気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

香月美夜

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ ふぁんぶっく9

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「娘を救ってくださったローゼマイン様に母親であるわたくしが感謝し、忠誠を誓うのは当然ではありませんか。昼日中、城で仕事をしている側仕え見習いの娘が領主一族の許可付きで他国の蛮族にさらわれるなど、誰が考えます?」

 

椎名先生の画集の表紙イラストの黄色の貴色使ってるイラストと、特典イラストだったらしい黒と緑の混じった服装が可愛くて良いですねー。

可愛さでいうと、ポップアップショップメインビジュアルだったというローゼマインとハンネローレとシュミル達が並んでいる青主体のイラストも結構良い感じです。

 

描きおろしSSは、アレキサンドリア……にまだなる前のアーレンスバッハの貴族ベンドルック視点で「新しいアウブの情報」。

中立派の貴族で、裏の役目として領主直々に貴族たちの情報収集を命じられている家の出身だそうで。一般アーレンスバッハ貴族からすると、新しくアウブに就任するローゼマインの情報は、本当に得られないという事で……。

実際、ローゼマイン礎を奪ってからエーレンフェストに帰り、中央での争いにも巻き込まれ神々に翻弄され、それらが落ち着いた後は領主会議に向けた準備で慌ただしかった上に、今は引っ越し準備で外している、と。

 

情報が得られない要素が多すぎる。その上で、フェアルディナンドによる篩もあったりするので、近づくのも難しい。

エーレンフェスト貴族達が秘密主義と見なされてるのも、分からないではない。そうやって警戒されるだけの事を積み上げて来たのは君達だし、ローゼマインが納めなければ謀反の領地として潰されるんだが……? という気持ちも同時に沸きますが。

なんとか情報を集めようと努力するのは良いですけど、まだどこか甘えが見える気もしますね。ランツェナーヴェに娘を攫われかけ、ローゼマインによって救われたことで彼女に心酔しているアーレンスバッハ籍の貴族女性なんかもいるみたいですし、時間を経る中である程度は落ち着いていくでしょうけど。

反抗勢力とかフェルディナンドがいつまでものさばらせておかないでしょうし。

 

あとは今回もQ&Aコーナーが盛りだくさんで楽しかったですね。

メスティオノーラから下された命を奪う行為の禁止、メスティオノーラが取り消すまでだそうで。取り消しが必要になったらツェント候補が始まりの庭に交渉に行く必要があるようで……将来的なことも考えると、古の在り方に戻す必要性がより増したと言えるのでは。

 

神々と人の物差しは違う……。

それで言うとツェントレース優勝者に教えてもらえるルートは正規ルートで、鍵や罠解除なんて神様は教えてくれないからジェルヴァージオは神様の情報を素直に聞いてノコノコ言って首をかしげるとか言われてるの笑っちゃった。

でもジェルヴァージオ、即死毒や銀色の布が生まれたランツェナーヴェの王なだけあるというか。エグランティーヌの護衛騎士半壊させた下りのQAがあったのは嬉しかったですね。来るところは限られてるから罠を仕掛けた、なるほど正しい。

 

俗説と言われてますけど魔力適正での占いとかもあったのは、なんか小ネタ感というか教科書のコラム感があってなんか好きです。

あとは、ローゼマイン御加護を43とか取得していて今の時代においては最も神に祈ってる領主候補生と言えますが……グリトリスハイト取得時のローゼマインのスペックを歴代の真なるツェントと比べたら、下の下というあたり歴代王がどれだけ真摯に神に祈っていたかという話ですよ。まぁ、先生の回答にも「状況が違い過ぎて本来は比較できない」という前置きの下で語られたものではありますけど、祠巡りして自力でメスティオノーラの書を得たツェント候補は65くらいの御加護を得ているのが普通だった、というのは流石に驚きました。

ローゼマインそもそも祠も廻らず御加護取得している三年生時点での判断らしいので条件的に不利みたいですけど……本編後に御加護の再取得を試みたらもう少し違う結果になるのだろうか。神々の干渉を嫌うフェルディナンドがそもそも再取得の儀式させてくれなさそうではありますが。



本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生1

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「コルドゥラ、それから、皆。ローゼマイン様やヴィルフリート様と変わりなく接して、笑い合える関係が、わたくしにとってはなにより大事なのです。わたくしも自分が浅慮で思い込みの強いことがよくわかりました。そんな今でも、自分の境遇よりもよほど価値があると思っています」

 

「本好きの下剋上」本編後を、ハンネローレを主役に描いていくシリーズ。

タイトルにある通り、ハンネローレが貴族院の五年生になった時期の話ですね。

新たなツェント・エグランティーヌが立ち、ダンケルフェルガーの領地の順位が1位になったことで、最上位の領主候補生としての振る舞いを求められるようになった。

同時に、未成年アウブでありながら女神の化身としてツェントに強い影響力のある、ローゼマインの友人であるためにかけがえのない存在でもあって。

ハンネローレの母ジークリンデはハンネローレの決断を少しでも待ちたかったみたいですが、そろそろ限界が来たということで婚約者候補が樹立されることに。

アウブの決断で婚約者として決定事項を通達されるのではなく、あくまで候補として伝えられているあたりが、母の優しさらしいですけど。

 

結構気遣われているみたいですけれど、色々な思いはハンネローレには届いておらず。

彼女の口癖「間が悪い」が正しい時もありますが……レスティラウトの側近でもあり婚約者候補となったケントリプスに指摘されているように、彼女の性格上足踏みしまくってるのも問題ではありますよねぇ……。

「決断が遅くて気持ちを伝えそこなっただけ」とか、かなり鋭く言いますよねケントリプス。でも時期領主の側近でもある文官として、しっかり情報収集をして、ハンネローレの行動を見て来た結果、「お慕いしていても信用できません」と言ってくれるのは、かなり真摯とすら言えるのでは。
ローゼマインは好きなコト、大切なものが関わった時のブレーキが壊れた車でしたけど。
ハンネローレは悩みまくって視野が狭くなったりして、行動するタイミングを間違えたり逃したりする、アクセルが暴発する車って感じではありますね……。

 

もう一人の婚約者候補であるラザンタルクは実にダンケルフェルガーらしい男というか。

候補になったことで猛アピールしてくるところは微笑ましいと思いますけど。ハンネローレとの相性は悪そう。

恋物語を好み、今なおヴィルフリートの事が気になっている彼女は、後ろ髪惹かれまくりで前に進めない状況で。ケントリプスが、だからこそヴィルフリートとの時間を確保して決断を迫ったのは、的確だった気はしますね。……女神の干渉が発生したのはあまりにも予想外だったでしょうけども。

 

巻末にジギスヴァルト視点の「コリンツダウムの執務室にて」がありましたが。

……今はもうアウブだというのに、どこまでも王族思考が染みついているというか。フェルディナンドの計画が変更になると大変だから、とローゼマインの慈悲が与えられた(様に演出された)わけですが。アドルフィーネが言っていた「アウブは荷が勝ちすぎる」というのが、本当に的確な評価だったしアドルフィーネは泥船から見事なタイミングで逃げおおせたなという印象ですね……。

本好きの下剋上 第四部 貴族院の図書館を救いたい!7

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「けれどわたくしの奇策で大した苦労もせずに こんな穴だらけの連携で勝つのは エーレンフェストにとって最悪の勝ち方です」

 

採寸を終え、他領の妨害も乗り越え、無事にシュヴァルツとヴァイスを図書館に送り届けることに成功したローゼマイン。

これでもう魔術具の守りもあって一安心、とローゼマインは胸をなでおろしていましたが。

「王族の魔術の主」という地位は彼女の想像よりも重く……。他領が動いた結果、仲裁にアナスタージウス王子がやってきた上に、一番絡んできた相手が大領地のダンケルフェルガーだったというのが面倒極まりない状況に。

 

ダンケルフェルガーの寮監ルーフェンの提案により、エーレンフェストが魔術具を守れるだけの力があるかを示すためにディッターを行うことになって。

ディッターを行う会場の広さとか、ダンケルフェルガーの誘導に釣られるエーレンフェストの騎士や、地面を掛けてくる襲撃準備態勢とか、コミカライズでより分かりやすくなっていて良かった。

フェルディナンドの薫陶を受けたローゼマインの作戦によって、なんとか勝利を得ていましたが……弱さを実感しているのが、領主候補生のローゼマインだけというのが良くはないですよね……。

それはそれとして、混乱して「なんですか」連呼してるユーディットは可愛かったです。

 

31話がダンケルフェルガーの食堂で、ディッターについて語り合っていたりするのも、他所の寮の様子とか見られて良かった。外伝収録のエピソードとかも盛り込んで再構成してくれてるの良いですねー。

描き下ろし番外編が「ルーフェンの指導」で、コミックで見た時に31話から続けて楽しめるのも良かった。

SSは「寮での留守番」。寮に残ったヴィルフリートが、なにも分からない状態で困惑を続けている様が良く分かった。お疲れ。

本好きの下剋上 第四部 貴族院の図書館を救いたい!6

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「ジルヴェスター様ではなくフェルディナンド坊ちゃまになればよいのですよ

 坊ちゃまは姫様の神殿長のお仕事を手伝ってくださっているのでしょう?」

 

図書館大好きすぎて、図書委員になりたいと熱意を見せすぎたせいでソランジュ先生に協力を申し出て断られたローゼマイン。

本好きで、それを原動力に動いて結果的に多くの問題を解決していくのがローゼマインの魅力ではありますが。このあたりの流れは、原作の時からなーんか他のエピソードより苦手なんですよねぇ。

「図書委員」という理解しやすい用語があることで、ローゼマインの暴走がより近く感じられてしまうからだろうか。

 

リヒャルダが嗜めて良い方向にもっていってくれたのは良かったですけど。

そこからソランジュ先生をお茶会に誘うことになって、中央の貴族を相手にしたお茶会の練習を出来ることになったりしたのも良かった。

シュヴァルツとヴァイスの着替えについての話し合いも出来ましたしね。

音楽の先生のお茶会で、誘われてもいないのに紛れ込んでいたアナスタージウス王子、本当に好き勝手動いているなぁ……。

ローゼマインも図書館絡むと暴走しますけど、それにしたってなぁという感じはある。

 

採寸に赴くために2匹と両手を繋いでいるローゼマインの「きゅっ」ってコマが可愛くて好き。その直後に王族の魔術具を動かすことになるから警戒態勢になって、ひと固まりになって動く場面になって他所の貴族たちのざわめきも聞こえてくるので、緊迫感高まっていくわけですが。

噂になったことで武装した領地に待ち構えられる結果になってしまって。対応するために祝福を与えるシーンとか見られたのは嬉しい。厄介ごとやってきたのは頭痛いですが。

 

番外編コミックは「リーゼレータの決意」。シュミルが好きなリーゼレータ、ローゼマインがシュミルに似ていることに気付いてから、ときおりお耳が生えて見えるとか言ってて、側仕えらしく主張しない性格ですけど、結構面白い子ですよね……。

シュヴァルツとヴァイスのしっぽが衣装に隠されていたことに気付いて、今回の衣装ではそれを主張するように変更しようと決意してましたし。

SSは「音楽の先生方のお茶会」。ロジーナ視点で、貴族院でエーレンフェストの楽師として過ごしているエピソードだったり、お茶会で演奏しているときの彼女の胸中とかが分かるエピソードで良かった。

本好きの下剋上 第四部 貴族院の図書館を救いたい!5

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「フィリーネ 他領に詳細を伝える必要はありません 曖昧にしておけばよいのですが決して嘘を言ってはなりません」

「信用を得ることから始めなければ 敵を欺くことさえできませんから」

 

色々と話題にあがる行いをしていることで、第二王子から声を掛けられることになったローゼマイン。

面倒くさいと思いつつも、「魔獣を模した騎獣で教師に襲い掛かった」なんていう変な噂に関しては明確に否定しないわけにもいかず。

双方の言い分が違うから講義の後にでも確認しよう、という流れになったのにいざ講義後になったら去っていく王子はあまりにも王子らしい傲慢さではありますなぁ。

王子に侍る女性の争いの片りんも見えてそれに関与したくないから、とパパっと逃げるのが彼女らしい。

 

同学年で一緒に実技に参加する中で、ヴィルフリートが進展具合の差とかに驚愕する場面もあったり。

来年に向けた参考書づくりの中で、先達たちと受ける講義内容の差が生じている気付きがあったり。フィリーネにハルトムートが助言するシーン、彼らしさが見えて地味に好きですねぇ。

騎獣の講義に参加したヒルシュール先生、普通の貴族からは奇異に見えるレッサーバスを受け入れられる形に変化させていたの凄いですよねぇ。変人だけど腕は確かなんだよな……。

 

シュタープの実技で一瞬歩みを合わせるのを考えてましたけど、図書館第一! と突っ走るあたりが実にローゼマイン……。

その後の「ローゼマインがすべての講義に合格してしまった」という食堂の空気の重さよ……。講義を終える=図書館、というのがローゼマイン方程式ですけど。正確には社交がスタートする証明でもあって。話し合いをすることになっていたのは良かったですね。

その後の旧ヴェローニカ派の子どもたちの話し合いもそうですけど、ローゼマイン目線では見えない交流も重要なんだなよぁ、というのが良くわかるので。

 

巻末番外編は「楽しみな朝」。図書館通いが楽しみすぎて早起きして神に祈りを捧げているローゼマインは、でしょうねとしか言えない感じではあった。

SSは「ローゼマインの講義終了」。ヴィルフリート視点で、彼女が講義を最速で終えたということを彼の側近と話しているシーン。

ローゼマインの社交開始に合わせて、話題にして良いものがどこまでかという打ち合わせをすると決めたのもここでの話し合いがあったから、とのことで。良い話し合いではありましたね。

本好きの下剋上 第四部 貴族院の図書館を救いたい!4

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「なんてすばらしいのでしょう…」

「幸せ過ぎて泣きそうです 神に感謝しなければ…」

 

コミカライズで絵がついて、シュバルツとヴァイスの可愛さが強調されてて良かったですね。これはなるほどリーゼレータ達が惹かれるのも分かる。

そして装飾に凝った扉を潜って図書館へ。貴族院、つまりは貴族が使う場所とあってこういう細かいところにもこだわりを感じるのが良いですね。

 

これまで起動していなかった貴重な魔術具であるシュヴァルツとヴァイスが動いていることで、驚いているモブ学生なんかもしっかり描かれていました。

図書館にお熱で暴走しまくりなのは、不安しかないなぁ……という感じですが。

新たな目標を前に燃えるローゼマインが挑むのは、領主候補生向けの宮廷作法の授業。ハンネローレとかわかるキャラもいましたけど、他領地の候補生の姿見えるのいいですねぇ。

ピリッとした緊張感が漂う時、表情を隠すのが貴族とは言え多くが冷や汗かいてるのも、分かりやすくて良い感じ。

 

ヒルシュールが魔術具目当てで協力を申し出てくれたことも、ローゼマインの爆速合格を後押しした要因なんですよねぇ。エーレンフェスト的には恨めしいのでは。

まぁ、反発しているフラウレルム先生の担当の授業でもフォロー入れてくれる確約とれたから、乗らない選択肢もないですが。

「神の意志」の採取とかも楽しく読めて良かったですね。あとは奉納舞で、華やかな踊りにドキッとした後、技量の足りてない王子の踊りを見てスンって表情になってるローゼマインが面白かったです。

 

巻末番外編のコミックは「秘密の相談」。リーゼレータが側仕え見習いたちとの交流で、シュヴァルツとヴァイスの魅力について布教する話。小説本編の巻末SSで見たことある話でしたが、衣装の話し合いが本当に楽しそうで良かった。

書き下ろしSSは『ローゼマイン様の側近として』。ハルトムート視点で、ローゼマインの祝福を間近で見たことでまたテンション上がっていましたね……。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部女神の化身XII

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「神々よ、英知の女神は私に嘘を吐いた。ユルゲンシュミットの礎を満たしてもローゼマインから神々の御力は消えなかった。これは神々が望んだ結末か?」

(略)

「最も神々に祈りを捧げてきたローゼマインこそ、最も生きる価値がある。呪うならば私にすべきだった。これより呪いと化した祝福を返す。神々に翻弄されたローゼマインに正しき祝福を」

 

本編完結となる第五部12巻。

ローゼマインの記憶を取り戻すために奮闘しているフェルディナンド視点のプロローグからスタート。彼の視点から見ると英知の女神があまりにも神様過ぎてなぁ……。

呪い返しまで視野に入れて行動をしていたとなれば、本当にできる事全部やったんだなと感心してしまった。

それなのに「後はフェルディナンドがなんとかしてくれる」と楽観決めてるローゼマインみたら、苦言の一つも言いたくはなるか。

 

あまりにも本好きすぎて、一般的な男女間の感情については理解できない。

それでもフェルディナンドが大切だというのは間違いなくて、彼との関係を受け入れることにしたのは、落ち着くべきところに落ち着いた感はありますね。

そして新たなツェント・エグランティーヌとの対話、婚約からの領地でのアウブとしての宣言が入って。

WEBにはなかった、まだ信頼できる貴族が少ないためにエーレンフェストに一時的に帰還して諸々の準備を整える章が結構なボリュームあって良かったですね。

 

それぞれの側近たちにも想いがあって。ローゼマインの筆頭文官としての地位をより早く確かなものにしようとアレキサンドリアでの滞在期間を延ばすことを選んだハルトムートは相変わらずだなぁ、と思いましたし。

親族の扱いについて聞いたアウレーリアについても、彼女の置かれた状況を思えば納得できるリアクションではありましたか。あとは、ローゼマインがエルヴィーラから「貴女以外の誰にもできなかったことです」とお褒めの言葉を貰っているシーンも尊くて良かった。

 

就任式で、他の領地から不満が出た時もローゼマインは隣にフェルディナンドが居たこともあって落ち着いていたの良かったですね。

……魔王様の策略に嵌められた人、というのが明確だったし。反撃できる状況でもあったからなぁ。言われたままで終わらない、大領地のアウブらしい姿勢は見せられたのでは? 

 

なろうの方の活動報告で書かれていましたが、ローゼマインとフェルディナンドが就任式で切ることになった「(結果的に)互いの髪の色になった服装」は、『このライトノベルがすごい! 2024』の表紙イラストになっているそうです。言われてみればそうか。

あと、口絵のカラーイラストが「帰宅」のシーンを採用していてネタバレになるから、と巻末に置かれているのも珍しい配置でしたが、こだわり感じてよかった。

本好きの下剋上 ふぁんぶっく8

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「ベルティルデはローゼマイン様のために訓練を受けた唯一の側近ですもの。おそらくローゼマイン様も残念に思っていますよ」

 

いつもの扉絵コレクションからスタート。ジュニア文庫版のも見られるのは個人的に嬉しいポイント。前も言った気がする。

裏表紙のミニキャライラストも可愛いですよねー。「神殿の巫女見習い4」でマインが杖構えている絵が特にカワイイ。

 

番外編コミック『マインの休む裏で』が描き下ろし収録。

鈴華先生の描いてるエピソードの描き下ろしですね。アーレンスバッハの領民を使った襲撃でマインが風の盾を使って倒れた後、彼女の危うさを実感してその能力から保護が必要だと話し合う保護者三人衆のお話。

 

波野涼さんの『ローゼマインとナイフ』も描きおろしされてましたね。

非力すぎるローゼマインの事を考えて、工夫してる神官長の苦悩が描かれていてクスッと笑える話でしたね。

勝木光さん『ディッターになった理由』も収録。

暴走した兄について聞かされたハンネローレ、大変そうだけど可愛い。大混乱でハテナの背景しょってるコマ、可愛くないですか。

 

そして書下ろしSSは『貴族の見習い仕事』。ベルティルデの視点で、側近たちとの交流を描きつつタイトル通り貴族がどういった環境で見習い修行をするのか、という話題について話していました。

騎士、側仕え、文官。それぞれの家の事情なんかで大分変ってくるところの設定がしっかりしててさすがだなぁって思いました。

あとマインが神殿で秘匿されたのちに長期の眠りについていたこともあって、「ベルティルデはローゼマイン様のために訓練を受けた唯一の側近」と表現されているのは盲点だったので言われてみれば感。

 

ドラマCD89のアフレコレポートなんかや、アレキサンドリアの領地地図に紋章と収録されていたのも良かった。

そしてQ&Aコーナーは今回も充実してました。混沌の女神に誰かの不幸を祈ると、祈りで加護を貰う関係上自分にも混沌が与えられるの、良くできてる。

他に気になった質問だと、過去の奉納舞がどんな扱いだったのかとか。図書館の礎ともいえる魔術具が枯渇した時に起きるコトだとか。

 

国境門が開かれる条件は、「救いを求める魔力持ちの場所からランダム」だがランツェナーヴェの危険性は神々にも伝わっているから、ランツェナーヴェに繋がることはない、と保証されたのはありがたい。

ランツェナーヴェが今後辿りそうなこと。魔石を求めて王族が狩られたら崩壊も早まるとか、選ばれそうなんだよなぁ……。

中央の戦い出発時点でローゼマインの持っているお守りの数、思っていたものの倍くらいあってちょっと笑っちゃった。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部女神の化身XI

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「神話が真実ならば命の恩人ですから、わたくしにとってのフェルディナンド様のような存在かもしれないとは考えました」

 

カラー口絵で空中に描かれた魔法陣とそれを見るローゼマインの側近たち、みたいな構図が結構好き。WEB既読なので、ついにここまで来たか―って感慨深さがありますね。

ランツェナーヴェからの侵攻を撃退し、いよいよ事後処理が始まろうかという状況なわけですが。

ローゼマインは急成長した体に馴染めていないし、英知の女神を降臨させた影響が抜けていないし、大分振り回されていますね……。

大事な記憶が一時的とはいえ失われていることや、もともと自分の大事なものを優先するタイプの子だったこともあって、彼女自身はそこまで気にしてないように見えますが。

 

プロローグのフェルディナンド視点で、ローゼマインが英知の女神を降臨させたときのやり取りとかを見ることが出来て、神々の傲慢を感じましたね……。

この巻の後半で、再び降臨させることになってしまっていますけど、フェルディナンド憎しでローゼマイン巻き込んでくるの、本当になんだかなぁ……って気分になります。

うっかり遥か高みに上りかねない危険を背負わされたローゼマインでしたけど、フェルディナンドや側近たちの協力もあって、「神々の魔力」という爆弾を処理できたのは何よりでした。

……まぁそこで区切りとなって引きなので、書籍化の人にとってはだいぶ待ち遠しい状況にはなりそう。完結巻は今冬予定ということで楽しみに待ちます。

 

エピローグはローゼマインを見送ることしかできなかった側近グレーティア。ローゼマインに救われたことを本当に感謝しているのが、彼女視点だとより詳しくわかって良かったですね……。

巻末のSSは「閑話 継承の儀式」でWEBにもあったハンネローレ視点では神秘的に見る儀式(裏では大分ドタバタしてましたが……)について。

そしてエグランティーヌ視点の「始まりの庭と誓い」は、彼女の覚悟が感じられる描写が多くて良かった。

あと「新しいアウブのすげぇ魔術」で、アーレンスバッハの平民視点のエピソード入れてくれたのは個人的に嬉しかったポイントですねー。より影響を受けることになる彼らから見て「すげぇ」ことをしたのが分かりやすかった。

本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部女神の化身Ⅹ

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「君が思い悩むようなことではない。他人の行動の何もかもを背負い込もうとするな、馬鹿者」

 

プロローグはディートリンデ視点。

フェルディナンドを害しランツェナーヴェについた彼女が、何をしていたのかが描かれるわけですが……いやぁ、根っからの貴族だろうにあちこち甘くて浅くて、ここまでくると流石ですねとか思ってしまう。

だいぶ好きに動いてましたけど「ディートリンデの期待する明日が来ることは二度となかった」でプロローグ終わってちょっと溜飲下がった。

 

ローゼマインたちは貴族院に乗り込み、アーレンスバッハの敵対陣営とランツェナーヴェの対処に走って。

中央騎士団長のラオブルートが戦力を現王族へ差し向けたり、いよいよ離反を隠さなくなったりして。いや、ダンケルフェルガーの戦力いてよかったというか。

ランツェナーヴェ側がグルトリスハイトに手をかける瞬間だったわけで、かなりギリギリの状況だったんだなぁという思いが強まりました。

 

ローゼマインがアナスタージウス王子に「大切な人を人質に取って逃れられない選択を迫るのが王族のやり方でしょう?」ってかつてやられたことをやり返すの、正直痛快でしたが。

多用しすぎると反撃くらうからそのあたりのさじ加減は難しいところです。……アウブ・ダンケルフェルガーをして、あまり的に回したくないと言わしめたフェルディナンドがそばにいるから大丈夫か。

 

エピローグは、アウブ・ダンケルフェルガーの第一夫人ジークリンデ視点。

後方支援の慌ただしさの一環を見たのと、他領から見たフェルディナンドの暗躍について知れるのが面白かった。

女神が降臨したと聞いて、都合よくごまかされてないかと疑うあたりしっかり貴族してるんですが……トンデモ本好きがメスティオノーラ降臨させたのは事実なんですよね……。

 

書下ろしSSは中央の戦いをテーマに、「イマヌエル視点 帰還した傍系王族」で中央神殿が何をしていたのかを。「アナスタージウス視点 王族の立場」・「マクダレーナ視点 裏切り者の討伐」で王族の反応とラオブルートへの対処などを見ることができます。

特にマクダレーナ視点は貴重で、王族に嫁入りしてもダンケルフェルガーとしての矜持は健在で。彼女がいたからこそ守れた命もありそうです。

 

「ジェルヴァージオ視点 女神の降臨」は、ローゼマインの目線だと女神の図書館にいたタイミングで何が起きていたのかわからない状況なので、降臨の状況を知れたのは良かった。

メスティオノーラもまた女神なんだよなぁって傲慢さを感じる状況ではありましたが。

「介入できる余地が出来て安堵いたしました」じゃないんだよなぁ……それで人の記憶奪っていくし。結果だけ見れば助かってるんですけども、もどかしい。

 

そして暗躍している「フェルディナンド視点 負けられない戦い」。いろんな意味が込められてそうで、ワクワクしちゃう題名でしたね。そのために手段を択ばず、迅速に動いていたので周囲への影響甚大でしたが。

王族とかには遠慮しなくとも、意向を聞いてきたローゼマインを血なまぐさい戦いから隔離できると安堵してたり、大分感情出てくるようになったな……みたいな気分になった。

まぁ大切だからってのを除いても、女神の干渉で記憶に穴が生じているローゼマインを連れ歩くと、いつも以上に予想外が発生して間に合わなくなる可能性があるって計算もあったみたいですけど。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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