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「私は妹にそんな騎士道を教えた覚えはない…」

「私も教わった記憶がないわ 兄さんはずっと私を無視していたもの」

 

騎士の家系に生まれたが、剣術の才能がなかったフィーア。

それでもなお騎士になりたいという彼女は、魔石を取ってくるという成人の儀をさせてもらえることになったわけですが。

姉はフィーアの実力と彼女のことを思って止めに来るけど、父と兄は興味なさそうなんだよなぁ……家庭環境が伺われる。

 

まぁ実際、黒竜なんて伝説級の魔物に遭遇してしまったからとはいえ死に瀕したわけですし、心配も正しくはあったんですが。

怪我した竜を心配して回復薬を与えたが、現代の回復薬無理やり回復力を高めるもので激痛が走るため暴れた竜に噛まれた、っていうのは避けようがないか……。

でもそれで死にかけたことで、前世で大聖女として活動していた記憶を取り戻し、回復魔法その他を扱えるようになったことで、彼女の世界は開かれるわけです。

 

……とはいえ前世でもその能力を駆使して、魔王封印に貢献したのに同行した王子たちに裏切られ、魔王の側近によって責め苦を味あわされたという辛い経験をしていたわけで。

だからこそ今世では聖女にならないように、魔王の側近に存在がばれないようにしようと考えるわけですけど。

根が明るく軽いというか。自身の持つ魔力が現代では桁違いだと指摘を受けながら、それを用いた強化魔法とか普通に使って注目集めてるし、大丈夫だろうかと心配になる。

でも、今に至るまでの間のどこかで歪んでしまった聖女の姿を見て涙を流したり、聖女として真剣であった彼女だからこそ、その在り方を正してほしいという気持ちも若干あるのですが。

……前世の最期が最期だから無理強いもできないんだよなぁ。でも、今世の聖女の腑抜けっぷりを見ると、もどかしさが募る。