「――灯也、これからも末永くよろしくね」
元バスケ部の高校生・瀬崎灯也。
選抜選手になれる程度のスペックは有ったけど、スポーツ漫画みたいに弱小高校から実績を残すために、顧問や部活仲間の意識改革を新入生の時から出来るほど尖り切った才能でもなかった。
そのため彼は部活を辞めて、現状維持の事なかれ主義になり……空いた時間でカラオケバイトとかをやっていたみたいですけど。
そんな彼が働いている店の常連客が、実はクラスメイトでもあり……人気アイド姫野雫であることに、ある日灯也は気付いてしまった。
とは言え、誰かの秘密にしていることを敢えてさらけ出すような露悪趣味はなかったので沈黙を続けていたわけですが。雫の方から灯也に接触してきたことで、交流が始まっていくわけです。
雫、活動が周知されていることもあってか、学校でも神聖視されてるというか、微妙に距離がありそうなんですよね。
強火ファンな女子生徒・夏希が、近ごろ雫と仲が良い灯也に接触してきた時も「別に付き合ってるわけじゃない」と言った灯也に「雫ちゃんはトップアイドルだから、同世代男子なんて眼中にない!」って返してましたし。
雫がブランディングちゃんとやってる、というか。他の女子生徒も「男子とは連絡先交換しないんだよねー」って言ってましたし。
……でも灯也には、雫の方から教えてくれたりするんですよねぇ。
学校でも『友達』として接する灯也は珍しがられてますけど。付き合っているわけではないけれど、2人だけの秘密の関係でお互いの事を知っていくうちに、それまでとは違う顔を見せるようになっていくのが良かったですねぇ。