気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

鳥羽徹

天才王子の赤字国家再生術11~そうだ、売国しよう~

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「幸福とは納得の上に生じるものだ。たとえ国民から愛すべき皇女として扱われ、優雅な生活を送れても、そこに納得がなければ人生には暗い影が付き纏う。あるいはその影との日々を受け入れるのも一つの方法だが……公女は、そうしなかった。与えられる幸福の未来に納得せず、あえて試練の道に飛び込んだのだ」

 

ついに帝国の帝位争いに決着がつくことになる11巻。

ウェインの学友であるロワ、ストラング、マンフレッドは別陣営に所属し、ウェインは同盟国の王太子であるが故、完全に無関係ではいられない。

陣営が分かれてしまったのは派閥争いとか、主義主張の違いなんかもあったようですけれど……学友だった時から、それぞれの実力を認めていたからこそ、挑戦せずにはいられなかった部分もあったようですね。

いやはやこの戦乱の時代において、我を通そうとするとはなんとも熱い。

 

西側の工作と理解しながら手を組んだり、東レべティア教の動きや他陣営の仕掛けた暗殺計画を利用したり。

権謀術数張り巡らせつつ、戦場になってもそれぞれのやり方を貫いていく姿はお見事でした。

一時的とはいえウェインの動きを封じた勢力が居たのも見事ではありますが……だからこそそのままじゃ面白くないって干渉を招いたのは、あまりにもウェインらしくて笑えた。

 

しかし、またナトラに火種がまかれたと言いますか。

ウェインの活躍によって浮上しつつあるのは確かだけれど、彼の独断専行は目に余ると国内での権力争いなんかも生じつつあるようですし。

フラム人の方にも何かがありそう、と言うか。帝位争いのなかで、ウェインの心臓であるニニムを焚き付けた御仁が居たからなぁ。あれ、結構クリティカルと言うか何がしかが起きそうな予感はしますな……。

東がいったん落ち着きそうなのであれば、次はまた西でしょうか。

天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~10

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「私も以前は自らの力のなさを嘆き、もどかしく思っていました。そしてそれを解消するには、自らの意志で踏み出し、力を付ける他にないのです」

 

ウェインが他国の人間の養子になったことは、やはり家臣団から苦言を呈されて。

彼の実績によってナトラの名前が広まったこともあって、やる気に満ちている家臣たちが王太子に任せ過ぎず仕事をいくらか引き受けるようになったのは、良かったですが……つかの間の休暇中に即座に呼び出されてしまうあたり、対応力がまだまだ低いみたいですねぇ。

 

今後の課題、として受け取ると。それすらもウェインの策謀なのではないか、と思ってしまうんですよねぇ。ウェインはニニムという心臓が居ればいいし、帝国の第一王子に協力したときや、西側の選聖侯会議に参加したときみたいに、手駒が少なく敵地にあろうとも乗り越える力がウェインにはありますが。

そんな兄を見て、王族としての経験を積んでいるフラーニャは、自分一人で対処していくのではなくて、今回シリジスをより強く引き込んだように、有能な家臣の力を借りつつゴールにたどり着くタイプに思えるんですよね。

 

エピローグで、ウェインが父に放った不穏な言葉と言い、フラーニャに国を任せて、ウェインはかつてグリュエール王に告げた彼自身の目的について邁進するんじゃないか、みたいな気がする。

 

今回はウェインが無茶をしすぎたから、ナトラに残ったままデルーニオで行われる式典にフラーニャを向かわせて。

そこでトルチェイラ王女の策謀に巻き込まれたりしてましたが……だ、カルドメリアがその交渉に関係して厄介な資料ゲットしてたのは痛い。トルチェイラの策略に巻き込まれたことで、フラーニャがより成長できたみたいなのは良かったですね。

シリジスが獅子身中の虫っぽかったのが、真の忠臣になったみたいですし。ただ、忠誠を誓ったからこそなお、提言した内容がどう影響して来るかが肝かなぁ。

ロウェルミナもいよいよ帝位争いに決着をつけようとしてますし、結構色々動きだしそう。


天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~9

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「――それなら丁度良い。そろそろナトラの民も夢から覚める頃だ」

 

東西南北四つの連合都市からなるウルベス連合。

そこの代表を務めるアガタに、「統一に手を貸してもらいたい」と招かれたウェイン。

しかし実際に訪れてみると、アガタが代表を務める東都は連合内の競争に置いて行かれている側で。

転がり落ちていく間際に呼ばれたウェインは、他都市の代表と会ったりもしてましたが侮った態度を取られて。

 

貿易交渉が成立できればいい、とナトラの国益を優先してアガタを速攻で切り捨てる判断を下そうとするあたりがウェインだよなぁ。

まぁ実際、一国の王太子としては正しい判断ではありますけど。

それはそれとして、アガタから提供された資料を基に工作をしかけたりもしてました。通常の交渉ではなく「お見合い大作戦」になる当たりが笑えて好き。

 

いつものおふざけかと思いきや、実際に成果を挙げて見せるんだから最高ですよね。

あと、本編では着てくれませんでしたが、口絵で描かれたニニムのドレス姿がとても素敵でした。早く結婚して。

西の端にあるウルベス連合には、当然フラム人の奴隷もいて。ニニムの情緒が乱れまくっているのが、珍しくて新鮮でしたね。

 

後は、ついにウェインからフラーニャに教授された、ナトラに伝わるフラム人の国の話。

始祖と呼ばれたかつてのフラム人の英雄が為したこと。その当時に作った国が、滅びた理由。そして、その話にレべティアが関わっているって言うんだから、厄ネタの宝庫過ぎるな……。

 

最後の、ウェインがニニムに伝えた「夢から覚める頃」と言う台詞が印象的と言いますか。

フラーニャが名を上げるのを止めるどころか促したり、シリジスという有能な補佐を付ける事にも反対はしなかった。

他の方が「ウェインはあくまでもまだ王太子でしかない」という趣旨の感想を述べているのを見た事があるんですが。

 

ウェイン、成長したフラーニャにナトラを任せて、自分は5巻でグリュエールに語った「内に飼う獣」が喰らいたいものの為に動き出すのを想定してないだろうか。

アニメ化も決定してシリーズ好調なようですし、このまま続いて行ってほしい所です。

天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~8

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――いいや、全て違う。自分には解る。ティグリスが抱いたものは、意地だ。

 

ウェインは再び西で開催される、選聖公会議に参加する事に。

今回は、聖王直々の招待とあってはウェインに拒否が許されるはずもなく。

着実に力を付けているナトラに、東西どちらにつくのか去就を明らかにさせようとする思惑が当然蠢くことに。

 

この状況でも蝙蝠を貫こうとするウェインはただただ凄いわ。

まぁ実際、東は未だ帝国の後継が決まらない状態ですし。西は西で伏魔殿だから、行き来して美味しい所だけ取りたいというのは正義ですけど。

帝国との繋がりを、いずれウェインを追い落とす弱みとすればと自分で示唆したりして、交渉を乗り越えていた場面とか、感心してしまった。

 

冒頭、描かれたナトラ内部のフラム人達の熱。

ナトラが発展している今だからこそ、フラム人が地位を得よう、と。彼らの私欲ばかりではなく、国外から人材が流れ込んでいる中、フラム人に対する偏見を抱いている輩も多いため、危機感が募っている状況のようで。

 

若者たちの主張も間違ってこそないものの、危うさを感じる流れではありますね。実際に、首長は代替わりの時に伝えようとした秘密をまだ抱えておくことにしたようですし。

……ニニムを垣間見た西側の人物が、彼女に注目した、という事実がおっかなくてしょうがない。

ナトラの慣例として、王族がかつて存在したフラム人の王国について学ぶ時、王家のものが直々に教える、というのがあるのも気にかかる。百年前のラーレイは、いったいなにをしたんだ……

 

今回も選聖公の一人が死んで、その殺害容疑がウェインにかかったりとトラブルに巻き込まれてましたが。

各勢力の思惑を描きつつ1冊でエピソードを纏めてくれるのは読みやすくていいですね。

相変わらずカルドメリアが暗躍していて、おっかない。誰か排除してくれ。あまりにも彼女が怪しくて、聖王傀儡説とかもあったみたいですけど。聖王は聖王で、爆弾じゃないですかヤダー。

次も西側の話になりそう、とのことで。今度はどんな騒動が巻き起こるのか楽しみです。

 

あと、道中の馬車内でニニムがウェインの癖を利用して良い時間すごしてたり、ウェインが西側で活動するニニムの髪を染めてみたり、相変わらず隙あらばいちゃつくなこの主従は……いいぞもっとやれ。


天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~7

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『いやあお見事。初戦は負けたよ。本当にピンチだ。このまま負けちゃうかもしれないなぁ。だから――もっと掛け金を吊り上げようぜ』

 

皇帝崩御から三年。

未だに皇子たちの争いには決着がつかず、民の中にも倦んだ気配がじわじわと広がり……

焦れた第一皇子が、他陣営の承認を得ないまま、皇帝になるべく戴冠式を行うと通達をだして、帝国内で騒動が勃発することに。

 

第二・第三皇子は一時的に結託して、第一皇子を継承戦から脱落させようとしますし。

ロウェルミナは憂国派閥の長として各所に介入しつつ、自らの望みを叶えようと暗躍しています。

そして全ての陣営から、協力あるいは静観の要請を受けたウェインは、現地で情報を得ようと帝国に向かう。

 

最も第一皇子は泥舟なので与するつもりもなかったようですが、罠が仕掛けられていて、第一皇子と行動を共にする羽目になってたのには、笑うしかなかった。

ウェイン、また鼻からジャガイモ喰う羽目になるなんて……いい加減学習しないのか。

いやぁ、最近名を知らしめているナトラの王太子と言う看板を、こう活用して来るのか。そして、誰かに踊らされるばかりではないウェインの頭の巡りが恐ろしい。

 

各陣営が本格的にぶつかるということは、それぞれに分かれたウェインの友人たちとも競争する流れとなるわけで。

ウェインとロワが策謀に磨きをかけているように、グレンもストラングも得意分野を伸ばしているのは良かったですね。

恐ろしいのは帝国の層の厚さで、グレンの突破力もストラングの盤外戦術も恐ろしかったのに、彼ら以外にも手札が豊富にあるんだものな……

 

そりゃあウェインも一度は従属を検討するはずだ。

……いや、本人多分まだ悠々自適の隠居生活諦めてないと思いますけど。ここまで実績積み立てたら無理だろ……

 

終盤が怒涛の展開過ぎて、最初は置いて行かれましたね。ディメトリオの臣下たちが茫然としたのも頷ける。

第一皇子の決断には、感服する。あぁ、呪いは解かれたんだな……あるいは、最初からこうであったら、また違う道があったのかもしれないですが。その仮定は無粋かな。

フラーニャも帝国に赴いた際に、新しい家臣を迎え入れたようですし。まーたおっかない人を迎えましたね。彼女の決断とその理由も語られてましたので、納得ですが。

東で動乱があった次は、西で会議。こちらもこちらで魔窟なんですよねぇ。今度はどこと戦争になるのやら。



天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~6

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「さあどうだ、ウェイン・サレマ・アルバレスト! 船、人、技術、そして歴史! これらを前にして、貴殿は私に賭けるだけの価値を見いだすか!?」

 

ソルジェスト王国との一戦に勝利し、港の一部使用権を得たウェインたち。

しかし、選聖侯と戦ったという事実や、ウェインの名が良くも悪くも響くようになったために警戒され、交易を断られて。

せっかく得た港を活用できずにいるところに、トルチェイラ王女が大陸南方にある海洋国家への紹介、という話を持ってきて。

 

いやぁ、ソルジェスト王家強かですねホント。グリュエール王が良い性格していて結構好きです。

ウェインも傑物ですけど、青い部分もあるんだなと言うのを実感する。……アレでまだ成長の余地残してるとか怖いわぁ。そりゃ他国も警戒するわ。

 

そしていざパトゥーラに辿り着いてみたら、トラブルに巻き込まれてウェインは投獄される羽目に。

獄中にあっても動じずに自分を貫いて、良い待遇を勝ち取っている辺りには笑いました。

しっかりと手を打って早々に脱出している辺りも流石。その過程で、重要人物を保護して。

優秀な兄が居たために凡庸とみなされていた弟王子。いやはや、未熟ではあれど交渉してウェインを引きずりこんだ辺りとかは、中々の手腕だと思いましたよ。

追い込まれている状況ゆえに、政治家としてよりはギャンブラーみたいなイメージがありますが。見事乗り切ってましたし、今後に期待ができそうです。

 

日常回を書こうとしたものの、筆が乗らず本編を進行させたそうですが。

ニニムの水着挿絵を織り込んできたのはグッジョブ。

しかし、相変わらず西方諸国からの横やりがあったり、今度は帝国の方で動きがありそうだったりと、穏やかな時間は遠そうですねぇ。



天才王子の赤字国家再生術5 ~そうだ、売国しよう~

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「こんな交渉があってたまるか! 貴様は、民を何だと思っている!?」

「もちろん大切に思っているし、信頼しているとも。彼らはどこにあろうと、自らの力で未来を切り開くだろう。それが民というものだ」

 

ミールタースで、ウェインとフラーニャの知名度が上がったこと。

マーデンを併合し、大陸西側への窓口が出来たこと。

そうした積み重ねで、ナトラは稀に見る好景気に恵まれていた。

しかし西の交易に頼り切った発展は、元より王国であったマーデン領とナトラ王国との間で不均衡を生じる事となって。

 

今はまだいいが、この調子で力を蓄えればいずれ徒となるかもしれない。真っ当に発展したからこその悩みに頭を抱えてるウェインがちょっと新鮮。

好景気に調子に乗ってましたしね。掌返しも早かったのは流石ウェインって感じでしたけど。

 

これまで何度かウェインと邂逅した、グリュエール王。

ウェインは彼を評価し、手を組もうとしていましたが……グリュエール王の方は、ウェインを格好の獲物と定めて喰らおうとしていた。

グリュエール王からの正体を受け、彼の国にウェインたちは足を運び、結果として争いが勃発。

かなり追い込まれてましたね。これまで華々しい戦績を上げて来ては居ても、ナトラが小国というのがよくわかる。

 

というか、今回はソルジェストが強すぎるんですけどね……

不凍港を持ち、交易が盛ん。グリュエール王は肥え太り神輿で移動するような御仁ですが、それを為し得るだけの成果を上げ続けてきた訳ですから。

特に力を入れているらしい料理に、ウェインが言葉を失っているのには驚きました。交渉忘れるなよ……。

 

けれど、そんな大国の仕掛けて来た策謀を乗り越えて、窮地を脱する辺り相変わらず凄まじい才気ですね。彼の抱えているもの。今回明かされなかった獣の本音。

グリュエール王の決断を変えさせるほどのソレが、表舞台に上がる時を楽しみに待ちたい。

 


天才王子の赤字国家再生術2~そうだ、売国しよう~

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「場合によっては死に至るでしょう、ウェインの方法は」

「だがやらなければ今の社会に屈することになる。それはすなわち魂の死だ。そう考えれば気が楽だろ? 肉体が死ぬか魂が死ぬか、好きな方を選べばいいのさ」

「全く気楽になれませんよ……」

 

帝国から新しい大使が派遣されてきて。

金鉱山をとったナトラにどうにかして一枚噛んで功績としたい御仁で。

交渉は失敗したもののウェインの婚約者を紹介するという事で顔を売ろうとして。

問題は、帝国の皇女が釣れてしまったところなんですよねぇ。

大物がかかりすぎて、大使扱いかねてるじゃない……人間分不相応の手を打っちゃいけませんな……

 

いかにウェインが戦争で勝利をおさめ、才気を見せたとはいえ、通常ならありえない縁談。

「今の状況、全部夢オチってことでどうにかなりませんかねニニムさん!?」とか叫んでる場面には思わず笑いがこぼれます。

間違いなく罠と断言していて――実際に裏があったところには笑いました。多重に意味を持たせていたので、100%罠とも言い切れない按配でしたし。

皇女ロウェルミナ。彼女には、ウェインやニニムと過去に接点を持っていて。

相手のやり口をよくわかっているというか、腹黒同士で探り合いをしてるのは正直見ていて楽しかったです。

 

この二人が頭脳明晰なのは間違いありませんが。

だからこそ、常識はずれの行動をとる放蕩息子には手を焼くことに。

完全に策をぶち壊されて、今回はロワ側からお手上げ声明が出て。

ただ、一杯食わされて終わるウェインではなくて。しっかり反撃した上でロワに恩を売ったのは流石。この場合は過去の約束を守った、という意味で義理を果たしたって言う方が近そうですけど。

 

天才王子の赤字国家再生術~そうだ、売国しよう~

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「だから手間を惜しむ。楽をしたがる。低きに流れる。このまま力押しですませようと思ってしまう。――そう思わせるのが、俺の戦争だ」

 

34巻の感想を書いたのに、12巻の感想書いてなかったので読み直して記事作成―。

いやぁ、やっぱり楽しいですね。                                                                    

ウェイン、ちゃんと人事を尽くして天命を待ってるというか。

情報収集して、事前に予測も立てて、入念に準備しているのに、最後に不測の事態が起きてひっくり返されてしまう。

しかも、予期せぬ状況になってしまっても、その中で出来る事をやり続けているので、傍から見ていると計算通りにしか見えない場面も多々あって評判はうなぎ登りと。

 

1巻のあらすじ見ると勘違いモノのようにも見えますが、ウェインは傑物ですよ。

国力に絶大な差がある帝国への併呑が避け得ない、と判断して高く売りつけようと画策している。売国して悠々自適に過ごしたいとは言いますが、そこまで悪くない作戦のように見えます。

……実際には先述の通り、最後までうまくいかずに、必死に取り繕う羽目になるんですが。その繕い方が普通じゃない。

 

どこかで失敗しそうなものなのに、自らの持ちえるものを全て活用して目的を果たす収拾能力には脱帽します。

楽をしたがるばかりではなく、大切なものへの侮辱は許さない過激さも持ち合わせていて、乱世の王族としてはこの上ない人材なのでは。

本人が望まなくても、事態にどんどん巻き込まれていきますしね……。


天才王子の赤字国家再生術4 ~そうだ、売国しよう~

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「――征きましょう、私と共に!」

 

皇帝が亡くなって後、次代が未だに決まらぬ帝国。

ロウェルミナ皇女は、すぐさま名乗りを上げるのではなく、国の将来を案じる人々と繋がり憂国派閥を作って。

武力に乏しいが、主張は正しい。そんな勢力を叩くと失点となるため、他の皇子は手を出せず。実にいやらしい動きをしてますね。さすがウェインの同類。

 

そんな彼女と商業都市が動き、皇子たちの会合が開かれることに。

各国も注目するその会議に、当然のようにウェインは招かれてましたが。

戦争明けかつ、規模の大きいマーデンを併合したばかりとなると、動きづらい事情もあって。後は個人的にサボりたいというか、距離をとろうとか考えても居たようですけどね。

兄が多忙を極める中、自分に出来る事はないか探していたフラーニャは自分が赴くと名乗りを上げて。

 

初めての外交ということで、目標はかなり低めに設定して。

ウェインから助言をもらい、補佐にニニムがついた上で臨んでいましたが。大きな失点は無いものの、上手くいかない場面もあって。

それでも次に生かすために学ぼうとする貪欲さはありましたし……彼女も、またナトラの王族なんだなぁ、というのを感じました。

 

先代の補佐に怪物のように言われたナトラの血。

確かに彼女も、当代の傑物の一人だと。いやぁ、怖いわ。状況が上手くハマったというのもありますが、あの幼さで戦えるという事が。

まだまだ成長の余地を残している、彼女の可能性が。全ての代に置いてこういった存在が現れていたのだとすれば、ナトラ王家は確かに化け物だ。

 

帝国皇子三人も描かれていましたが……今一つ、物足りなさはありますね。

第一皇子は論外としても、アレを蹴落とせてないって言うのは一抹の不安がある。

西側の選聖侯にも化け物揃ってますし、帝国は早いうちに足並み纏めないとマズイのでは?

次回はまた西側に焦点を当てた話になるようですが……まーた戦争になりそうな臭いがしますよ。ウェインの采配に期待。



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 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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