『いざとなったら、坂上闘真』
「なに?」
『おまえが敵を排除しろ』
由宇と闘真はADEMからも真目家……麻耶からも離れ、2人で逃避行を開始。
彼らの目的地は、かつての勇次郎の研究所。彼が失踪し、由宇が拘束された因縁の地であった。
由宇は希望でミネルヴァ相手に暴れた後、治療等を受けていないこともあってガタが来てしまっているというのは不安材料ではありますね。
その道中、横田さんの家族の家を訪問してましたが。横田健一氏、「簡潔明瞭に解説されたLAFIの理想の論文」を纏めていたとかで、素晴らしい人だったんですねぇ。有能すぎて消された説。
一方のADEMも穏やかではなく……変異体木梨の暴走による被害。重要監視対象である峰島由宇の逃走。
その後の【天国の門】を巡る騒動でも、由宇を捕らえられなかったこと。
そういった事情からADEMに解体の危機が迫ることになってしまって。
伊達のかつての後輩である黒川が、自身が率いる低烈度紛争対策組織「海星」の司令としてADEMの権限剥奪の場に介入してきて。
前任者としてハウツーを学びたいという論で、ADEMの即時解体ではなく一部を残した特権の凍結に収まったのは、ギリギリ踏みとどまったと言えるか……?
「今日限りで凍結」というのを活かして、今日中にできる事している伊達と八代が好きだなぁ。強かだ。
お互い昔とは変わっていたり、変わっていない部分もあったりして。今の黒川には不穏な噂が付いて回っているようですが、「ADEMの正義は、俺が受け継ぐ」という言葉自体は本心だったり。かつての黒川は清廉潔白だったと伊達が語っていたりして、彼の真意はなかなか伺い知れない部分がありましたが。……まー不審は不審でしたね……。
アメリカでも秘密裏に開発されていた遺産が盗難される騒動が起きていて、エージェントが日本に派遣されることになったりもして。相変わらずいくつもの思惑が絡んできますねぇ。
さらには「七つの大罪」と呼ばれる遺産技術を用いて、都市伝説のような実績を積み上げてきた傭兵集団が来日してきて、由宇達に襲い掛かってきたのも厄介でした。
しかも七つの大罪が扱う遺産技術は由宇の頭の中にないもので……それはつまり、消息を絶った後の峰島勇次郎が開発したものである可能性が高かった。
先の事件からどんどん峰島勇次郎の影が濃くなってきてますねぇ。
由宇は最悪の場合、自分の知識の悪用を避けるべく死ぬ事を考えていましたが、闘真とのやり取りで踏みとどまってくれたのが良かったと言えるような未来を掴んで欲しいものです。踏ん張れ、闘真。