います。特に警察が合いに来たアーサーの心中を思うと……。

 

自分の絵だと思ってるのもあって、リィが結構本気で調査していて、警察に先んじて大体の答えに辿り着いているのには笑いました。

どうやって絵を美術館から運び出したのか。誰が描いたのかとか色々。隣にひが居るし、ケリー達の助力まで得られるのは反則的ですよねぇ。

 

ただ中学生である、というのもあって万能ではないんですよね。保護者が居ないと怪しまれるし。「お父さん」呼びされてウキウキ協力しちゃってるアーサーには笑いましたが。

手段を選ばない相手に対して、匂わせた行動をとって危険な目にあってるのは良くないというか。

初回はリィ達の予想を超えて敵が早かったのはありますが、二回目は迂闊だったと言いたくなるな。

……一番迂闊なのは、偽造に気付けなかった美術館関係者の方々な気もしますが……一目でルゥかそれ以外かで見抜くリィの目が特殊なんだよなぁ……。

最終的には収まるところに収まってくれてなによりでした。

【8巻】クラッシュ・ブレイズ ミラージュの罠

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「あんた、どうしてもその悪い癖が直らないんだな。弱い者を見捨てられない」

「それは違うぞ。別に癖ってわけじゃない」

振り返って、リィは断言した。

「単なる趣味だ」

 

『ソフィアの正餐会』でリィが潜入して、釘を刺すことになったダグラス。

そんな彼が、まさかのサフノスクへ短期留学でやってきて……リィが偽名を使って入り込んでいたのを知ることに。通り名が多いことに驚いてるシーンは笑えました。

まさか「隣の女学院で起きた事件の調査をしていた」とか「その裏には狂気の老人がいた」とか伝えるわけにもいかず、説明ともいえない説明をすることになってましたが。

 

……そんな状態で、ダグラスの方がトラブルに遭遇する羽目に。

彼の故国から彼を誘拐しようとする怪しい輩が現れて。リィが居合わせた為に無事に済んでましたが。

翌日、何が起きているのかを話し合っているところに、今度はダグラスを毒殺しようとする女まで出てきて。

 

それらはダグラスの故郷、ダルチェフの秘匿された部隊による活動みたいですが。

それを察知した連邦の情報分析局まで動き始めることに。連邦大学にリィやルゥが居ることを知ってる上層部からはかなり苦い顔をされたみたいですけど、現場としては動かないわけにもいかず、人員が派遣されることに。

いやぁ、連邦大学って物騒なところですね。……普通はもっと安全なはずなんですけどね。『スペシャリストの誇り』の時と言い、何事にも例外はあるということで……。

 

ダグラスを守るためにリィ達が動いていましたが……。リィとファロット一族の警戒がある中で行動を起こす羽目になった秘密組織さんは、ご愁傷様です。合掌。

……まぁ、命令が出た以上組織としてはそうするしかないんでしょうけど、ダグラスを狙った理由があまりにもアレだからなぁ。雉も鳴かずば撃たれまい……。

 

【7巻】クラッシュ・ブレイズ 大峡谷のパピヨン

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「いいことだぜ。――で、どれを買うんだ?」

「パピヨンルージュ一点買いだ」

 

遠出がしたくなったケリーとジャスミン。

しかしそのタイミングでダイアナが、機体を改造したいと言ってきて。でも、遠出したい欲求には逆らえず、門を跳べる宇宙船を借りてそれぞれの目的のため別行動することに。

そこでまた、通常90100でしか飛べないと言われてる門の安定度を85の時点で跳んだから、変な輩に目を付けられることになって。

 

『スカーレット・ウィザード』で50切ってる状態で跳んでるのを読者は知ってるから、85程度なら、まぁそんなものかーって思えますけど。ショウドライブへの変遷を知ってるダンをして「跳ぶなそんなもの」ってレベルなのか。

ダイアナさえいれば跳躍直後に襲われようが対処できたでしょうけど、代替機ではそんな真似は出来ず。

門を使った密輸が横行してるとかで、国境警備隊に事情聴取を受けることになって。

 

さらに目的地が、有重力圏内で機体を使ったレースを行っている惑星だったため、クインビーを一時預かって検査したいとまで言ってきて。

まぁ、今は一般市民(こんな市民が居てたまるかレベルですが)なので、最終的にはそれに同意したものの、それを盗難される自体まで起きてしまって。

序盤の聴取を受けているシーンとか、二人は真面目に答えているけどそれが常識はずれなものだから困惑してる国境警備隊の方々のリアクションは面白かったですけど。うっかりで機体盗まれたら堪りませんよね……。

 

捜査で取り戻す、という正攻法には期待できない為、ジャスミンは取り戻すために別の方法を取ったわけですが。キャニオンレースで名を広めようとする彼女の疾走ぶりは見ものでした。

賭け事にもなっているため、ダンとかしれっと儲けてましたしね……そりゃあジャスミンはそうそう負けないわ。

かつてのケリーみたいに目的とした相手を力ずくで連れてきたりとか、ボンクラ御曹司を徹底的に叩いたりとか、ジャスミンが格好良くて見応えのある1冊でした。

【6巻】クラッシュ・ブレイズ ソフィアの正餐会

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「喧嘩はね、この間あなたが終わらせているのよ。今回のこれは喧嘩にもならない――あたしはここに後片づけに来ただけよ」

 

ルゥが突然、女子校に転校してみようとか言い始めて。

シェラも一緒に学校に潜入してるし、リィは近隣にある男子校に入り込んで。

序盤はその変装状態の学園編から始まるので、こう笑いをこらえるのが大変でした。今度は一体何をしているのかと。

 

学院長から依頼されて、その学校で起きた事件の調査をすることになったとか。数日行方不明になり、無事に発見されたものの意識を取り戻さない少女。更に、妊娠していることまでが発覚したとかで……。ご両親が心を痛めるのも無理はない。

で、実際に乗り込んでましたが。ルゥは身体を変える程度にはやる気だったし、相変わらず疑われることのないシェラの自然さは見事の一言。

 

そんなシェラの目線だからこそ気付ける問題があって、未来に起きかねなかったトラブルを回避できたのは……騒動の拡大を抑えられたという意味では良かったか。

リィが感応で得た敵の情報がなんとも曖昧なもので、それでも敵の尻尾を掴んだ以上は調べなくてはと動くケリーとジャスミン、ダイアナ達のチームの動きも良かったです。

調査してみたら黒幕の名前を実は知っていた、とか。

 

彼らは結構長い間目的のために動いていた、とか。ルゥは今回、自分でも言っていましたが後片付けのために動いていて、ケリー達の行動がなければ真相は読者に分からなかったのでありがたかったですねー。

前巻の感想で、敵にもある程度の格が欲しくてただの狂人だとなぁ……的なことを言ったんですが。能力者相手への工作以外にもえげつない事件起こしてて、ヤバさを上積みしてきたのは悪役レベル上がってて(より潰しやすくなったので)良かった。

 

命を奪うのではなく、やられたことをやり返す方式のルゥのやり方も、正直ざまぁみろと言う感じでスカッとしましたが、これで根を断てたのか一抹の不安はある。まぁ、流石に大丈夫か。

【5巻】クラッシュ・ブレイズ オンタロスの剣

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「シェラ。おれは必ず戻る。約束する」

(略)

「――きっとですよ」

 

日常パートのエピソードは結構好きなんですよね。

ジンジャーが目をかけている演劇少女のベティ。役にのめり込みすぎる危うさもあるようですが、その性質がピッタリはまるとかなり良い演技をするようで。

 

そんな彼女が今度、腕利きの女剣士を演じることになったけれど、上手くイメージできなくて。ジンジャーの口利きでリィを紹介される、という流れ。

最終的にレティシアとの模擬戦を見学する事になって、常識離れしたその戦いを通してしっかりと役を掴んでるのが良いんですよね。

別件ですが、アーサーが「頼りになる」と言われて余韻に浸ってるシーンが気に入ってます。

 

一方、厄介な事件の方も状況は動いていて……。前回ケリーを誘拐したのと似た、死者蘇生・長命の手法を求めている老害たちが、今度は黒い天使ことルゥに接触。

ルゥもあっさりとついて行っちゃうんだもんなぁ。今回は、彼が手出しできない存在についての情報が漏れてしまっていたために、大分厳しい状況に立たされてしまってました。

敵が話の通じない狂人で、どうにも残念な部分はあります。敵にも魅力があって欲しいと思うタイプなので。……ただ、ある程度ネジが外れてないとリィ達や怪獣夫妻に干渉しようとか思えないのも分かるので痛しかゆし。


【4巻】クラッシュ・ブレイズ パンドラの檻

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「何より、俺は命を玩具にした覚えはない。好きで戻ってきたわけじゃないが、現実に俺はここにいる。生きている以上は、可能な限り生きる努力をするさ。自分から進んで死ぬつもりはねえよ」

 

ケリーに婦女暴行の容疑が掛けられて、警察から声を変えられることに。

とある会社の研究を担当している職員に近づき、機密を奪おうとしたそうですが。事前に何度も訪問して顔を売り、容姿に惹かれた女性社員と何度も写真を撮っていた、とか。

警察が捜査を始めた後、匿名でケリーの所在を密告する連絡が来たりだとか。

 

怪しいにも程がある案件で……もちろんケリーにも心当たりはなくて。

別のタイミングで妻だからとジャスミンも警察から事情を聴かされることになっていましたが……直後、上司のところまで乗り込んでいったのは彼女らしいですけどもと。

その時のジャスミンを指して「大陸間弾道ミサイル」と言うあたり、怪獣夫妻は相変わらずです。

 

先日リィ達が遭難した、彼女名義の星であった「ヴェロニカ」をリィに寄贈するって話もありましたが流石の思い切りの良さですよね。こういう、恩義に報いようとする態度好きです。

加えて言うと、まずは父親のアーサーのところに話を持って行ってましたが、彼がリィに直接伝えてくれ、という形でリィを尊重したのも気に入ってますね。彼らなりの絆を感じる。

 

現場で動いてるのは、黒幕の手駒ばっかりで基本的には小物なんですけれど。整形した馬鹿、誘拐に協力した阿呆と、弱みに付け込む黒幕と居て……どうしてわざわざ危険を招き入れるんだ、と頭を抱えたくはなりましたね。

それだけ復活者であるケリーの存在は大きいってことでしょうけど、目に見えた地雷だとどうして思えないのか。歳をとった権力者程おっかないものはないですな。

【3巻】クラッシュ・ブレイズ ヴェロニカの嵐

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「おれには縁がないが、宗教ってのはそういうものなんだろう? この学校に入った時、真っ先に他人の価値感は尊重しなければならないと教わった。宇宙には様々な価値観の人がいるのだから、自分の価値観を押し付けてはならないとな。その考え方は立派だと思うし、共感できる。だから、おれはその教え通りにしただけだ」

 

リィ達が『嘆きのサイレン』でクレイドを訪れたように。学生は活動の単位も取らなくてはならなくて。簡単なキャンプに参加するのを決めたリィとシェラ。そこには寮長のハンスや、ダンの息子であるジェームズなんかも居て。

リィとシェラからすれば遊びに行くようなものなのに、単位までついてくる美味しい授業のはずだったのに……。

 

十二人の学生は、宇宙船で惑星に下りたった後に様々な困難に遭遇することになります。

宇宙船の運転手たちは別人に入れ替わっていて、辿り着いたのは本来の惑星ではなく……通信機はあるものの拾える電波も無い。割と規模の大きい誘拐事件となってますな。

 

さらに授業の名目で食料まで取り上げられて……野外活動になれていない学生たちだけでそんな状況に放り出されたら、何人かは命を落としていたでしょう。

というか、洞窟の一件を思えば遭難数日目にして全員死亡もありえたわけです。

……これ、誘拐犯が望んでいた「標的が名乗り出れば、場所を教えるつもりだった」という最善ルートに乗っていても、捜索チームが辿り着いた時点で死体しか見つからなかった可能性すらありますね……。

 

実際には、リィとシェラが居た事で、彼らは生きていくのに必要な食糧など様々な恩恵を受けることが出来ていましたが。

宗教上の理由で野生の肉を食べられない生徒がいたり、リィの言うことを聞けず怪我させてしまう子が出たり、とリィ達を以てしても子供達の相手は一筋縄ではいかない状況でしたが。

 

子供が誘拐された親も、心穏やかではなく……ダンやジャスミンがルゥの占いに頼ろうとしてしまう辺り、困惑が窺える。

それでも徒に能力を使おうとしない、正確には使えずにもどかしい想いをしていたルゥの事を思うと、心が痛む。

 

最終的には全員が生還していましたが、その後リィが他の生徒からとある被害を訴えられる自体が起きたりして、なんともややこしい。

ファビエンヌが原告弁護人相手に食いついたり、リィにしっかりと主張しなさい! と言ってくれた場面、好きですねー。

後は最低でもリィに命を救われたのと同じ回数報いろと言うダンとか、息子のために行動してくれたアーサーとか、いいキャラが多すぎる。
裏側でてんやわんやになってた連邦の事も、嫌いじゃないですよ。「それを証明して」というルゥの要求が、重かった……。

【2巻】クラッシュ・ブレイズ スペシャリストの誇り

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「さっきの話の続きだけどな。俺はここで真面目にフットボールをやるつもりなんだ。それを『なんで手を使っちゃいけないんだ』なんてふざけたことを言う奴に邪魔されるのは迷惑なんだよ」

 

中編「ファロットの美意識」と短編「ジンジャーの復讐」、「深紅の魔女」の3編を収録したエピソード。どれも好きで、読んでいて楽しいエピソードですね。

……まぁ「ファロットの美意識」はセントラルで起きた連続殺人事件にまつわるエピソードで、なかなか血なまぐさい話ではあるんですが。

 

連邦宇宙で育ったアネット・ヘッケル女医。

彼女は以前暴れ回った元職業暗殺者のレティシアの事を怪しんでいて……シェラやヴァンツァーといった彼の友人(とアネットは考えている)相手から情報収集しようとしますが。

 

ファロット一族の殺しはあくまで仕事であって、それを達成するために技を磨いたし、殺すときは容赦しないが、こんな真似はしない。そういう共通認識が、レティシアを嫌っているシェラからも出るのが良いですよね。

素人の犯行で「こんな下手には切れない」とか「名誉棄損って言うんじゃねぇの」とかパワーワード出てるのは笑えました。

 

レティシアは人畜無害な学生だと示すために、デートするくらい親しい友人がいるって形で示そうとしてたのは笑いましたが。

その為に借りを消費したりしてて、何か考えてそうではあったんですよね。それはそれとして、デートのためにルゥのアドバイスをもらいつつしっかりコーディネートを整えているリィは真面目です。

 

短編「ジンジャーの復讐」は、タイトル通り彼女がある映画の主役を降りることから始まる大騒動。いやぁ、ジャスミンの行った彼女を敵に回しちゃいけないってのが全てのエピソードですよね。

結果的に膿を出すことになったし、嘘は言っていないけれど真意はジャスミンの推察通りなんだろうなぁ、とも思えるジンジャーが好きです。

 

「深紅の魔女」はシリーズを読んでいれば分かるとおり、ジャスミンが主役の話です。

時間が流れ技術が発展したことで、戦闘機の安全性やパイロットの生存率なども向上したようですけど。過度にそれを重視するあまり、失われてしまったものもあって。

古の戦闘機乗りたちが、テンションを挙げてるシーンが、彼らの積み上げてきた時間とか誇りを感じさせて好き。

【1巻】クラッシュ・ブレイズ 嘆きのサイレン

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「天使。頼む。今回だけはどうしてもお前の力が必要なんだ。俺を助けてくれ」

 

ケリー・ダイアナ・ジャスミンの大人チームと、リィやシェラ、ルゥ達のチームとの話が重なっていて、これまでの物語の積み重ねを感じますねぇ。

あくまで眠っているだけだから、とジャスミンの生体情報をクーア財閥の認証キーの最優先に設定していたケリーは、いい性格してます。

 

幹部連中はアレク以外はジャスミンの事を知らなかったのもあって「貴女にそんなことを言う権限はない」とか口走ってましたが……眠っていただけだから、財産もしっかりと継承してるので、財閥の総帥は彼女だって言うのが分かってないのがなぁ……。

まぁ、いきなりやってきた過去の人物がトップに立ちますと言われて、すぐに飲みこめるものでもないでしょうけど。

ジャスミンの、四十年ものブランクがあるため運営に口を出すつもりはないけど監察はするって距離感は、上手い落としどころだと思います。

 

屋敷に戻って執事バーンズと対面したり、引退したマヌエル一世の下に会食に行って……そこで辺境で起きている奇怪な事件について知ることに。

同じエリアで短期間に連続して起きた宇宙船に生じる不具合。それを調査に赴いたら、通常とは違うダイアナすら影響を受けてしまって……。

やむを得ずルゥに手助けを頼んでましたが。情報が少ない中ルゥは良くケリーたちのところに辿り着いたものです。……その過程で、連邦の中枢の人物が恐怖を味わう目になっていましたが、まぁ、うん。過去の因果が報いた結果だから……。

 

ルゥはケリー達が読んだ助っ人でしたが。その辺境の星に、体験学習で訪れていたリィとシェラが居たのは、結果としてはとても幸いなことだったでしょう。

機械に頼らない生活を体験する授業って事ですが……この二人にとっては、何一つ問題がない生活ですからねぇ。他の生徒よりもレベルの高い課題を課されることになって、それも難なくこなしていたのは流石のひと言。

 

問題への対処に必要だから、とルゥが本気で歌うことになりましたが。戦闘面を担当する女王と海賊が、彼女たちの本領を発揮できる舞台で、影響を受けてしまうのが、それほどに強い歌だと読者にも伝わってくるのが好き。

……地上で歌を鑑賞しているだけのリィとシェラは、かなり穏やかな気分だったでしょうけど。海賊が天使に向けている信頼が、とても尊くて好きです。




余談)リンクを張るためにBOOK☆WALKERで作品を確認した所、シリーズまとめてストアに登録されたみたいで、順番がバラバラです。今から紙でシリーズ購入するのは大変かと思いますが、電子版に手を出す際はお気を付けください。

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 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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