――お前が死ねば良かったのだと。
誰かに断じられることは。
そう、誰かの生を断じてしまうことは。
「正しい言葉じゃないと――俺は思う」
ヴィ―カがフレデリカの出自と、レギオン停止の希望について知ったことで高級指揮官との相談が出来る環境が出来たのはシン達にとって良かったでしょう。
まぁ、シンは出来れば早い段階でレーナに相談したいと思っているみたいでしたけど……彼女は未だ療養中だし。
そろそろ帰還できそうな時期に、首都で謎の連続爆発事件が発生。その近辺で、共和国からの避難民が目撃されていたことで「保護」の名目でレーナは隔離されることになってしまって。
そしてその爆発事件の裏には共和国の計画があったことが、明らかになってきて……。
かつてはエイティシックスの扱いについてもあるし、記憶に新しい盗聴器騒動もあって、どんどん民の中で共和国へのヘイトが高まってしまって。
その一面を見れば、確かに保護は必要だっただろうなぁというのは分かります。
ゼレーネへの尋問も続く中で誰が指揮機体になっているのか、を絞り込もうとしているようですが。読者目線でだけ分かっている情報として、ノウ・フェイスの正体がアレですしね……。
上層部はまだ冷静な部分もあって、実質軟禁だとしても保護の名目は守っていましたが。
共和国の陥落以外にも、どこかで生き残っていた国が滅びたのか連邦へのレギオンの襲撃の密度は高まるばかりで。
そんな中、疑心暗鬼に陥って人同士の諍いすら生じるこの状況に置いては爆弾情報すぎるんだよなぁ。
脱走したユートはチトリ達「小鹿」を連れた最後の旅を完遂せんと動き続けて。その中にダスティンの知人がいたことで彼もまた揺らいでいました。
想い人のレーナの「隔離」に、内心反発しつつも軍人としてはそれを吞むしかない冷静さを得たシンでしたが、戦場で大暴れしてたのも彼らしいですけども。
86区という地獄を生き抜いて、それでもなお誇りを胸に戦場に立つことを選んだエイティシックスたち。まだ若い世代が多いこともあって、青さが光ることも当然あるんですが、それでも彼らの在り方は覚悟が決まっていて格好いいですよね。
その体現と言えるエピソードが、今回最後に起きたリト周りのエピソードなんですよね。そう、彼らはあそこで止められるし、引き金を引けるんだ。
……だというのに、人の愚かさによってそれが損なわれて、さらにはあの悪習とほぼ同様の状況がこの最終局面で再現されるっていうのは、なかなかに耐えがたいものがありましたが。
せめて、少しでも多くの希望が残ることを祈りたいものです。
と言いつつ愚かな選択をした人々に相応の報いがあって欲しいという気持ちも、どうしたって胸に引っ掛かり続けるんだよなぁ……。でも、そういう連鎖が争いを生む源泉なのだ……。私も愚かだ……。