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「ああ、勝つさ。勝たないと、またあんたはルミナ様を泣かせるだろ」
「ふむ……命を捨てると?」
「そんな風に俺を舐めて、ダンレスも返り討ちになったよ」
カナタはディーラスコ家に引き取られてから二年、文字も読めなかったところから貴族として最低限程度の基本的なマナーとかを教え込まれたとか。
領主であるアンドレイス家の側近であるディーラスコ家の養子として、カナタはラジェストラの子供であるセルドラ、ロノスティコ、ルミナの3人と平等に付き合うようにしていた。
3兄妹の仲は良いですけど……地位のある家ではよくある話として、継承争いがあるとギスギスすることも多くなるとか。
実際今の王家では後継者争いが加速していて、命には代えられないと継承権を放棄する王子・王女も出てきているとか。実際、今の王太子と敵対していた第三王子とかも死んでるらしいですしね……。
アンドレイス家は長兄セルドラが問題なければ継いだかもしれないが……彼はある苦手分野の習得を先送りにし続けていて。それをロノスティコに指摘されて、仲良し兄妹の間がどうなるか……という問題が浮上しても「皆様、形は違えど家族思いですよ」と言えるのが良いですよね、カナタ。
アンドレイスの領地で行われるパーティーが行われる時期で、王族も、王族の護衛として宮廷魔術師もやってくる。
そんな中で、自家の不安材料が発覚したとは言えパーティーを中止には出来ない。
実際、暗躍しまくってる奴もいてロノスティコ襲撃されてましたしね……。争いあう相手だとしても弟を助けに駆けだせるセルドラ、良い子ですよね。まだ青いけど成長の余地がある。
長兄・次兄の襲撃すら本命への「探り」であって……それを見つけたことで手を伸ばしてきた黒幕に、カナタがしっかりと反撃してくれたのは痛快でしたね。
ラジェストラはそういった探りが出る事を想定した上でカナタを迎え入れていた……もっと言えば、本命を守るための囮にするつもりだったという話ですが。
……まぁ、貴族らしいっちゃらしいのでは。脳の一部に「利用するために連れて来た」って考えが抜けず、カナタの進言を無視したのはかつてカナタがぶちのめした傲慢な貴族ダルトンに被ってましたが。全てが終わった後、考えを改める柔軟さが残っていたのでヨシ。