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「あんた……なんでこの状況で笑ってるの?」
「そりゃあ、最高に面白い状況だからに決まってるだろ」
第11回オーバーラップ文庫大賞、銀賞受賞作。
主人公の田中叶太は自称モブの化身。自分が目立つのではなく、誰かを目立たせる……そんな「演出」に熱意を注ぐ少年。
小学校時代にクラスで演劇をやって、ヒロイン役の子が台詞を忘れて事故りそうだった時に、アドリブで主人公を送り出し、破綻する展開を更なるアドリブを加えてハチャメチャながらまとめて乗り切った。
そんな経験から「演出」に興味を持ち、推しの監督の「目立たない方が良い」という金言を胸に、裏方になろうと努力を続けていくことになるわけです。
転校した際なんかも、ゲームがあることでクラスメイトを家に招き、誰にも気づかせない接待プレイをして上手い事交友の輪を広げていくことになったりもしたんですが。
ある日、父が借金をこさえてしまったと言い出して。
全寮制で学費は無料、さらに上手くやれば借金もチャラに出来る可能性がある、とか言う怪しい話を持ってくるわけです。
一般には知られていない、ゲームによる決闘ですべてが決まる帝王学園。そんな場所に踏み込んだ叶太は、自分と同じタイミングでやってきた「謎めいた、実力者の転校生・霧谷透」を主人公キャラと見なして、彼を最高に輝かせようと計画を練るわけですが。
そんな透の幼馴染である学園最強のお嬢様西園寺だったり。透のメイドとして侍るソフィーだったり。ゲームによる決闘ですべてが決まる学園、に通うだけあって個性が強いキャラが多いんですよねぇ。
今までいた学校では「演出」の為に下調べとかを入念に行って、誰にも気づかれることなく演技を続けられていたようですが。
帝王学園に転校してきたばかりでは叶太の持っている情報は少なくて。個性的な生徒が多い学校なこともあって、モブに徹したい彼の思惑とは異なり、どんどんと注目を集めて行ってしまうことになるわけです。
99連勝していた西園寺に勝利して、100連勝阻止した上でゲームの勝者として得た権利で彼女をメイドにして侍らせたり。透の秘密について知ってしまったり。
そして開催された大会で透を相手に決勝戦を戦う羽目になっていくわけですが……過去の失敗を思い出しつつも、それを上手く乗り越えて最後には笑顔を浮かべられるようになったのは良かったですね。