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「じゃ、どーすんだよ」
「一つだけ方法がある。運を天に任せるんだ」
「あのな……」
「天の上にいるんだから運はいいはずだ」

なるほど後書きにある通り、展開が早い。
とろい話が嫌いだったからだそうですけど。
それでも、展開早すぎてなんだよコレ、とは思いませんでしたね。
早いけどなぜか引っ張って行かれるというか、読んでいて楽しめる1冊、と感じました。

榊という高校二年生の男子が、小牧ノブという転校生の少女と出会う。
彼女は、超国家組織に追われる、並外れた超能力の持ち主だった。
そんなことを知らずに、榊は少しずつ交流したり、男友達と騒いだりしてるんですが、その裏では少女を守るために私立探偵が動いていたりします。
ま、裏表紙のあらすじで既にさらわれることが確定しているんですが。

榊は、小牧がさらわれる場面に居合わせて、抵抗して一緒にさらわれる。
それを見た友人たちは、榊たちを助けるべく、敵のアジトに潜入することに。
若さゆえの過ちというか、血気盛んというか、後先顧みていない感じがしますが。
この行動力は、素晴らしいものがあると思いますよ。

最初、転校してくる少女と電車で出会い、学校の場面があり、さらわれる展開へと続き、そこで終わらず、二転三転場面が移り変わっていく。
怒涛の展開というには、勢いが足りないように思いますがね。
一つ一つの場所の描写がしっかりあったり、一度捕まってから逃げ出す流れがあったりするので。
ただ、目まぐるしくはあるかなー。逃げ出したかと思いきや、失敗。でも諦めずに行動開始。
そうやってそれぞれの場所を描いているからこそ、コロコロ場面が代わって言っても、変わらずに楽しめるポイントだったのかなーとか思いますな。

有川浩さんが解説書かれているのに興味を持って手を出したんですが、当たりでしたねー。
その内他の巻にも手を出す予定。
しかし、今回は結構うまく言った感じですが、解説によると徹底的に苦い場面もあるようなので、そこを含めて楽しめるといいんですがねー。

妖精作戦 (創元SF文庫)
笹本 祐一
東京創元社
2011-08-30