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「以前にも言ったと思うが、泣くことは決して恥ずかしいことではないのだ。誰かを想ってならば、なおのことな」


今回はティグルが船から落ちて行方不明になった後のエピソード。
まー、どうせどこかで出てくるんだろうとは思っていましたけど、再登場もバレも早かったかなぁ、という印象。
主人公不在の状態で進んでいく物語は、二人の戦姫、サーシャとエリザヴェータが海において、魔物トルバラン率いる海賊と戦う話。
戦姫たちもそれぞれに魅力があって、主人公と並び立つ、主役級のキャラクターだと思います。
特に、サーシャの戦闘シーンや、エレンとの友情、最後の挿絵など、魅力が余すことなく描かれていたといえます。

しかし、なーんか物足りない。
結構好きなシリーズなんですが、主人公不在だと、なんかテンポが悪いなぁ、という感じがして、どうも読むのが遅くなりましたね。
 
エリザヴェータも、なんかいけ好かない性質の人なのかと思っていたら、案外いい人?
というか、苦労性の人なんだろうなぁ。
戦姫というシステム上、前任者と比べられることも、特に多いだろうし。
役目を放棄したように見える、とオルガのことを嫌っているようですけど、腹を割って話せば案外仲良くなれるんじゃないだろうか。
戦姫がそれなりの権力があるといえど、不在の期間がどうしても生まれる手前、官吏側にも言い分ややり方、権限や思惑などがあるわけで。
ひょっこりであった、弓に秀でた記憶喪失の若者を傍に置こうとしたら、前任が云々、一芸だけで引き上げるのはどうかだの、いろいろといわれているわけで。
その立場にふさわしくあろうとして、わがままも許されないっていうのは、少しかわいそうかなーと思いました。
初めての我儘がなんかすごい火種になりそうな感じもしていますしね。
ただまぁ、エリザヴェータは、トルバランが指摘していましたけど、なにか怪しいものと契約しているようで。その辺がどう響いてくるか、だよなぁ。

あとは、鎌持つ戦姫、ヴァレンティナ。
絶対黒幕こいつだろう、みちいな感じがするんですけど、さてはて。
王位継承権をめぐって、いろいろともめごとが発生しそうというか、もうことが起きてしまった感じがありますけど。
王様もいったい何を考えているのか。
あの王は、結構得体がしれない部分ありますよね。
何を考えているんだか。

今回ティグルを助けた声、魔物とは何なのか。
話は動いているんですが、明かされていない謎が結構多いよなぁ、という感じです。
そろそろ魔物とは何なのか、知りたいところですけど、まずは国内の状況を落ち着かせるところまでいかないと、話進まない気がしますねぇ。

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉8 (MF文庫J)
川口 士
KADOKAWA/メディアファクトリー
2014-01-23