気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

86―エイティシックス―

86―エイティシックス― EP.13 ディア・ハンター

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――お前が死ねば良かったのだと。

誰かに断じられることは。

そう、誰かの生を断じてしまうことは。

「正しい言葉じゃないと――俺は思う」

 

ヴィ―カがフレデリカの出自と、レギオン停止の希望について知ったことで高級指揮官との相談が出来る環境が出来たのはシン達にとって良かったでしょう。

まぁ、シンは出来れば早い段階でレーナに相談したいと思っているみたいでしたけど……彼女は未だ療養中だし。

そろそろ帰還できそうな時期に、首都で謎の連続爆発事件が発生。その近辺で、共和国からの避難民が目撃されていたことで「保護」の名目でレーナは隔離されることになってしまって。

 

そしてその爆発事件の裏には共和国の計画があったことが、明らかになってきて……。

かつてはエイティシックスの扱いについてもあるし、記憶に新しい盗聴器騒動もあって、どんどん民の中で共和国へのヘイトが高まってしまって。

その一面を見れば、確かに保護は必要だっただろうなぁというのは分かります。

ゼレーネへの尋問も続く中で誰が指揮機体になっているのか、を絞り込もうとしているようですが。読者目線でだけ分かっている情報として、ノウ・フェイスの正体がアレですしね……。

上層部はまだ冷静な部分もあって、実質軟禁だとしても保護の名目は守っていましたが。

 

共和国の陥落以外にも、どこかで生き残っていた国が滅びたのか連邦へのレギオンの襲撃の密度は高まるばかりで。

そんな中、疑心暗鬼に陥って人同士の諍いすら生じるこの状況に置いては爆弾情報すぎるんだよなぁ。

脱走したユートはチトリ達「小鹿」を連れた最後の旅を完遂せんと動き続けて。その中にダスティンの知人がいたことで彼もまた揺らいでいました。

想い人のレーナの「隔離」に、内心反発しつつも軍人としてはそれを吞むしかない冷静さを得たシンでしたが、戦場で大暴れしてたのも彼らしいですけども。

 

86区という地獄を生き抜いて、それでもなお誇りを胸に戦場に立つことを選んだエイティシックスたち。まだ若い世代が多いこともあって、青さが光ることも当然あるんですが、それでも彼らの在り方は覚悟が決まっていて格好いいですよね。

その体現と言えるエピソードが、今回最後に起きたリト周りのエピソードなんですよね。そう、彼らはあそこで止められるし、引き金を引けるんだ。

……だというのに、人の愚かさによってそれが損なわれて、さらにはあの悪習とほぼ同様の状況がこの最終局面で再現されるっていうのは、なかなかに耐えがたいものがありましたが。

せめて、少しでも多くの希望が残ることを祈りたいものです。

 

と言いつつ愚かな選択をした人々に相応の報いがあって欲しいという気持ちも、どうしたって胸に引っ掛かり続けるんだよなぁ……。でも、そういう連鎖が争いを生む源泉なのだ……。私も愚かだ……。

86―エイティシックス― Alter:1 死神ときどき青春

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「わたしも、……みんながいなくて、とても寂しい」

 

本編16巻の間に発表された、店舗特典SSやフェア限定SS、電撃文庫MAGAZINEなどに掲載された短編をまとめた番外編。

書きたいからという理由で店舗特典分には余裕を持った数を執筆していたらしく、未発表となっていた短編だったり、書下ろしSSも収録されているので特典を追っている人にもオススメできるのでは。

 

共和国の戦場暮らしをしていたエイティシックスたちのにぎやかな日常だったり、遠隔地にいるレーナがシンとクレナの近さに若干嫉妬したりと、最新の時間軸とは違う距離感が懐かしい。

共和国編のSSでは「仔猫」が好きですねぇ。残された猫を回収したレーナが、シンたちが居ないことに寂しさを覚えてるのが良い。

ギアーデ連邦編では再会した後のエピソードも描かれているんですが、シンとレーナがそれぞれにいたずらしてるSSが微笑ましくて好き。

 

後は時期に合わせて、各エイティシックの誕生日エピソードが入っているのも良かったですね。

多くを奪われたエイティシックスたちは誕生日を祝うなんて当たり前の習慣も無くしていたけれど。共和国の心ある人が遺していた資料から、自分たちの誕生日を再確認して贈り物を送っているのがなんか胸が暖かくなった。

孫との距離感を測りかねているノウゼン侯とか、地味に気に入ってます。あとはセオ誕生日の協力プレーも好き。

86―エイティシックス― Ep12.ホーリィ・ブルー・ブレッド

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「ガキの時分は無暗と自信満々なくらいでちょうどいいけどな、大尉。さすがにそりゃ傲慢ってもんだ。お前さんが守り切れなかった分は、つまりお前さんのせいじゃねえってことなんだよ。――エステルについてもこの前の作戦でも、これまでもこれからもな」

 

共和国民の避難作戦では避けられぬ犠牲が生じて……。

それがレーナやフレデリカの心に刺さってしまうのはそれはもう仕方のないことでしょう。心配されたレーナは療養期間が設けられることになって、まだそれくらいの余裕がギアーデ連邦にあることは喜ばしいですけど。

 

……前線を押し込まれてしまっている、戦況悪化の中ではどうしても国民の不満は募っていくわけで。

そもそも連邦自体が帝国がレギオンという問題を生み出したせいで誕生した、若い国家なわけですよね。それまでは貴族と、その庇護下にある民という構造だったのが、自由を与えられて戸惑う子がいるのもまぁ分かる。

ただ戦時中というのもあって目まぐるしく環境が変化していく中で、盲目の羊のままで居続けることはできないんですよね。今も戦場にいるエイティシックスたちが、分からないままでいるのを良しとせず、学ぼうとする姿勢を見せていることからも明らかです。

 

それでもなお責任を他者に押し付けようとするのであれば。それは自らに跳ね返ってくるわけです。

今回はまた人類の愚かさを見せつけられるようなエピソードでしたねぇ。元農民で、連邦となった時に学ぶことをしなかった輩が、その愚かさゆえに危険なブツに手を伸ばして、戦線を混乱に陥れたのだから厄介でしたね……。


他にも共和国の「漂白洗剤」の連中も健在らしいし、情報を盗むために仕掛けていた策略にも悪意が満ちていましたし、どうにも苦しい状況が続きますねぇ……。
連邦の大統領もシン達を保護したときに、子供を見捨てないといけない世界なら滅びた方がいいみたいなこと言ってたり、配下の高官からすら付いていけないと意見が出てくるくらいになっているのも不安材料ではありますけど。
エルンストの態度だったり、今回の民の暴走とかで足元の不確かさがが見える連邦に対して、ヴィ―カの故郷では王族の一人が殿を務めて、その報復に向かう憎悪の熱でごまかす手を取ったみたいですし、苛烈さに違いが出るな……とは思いました。

今回は離れ離れになったシンとレーナですが通信ではイチャついてくれてて、そこだけが癒しでした。

86―エイティシックス― Ep.11 ディエス・パシオス 

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『正義たるが連邦軍人の誇り。人間たるがエイティシックスの誇りなのだろう。そのとおりに行動しろ。復讐を選ばなかったなら、これからも選ぶな。貴様らが良く、生きる邪魔を、奴らなどにさせてやるな。(後略)』

 

ゼレーネから齎された情報と、秘された女帝。

連邦はそれらを武器にレギオンに反攻する作戦を立てており、その目標に向けて動き出そうとしていた。

シンが連邦に居た親族と、異能に関しての相談をする時間を重ねていた、という描写が冒頭にあって、彼もどんどん変化していって明るい未来が見えてきたか、と思ったものですが。

 

このまま負けてくれるほど、レギオンは甘くなかったというべきでしょうか。

空を妨害型に奪われた世界では、若い世代には想像もできないものが、存在して……羊飼いを生み出しているように、こう、レギオンども戦争兵器として十分すぎるというか。

自分達にある枷を超越したり、ルールの枠内でルールを逸脱するイカサマみたいな真似をしてくるので、驚かされます。

 

空から降り注いだ災厄によって、確認出来ていた人類の防衛線その全てが後退を余儀なくされて、通信途絶した国すらある。

そんな中で、エイティシックス達の出身地であるところの共和国は、なぜかその被害を受けていなかった。

連邦は共和国に派遣していた派遣軍の撤退支援を行う事に決めましたが……第二目標として、共和国市民の連邦への非難の支援も行う事となって。

 

そこにエイティシックス達の機動打撃軍を派遣する事にあたり、「本国にはそれほど余裕がないか」とリヒャルトが評していたような気分にはなります。

でも237Pで「フェンリル28」の搭乗者が叫んだセリフには、エイティシックスを気遣う気持ちが十分に込められていたりしますし、共和国の市民たちっていう悪例が目の前にあるので、連邦はまだ余裕あるなって思ったのも確かなんですが。

いやまぁ、国を捨てての逃避を行うことになった段階になってすらなお、戦おうとしないというか。かつてエイティシックス達を、違うものとして切り離したように。

内側に新しい敵を作ってそれにヘイトを集めようとしたり、真っ先に逃げようとする高官たちには呆れかえるばかりです。

 

またしても共和国の悪意の前に立つことになった上、今度は彼らを守らなくてはならないエイティシックス達はさぞ業腹だろうと思ったものですが。

しかし戦い続けていく中で、多くを見て学び成長していた彼らは揺るがなかった。

……共和国に対してはある種の諦観というか、シンが言った「もうあいつらに、おれたちが生きる邪魔はさせない。――記憶の中でさえも」って言葉が全てな気がしますね。

心の中で区切りをつけることが出来たのは良かったと思っていて……それだけで終わらないのが、この作品ですよね。

 

この戦争で86区送りとなった人員は多くが死に絶え……その多くが、最後まで誇りを持っていられたか、と問われれば。そりゃ人間なんてそれぞれだから、揺らいでしまった人だっていたと答える他ありませんが。

ああいう形で実例をお見せされるのはあまりにも辛い。その中に、知っている人の残滓を見てしまったのなら、尚更に。

しかも今回、合間に過去のエピソードが挟まれていたんですが……カールシュタールの最期がアレな辺り、まだまだ厄ネタ眠ってる感じですしね……。

約束を交わしている少年少女たちが、少しでも良い未来に辿り着いてほしいものです。


86―エイティシックス―EP.10 フラグメンタル・ネオテニー

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「やれることを、やりたいようにやっているだけ。やりたくないことをやってはいないだけです」

 

最終的にスピアヘッド戦隊に配属されることになる、シンエイ・ノウゼン。

とはいえ彼にも新人で、未熟だったころはあって……。帝国の貴種の血を引くがゆえに、エイティシックスの中でも蔑視されやすい下地があって。

そんなシンが潜り抜けてきた戦場、その中で出会った先達たちのエピソードが断片的に語られます。

 

例えばそれは、最初に配属されたシンが、まだ首元の傷やそれに絡んだ出来事を飲みこめていなかった時に受け入れてくれた戦隊長だったり。

それとは逆に、彼にヘイトを集中させることでガス抜きに利用した戦隊長だったり。

多くの人や物が失われていく中、彼はそれでも戦って生き延びて……ファイドと再会したり、彼を認めてくれる人と出会ったりもしてるんですよね。ただ、死神になった彼に多くを残して去っていってしまっただけで。

 

共和国時代のエピソードはやっぱり重く暗い話が多いですね。引き込むパワーはあるし、面白いんですけど痛くもある。

こうした経験を積み重ねてきたからこそ、シン達みたいな号持ちが出来上がったんだなぁ、と納得は出来ました。巻末書き下ろしの「優しかった世界」みたいなIFがあってくれたらな……!! と夢想もしましたけど。

 

スピアヘッド戦隊に来てからのエピソード「トリアージタグ・ブラックのありふれた日常」、偵察任務に出発した後を描いた「レテの畔」、そして特徴的な〈スカベンジャー〉なファイド視点で紡がれる「ファイド」なども収録されています。

ファイド、音声発信ができないのが惜しいと思うくらいには感情表現が豊富というか、面白い子だったんだな……いや、それはそうか。シンの前で一喜一憂するもんな……。

86―エイティシックス―Ep.9 ヴァルキリィ・ハズ・ランデッド

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「あたしたちは、――あたしたちをもうこれ以上殺させない。止めてやる。こんなバカみたいな戦闘も、あたしたちを縛ってるこの戦争も!」

 

頼もしい仲間出会ったセオは、腕を失い戦えなくなった。

他のエイティシックス達にも被害は出ていて、海上戦闘だったこともあり遺体の回収が出来なかった者もいる。

そうした喪失や停滞といった心の傷についても、しっかり描いてくれるのが信頼感ありますね。どうしたって重くなってしまいますけど。

 

絶望の中でも前に進もうとする人は居るのだと描いてくれるのは、尊くて眩しい。

人死にも多い、暗くなりがちな作風なのに要所で笑えるネタ仕込んでるのはいいですよね。息抜き出来る。

42Pの種類によっては原生海獣を食べるというトーク中にあった地の文「レーザー撃ってきたが」が個人的にはツボ。

 

あと大きいのは、口絵でも描かれていましたが。ついにレーナがシンに告白。

セオの負傷などを受けて、シンもショックを受けていたようですけど。そんな彼に「頼ってください」と言えて、お互いにそれを許せる関係は素敵です。

その後の戦場におあっても、気安いやりとりしてましたしね。いちゃつきやがって。もっとやって。
クレナの思いについてもしっかりと結末を描いてくれたので満足しております。

 

そして、電磁砲艦型が逃げたと思しきノイリャナルセ聖教国から、救援要請が入ったこともありシン達が派遣されることに。

「狂国」と呼ばれているとかで、色々と注意もされた上で赴いていましたが……終盤明らかになった事情を思うに、正しい警戒だったな……。

 

今回もまた厄介な戦争ではありましたけど。

血を流した分の、大きな成果を勝ち取ることが出来たのは良かった。

多くの戦場を超えて、シンの覚悟も定まってきてるようですし。反撃が、上手くいってくれることを今から願わずにはいられない。

86―エイティシックス― Ep.8 ガンスモーク・オン・ザ・ウォーター

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『そうだな。言うとおり、戦わなくてもいいんだと思う。誇りしかないとはもう言わないし、戦場以外に居場所がないとも、もう思わない。……けど、戦わないと行きたいところに行きつけないし、……それ以上に自分に恥じるようには生きたくない』

 

秘された皇女、フレデリカの存在があれば、戦争を終える事が出来る。

勿論そのためには、秘匿司令部の発見が求められるのですが……

シンが1人で抱え込まずに、エルンスト達に情報共有してくれてたのは良かった。

可能な範囲で情報漏洩しないようにしてはいるようですが、コレが破たんの切っ掛けにならない事を願います。

参謀長とアネットの会話が不穏で気になるんだよなぁ……

 

さて。前回シンの告白に、レーネは口づけを返したものの、明確な返答はなく。

オマケに、折悪しく講習等のスケジュールの問題で1か月ほど別れ別れに。「おれはそろそろ、少しくらい拗ねてもいいんじゃなかろうか」という地の文が可愛い。

いやぁ、シンが本当に人間らしくなってきた、というか。過去に囚われていた彼が、未来を見られるようになったのは本当にめでたい。

 

告白直後にレーネに逃げられ、混乱していた状態を目撃されたせいで、周囲にもバレバレと言うのがまた、緩い空気を生み出しています。

作戦開始前の時点で、ついにシンがレーナの〈ツィカーダ〉を知った場面とか、いつも以上にコミカルな雰囲気があったように思う。

 

時間が流れ、戦争が終わるかもしれない可能性も見つかり、戦いの中で他者に諭され……

エイティシックス達の中には、シン以外にも良い方向へ変化していく子たちが居て。

一方で、そんな彼らに置いて行かれたように感じてしまう、未だ変われていない子たちも居て。

 

そんな彼らの前が派遣されたのは、救難要請を飛ばして来た征海船団国家群。

海に行っちゃうんですよねぇ。一般にイメージされる青い海とかではなく、海底の岩や砂が黒いせいで、黒く冷たい荒れた海ではあるんですが。

遠い場所の象徴であった海に来てしまって、迷いがより鮮明になったと言いますか。

誇りだけを胸に戦い続けて来たエイティシックス達の前に、喪失を重ねて来た征海船団を持ってくるあたりが容赦ない。

 

中盤までどこか緩んだ空気を感じてはいましたが。

戦場においてそれは命取りだという事を、改めて突き付けてくるようで、震えましたね。

シンが不覚を取ったのも意外ではありましたが、彼の存在を把握している以上、レギオンも手を打ってくるんですよね。学習し続ける敵ほど厄介な物はない。

 

敵兵器の新調に、戦術を更新して対処している辺りとかは、やられるばっかりじゃないぞ、と気概を感じられて良かったですけど。

最後、完全破砕には至らなかったブツは結局どうなったんでしょうとか。

ちょいちょい気になる部分があるので、早く次の巻出て欲しい(8巻は今月の新刊だよ!)。

 

あらすじの「過去最悪の犠牲」の文言に震えて読んでいたので、思った以上にネームド生き延びたように思う。

いやまぁ、次の巻で被害状況総括とかされたら「いや、思った以上に死んでるわ」になるかもしれませんが。……海にフェルドレス引っ張り出して、慣れない場所での戦いの割にはマシだったようにも思うけど、そこに行くまでが、なぁ……

 

ここでコレってことは、ほかにも救難要請出してる国とかどんな状況なんだよ……

実際、ヴィーカが気づいたように犠牲は積み上がってるわけですから、作品として面白いけど彼らの先行きがとても不安になる。

最後に。原生海獣ってなんぞ??? めっちゃびっくりした。
設定はあるものの本筋には絡まないのでもう出てこないそうですけど。



86―エイティシックス― Ep.7ミスト

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「もう充分、助けられた。……俺たちもいい加減、解放してやるべきだよな」

 

……え、ライトだった、だと……?

表紙が綺麗で、作者様もTwitterでライト回と仰ってましたが。

いや、騙されんぞと思って読んだら、本当に『86』なのかと思うくらい穏やかな時間が流れていて驚かされました。

 

立て続けに過酷な戦線を超えた、独立機動打撃軍に休暇が与えられることとなって。

ヴァルト盟約同盟にて羽を伸ばすことに。連邦のお偉いさんたちが、悪の大幹部ごっこしてたのには笑ってしまった。言葉に出さなかった副官は偉い。

お互いを意識しているシンとレーナが、見ていてもどかしいから、そろそろくっ付けと周囲が有形無形の援助をしているのも良かったですね。

 

エイティシックス達が驚いたように、シンにも変化があって。人間味が増したというか、柔らかくなりましたよね、態度が。

レーナの方がハッキリと自覚せず足踏みしていたのは、ちょっと意外というか……休暇中に割り込んできやがった、共和国の人材を思うと、納得できる部分もありますが。

 

いやまぁ、本当に未だに価値感変わらないんだな。地獄を見ただろうに。いや、地獄を見たからこそ、責任を押し付けたいのか。

共和国から更に西にある国家の生存も確認されて、狂国とか呼ばれていたのが恐ろしい。え、この大陸あの邪悪よりも評判悪いとこあるの……?

 

同時に、第三国の協力のもと前回確保した「無慈悲な女王」の尋問も行われていたようです。

最初は情報部が行っていたものの、成果が上がらずシンやヴィーカが駆り出される状況にもなってましたが。

難航しながらも得た情報が、値千金かつ爆弾みたいなもので、恐ろしい。



86―エイティシックス―EP.6 ―明けねばこそ夜は永く―

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「死ぬかもしれなくても、だからって死ぬために戦ってるわけじゃない。欲しかったのは意味だ。自己満足かもしれなくてもそれでも、……納得して生きて、納得して死にたいってそう思って、」

いずれ必ず、死ぬとしても。

それだけは。

 

ロア=グロキア連合王国編、後編。

1巻を読んで、最新刊までまとめて読んだんですが。もっと早く読んでればよかった、と思うと同時に、56巻を続けて読めたのは幸せだなぁとも思いました。

 

〈シリン〉の存在。その使われ方。

エイティシックス達は、戦場に在るという誇り一つで戦ってきて……迷子になっていたようなものですよね。

それをレーナは囚われていると言って。アネットが伝え損ねた、目指す先が見えないという気付き。シンの迷いを、ベルノルトは「可愛げ」と表現して。過去の戦いぶりを知る整備士グレンには「変わってない」と口にした。

 

そうした迷いの中で、シンが珍しく失態を見せたりもしていましたけど。

レーナと喧嘩して。彼女の方も机に伏せて涙を見せることになったり。

グレーテがレーナに優しく接してくれたのは良かったですね。

シンはヴィーカに「どこかで思考を止めている」と指摘されてましたが。

迷子になって、立ち止まっては居られなくて。進み続けた果て、帰る場所を見失っていた子供たち。

 

エイティシックスの生き残り、リトの言葉が。臆病ながら言葉を紡いだシンの態度が。

あの苛烈な戦場において、輝いて見えました。

人の可能性は、まだ広がっているなぁ、と思う一方で……レギオンの的確すぎる動きに、情報漏洩が疑われていた件。まーたあそこか……みたいな雰囲気が。

後書きによると次回はライトらしいですよ! うそだ……


86―エイティシックス―EP.5 ―死よ、驕るなかれ―

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「優しいひとは、幸せになるべきです。正しい人は、報われるべきです。人の世界はそうあるべきで、今そうでないというなら、そうなってほしい。……そうやって少しずつ、人は理想を――実現してきたのですから」

 

ロア=グロキア連合王国へ派遣されることとなったレーナ達。

共和国での実験でレギオンに量産知性体が増え、連合王国も苦境に立たされているとのこと。

情報共有や技術交流などを行っていましたが……いやはや、連合王国で採用されている対レギオン兵装もまた凄まじい。

 

「己が何を以て、人たるか。言い換えるならば、そう、何のために己は生きるかというところか。それを問うためには――良い出会いであったやもしれぬな」。

というフレデリカの言葉が、的確ですよね。

〈シリン〉。トリアージで助からないと判断された、希望者の脳データを使用して作動する、レギオンの羊飼いに近い代物。

エイティシックス達は、根幹を揺さぶられたようですね。

 

今回は、シンを筆頭に、多くのキャラクターが迷っていたように思います。

ある意味においては、そうやって考える機会を得られたのは、幸いですけどね。

削られて生きて来た彼らが、それでも戦場に立つというのなら。軸を定めてブレないようにするのは必要だったことでしょう。

とは言っても、人の業って言うのを突き付けられるようで、ここまでするか、とは思いましたし。作戦とはいえ、あの行進には鳥肌がたった。一瞬立ちすくんだ、という気持ちが少しだけ分かるような気がしましたね……

 

あ、あとダスティン君は、うん。頑張れ。からかわれ続けるだろうけど、上手く馴染めるきっかけにはなったのでは……?

イディナローグの異能を「頭が良いだけの単なるアホ」と評した場面も笑いました。美学は大事だろうけど、オイ!?


プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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