――そうだよ。私、君に照らしてもらわないと生きていけないって断言出来るような、大義名分が欲しいんです。
小説家になろうで短編として公開されていた作品の書籍化。
元が短編なのもあって、かなり加筆されてますねー。新キャラも出て来てますし、2人の交流イベントの密度も増してる。
天に二物も三物も与えられた天才美少女、三峰彩葉。学校でもクラスでも有名だったが、その実態は孤高というか孤独で……死んでしまいたいと思っているような子でもあった。
通学時などに姿を見た事がある、くらいの距離にいた主人公はある日飛び降りようとしている三峰と遭遇。
言葉を尽くして、とりあえずその場での自殺は阻止します。「どうせ死ぬんだったら一緒に学校抜けだして海行こうぜ!」とか、突飛ではあるんですけど。
そうやって彼女を引っ張り回して、一方的に連絡先を渡して、次の約束を取り付けてどうか明日も無事でありますようにと祈る時間を積み重ねていくことになります。
主人公のように接して来る相手は三峰にとっても初めてで……彼のかけてくれる言葉は、彼女の心に刺さりまくって、踏みとどまる切っ掛けになっていた。
主人公の方も、他愛ない日常の中で見る非日常的なくらい美しい存在、みたいな遠くにいた三峰に近づいたことで、心境に変化があったというか。
どんどん2人の距離が縮まって、温かい関係を築くのが良いんですよね。特別だった少女が獲得した普通と、普通の少年が到達した特別な時間を是非見て下さい。