![]()
「私が、そのような非道なことをする人間だと?」
「そうは言っておりませんが、そこには明確な差があるということです。また、人は神の光に近づきすぎるとこの身が燃え尽きてしまうとも言います。眩しい光には近づきたくないと、わが身が可愛い人間は、そう思うでしょう」
主人公のサーラは、ヴォワトール国の王都の下町にあるパン屋で働く少女。
タイトルから予想出来るし、書籍版だとあらすじで触れられているんですが元々は貴族令嬢だったんですが、故郷の国で両親が謀殺され……隣国で新しい暮らしを始めていたわけです。
パン屋の売り子をしながら、時折噂好きの友人から持ち込まれる話に相槌を打っていたわけですが……元々の育ちも良く、知識が多いサーラは着眼点が鋭いんですよね。
死んだ商会長の幽霊が出る話。叶わぬ恋をしていたから化けて出たんだ、なんて面白おかしく語られているけれど、「他殺の線もあるんでは?」って考えも出すし。
その推理に至る論理もちゃんと彼女の中にあって。とはいえ、憶測を敢えてばらまこうともしていなくて。
友人としていた四方山話を、身分を隠していたとはいえ貴族のウォレスに聞かれてしまい興味を持ったウォレスに追及されても「証拠が足りなくて不確定だから言いたくない」とは言ったんですよね。
ウォレスが本気で介入して証拠を揃えて来たから、推理を披露する必要に駆られただけで。そしてそれによって真実に迫ってしまったことで、ウォレスがより興味を強く抱くようになって。何回も会いに来ることになってしまい……そのたびに、怪しい出来事についての推理をする羽目に。
サーラは自分の過去を隠し、平民として貴族の権威を畏れて近寄りたくないってずっと主張してるんですよね。
でも、ウォレスはその秘密を暴こうとして踏み込んでくるわけです。「平民の命など塵芥も同然だと思う貴族ではない」とウォレスは言ってましたけど、その一方でサーラを気に入りすぎて、彼女の秘密を暴こうとしてくるのなんかだなぁ……って思いましたけどね。
秘密を隠したい少女に「本気になれば、調べられる」と言葉にして開示を迫るの、割と横暴な貴族寄りだと思うけどなぁ……。