気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

電撃の新文芸

異世界のすみっこで快適ものづくり生活~女神さまのくれた工房はちょっとやりすぎ性能だった~

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「どうでしょう。レガリア。覇者として、現人神として――君臨し、暴食されますか?」

浮かんだ返答は、ごくシンプル。

「そんなことしたら、ミスティアが、一緒に驚いたり喜んだりしてくれなくなるだろ」

 

命を落とした一介の社畜ソウジロウ。

生前に女神の像を綺麗にした、という事を評価されて異世界に転生できることに。

成人した肉体はそのまま異世界の森に放り出されたわけですが、女神様からクラフトギアという様々な工作に使える神器を与えられたのもあって、異世界的には未踏の危険な領域とされる森でも、一人で暮らしていける状況ではありました。

 

ただその森の資源の平和利用を訴えるハイエルフの女性、ミスティアと出会ったり。

神器か、はたまたソウジロウの創り出す環境が魅力的だからか、伝承に語られるような精霊獣が多くよってくることになって。

魔法で布を織れるシルキーモス、土壌に影響を与えるリドルズ。はたまた気ままな妖精サイネリア。狼だけどまだまだ子犬チックな可愛さを持つマツカゼなどなど。

少しずつ住んでいる場所がにぎやかになっていくのが楽しくて良いですねー。

ソウジロウの他の転生者である、闇魔法の使い手である少女チグサもやってきたりして、一緒に暮らすことになったりして、話題には事欠かないわけですが。

 

……ハイエルフの伝手で街に資源を売りに行って、必要な調味料なんかを買い出しに言ったりも言ってましたが。

希少性ゆえにソウジロウの持ち込む素材は高値が付き……それなりの商会が手形を発行して、対応に苦慮するほどのありさまでしたが。

ミスティアが「浮世離れがますます加速して織るではないか」と言われているの、ちょっと笑っちゃいました。ソウジロウもこの世界の常識に疎いのに、そのあたりをフォローしてくれるミスティアが浮世離れしてたらそりゃストッパーないよなぁ……みたいな。

物語の黒幕に転生して4~進化する魔剣とゲーム知識ですべてをねじ伏せる~

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「俺を信じて、そこで待っていてくださいますか?」

(略)

「ずっとずっと前から、何もかも信じてるわよ」

 

作中でヒロイン2人が普段と違う衣装を着ているシーンを、しっかり口絵でカラーイラストにしてくれたのは実に良い仕事をされましたね! とても可愛くて良いと思います。

これは鈍感なレン君でも言葉に詰まってしまうのも無理はない。

 

帝国士官学院は、一昨年にはバルドル山脈での事件が起きたり、それ以降は英爵家の子どもたちが入学したりと注目を集めている時期であった。

レンしか知らないけれど、勇者ルインの血を引くゲーム主人公のヴェインもいますしね。

さらに二年に一度の獅子王大祭と呼ばれる祭りも控えていて……。士官学院の生徒も参加する、弁論や剣に魔法といった様々な分野でしのぎを削る大会であって、レオメルが国を挙げて行うイベントだとか。

しかし前回の大祭はバルドル山脈での事件の影響を受けて、そういったイベント部分を排除して学生のみの無観客試合をした関係で、4年ぶりとすら言える大祭は準備段階から盛り上がっていて……。

 

士官学院に入るような生徒たちは、だからこそ実技の大会への参加を希望して……準備を手伝う実行委員への立候補者が0名という事態になってしまったとか。

家の事情やユリシスからの頼まれ事が入りそうだ、ということで競技への不参加を決めていたレンとリシアは、学院長のクロノアに頼まれて実行委員になることを決めて。

レンが声掛けをしたことで、フィオナや第三皇子ラディウスに加えて、ラディウスの伝手で彼の側近みたいな少女ミレイも参加することになって。例年よりも半分くらいの人数ながら優秀なメンバーが揃ったのは良かった。

皇子であるラディウスを呼び捨てにして、気安くふるまっているレンを見て、「皇子相手にそこまで出来るなら、自分たちも呼び捨てにしてくれても良いのに」と思うリシアとフィオナが可愛かったですね。

 

剣技の授業でレンが他の生徒たちに実力を披露することになったり。

任務で長らく国元を離れていた、獅子聖庁の長官エステルが帰還してレン達との接点が増えてきたり。……以前、謎に手助けしてくれた剣王が、推定アシュトン家の調査をしていたり。楽しいイベント盛りだくさんでしたが。

今回は、ローゼス・カイタスにある時の檻と呼ばれる人知を超えた封印を見に行った際に、レン達がなぜか封印の内部に迷い込んでしまい、封じられていた存在と戦う羽目になったりしていたのがやはり山場と言えるでしょう。

レンが自分の秘密を打ち明けたり、一歩踏み込んだ部分が現れたり。さらに気になる要素が増えて行ったりと、実に良い展開だったと思います。

書籍書下ろし要素であるククルが時折登場して、使用人とかにも受け入れられたりしてる感じなの、微笑ましくて良かったですねー。目下、可愛い要素ではありますが、フレーバーテキスト考慮すると後々すごく強くなりそうなんですよねぇ。可愛いままでいてほしさもありますが、どう成長していくんですかねぇ。



リビルドワールドⅧ・下  偽アキラ

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「全くです。本当に、アキラはいつもこんな感じです。だから、今回も大丈夫ですよ」

 

アキラの偽物が現れ、都市幹部ウダジマを殺し怪物を従えた状態で建国主義者を名乗り、都市幹部への復讐を宣言した。

……そんなトラブルが発生したことで、賞金首となってしまったアキラですが。彼に恩が売りたいという部分や、敵対したくないからという思惑があれど協力してくれる人や心配してくれる人がそれなりに居たのは良かったですね。

 

都市幹部のイナベとも繋がって情報を得られたのはありがたかったですね。

アキラを良く知るものは彼ならば死地を乗り越えて来ても驚かない。けれど、アキラを良く知らない人物は、第3奥部から脱出できた奇跡的な出来事には裏があったのではないかと勘繰る。

さらに都市幹部イナベをして、アキラに賞金が掛けられた経緯には謎が多いそうで。実際その賞金を懸けたのは、アキラと同行している優秀な旧領域接続者であるシロウを取り込むための一手として、アキラが一時的にでも姿を隠してもらった方が都合が良かったからだそうで。本当に何考えてるんですかねぇ……。

 

アキラへヒカルが支援をするためのスケープゴートとして、トガミが協力してくれることになったりして。ドラゴンリバーとの縁もあって、隠れ潜む生活にしては余裕があったのは良かったですけど。

偽物のアキラは行動を止めず……シェリルたちの前に現れて彼女を攫ったり。ミハゾノ遺跡に謎の人物を伴って現れたりもして。

アキラとの付き合いが長い分、偽物だという事に気付いていたことと、シェリルが攫われる場面に鉢合わせたために攫われたシジマ、不運にもほどがあるな……。

 

偽アキラが伴っていた少女が、シロウが坂下を離れてまで探し求めていた相手だったらしく、一度は再会できたものの事情を抱えている彼女はシロウの手を取らず。

シロウの護衛をしていたハーマーズが独自行動で敵対しに来たり、彼の護衛であるオリンピアによって旧世界のリオンズテイルとの縁が出来たのを、レイナ達以外の現リオンズテイル社の面々に目撃されたりもして。後の火種は尽きないなぁというところもありましたが。

 

周囲の協力やアキラの成長もあって、対偽アキラ戦の初戦は割とあっさり決着して良かったですね。

……まぁこれだけ派手に動いている相手の手札が、それっきりなハズもなかったわけですけども。シロウのサポートで助かる部分もあるけれど、坂下とのトラブルも同時に付いてくるような状況で天秤が釣り合ってるのかどうか。

まぁそれでも貸し借りという判断基準において、彼との距離感を保っているアキラは相変わらず彼らしいというか。脅されても情報は売らないけど、貸し借りの帳尻を鑑みて無理に助けようともしない、と判断する辺りとかは本当にアキラっぽくて笑った。

偽アキラ騒動については、いったん決着ついていましたが。先にふれたとおり、火種はまだまだあって……より大きな勢いがつきそうな状況なのが、どうなりますかね。

 

巻末の次巻予告、書籍版オリジナルエピソードは嬉しいですけど、だからこそ時間がかかるようで2025年予定かー。春夏秋冬いつかも明示できない状況っぽいので、まー気長に待ちましょう。

Unnamed Memory after the end4

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「俺は、ずっとお前の傍にいるからな」

(略)

「知ってますよ。信じてます」

 

完全書下ろしで贈られる、アンメモアフター第4巻。

魔法大陸と東の大陸の呪具の捜索は進めていたが、近ごろでは成果がなく。

大陸分割神話によって、この世界は1つの大陸が5つに分かたれたことが分かっていたため、残り5つの呪具を求めてオスカー達は別大陸を求めて海路を旅することに。

 

海は危険なので、ティナーシャが船を浮かべて空路を行ってる時間も多かったようですし、それだけの事をしてもなお半年かかったそうですから、一般的なアイティリス大陸の住人がこの新天地を目にすることってほぼないんじゃないでしょうかね……。

魔法士を狙った襲撃が隣の大陸から起きて、その侵攻による忌避感から外部への進出が止まったという流れもあるみたいですし。

 

章扉で虚無大陸と題されていましたが、オスカー達が到達した場所は現地住人が誰一人として存在せず、滅びた街しかなかった。

調べても調べても滅びた村と街しかなく……最終的にオスカー達は、野営では休まりきらないからと、拠点を創り出していたのは笑っちゃった。

もとからあるもので使える物を使ったりしてましたけど、オスカーもティナーシャも長く生きてきた経験で色んな技術身に着けているし、ティナーシャは精霊術士でもあるので開拓めっちゃ楽しんでて良かったですね。ほのぼのした。

 

 

そんな人が生きていない場所で、オスカー達がただ一人出会えたのがナフェアという少女であった。

呪具によって統一された言語を経験していないナフェアとオスカーが、最初は言葉が通じなかったけれど……Babel時代に雫が遺して今も伝わっている言語学習用のアイテムが活用されていたのは、このシリーズならではの繋がりを感じて味わい深かった。

 

WEB既読の民として、五大陸の一つが「楔しかない」って言う情報は知っていたんですよね。その真相がアレかぁ……と思うと、無常を感じたと言いますか。

長く続いていた停滞に決着を齎すのが、逸脱者たちであるというのは良かったですね……。未来への希望ではなく、過去の思い出に準じたのそれだけの想いを感じて痛かった。

 

ナフェアと交流できたことで情報が得られて。ティナーシャが派遣していた海への探査。ナフェアの居た大陸しか見つけられなかったのは、残り2大陸は神の遺した力によって封じられていたから。「水の檻」で覆われているため、そのまま「檻中大陸/埋没の大陸」と呼ばれていましたが。

後半はその埋没大陸についてのエピソードでした。魔力がエギューラという呼称で認識されていたり、魔法として出力する文化がなく……むしろ病気とみなされていたり。

雫の故郷である現代地球に比べると未成熟な部分はあれど、車や銃と言った科学技術が発展している、これまでの大陸とはまた違った毛色の大陸でありましたが。

 

7章「新天地」の冒頭が、外部者たちの世界の描写で送り込む呪具についての会話が一部

収録されていたのは、嬉しかったというか。世界観の解像度上がっていくのは良いですよね。……それはそれとして、「影響が出るとしても良い影響のはずだ」とかいう楽観が含まれてるのは「この……」って気持ちになったし。

送り込む呪具が壊れた時にも作用するような補完性を持たせようとしていたりするのは、もうちょっとお手柔らかにって思う気持ちも沸いたりしましたが。

でもエイリアドの「挑み続けるという意思が大事だ」という願いに似た祝福が、嫌いじゃないんだよなぁ……。エルテリア製作者……。

 

埋没大陸は人が生きている場所だったので、序盤は大陸に馴染むためのエピソード。そして後半が本命である呪具にまつわるエピソードとなっていましたが。

なんというか、ままならないなぁと思ったと言いますか。「良い影響のはずだ」とか言ってた外部者を見てからだと無駄にダメージがありましたが。

この大陸の楔が秘匿し続けた神代の遺物に触れてなお生還できたのは何よりでした。……毒を貰ったような状態で、緩やかに死に向かっている状況にはなってしまってましたが。

それでも。幾度繰り返しても別れが痛むとしても。ただ静かに見送れる時間が与えられたのが、良かったなと少しだけ思いました。失われない方が、なお良いに決まってますけどね。


異世界帰りの勇者は、ダンジョンが出現した現実世界で、インフルエンサーになって金を稼ぎます!

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「下のクラスの人たちなら素直に表示どおりだと思うのでしょうけど、特別クラスに所属している人たちは、あきらかにおかしいと思っていますよ」

「そう思うのは個人の自由だけどね。そもそも今のこの世界において、すべてをさらけ出すことが本当にいいことなのかな?」

 

主人公の古谷良二は、異世界に召喚され魔王を討伐した勇者としての顔を持つ男子高校生。

魔王討伐まで実に10年もかけたらしいですけど、その偉業の報酬として年を取らず元の時間軸に戻ってこられた。しかし、その直後に両親が事故で亡くなって。遺産目当てのクズ親族に集られることになったりして。

異世界で強かになった彼はそんな親戚には負けず強くふるまっていましたが……。

 

彼が遭遇するトラブルはそれだけにとどまらず……異世界側での行動の結果か、異世界にあったダンジョンが現実世界に突如として現れることに。

さらに、それと同時に世界中の資源が枯渇し……人類はダンジョンから資源を得る方法を探らないといけなくなった。

年齢だけは転移前の状況に戻った良二でしたが、勇者としての知識や経験はそのままで。彼は、誰よりも早く深くダンジョンに潜れる配信者として情報を発信していき、それによって注目を集めていくことに。

 

配信では鎧を着て素顔を隠してましたけど、権力者たちが本気で探れば彼の正体も明らかになってくるわけで。

彼を正しく評価している人たちは報酬を用意するから、若人を鍛えて欲しいという提案だったりをしてくるわけです。なんだかんだ人が良いのと、勇者としての経験はダンジョンで活かせるけども、交渉ごとには弱い部分にある(というか金持ちの懐具合を読み違えまくってる)良二くん、ちょっと心配になるときもある。

まぁ素のスペックがとんでもないし、彼からもたらされる情報は貴重ですから、そこまで悪いことにはならないでしょうけど。最悪ダンジョンで生活できそうだしな……。

 

一方で、遺産を集ろうとしたクズ親族だったり、彼がインフルエンサーとして稼ぎまくった金を狙って大小さまざまな虫……としか称せないような人々が集まってきてるのは、単調で読んでて気分は良くはなかったかなぁ。

資源の枯渇を早期に確定し情報を発信したと思えば、必要に駆られたとはいえ魔石のエネルギー活用の方法を直ぐに見つけたりして、有能な人々が多いのかと思えば下種も同じくらいの頻度で出てくるのでため息が出る。

良縁ばかりに出会いたいものですが、なかなかうまくいきませんなぁ。

異修羅Ⅵ 栄光簒奪者

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「諦めないぞ……ここで諦めたら、私は私でなくなってしまう。私も、諦めたりはしないぞ。アルス。貴様に追いつくのだ。そのためにやってきたのだ……!」

 

おぞましきトロアは、六合上覧で敗退した宿敵星馳せアルスが亡き父から奪ったヒレンジンケンの光の魔剣を回収を最後の仕事としてワイテへ帰還しようとしていた。

しかしその行いは、宝を求める冒険者アルスを刺激することになり……因縁のアルスVSトロアという、六合上覧外での修羅同士の戦いが勃発することになるわけです。

 

死んでいるハズのアルスが動いたカラクリは、彼が奪ってきた宝の中にあったチックラロックの永久機械の作用だった。肉体の喪失部分を機械に置き換えて代用してくれるが……使った時点で以前とは同じ生命体として在ることはできず、意志もドンドン失われていく。

製作理念としては肉体を機械で補って生きていくためのものだったんでしょうが、制御しきれず利用者すら蝕むならそれは欠陥品だよ……。

しかし使った宝が欠陥品だったとしても。それを扱うのが星馳せアルスとなればその脅威は計り知れないわけですよ。

 

癖の強い修羅が集うとなれば黄都の周囲で騒動が起きることは避けられず……ゆえにこそ、二十九官もまたそれに備えていた。

相手の弱みに付け込んで蹴落としている、同じ組織の人間だけど完全に背中を預けられるような信頼のない内ゲバ好きの集いという側面ばかり強く見えていましたが。

黄都に対してその力を使う者に対して、魔王自称者認定をして、一丸となって戦いに望んでいたのは驚きましたし格好良かったですね。本物の魔王時代から続く戦時体制、というだけの事はある。

 

一方そんなアルスと因縁のあるハルゲントは……冬のルクノカという脅威を擁立し黄都に危機を招いた狂人と評され、アルスが敗れたことによる喪失感もあって、長期療養を命じられて病院に押し込まれることに。

そこで柳の剣のソウジロウと出会って、「恐怖」についての話だったりをしているの、予期せぬ出会いでしたけど不思議とかみ合っている感じがして面白かったですね。

 

しかしまぁ宝を駆使して暴れまわるアルス、本当に恐ろしかったですね。

勇者候補たちへ協力要請がでてシャルクやツーが駆けつけてくれたり、二十九官や黄都の一兵卒だって奮闘して……それでも被害が積み重なっていく。

……こんな恐ろしいアルスを打ち倒すルクノカを擁立してきたら、そりゃハルゲントの狂人評価は順当だろうな……みたいな気持ちも沸きましたが。

 

でも、ハルゲントの狂気って凡人の無謀の枠に収まっているというか。それで犠牲になった部下たちからすればたまったもんじゃないでしょうけど。6巻内で、本物の魔王が現れる前に最悪の魔王と称されていた色彩のイジックの暴虐を見せられると、狂気度合いで言うと常人よりでしょとも思う。

凡人だけど夢に向かって足を止めることをしなかった。自分が「余分」な存在であることを自覚した上で足掻き続けた。多くの人には愚かと言われるだろうけど、その在り方を好ましく思った冒険者が居て……その絆があったからこそ、今回の終わりを迎えることになったのが切なくて悲しい。

至るべき結末だった、感もありますが。第二部完結に相応しい激闘であったと思います。

異修羅Ⅴ 潜在異形種

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「今は進まずにいても、いつか戦いに来る。お前に言ったその強がりを……じゃあ、今の俺が守れなくて、どうする……」

 

今回は逆理のヒロトたちと、黒曜陣営の描写が多かったのでいつも以上に暗躍してるなぁ……って感じがありました。

メレとシャルクの戦いみたいに派手なシーンもありましたけども。

リナリスが空気感染できる得意な血鬼である、という切り札を活かして色々と工作を働いていたわけですが。

ジギタ・ソギはその動きを感じ取って「見えない敵」と呼称し、的確な動きを取っていたんだからお見事。

 

リナリスもジギタ・ソギもヒロトも。

それぞれタイプが違いますけれど、策謀を張り巡らせる力が秀でているのは確かです。

ただ、六合上覧に挑むような修羅に近しい彼等であっても決して万能ではなく……。

例えばリナリスは、表で動く担当だったゼルジルガが見事に成果を上げて戦力を増強することに成功していたわけですが。終盤の展開では、配下を失う失態を演じてもいるわけですし。

ヒロトやジギタ・ソギもまた、この六合上覧を通じて達成したい目標の為に、い協力関係で会ったオゾネズマに伏せていた情報があり……それが耐えがたい喪失に繋がっていくのがままなりませんね。

 

軸のキヤズナという魔王自称者が作成したメステルエクシルという特級の戦力が、状況をかなり引っ掻き回すコマになってしまったことが今後にどう影響していくのかは気になるところです。

参加者がバチバチやりあうだけじゃなくて、擁立者である二十九官の間でも相変わらずの工作合戦があって。

メレとシャルクの戦いにおいて、互いに有利な戦場を確立しようと噂を流した程度は本当に可愛いもので。失点を演じた相手から速攻で権限を剝奪して蓄えた資材を奪いにかかっているの、改めて恐ろしい場所だなと思いましたね……。

でも、メレと彼の擁立者である空雷のカヨンとのやりとりだったり、戒心のクウロとおぞましきトロアの交流とかはちょっとホッとしたというか。この業の深い戦いの中でも……いや、だからこそ輝いて見えるものはあるんだなぁと思いました。



天才錬金術師は気ままに旅する~500年後世界で目覚めた世界最高の元宮廷錬金術師、ポーションづくりで聖女さま扱いされる~

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「さすがに見過ごせないわね。同じフラメルの使徒として。あんたの振る舞いが、師匠の顔に泥を塗る。それを姉弟子としては見過ごせないわ」

あのろくでなしの師匠のことなんて、別に好きでもなんでもない。

ただ錬金術師としては尊敬してる。

 

史上最年少で宮廷錬金術師になった天才、セイ・ファート。

彼女は伝説の錬金術師の弟子であり、弱冠20にして宮廷錬金術師となった、ということを妬まれて所長から「明日までにポーション1000本、追加で作っておきなさい」なんて無茶ぶりをされるような社畜生活を送っていた。

元は師匠の無茶ぶりから逃れたくて、宮廷での働き口を見つけたみたいですけど。若さでねたまれて仕事を積み上げられて。それを実際にこなせてしまうから、なおのこと嫉妬されるんだろうなぁ……。

 

ちなみにそんな無茶ぶりされて辞めてないのは、やめるのもダルいし、辞めた後に野良で錬金術師やるとなれば自分で商人と交渉して素材を仕入れたり、販売の契約を取り付けたりしなくちゃいけなくて面倒だって言う無精な性格ゆえでしたけど。

一応、最低な面が多いけど恩義がある師匠が推薦してくれたからって義理もあるとは言ってましたが。

「隕石で職場なくならないかなぁ」なんて、ありがちな夢想を愚痴で零して、まだ頑張ろうと奮起したその日に、魔物の大群が王都にやって来るというトラブルが発生。

社畜過ぎて自宅にもあまり帰宅できていなかった彼女は、それに対処できる備えが無くて……止む無く、自宅の周囲に魔物除けを施した上で自分を仮死状態にして、自分の命を守ることを最優先に動くことに。

 

そうした結果、見事生き延びたのは良いですが。実に500年もの間眠り続けることになっていて。

その時間の流れの中で、多くの知識が途絶えてしまって……。セイのやることなすこと、この時代の人からすれば、トンデモない偉業に映ることに。

……いやまぁ、500年効果を保つ魔物除けとか作っちゃうあたり、当時からしてセイの製作物の性能はずば抜けていたと思いますけども。

 

セイの目線ではそこまで大したことをしていなくても、善行・偉業を成していく彼女を慕う人々から、聖女様のようだと噂されることになって。

変にあがめられるのを嫌がったセイは、奴隷として庇護した少女たちを伴って旅しながら生きることになるわけですけど。当人的に大したことないと思ってるものだとしても、せめて対価はもらいなさいよ……そんなだから社畜として所長にこき使われていたのでは……? とかは思いましたが。

サクサク読める分かりやすいファンタジーという姿勢を貫いていたのは良かったですね。



もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~3

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「兄上がやらかしてくれても良いのだぞ? 無論、その時はライブで!」

「いやいやいや。俺とミオンはもうちょっとこう、のんびりな感じのチャンネルを目指してるんだってば……」

 

本土ではワールドクエストが進行。帝国で第二皇子が第一皇子に反旗を翻して公国建国を宣言して不穏さが高まっている状況で、新たな街の開発と維持だったりが目的として提示されることになっていましたが。

 

無人島でのんびり生活をしているショウにとっては与り知らぬ話で。

ミオンとルピと一緒に無人島ライフを満喫してるんですよねぇ。制作スキルが高かったり、素材を独り占め出来たりするのもあってか、なんかベル部長よりも性能の良い装備創り上げたりしているし。

小屋の整備を進めてセーフティポイント増やしたり、より快適に過ごせる環境を作ったりしているし。また新しいスキルを獲得したり。これはこれでゲームを楽しんでいるなぁ、という感じです。魔法を活かして料理したりしてますしね。

 

その過程でなんかフェアリーとの親交を深めることになって、新たな住人として迎え入れることになっていたりして。

情報を小出しにしていくつもりが、自由なフェアリーがしれっと放送に映り込んでたの笑った。なんでセルフで公式がやったような「調教スキルネタバレ」みたいなことやってるの。スウィーが自由すぎるせいですね。

 

ゲーム以外だとミオンの母親とリアルで対面したり、手料理を振舞ったり。

彼女の家が事務所経営していたことで、名義上ミオンがそこの所属になった上で、ショウとミオンのチャンネルの利益をそこの子会社の売り上げということにしてくれることになったり、相談相手を用意してくれたりしたのは実際助かると思います。

また終盤にゲーム内でトンデモアイテム発見したりしてますけど、楽しんでるのでヨシ!


チュートリアルが始まる前に~ボスキャラ達を破滅させないために俺ができる幾つかの事~3

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「だから今、俺達が真っ先にやらなきゃなんないのは、アイツに、アイツの弱った心に、少しでもたくさんの栄養と休息(楽しさ)を与えてやることだと思うんだ」

(略)

「俺達がアイツの拠り所になるんだ。楽しい思いでをいっぱい作って、何も気にせずガキがガキらしく振る舞えるような、そんな、“実家のような場所”になるんだよ」

 

ユピテルの契約精霊ケラウノス。

とりあえず一回叩いて大人しくさせて、さらにアルの能力で封じることでユピテルに安寧を齎すことには成功していましたが。

彼女が抱えている問題を解決するには、ケラウノスを調伏……要するに力を示して新しい契約を結ぶ必要があった。

そしてそれには、契約者であるユピテル自身の頑張りも必要になる。けれど、彼女はそれまでの経験で精神的に傷ついていて。

 

凶一郎はそんなユピテルの拠り所になろうと奔走するんですよね。

そして凶一郎の姉はもっと懐が広くて、叔母さんも巻き込んで穏当に家族になりましょうって言いだすんだから良い人ですよねぇ。

 

未来について知っている凶一郎は悲劇を回避することを目的としているわけですが。原作の愛好家出会ったのも確かなんですよね。メインストーリーの関係者を自分の挑戦に巻き込んで、何かの間違いが起きたら困ると二の足を踏んでいる部分があった。

そこで「創作の話」という嘘を用いて、姉に相談した時に……万一のリスクは全員が負っている、『運命』を言い訳にしていると指摘されたことで、彼の武器がまた増えた感じがして良かったですよね。

 

お守りと称してユピテルにデメリット付装備を渡すことで、ステータス上げつつ敵にデバフかけてるの、有効手段ではあるけどバグ活用している感があって笑えましたね。

ユピテルの問題が解決した後、エリザからの相談を受けて原作知識を基にアドバイスをして。その結果、無事に解決できていましたが……エリザたちが雇った黒騎士に「不思議な知識を持つ存在」について知られて。

WEB読んでいると、良い交渉材料にはなりそうだなぁとは感じたというか。続きが楽しみになりました。



プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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