気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

電撃の新文芸

もふもふと楽しむ無人島のんびり開拓ライフ~VRMMOでぼっちを満喫するはずが、全プレイヤーに注目されているみたいです~

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「あの時は一人のんびりって言ったけど……二人のんびりの方が楽しいかな」

「良かった……」

 

WEBからの書籍化で、たしかカクヨム先行連載。WEB既読です。

書籍化にあたってタイトルが分かりやすくなったのはいいんですが。WEBだと小分類として「1日目(日)」って曜日で分けられていて、その中に何話かエピソードが入るって感じなんですよね。で、その話に「第2話 初見です」みたいなタイトルがついてたんですよね。

書籍化でそういう話タイトルが消えて、目次が○曜日で染まってたのはちょっと笑ってしまった。

 

新作VRMMOをプレイすることにした主人公。           

しかし彼は、通常のプレイヤーが選ぶ帝国・王国・共和国といった初期スタート地点から始めなかった。

たまたま島を選べることに気が付き、誰かと一緒にプレイするとそっちの人に楽しんでもらうのを優先してしまうから、と秘密基地を作るノリで無人島ソロプレイをすることにした。

配信設定がオンになっていたことから、ミオンという視聴者との縁も出来て……。

 

そして進学先で電脳部に所属する事にしたわけですが。そこに属する先輩が配信者として活動をしていて、電脳部の備品もその利益から出してるとか言うんだから驚きです。私学とはいえアリなのか。

で、一緒に見学に行ったクラスメイトの少女が、自分の配信を見に来たミオンだったこともそこで発覚。

ショウがプレイする風景をミオンが実況する、コンビ配信を行っていこうと言う事になりました。

 

無人島で使えないのもあって、初期作成時の所持金もなし。その代わり、先駆者として育成に使えるポイントをゲットできて、それを活用して一人でなんでもできるように積み重ねていくことになるんですよね。

途中で表紙に居る狼の魔物をテイムしたりもするんですが、その際に取得した調教スキルもまた初取得でしたし。他のプレイヤーとは違う遊び方をしている関係で、工夫を凝らす必要が生じて、それが新発見につながっていくんですよね。

1巻時点だとまだまだ控えめなんですが、それでも前線で戦っている部活の先輩が驚く情報を齎したりしてますし。本人たちが楽しんでるのが伝わってくる作品で、のんびり読めるのがいいですよ。

 

野生の JK柏野由紀子は、異世界で酒場を開く

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「どちらを選択しても、成功すればよかったと言われ、失敗すれば悪く言われる。私はこのお店を保つので精一杯よ」

「それができない奴の方が多いのさ。これまで多くの店が潰れるところを見てきたのでね」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで430日まで

タイトル通りシリーズ。猟師の祖父に懐いて色々な知識を教わっていたJK柏野由紀子。

友人たちから『野生のJK』なんてあだ名をつけられるくらい没頭していて、部活に所属もせず山に入る日々を送っていた。

そして祖父が亡くなった後、山に残されている罠を回収するために入った彼女は……気がついたら異世界に迷い込んでいた。

 

魔法が存在する世界で、酒場を営むことになった彼女でしたが……この世界は、魔獣を狩ったあとの肉の処理が甘く、血のにおいが残りそれを隠すためにハーブを多用する料理が多かった。

望んだ水準の肉が得られないから、自分で狩猟して賄ってる辺り本当にタフですねぇ。学友たちに『ユキコは、どこでも逞しく暮らしていけそう』とか評されていたのも納得。

 

さらに彼女は異世界に来たことで魔法の才能も得ていて。戦闘に使えるような火力はないみたいですが……。

「指から味噌と醤油が出せる」「水、食料、調理器具なら無限に仕舞える保存庫」とか言う料理人になれと言わんばかり能力なのは笑ってしまった。

 

魔法の適正も全部の属性にあって、氷を作ったり火種を作ったりで本来は時間のかかる工程を短縮できるのは強すぎる。まぁユキコの特殊技能に頼りきりになってしまうと、彼女の休みが消失するし、あまり良い事でもないですけど。

常連が出来てその伝手で信頼できる人員を雇って仕込める量を増やしたり、基本的には無理しない方針でやってるようですし、その辺りは大丈夫か。

ところどころ説明がくどく感じたりする部分もありますが、タイトルに惹かれた人なら満足できる作品だと思います。

 

リビルドワールドⅥ 望みの果て

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「随分と義理堅いのですね」

「金も力もねえスラム街のガキが出せるものなんか、義理と命くらいだ」

「他に出せるものが無いからといって、それを差し出す者ばかりではありませんよ。投げ出す者は幾らでもいますが」

 

アキラの装備更新費用として、都市幹部のイナベが遺物の情報を口外しないという取引を込で20億オーラムも出してくれることに。

それは彼が口にした通り不安の現れであり、シェリルへの減点ポイントだったんでしょうけど。その後でシェリルは、ヴィオラとのやり取りを経て自分の軸を改めて見直し、次の機会にはイナベに「油断できない相手となった」と思わせたのはお見事。

 

まぁ同時に、裏工作の協力者だからこれくらいはしてもらわないとも思っているので、ここで気を抜くとまた減点入って、最後には切られかねないのが権力者を相手にしてる時の怖い所ですが。

自分が一蓮托生にする相手はアキラだ、というシェリル自身の覚悟を忘れなければ、これからも頑張ってほしいものです。

 

後ろ盾になっている組織運営はシェリルに。各種交渉に関してはその都度縁があった人……結構な割合で、無理無茶無謀好きのキバヤシに投げているので、アキラってかなり腹芸苦手なんですよね。

でも、これまで覚悟を担当して闘い抜いて来たのは伊達じゃなくて、時間をかければ読み解ける部分も増えるっていうのが見られたのは、成長を感じられて良かった。

今回アキラは、あらぬ疑いをかけられてそれを払しょくする必要が出てきた訳ですが。その言いがかりの中心に居たのが「いずれ殺そうと思っていた相手」だった為、それなりに乗り気で戦闘に参加。

 

言いがかりを付けられる切っ掛けになったのは、ツバキハラ方面で旧世界製の情報端末を持って帰っていたからって言うのにも気が付いていましたし。

通信障害によりアルファとの接続が切れたタイミングで接触してきたツバキ相手に、隠し事苦手だからアルファについての情報は聞かないし、契約を打ち切るつもりもないって啖呵を切ったシーンは結構好きです。

アルファが自分の信用を勝ち取るために工作してるのにも気が付いてるけど、命の借りがあると覚悟決めてるのは良かったですよね。

 

あと今回地味に好きなポイントは、遺跡探索中に警備機械が124と増えていったから次は8体かと思いきや16体きて「機械なんだからそこは機械的に対処しろ!」ってアキラが叫んだシーン。妙にツボに入ったというか、やたら笑えた。

ヤナギサワとネルゴの、旧領域接続者トークとかも好きなんですよね。ああいう情報開示回って楽しくないですか?

 

ティオル周りの騒動にも、概ね決着をつけることには成功しましたが……その情報を得てるマッドな研究者がいるのが後々どう影響するのかはちょっと不安か。

まぁティオルはかなり状況を動かしたけれど、彼自身も誰かの思惑で動かされてばっかりだったわけで、順当な結末だった気はします。

 

それよりも今回触れなくてはならないのは、ついに互いに引けない状況でぶつかり合う事になったアキラとカツヤでしょう。

口絵でも描かれていますし、今回のタイトルもまた『望みの果て』で区切りとなるエピソードなのは分かっていました。

WEB既読ではあるものの書籍は結構イベントの流れとかが変わっていて、此処に至るまでアキラとユミナの交流シーンも増えたこともあり、果たしてどんな幕引きになるのかワクワクしてたんですが……そうか、ああなってしまうのか。

 

これは、なるほど『望みの果て』だわ。これまで感じていた苛立ち任せではなく、お互いに退けないと理解して、終わらせるために戦ったシーンはとても静かで、胸に迫るものがあった。

それでも最後に、アキラが泣けたのは良かったかなぁ……。シズカさんグッジョブでした。

 

新章となる7巻が今年発売予定と巻末広告あったのは嬉しかったですね。WEBとは決定的に違う道に入ったこれからの物語が楽しみなのは間違いないので。

でも、流石に書き下ろしが多くなるからか、これまでとは違ってサブタイトルとかアオリ文は少な目だったので、続報を待ちたい。

リビルドワールドⅥ上 統治系管理人格

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「無知は人を殺すっす。知りたがりは早死にするっす。その辺のバランスをしっかり見極めることが大切っす。さあお嬢。姐さんに良いところを見せるっす」

 

スラム街の一件の後、アキラはアルファのサポートを受けてクズスハラ街遺跡の奥へと向かって。

そこには迷彩で隠された今も稼働する旧世界の施設があり、アルファがそこの管理者と交渉した結果として、旧世界の遺物をゲットする事に成功。

旧世界の定義で言えば廃棄品にあたるそうですけど、季節による商品の入れ替えなどなどで出たものだから品質に問題はないとか。そこでアルファが言ってた、「最初から廃棄品狙いだったら交渉の可能性がある」って下りはちょっと面白かった。

アキラの場合武力以外にアルファって言う窓口があったから上手くいってるだけで、普通はそう上手くいかない手口なんだろうなぁ……。

 

そうやって得た遺物をシェリルの販売所に持ち込んで。旧世界の情報端末があったことで、いろんな思惑が蠢きだしてると言いますか。

ヴィオラは相変わらず暗躍大好きで好き勝手やってるなぁ。最終的に利益を出してるのは間違いないと思うんですけど、早いうちに排除しておいた方が安全なんではないだろうかって思ってしまう。

でも、都市の幹部を相手取るにはシェリルじゃまだ不足してる部分もあって、今回で言えば事前に高級料理に慣れさせてくれたりしたのは助かってるので、うーん難しい。

 

アキラは先日人型兵器を蹴散らした関係もあって、キバヤシから強制依頼を持ち込まれることに。もっともそれは基本的には不利益をもたらすものではなく。

ランク詐欺状態だから、ハンターランクを適正値にするために実績を積んでもらう調整依頼で。

こちらはこちらでいろんな思惑が重なって、ユミナが同行者になってましたが。いやぁ、書籍版だと彼女とアキラの交流が増えてて面白いですね。

ユミナの方は先を往くカツヤに追いつくために必死なようですが……カツヤについてる幽霊がネットワークに取り込めないから……って危険視されてるのが恐ろしい。

 

アキラとの交流によって、それぞれの在り方を見直すようになったレイナとトガミが同行して遺跡探索してる様子とかも結構好きですねー。

で、なんの因果かそこにアキラが現れ一緒に遺跡探索するようになって。同じ情報を得て探索に来たから、って事でしたけど。報酬交渉の複雑化は避けられないし、いやぁ普通のハンターは考える事多いですな。

アキラは交渉ダメだから大体他の人に委託してるからな……大体キバヤシ。利害が一致してるからいいか。

 

今回登場した管理人格ツバキが色々と手を回して、状況が動いていますが。

後に波乱を呼ぶカードの事とか、ティオル周りのエピソードとかも書籍化に際し加筆修正されて、まとまりが良くなった感じがして読みやすかったです。

そして来月発売のⅥ下巻のサブタイトルが「望みの果て」で、シリーズ前半戦クライマックスとも謳われてるんですよね。WEB既読勢としてはなっとくのアオリなんですが、書籍化にあたって結構変わってる部分もありますし、さてどんな決着となるのか。今から楽しみです。

Unnamed Memory –after the end-1

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「心配しなくても、充分優先してもらってます。だって私と一日中一緒にいてくれますし」

「おれが一緒にいたいからな」

「あと私のために変節しなくていいです。王であったころから、そういう貴方のことが大好きですよ」

 

16巻で完結した『Unnamed Memory』。その本編後の時間軸を描くエピソードですね。

感想記事にはネタバレも含まれますので『Unnamed Memory』を読んでない方はご注意を。

 

同じく電撃の新文芸から刊行された『Babel』は、『Unnamed Memory』から300年後の物語となっていましたが、ate1巻はUM6巻~Babel1巻の間の時間軸を描いています。

作者様サイトなどWEB版を知ってる人向けに言うと、「双頭の蛇」などが収録されています。

 

以下詳細感想。

 

いやもう、カラー口絵からして破壊力高いですよね。オスカーが繰り返しティナーシャを着せ替え人形にしている気持ちも良くわかるというか。麗しい……。

エルテリアを砕いたことで、人の理から外れた逸脱者となった2人。冒頭は禁呪を抑えた関係で不安定になったティナーシャが、自分たちの立場について自覚する話だったんですが。そのメッセンジャーがルクレツィアと言うのがにくい。

 

今回も断片的に描かれてますが、最古の魔女である彼女は色々と秘密を抱えているんですよねぇ。

UMateはあくまでオスカーとティナーシャをメインで描く予定なのか、2人の子供たちも登場はしますがWEBからすると割愛された部分とかもありますし。ルクレツィアの情報も、コレだけだと完全には分からないんですよね……。未書籍化の『Rotted-s』とか読むと面白いですよ。

子供達のエピソードも、カクヨム公式連載の方の『Unnamed Memory』のページ(https://kakuyomu.jp/works/1177354054892436933)で発売記念SS『新しく始める前に』が掲載されたりもしてて、描写が増えてる部分もあります。

作者様サイト「noseen flower」内には、ほかにも子供達のエピソードはあるんですが……書籍化による加筆で分かりやすくなってる部分も多いので、今すぐ手を出すべき! とオススメして良い物かは悩ましい部分もありますね……。

 

狂い刃のエピソードとか、nsf内のSSでちょっとだけ触れられてたんですよね。でも、あれがどうやって生まれたのかとか、どんな仕組みで動いているかとかは書籍で詳細が語られた形になってますし。

 

この世界で生まれた呪具として、外部者の呪具を砕く役割を与えられた2人。

オスカーは王位を息子に譲ったのち、死を偽装してティナーシャとその探索に入るわけですが。

大陸が広いということや、異能が存在するため「不可思議な噂イコール呪具ではない」という状況下では、この2人でもサクサク破壊して回るというわけにもいかず。

 

いざ目の前に転がってくれば大体対処出来てしまうのがこの2人でもありますが……。かつてUM本編において、オスカーがアルカキアの毒を食らったように、2人も完全無欠の存在ってわけではないんですよね。

逸脱した2人は不老であっても不死ではなく、喪失を重ねて永い永い旅を続けていくことになるのです。その始まりを描いているのが、「狂い刃」~「双頭の蛇」なわけで。

 

比翼連理の相手を失い、気落ちしまくっている様子はとても胸が痛くなります。その後、再会が叶った時の、これまでとは違ったアプローチをしている様子とかはとても微笑ましく見えていいんですけどね。

UMは本編後が本番、と言うのはこの逸脱後のエピソードの濃さが大きいので、ate2巻以降続いてほしいものです。

リビルドワールドⅤ 大規模抗争

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「それでも、私達はそのアキラの強さのおかげで安心して暮らせています。その強さに助けてもらっています。それは知っていてください」

 

スラム街の徒党。

シェリル達もアキラと言う後ろ盾があることと、シェリルが外向けの「お嬢様の仮面」を完璧に被っている事で、順調に勢力を拡張していますけど……アキラの苛烈さも知れ渡っているために、幹部候補が育ってないとか。

……そんな状態でも他の徒党と商人を巻き込んだ遺物の販売業を行えそうだっていうんだから、トップの強さがうかがえる。

 

小さな徒党もあればより規模の大きい、都市に影響力すら持ちうるファミリーもあって。

2大ファミリーの抗争が起きそうな状態で、どちらの組織もあちこちから金をあつめて兵器を揃えているところだとか。

最後の一押しをするために、シェリル達の徒党が抱えている遺物に目をつけて、圧をかけてくることになって。

 

組織の柵があるとはいえ、アキラは自分が軽視されててキレてる辺り、まだまだ青い部分があるというか。こういう部分があるからシェリルの配下から恐れられてるんだろうなぁ……。

 

ドランカム側も一枚岩じゃないというか、カツヤの力量とその指揮下にあるメンバーの伸びが凄い反面、動きについていけないメンバーも出てきていて。

長い付き合いだけど連携がかみ合わず悩みを得ているユミナが、諍いの俎上に上がりそう。Aチームに合流した元Bチームからも蔑視の対象になっている辺り、組織の面倒臭さが出てませんか……? 旗印のカツヤは足元の不穏さに気付いてないし。

まぁカツヤも「幽霊」の干渉を受けている部分あるから、全部が全部彼のせいでもないですけども。

 

一連の騒動は怪しい情報屋のヴィオラが裏で画策していましたが、彼女の主義主張以外にも都市側の思惑までも加味しての行動だったのはちょっと意外ではあった。それだけ頭の痛い問題ではあったんだろうけども。なんでこんな劇物をコマにするんだ……。

まぁヤナギサワがネリアとかいう元テロリスト配下にしたりしてるし、清濁併せ呑むどころかある程度汚い手段も使えないと、組織の上層部で動けないでしょうけどね。

 

「俺達を巻き込んだか?」というヴィオラへのアキラの問いかけが怖いんだよなぁ。

躊躇いなく打てる主人公の危うさを感じるけど……終始一貫してるブレない主人公ではあるので、その辺り信頼できるとも思ってるんですよね。敵には容赦しない。

この場合ヴィオラも最悪撃たれる覚悟はしていたというか、備えをしてたからある意味イーブンなのでは……?

 

巻末の予告によると、6巻は上下巻同時発売予定で、幽霊の影響を受けているアキラとカツヤの対決が避けられないのか!? 的なアオリ文がついてるので来年の発売を楽しみにしています。

BabelⅣ 言葉を乱せし旅の終わり

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「あの時お前は、俺と戦うために塔から跳んだな」

「はい」

「ならばその命をもう一度使え」

 

雫がキスクに言っている間に、「出来そうだから」で英語の勉強を続けて雫を追い抜いてしちゃうエリクのスペックの高さが凄い。追い抜かれたかも……って雫はショックを受けていました。

無事にファルサスに帰ってきた後は、キスクでやっていたような子供向け勉強グッズの作成をしたり、研究者っぽくなってるなぁという感じ。

 

言語に関する病気の研究はファルサスでも進められていて、雫はこれまでも示されていた通りこの事象を病気とは考えてないけれど、こちら側の魔法士には違う人も居るというのをリラとの会話で示してくるんですよねぇ。

すれ違いがあったけれど、リラが研究に熱を入れているのは妊娠している親族がいるからと言う、一概に責められない事情もあって。

 

それを思うと雫と交流して色々と情報を得ていたとは言え、「いつかそれが当たり前になるかも」と考えられるエリクの考え方は、とても尊い。今回もある部分で引用されていた「混入された便利さよりも、あるべき不自由を望む」って言葉を初期に彼女に伝えてくれていたのも、とても大きいと思います。

 

エリクとの対話を重ねて来て、旅路の中で多くの人と知り合ってきた積み重ねは、雫の糧になっている。

それをシンプルに成長というのは簡単ですけど、カイトに指摘されたように変化・変質でもあるんですよね……。痛いところを突かれて、それで激昂するのではなく「痛みに鈍感で居たくない」と思える彼女の強さが好きです。

 

そんな「強さ」を持っているからこそ、新たに現れた七番目の魔女の居城に踏み込んじゃうんですけどね……。

まぁそれは、今回明らかになった彼女の抱えていた秘密と、ファルサス国王ラルスからの命令が上手く合致して、行かないって選択肢が無かったからでもありますが。冒頭で引用した、改めて彼女が覚悟を示すシーンが好きなんですよねぇ……。

 

エリクの心情とかが加筆されていて、かなり分かりやすくなっていた印象がありますね。彼、超然としている……とまでは言いませんが。苦労する事が分かっているから、止められないって判断を下せてしまう理性が、憎らしかった。

普通に考えるなら、あの考えは正解なんですよ。幸福を願うならば、見送った方がいい。それは間違いなくて、だからこそ最後の雫の判断がまた輝いて見えるんですよねぇ。

あとは、塔外部のエピソードも追加されてたと思います。オルトヴィーンが伝手で連絡を取ってる下りとかもそうですかね。

 

WEBからの書籍化である『Babel』には後日譚となるエピソードも結構掲載されているので、小説家になろうなどもご覧になって下さいな。レウティシアのその後を描いてる「飛ばない鳥」が好きなんですよ、私。

巻末の「手紙」も、姉・海の視点がメインになってますけど、WEBだと他の家族の反応も載ってたりして差がありますし。481Pであっさりと関係が変わったことが明かされた二人の経緯が描かれた「幸福の色」なんかもあります。

 

作者さんのサイト「no-seen flower」に行けば、SSも結構ありますね。「企画作品」内部の「幕間のおはなし」とか、逸脱者側の状況がちょっと描かれていますし。他にも「百題に挑戦」の中にもBabelのエピソードありますので。

Unnamed MemoryⅥ 名も無き物語に終焉を

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『お前の言うことも分かる。だが、昔と今は違う。自分一人で何でも背負うな。後で悔やむくらいなら俺を頼れ』

(略)

『そうしたら、俺が一生一緒に背負ってやる』  

 

Act.2の幕引きとなる、完結巻ですよ!!

最悪3巻まで出たところで終わる愉悦ルートすら示唆されていただけに、ここに来られただけでも感慨深い。

そして、今回は今まで以上に加筆されていて、WEB既読組でも楽しめる事請け負いです。書籍版初出のネタが登場するので、「加筆多いっていう6巻だけ読もうかな?」はあまりオススメしませんが。

 

初っ端から女王として君臨していた当時のティナーシャの様子が描かれていました。

なにこれ知らない……。王候補のラナクが乱心したこともあって、女王には支持者の他に反発する勢力も居て。それを、女王として切り捨てて。

ファルサス王家から遊学に来た王族と、ちょっとした交流をしていましたが。この当時は、建国当時の逸話が口伝で残っていたんですね……。ディアドラ……。

 

即位してから面倒事にばかり巻き込まれるために、在位期間を削ろうか、という提案がレジスから出て。

ティナーシャが伏せていた情報を告げて、オスカーが交渉した部分もあるみたいですが。

婚礼衣装が出来たら退位する、と言う話になりました。幸せそうなティナーシャが良いですよね。

その報告をしに行ったら、「聞いたら死ぬ歌」を聞きに娼館に行く計画をオスカーがたててるんだからもう……。

扉が一瞬で潰されたり窓にひびが入ったり。ラザル達が逃げ出したそうにしてるのも分かるわー。

 

この歌のエピソードが、Act.1とはまた違った方向に話が進んでいくのが楽しいんですよね。

噂を流した娼館の男、シモンの過去。呪歌によって故郷が滅ぼされた、と言う話から大陸規模でひっそりと進行していた事件が明らかになって。

犯人を捕まえた後、オスカーとレジスが酷薄な会話をしてる場面も好きです。敵には容赦しない王族の覚悟が見れる気がする。

 

加筆部分で、調査の過程で水の魔女が登場するのも嬉しい。

元々古宮先生が、設定上はいるけど本編に登場しない「全員揃わない」ネタが好みだったとかで、本編には関与しない筈だったんですよね、水の魔女。ただ、都度「本編に登場しませんよー」と言うのも何なので、加筆で登場する事になったとか。

実際、私も他の短編とかですれ違ったりするのも好みだったんですが。こうやって絡んできてもそれはそれで美味しい。精霊たちの中に、彼女を知っているって情報も知れてよかった。

 

鏡に関する騒動では、ティナーシャの女王としての顔がより鮮明に描かれて。

オスカーが珍しく足踏みしてる感じはありましたけど。動きだしたら止まりませんよね、彼。

暗黒時代を知るティナーシャの隣に立とうとする気概を感じるというか。

彼女に言わせれば「存るがままにしか言わな」くて、絶望を超えるために支えてくれるという理解が、とても尊い。

 

5章がまるまる書き下ろし章なんですが……ヴァルトが、オスカーに使えていた時代とか、最高ですよね……。

ヴァルトのオスカーへの態度と言うか、感情が明瞭になったのはいいですね。たった一度仕えただけだけど、他の人間の様に上手く操れない、と言う彼が好き。時読の一族であるが故、相容れない相手ではあったけれど、憎んでるわけではないこのさじ加減がもう最高ですね。

 

帯で明らかになっていますが、長月達平先生による「完結に寄せて」と言う寄稿文が収録されていて、愛を感じてよい。

そして、その後に章外としてのオマケがあって、先の話を垣間見れるのはとても楽しかったです。

 


(※以下に巻末で明かされた情報についての叫びを収録します。未読の片はご注意下さい)


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リビルドワールドⅣ 現世界と旧世界の闘争

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「もう一つ確認する。お前は俺達の敵か? 答えろ」

 

賞金首騒動も落着した後、アキラは車と装備の更新も終えてリオンズテイル社の端末を探して荒野を放浪していた。

しかしまぁ、いつもヨノズカ駅遺跡みたいな当たりが出るわけでもなく。徒労が続き、アキラのモチベが去ってきていたのでアルファは既存の遺跡の、未踏破地区への挑戦を提案して。

 

そうして新たに彼が訪れたのが、ミハゾノ街遺跡。

ハンターオフィスの出張所や、駐車場が整備される程度には実入りが良い遺跡で。

まだ稼働している工場まである、機械系モンスターが多い遺跡にアキラは挑みます。

WEB版だと「セランタルビルを攻略せよ!」って言う感じの展開でしたけど。書籍版だと結構展開が変わっていて「ミハゾノ街遺跡に生じた異変!?」みたいな(わかりにくい)。

 

今のアキラの実力では、セランタルビルに挑んでも死ぬだけだ、とアルファに止められて。

代わりに工場区画の調査をしにいったところで、地図屋のキャロルと出会ったりします。

顔見世だけを済ませた後、異変に巻き込まれて逃げ延びて。

アキラ達が遭遇した問題以外にも、遺跡全体で異変が起きていて……エレた達に連絡を貰ってからの救援依頼とか、WEBの要素は拾いつつ無理が無くなっているというか。より洗練されていて読みやすく感じましたね。

 

ミハゾノ街遺跡でのトラブルにおいて、アキラはまたアルファが居ない状況下での戦闘を強いられます。

そして、序盤は押されるものの。彼によって譲れない一線を侵した、改めて示された時の覚悟を決めた姿は中々格好良かったと思います。

 

アキラとの交流を得て、成長しようとしているレイナとトガミの不器用な若手たちが好きなんですよねぇ。

反カツヤ派の期待の星と担ぎ上げられかけたトガミが、賞金首戦を経て自制できるようになってるのが、凄い好きなんですよ。

「自分を自分で誇れるだけの実力を再び得ることだ」と言う彼の目標(これすらも、完全な正解ではないと終盤に思い至ってましたが)が、ハンターとしての矜持を感じてよい。

 

レイナはレイナで、自信の非力を実感して。「123話種明かし」でシオリがアキラに投げた、「使えるはずの装備を、使わない人間をどう説得するか」への返答も、アキラの判断基準が明瞭で、その割り切りが頼もしい。

 

全体的に、世界観を大事にしつつ増えたキャラも上手く動かしていた印象。

しかしまぁ、相変わらずアルファがアキラの行動を操ろうとしている、怪しさがあってこれからどう転がっていくのかが楽しみでもあり怖くもある。

異修羅Ⅳ 光陰英雄刑

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「そうだよ、何もしなかった。それが俺達の罪なんだ」

 

六合上覧、第三~第五試合が行われる運びとなって。

一番真っ当にぶつかっていたのは、柳の剣のソウジロウと移り気なオゾネズマですかねぇ。

まぁ、オゾネズマの切り札を真っ当と呼んでいいのかどうかは判断に迷う所ではありますが。

残滓ですらソウジロウに異常を来す辺り、恐ろしいにも程がある。

 

そして、今回は黄都が作り上げた英雄ロスクレイの戦いがあるとあって、彼の陣営の話も多かったわけですが。

二十九官の謀略の手はどこまでも伸びてるんだな、と空恐ろしくなった。

そして、彼の戦いぶりとそれに対する民衆の反応も。負ける事を許されない英雄程、悲しいものはないでしょう。

 

それと対峙したのが、まだ二つ目の名を確立していなかった少女だというんだから、あのマッチングは残酷だった。

キアを擁立したエレアの事情も描かれましたが。……その背負った闇も苦しかったし。彼女につきづけた嘘を隠して、彼女の前では優しい先生であった彼女の挿絵と終わりもまた悲しいものでありました。

 

この世界は悲しい話ばかりだ。本物の魔王の爪痕は深く、闇に囚われた人々の救いは遠い。

それでも生きている人々の在り方は尊いと思うけれど……六合上覧は、様々な思惑が混ざり合った蠱毒みたいで、息苦しさも感じる。

だから澱んだ想いをぶつける先が必要で、“教団”がスケープゴートにされたのも、納得できずとも理解は出来る。

その果てに嘘だらけの、罪を背負うことになる英雄が生まれるって言うのは皮肉と言うべきかどうか。

 

読み終えると、「光陰英雄刑」というタイトルが。表紙にロスクレイとクゼ、そしてキアとエレアが明暗分かれた背景に描かれているのが。とても秀逸に感じられますね。

それでもキアとエレアは立つ位置こそ違えど手をつないでいるのに、ロスクレイとクゼは視線すら交わらないというのもまた良い。

修羅たちの中では、やっぱりクゼが一番好きですね。ああいう、真意を隠しながらも行動できるキャラ大好きです。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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