「幸福とは納得の上に生じるものだ。たとえ国民から愛すべき皇女として扱われ、優雅な生活を送れても、そこに納得がなければ人生には暗い影が付き纏う。あるいはその影との日々を受け入れるのも一つの方法だが……公女は、そうしなかった。与えられる幸福の未来に納得せず、あえて試練の道に飛び込んだのだ」
ついに帝国の帝位争いに決着がつくことになる11巻。
ウェインの学友であるロワ、ストラング、マンフレッドは別陣営に所属し、ウェインは同盟国の王太子であるが故、完全に無関係ではいられない。
陣営が分かれてしまったのは派閥争いとか、主義主張の違いなんかもあったようですけれど……学友だった時から、それぞれの実力を認めていたからこそ、挑戦せずにはいられなかった部分もあったようですね。
いやはやこの戦乱の時代において、我を通そうとするとはなんとも熱い。
西側の工作と理解しながら手を組んだり、東レべティア教の動きや他陣営の仕掛けた暗殺計画を利用したり。
権謀術数張り巡らせつつ、戦場になってもそれぞれのやり方を貫いていく姿はお見事でした。
一時的とはいえウェインの動きを封じた勢力が居たのも見事ではありますが……だからこそそのままじゃ面白くないって干渉を招いたのは、あまりにもウェインらしくて笑えた。
しかし、またナトラに火種がまかれたと言いますか。
ウェインの活躍によって浮上しつつあるのは確かだけれど、彼の独断専行は目に余ると国内での権力争いなんかも生じつつあるようですし。
フラム人の方にも何かがありそう、と言うか。帝位争いのなかで、ウェインの心臓であるニニムを焚き付けた御仁が居たからなぁ。あれ、結構クリティカルと言うか何がしかが起きそうな予感はしますな……。
東がいったん落ち着きそうなのであれば、次はまた西でしょうか。