気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

電撃文庫

アスラクライン2 夜とUMAとDカップ

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「彼女がいなくなったら……悲しい?」
(略)
「……だったら、もう、機巧魔神を使っては、だめ」


機巧魔神という存在、学校の暗部というか、生徒会の特殊性に巻き込まれていった智春たち。
今回も厄介ごとがやってくるわけで。
そういう星の元に生まれたんだよ・・・ま、色々騒動に巻き込まれていくのは、ある意味必然なんですがね。

新入生のオリエンテーション合宿。
そのイベントが行われる先で、UMAの目撃情報が?
悪魔と機巧魔神とかが居るならUMAだって居るかもしれない。
嘘くさいと思いながらも、合宿先にそんな噂があるなら調べないといけないと、調査に赴くが空振り。
全く手がかりなしってわけでもないですがね。
合宿前に手を打っておきたかったのに、それに失敗したという感じで。

結局合宿中も、湖に気を配りながら色々とやることに。
しかしタイトルからして想像ついたような気もしますが、なんとも阿呆な条件下で出現する存在もいたもんだというか。

情報が小出しになっている感じがありますよねー。
今回は悪魔と使い魔について。
悪魔が危険視されているわけっていうのも少しわかってきましたけど。
あちこちで、微妙な距離感が構成されていってるのがまた。
ごちゃごちゃしているというよりは、対処に追われてドタバタし通しという印象ですが。
嫌いじゃないです。


ウィザーズ・ブレインⅧ 落日の都〈下〉

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「世界は優れた個人が変えていくべき物ではなく、人々の総意によって自ずから変わっていくべき物。『未来のために、弱者を切り捨てても変革を行うべし』という意思は、名も無き数多の民衆の間から自然に湧き上がるものでなければならん。そうでなければ、世界は変革に耐えられん。仮に私が認め、シンガポール自治政府に属する全ての議員がそれを認めたとしても、民衆の同意が得られぬのであればその変革はいずれ決定的な破局を招くことになる」


待った、三年まったよ……!
後書きで作者も書いていましたが、さすがにもう出ないかと諦めかけていました。
上中下の下巻を三年も待たせるとか鬼の所業ですよね。
しかし、出ないかもと思いながらも手を伸ばしてしまうくらいには、この作品が、描かれている世界が好きですよ。
だからこそ、もうどれだけ時間かかってもいいので、どうか、残り2エピソードで完結だというのなら、最後まで描ききって欲しいですね。

さておき、本編。
同盟を結ぶべくシティに赴いた賢人会議。
しかし、それを拒む一派の行動によって、参謀真昼が囚われの身に。
市民たちは、賢人会議が神戸を滅ぼしたという情報に踊らされ、暴徒と化す。
裏に工作がなかったとは言わないけど、火種がなければそれを煽って大火事にすることもできないわけで。
魔法師と、人間という二つの立場とそれぞれの抱えている問題、軋轢。
今まで誤魔化しながら進んできていたそれらが今回ぶちまけられてしまった。

今までバラバラに動いていた主役級の人物が、それぞれの立場や思惑は違えど一つのシティに集まっているのだから、こんな状態からでもなんとか救いを手にしてくれるんじゃないかと思っていましたが、一人一人が傑物であったとしても、止められないものはあるんだよなぁ。
どれだけ強い力があっても山を動かすことはできない、とかそういう類。

暴徒と化した市民の前に、賢人会議の面々は悩む。
力を以て突破するのは容易い。しかし、それをすると、賢人会議とシティ、魔法師と人間の関係は修復不能な傷を負ってしまう。
同盟を結ぶために訪れたからには、出来る限り被害を出したくない。
そういう悩みを付かれて、どうしようもない方向へと、押し流されてしまう。

『世界再生機構』として祐一も動き出すけど、少しでも被害を減らすための対処療法しかできない。
要するに焼け石に水。
誰も彼もが、必死になって、最悪の状況を逃れようとしているのに、どんどん状況は悪化していく。

同盟反対派の議員も、信念があって、嫌いにはなれない感じはします。
神戸の残党もそれぞれに必死だったという事に間違いはないでしょう。
ただ、もう少しだけ、信じてほしかった。

リン・リー議員にも信念があり、マザーコアとなった執政官のように、「政治は神の代理行為ではない」と信じていた。
だけどそこまで確固たるものがあるんだったら、市民にもっと情報を渡すべきだったんじゃないのか。
隠された情報を求めることすら、市民が動かないことには始まらない、というんだろうか。
判断材料がない中で、犠牲を強いる道を選ぶとしても、自ずから選ばれなければいけない、っていうのは、ちょっと詭弁なんじゃないかな。
結局、魔法師っていう存在の脅威を理解できていない市民が多かったから、暴動は起きたし、賢人会議側が冷静だったせいで、その人たちはそのままに生き残った。
いや、魔法師じゃない人間を滅ぼせって言いたいんじゃないですけど、「魔法師は人間と違う者」というだけの認識で行動を起こしたからこそ、あの暴動は止められなかったんじゃないか。
驚異すらも教えて、その上で、道を選ばせるべきだったんじゃないのか。
『光耀』に盲目になったシティの中ではそれも難しかったんだろうか。
まー、いくら嘆いたところで、起きた結果は変えようがない。
流れができてしまった以上、それに乗るかどうかの決断は下さないといけない。

もう、しょっぱなにあんなシーン入ったもんだから、嫌な予感はしていましたけど。
滅びが迫った世界で、救いを求めて、最善を尽くそうとしている。
それは間違いないはずなのに、道は分かたれてしまった。
選ばれたはずの可能性が閉ざされ、決断は下される。

あぁ、優しくない世界で、優しくない物語だ。
けれど、読まずにはいられない引力がある。
脱落者がでて、争いへと向かうことに。
それだけは避けたかった人が大勢いたはずなのに。
資源が限られた世界で、争いを起こすという事は、滅びへ加速する道ですらあるだろうに。
どうか、ここから、少しでも救いがあって欲しいと願う。

……さぁ、次は何年後かな!


ウィザーズ・ブレイン

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「どうせなにかを犠牲にしなければ生きていけないのなら、一人でも多くの命を、一つでも多くの幸福を望んでなにが悪い!」血を吐くような声で、祐一は叫んだ。「世界中の人間が助かるような都合のいい答えがあるなら――言ってみろ!」

2月に新刊が出るので読み直しー。
全部の感想記事は間に合わないでしょうけど、ちまちま書いていこうかと思ってます。
1巻が発売されたのって2001年の事なんですねー。もう10年以上前なのか・・・
刊行の間がかなり空く作家さんだから、未だに完結してないんですよね。
好きなシリーズなんですけど、そこはちょっと残念だと思ってます。
上中下構成の下巻を2年? 3年? まぁ、それぐらい開けられると内容薄れますって。それでも新刊出ると買ってしまうぐらいには好きなシリーズです。

滅亡の危機に瀕した地球の話。
資源が枯渇しかけていて、あちこちでエネルギーやらなんやら、全体的に足りていないんですよね。
〈シティ〉という巨大な建造物を作り、閉鎖型の都市として管理しています。
そのシティですら全てを賄いきれず、シティの外で生活する難民じみた人も多くいるようですけど。
世界には、もう7つしかシティが残っていなくて、今回舞台になっているのは神戸にあるシティですねー。
そして、この世界には「魔法」とそれを使う「魔法士」が存在しています。
「I-ブレイン」というコンピューターを脳内に埋め込み、それによって、情報を書き換え、物理法則を操ると言う魔法。
これは、荒廃した世界で生きる人々の物語ですし、その中にある「魔法士」と「それ以外」の立場の差とか、そういうものが描かれた作品でもあるんですよね。

個人的には、祐一が一番好きなキャラですねー。
かつて起きた大戦で英雄と呼ばれた「黒衣の騎士」。戦闘能力だけじゃなく、判断や実行力など全てにおいて、現存するなかでは最強の騎士。で、過去に「最強騎士と呼ばれた恋人」がいて、その上で亡くしている。
・・・シリーズ終盤で死ぬんじゃないかとばかりに色々積み重ねてますけど。

錬という魔法士の少年が、シティの存続にかかわる重要人物である少女をさらったことから動き出していきます。
祐一は、シティに属する騎士として、また過去に犯した罪を自覚するがゆえに、少女を追い、まだ青い錬は理想を掲げ、少女を助けたいと願う。

罪のない少女を犠牲にして、ほんのなん十年かを永らえてなんになるのか。心のどこかで、そう叫ぶ自分がいた。人類の命運などとうに潰えているのだ。どうせ滅びる世界なら、せめて潔く、すべてのものに優しくあればいい。
だが、その声を押しとどめるように、もう一人の自分が叫ぶ。ここで諦めていい世界なら、どうして彼女は死んだのか。どれだけ醜く穢れても、生きることを諦めてはならない。
どちらが正しいのか、一〇年考え続けても、ついにわからなかった。


作中で、シティ側の祐一が抱えている悩みとして書かれている文章ですが。
この作品全体通しての悩み、みたいなものですよね、コレ。
滅びを受け入れるのか、どんな手を使ってでも生き延びて汚れてなお立ち上がるべきなのか。
魔法士の扱いっていうのは、この荒廃した世界においては、酷いところでは酷いものです。
シティの為のパーツ、みたいな実験も色々とあるようですし。
それでもなお手を尽くそうとする行動が、その先を見てみたい、という気持ちを引き出しますね。

シティ神戸を巡る争いの着地点、っていうのは結構凄惨なものでしたけど。
生き残った人間の数が、決して主人公たちにやさしくない。
今回登場した主要キャラたちは、この後それぞれの道を行き、時に交わったりするわけですけど。
シリーズの最後、どうか少しでも幸せな結末を迎えてほしいものだと思います。
打ち切りエンドだけは勘弁してほしいので、どうか残りのエピソードを書いてくださいという心境です。


白銀のソードブレイカー 聖剣破壊の少女

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「でも、駄目。私には選べない。私の未来は、一つしかない。すべての聖剣を破壊する。それが私の未来。だから、あなたとともに過ごす未来なんて、存在しない」
少女は哀願するように言う。
「お願い。もう、まどわせないで」


古の時代において、正体不明の『魔物』に脅かされた世界を救った7人の剣聖。
時代が流れ、剣聖が忘れられて来たとき、悪政を敷く君主が現れ、腐敗しきった世の中を民が嘆いた時、再び剣聖は現れ、世界を救った。
圧政を敷く君主が居ればそれを討ち、異端を迫害する宗教家を倒す。 
基本的に国家に属することがない剣聖だが、大量の血を流すような道を選べば、剣聖に命を奪われる。
それを恐れて、王や司祭は、圧政を縛め、異教徒に寛容になった。
国家に属することなく、剣聖は世界を統治した、民衆からみて分かりやすい正義の体現者。民衆の英雄。

歴代の剣聖は全て女性で、「聖剣自身によって選ばれる」という言葉を残した剣聖もいるようですね。
巻頭のイラストで3人の剣聖が描かれていて、実際に登場して、それぞれ誇りを持った、なるほど立派な剣聖なんだなぁ、と言う感じでしたね。
まぁ、一人戦闘狂混ざってましたけど、その力を正しく使おうという心はあったんでしょう。あの状態になった後、最後の決断を下せたのは、そういう下地があったからこそだと思いますが。
そして、哀れに思うのは、剣聖の1人でありながら、イラストもなく、序章であっさりやられてしまったハヅキ・ユキノシタさん。
7人しかいない剣聖という、いかにも重要そうなキャラクターでありながら、こうもあっさり捨てられる話がどれだけあるか。
まぁ、それまでの歴史において無敗だった剣聖という存在を破ったというインパクトはありましたけど。
命が軽いというか、ちょっと惜しいかなぁ、という感じがしますねー。

主人公は、かつて凄腕の剣士に、家族を殺され、傭兵になった青年。
彼は、「剣聖殺し」の少女と出会い、その剣の持つ不思議な力によって、仇の手がかりを得る。
仇の存在をはっきりと把握するために、少女に同行することに。

で、少女がなぜ剣聖を破り、剣を奪っていくのかといえば、聖剣は実は持ち主を害するからだとか。
聖剣を使うと体に毒がたまり、次第には暴力の化身のようになってしまう。
「剣魔」という悪しき存在を生まない為に、聖剣を破壊しようと、少女は一人戦っているわけですなー。
ただ、気になるのは、殺す必要まであるのかという所。
一回毒されてしまえば、剣を捨てても、じわじわと毒が回って「剣魔」になってしまう、とかなんだろうか。

ヴァリエガータはなにか知っていた風にも見えましたけど、実際どうだったのだろうか。
レベンスの仇も剣魔ということで、確かに、被害は出ているんだけど・・・ヴァリエガータの提案を蹴ったのは惜しい事だったんじゃないかなぁ、みたいに思えてしまう。
結構「剣聖殺し」のエリザは焦っているように見えるんですが、そこにも事情と言うか理由もあるのかなー。
今回だけでも包囲が進んでいるというか帯の文句通り、まさしく「世界の敵」の道をまっすぐ進んでいるんですが。
どーなるのかなー。
割と気に入りましたよ。

白銀のソードブレイカー ―聖剣破壊の少女― (電撃文庫)
松山剛
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-01-10

アスラクライン

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『闇より暗き、深淵より出でし……其は……』
『其は、科学の光が落とす影――!』

幽霊憑きの少年、夏目智春。
その幽霊である幼馴染の少女、水無神操緒。
智春には、有能で世界を飛び回る直貴という兄がいた。

兄は有能だがトラブルメイカーでもあり、智春は色々と巻き込まれてきていた。
高校に通うにあたって兄の住んでいた家を借りることにしたのだが、そこに、兄の知り合いが訪ねてきて。
新しいトラブルの種がやってきて。

兄の通っていた高校には、色々と変人が集まっていて。
生徒会が3つあるという時点でまぁ、すごい事だけど。
悪魔を名乗る巫女、同じように幽霊憑きの生徒会長、トランクの中に封じられていた謎の兵器。
破滅を約束された世界。二巡目の世界に生きる彼らの物語。

まだまだ序章、といった感じですね。
悪魔とか、アスラ・マキーナとかそういう世界を構成する要素に触れていって、智春が学校での立ち位置を決めるところまで。
既に完結しているシリーズで、最後まで読んでいるんですけどね。
悪魔の能力とか、今後の流れも割と好きです。

アスラクライン (電撃文庫)
三雲 岳斗
メディアワークス
2005-07

ソードアート・オンライン プログレッシブ2

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ここからの台詞を選び損なうと、アスナさんのご機嫌がウルトラナナメってしまうことを俺はようやく学びつつあるが、問題はその法則がまったく解明できていないことだ。
(略)
俺は胸中で『ギリギリセーフ』という謎の判定をしていた。何がセーフなのか自分でも解らないが。

原作との矛盾を無視すれば面白いと俺の中で評判のプログレッシブシリーズ。
もうこれは、作者公認というか作者直筆の二次創作なんだと割り切れば楽しめるんじゃないですかねぇ。
多分、原作との帳尻を合わせようとすると矛盾が積み重なって崩壊するので、開き直って「IFだよ、IF!」で行けばいいと思います。
SAOの世界がやっぱり好きなので、できれば続いていってほしいですけど。
・・・しかし、1巻が2層までやっていたのに、2巻では3層しかやらないとか、攻略までには一体何巻かかるんでしょう。

さておき第三層。
前々から、キリトがギルド結成用のクエストがあるとか言ってたんで、それを中心に置いた攻略になっていくのかなぁ、と思ったら…
3層は、実に9層まで続くキャンペーンクエストのスタート地点でもあったようで。
ソロ(?)のキリトさんは、ギルド関係は無視してキャンペーンの方に行きますよね、そりゃあ。
しかし、とりあえず、ギルドを結成したのは、リンド率いる《ドラゴンナイツ・ブリゲード》、キバオウ率いる《アインクラッド解放隊》の2つ。
なんかいろいろイベントこなさないといけないらしくて、まだこの2つしかできていないようですけど、今後どんどん出てくるんでしょうねぇ。

1層攻略には時間かかりましたけど、そこからはテンポよく行ってるんで、ちょっと調子に乗っている部分がないだろうか。
攻略会議も、キバオウが攻略の予定建てていましたが、結構速度重視のようにも見えました。

キリトは流石のフラグ建築士ですけど。
まさかNPCとまで挿絵つくようなおいしいイベントこなしているとは…
レベル高すぎて、もうどこから突っ込んでいいのかが分からない。
しかし、アスナとのコンビも鉄板になりつつありますけど、この状態から道を分かつっていうとどうなるんですかねぇ。
IFだよIF! で割り切ればといったものの大筋は追って欲しいものです。黒猫団のイベントとか、血盟騎士団とか、そういうキリトやアスナを構成した要素を切り取ったら、さすがにちょっと違うんじゃないかと思うので。
ソロだったからこそ、キリトの強さっていうのがあった想う部分もあるので、このままコンビで…っていう展開だけは避けてほしいなぁ。
難しいさじ加減だとは思うんですけどね。

あと、LA取りすぎだろう。これは恨まれる。3層フィールドボスを倒したときには、

討伐そのものは初回の挑戦で達成され、一人の死者も出なかった。どこかのはぐれビーターがまたもやLAボーナスをかっ攫ったこと以外は大成功と言っていい」とか書かれていました。
 
更には、3層でのイベント書きすぎて、一瞬で倒された哀れな階層ボスのLAボーナスも問ったらしくて…これはディアベルさんも対策を取ろうとするわけですな。

2層での、詐欺事件の裏側にいたキャラもそうですけど、このあたりから既にラフコフの影が見え隠れしていますね。
キリトを殺そうとし、結成した2つのギルドを扇動したキャラクターの存在っていうのは、今後の攻略に影を落としていくことになるでしょう。
さて、どうなりますかね。続きはまた1年後くらいでしょうか。途中SAO本編か、アクセルの方が終わったら、こっちのペース上がったりするんですかねぇ。ま、のんびり待ちます。


はたらく魔王さま! 10

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「(略)俺はリターンマッチのつもりだったから、俺一人でやらせてくれって言ったんだ。
そうしたらどうなったと思う? アドラメレクの野郎、一騎打ちを拒否しやがった。
安い誇りに浮かされて戦い負けるなら、貴様ら人間は永遠に我らの支配からは逃れられんってな具合にな。俺は結局最後まで、自力で奴を超えることができなかった」


故人である、元悪魔大元帥で、北方大陸を担当していた、アドラメレクについて触れられていました。
魔王が前回鈴乃に、「王の孤独」と「王の罪」を告解していましたが。
豆腐メンタルな勇者さんと違って、魔王様は、理念高い、王であるんだな、とこのあたりのセリフを読んで改めて思いましたね。
最近は働いていませんが、仕事に対して真剣に向き合っているのも、手を抜けない性分っていうのもあるんじゃないですかね。

魔王が、王として尊敬に値する存在だったからこそ、アドラメレクみたいに、芯の通った人物も配下にいたんでしょう。そして、その行いを本人が罪だと思っていたとしても。その理念が、誇りが、喪われたわけではないですよね。彼が魔界に起こした風は、確かに今も息づいている。
カミーオが残っていたから、っていうのもあるでしょうけど、改革を行ったトップが破れいなくなっても、魔界は、魔王が変えたいと願った退廃した世界に戻っていないんですよね。
人間世界を支配しようと残留組のマレブランケ達が暗躍していた、っていうのはそういうことでしょう。
そして、彼らは、王に対して会いに来たりと、忘れていない。
ちょっと暴走しがちな面があり、今回は天界に付け込まれ、同胞を失うことになっていましたが。

さて、「帰ってきたアルシエル」さんは、本当に参謀だったんですね、あの人。
卵の値段に一喜一憂する主夫じゃなかったのか・・・
まさか「冷奴」と「茗荷」で勇者のメンタルを立て直そうとは。
・・・勇者さんはなんとか笑いをこらえて、それを暗号として用いていましたけど、見ているこっちからすると、シュールで、思わずふきました。
しかしまぁ、統一蒼帝さんはなんか、企んでる感じがしますけど、どうなんですかねぇ。
おとなしくしていればいいのに。

というか、異世界でいろいろとはっちゃけすぎなんじゃないだろうか、魔王。
BO-SO-ZOKUじゃねぇから。何言ってるのかと思ったけど、確かにアレは暴走族
問題はそこじゃなくて・・・いや、そういうことなのか。

エンテ・イスラ編が終わり、現代日本に帰ってきた魔王と勇者。
大家さんがおおっぴらに動き出したことも含めて、之から物語が加速していくんじゃないかと思っております。
ちーちゃんは、一体何を知ったのか。漆原が入院しているのはなぜなのか。
今回現れた最後の敵はいったい何なのか。
気になっているのは、最後の敵は「強大な聖法気」を引き寄せていました。
一方で、大家さんの姿には、魔王たち、「魔力をもった存在」ばかりが、ショックを受けているように思います。
この辺の対比とかの理由も、そのうち明かされますかねー。
これからの展開にも期待します。

今回、面白いは面白勝手ですけど、それは結構シーンごとの面白さだったかなぁ、という感じがします。
準備にあれだけの時間かけていたのに、問題解決はちょっと巻き気味だったかなぁと思うのですよ。
そこだけがちょっと残念かなぁ。
豆腐メンタルな勇者は、現代日本に帰還して、無職勇者になってしまいました。
伏線は回収してほしいですけど、そろそろ魔王様はタイトル通り、働いた方がいいんじゃないだろうか。


鮎原夜波はよく濡れる

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「俺の命がかかってるんだから、お前、少しは自分を大切にした戦い方をしろよ、って」

濡れれば濡れるほど強くなる。濡れ透けアクション、らしいですよ?
まぁ、この一文で想像できるであろうお話から、ほとんどずれずに進行していきます。
安定していますね。

水の性質を変化させる怪物ヴォジャノーイ。
それと戦う、濡れるほど強くなる装束『クローネ』を纏い戦う「ウンディーネの戦士」たる少女たち。
そして少女たちと妙な縁から出会う少年のお話。

ヴォジャノーイが変質させた水は「忌水」となり、溺れやすくなったり、車を引き寄せたりと、危険度が増す。
少女たちは、それを避けるために戦っている。
単純な異能モノとか、非日常の世界を描くのかと思ったら、うん、平行世界が出てくるとは思わなかった。
ヴォジャノーイによって、改変され切ってしまった、ほとんど水没した世界。
そして、その終わりかけの世界に生きるウンディーネの少女は罪滅ぼしと称し、ヴォジャノーイとの戦いをサポートしている。

悪くはないんだけど、展開が冗長というか、会話が微妙。
泳げることが当然で、泳げないことを悪いことのように会話が進んでいくのがなぁ。
妹が海で行方不明になった、っていうトラウマ物の経験を持っている奴が泳げないのはそんなに悪い事なの?
そりゃ、泳げたら、なんかの際に役立つかもしれないけど、泳げない人間なんてそれなりに居ると思うんだけどなぁ。
「ダサい奴」ってレッテル張られた中学時代の話とか、ミトと夜波の会話とか、主人公が泳げないことを気にしすぎていたりとか、どうにもその辺が個人的には気に食わない。

要素としては嫌いじゃないんですけど、料理のされ方が好みではなかった。
他のシリーズはそれなりに読めてるんですがね。たまにはこういうこともありますか。
 
鮎原夜波はよく濡れる (電撃文庫)
水瀬葉月
アスキー・メディアワークス
2013-09-10

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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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