気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

GAノベル

俺にはこの暗がりが心地よかった2 絶望から始まる異世界生活、神の気まぐれで強制配信中

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「守るよ。少なくとも俺に付き合ってくれてる間は、絶対に」

 

サブタイトル通り、神様の気まぐれによって異世界に送られ、強制的に配信させる生活を送っている人々の内の一人であるヒカル。

元々彼は異世界に来る1000人の中には入っておらず、幼馴染が死んだことで空いた枠に滑り込んだ形なわけです。事件の犯人と誤解され悪意あるメッセージが送られたことで彼は歪み、闇に沈む生活を送っていたわけですが……。

その程度のことで止まるとは情けない、とばかりに爆弾放り込んでくるんだから、本当に作中で出てくる神様は悪趣味です。

 

期間が定められた視聴率レース。その1位の景品が「死者蘇生の宝珠」だって言うんだから、ヒカルは止まれませんよね。

幼馴染の少女ナナミを蘇らせるために、リフレイアとコンビを込んで迷宮に挑む事になって。まぁきっかけこそ神の悪戯でしたが、ヒカルが誰かと一緒に行動するようになったことで、この世界の情報を得られるようになったのは大きい。

今まではこっそり迷宮に入り込んでるモグリだったヒカルですが、探索者登録したり装備の更新を測ったりとプラスの効果もあって良かった。

 

……最初に触れたのが悪意にまみれたメッセージだったこともあり、自分の視聴者層は自分が死線にあれば喜ぶだろう、と考えてソロで迷宮に潜って3層や4層と言ったこれまで行ったことのない領域に踏み込んだりするマイナス作用まであったわけですが。

リフレイアと交流して、普通の探索者みたいに迷宮に挑んで。時に視聴率1位のために無茶をするけど、それでも少しずつパーティーらしくなっきた……ってところで、迷宮で魔王種が誕生するって言うんだからヒカルは呪われてるんじゃなかろうか。

 

階級は低いものの魔王種の討伐に参加できることになったヒカルですが……リフレイアに事情を打ち明けられる程度に、柔らかくなったのは良かった。

まぁ、惚れた弱みというか。そうして事情を聴いたことでリフレイアも縛られて無茶をする羽目になったりもするんですけど。

危機的状況に陥った時に、1つを救うために1つを捨てるという決断は中々下せるものではありません。掲示板回でも時折触れられますが、ヒカルもなんだかんだでスペック高いですよね……これもまた、彼を縛る重石になってしまいそうなのが不安材料ではありますが。

 

巻末に書き下ろしで「最強のレベル1転移者」が収録。

掲示板回で名前が挙がることの多かったジャンヌちゃんのエピソードですね。彼女、結構好きなので本格的に絡むことになる次回以降が楽しみです。


モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います2

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「だから、これでいいんです。自分たちのペースでゆっくり進みましょう」

「……はい」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで331日まで。

死にかけながらもネームドモンスターの討伐を成功したカズト。モンスターをパーティーに入れる事に成功していたり、上手く世界に適合した感はあります。

ハイオーク討伐は彼のパーティーだけでは成し遂げられず、イチノセさんの助力も大きかったですけどね。それもあって、ついに合流できることになったわけですが。

 

極度の人見知りである彼女には色々とハードルが高かったですね……。少しずつ改善していってほしいところ。……ずっと青い顔されても困りますし。

慌てる事や失敗する事もあるけど、まだ会ったばかりなんだからゆっくりやって行こうとカズトが言葉にしてくれたのは良かったです。

 

自分と同じように犬を連れた少女と遭遇したら、それが幼少期の知人だったとか。後書きによるとWEBと書籍で扱いが大分変ったキャラクターのようですね。

彼女から情報をえられたのは大きいですけど……避難所として機能している学校に、魅了スキル使ってる生徒会長が居たのはヤバかった。

 

いやまぁ1巻でホームセンターを拠点にしてた西野君たちのところに「助け合うのが普通だろうが!」と食って掛かった集団が居たのも見てますし、混乱を最小限に抑える効果は確かにあるんでしょうけど。ヤバいのはヤバいよ。

当人もそれに自覚的で、バレたら逃げるしかないと思ってはいるみたいですけど。その時大切な友人1人だけを連れていければ良いとも考えてるので、歪なんだよなぁ……あの人。

 

危うい所がありながらも、数日を生き延びてきましたが。死後に発動するスキルの存在が明らかになったり、この世界人間に厳しすぎる……。

モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います

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「――――生き延びるぞ、絶対に」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで331日まで。

ブラック企業に勤めていた主人公クドウカズトは、疲れ果てた帰路の運転中に何かを轢いてしまう。犬にしては妙に大きく野性的。

目撃者も居ないし逃げてしまおうか、と魔がさした時「経験値を獲得しました」というアナウンスが聞こえ、犬の死体は忽然と消えた。

 

疲労から幻覚でも見たか、とその場を後にしたカズトでしたが……翌朝になってみると、世界は一変していた。

いや正確にはアナウンスが聞こえた、深夜帯に既に変質していてそれに気付けなかっただけなんですが。

朝になって外を見ると、ゲームで言うオークのような存在が闊歩し、謎の巨木に覆われた街を見る羽目になって。

 

そしてカズトは、変質した世界ではステータス・オープンと唱える事でステータスの閲覧や、職業選択やレベルアップによるスキル獲得が出来ることに気が付いて。

ストレスや恐怖への耐性、危機感知やアイテムボックスなど。異常事態が起き、電気も止まってしまった世界で、安全に生き延びるためのビルドを組み立てます。

 

可愛がっていた野良犬がモンスター討伐で強化されたので同行したりもしますが、基本的にはソロで活動していく形になりますね。

一度ショッピングモールに逃げ込んだ集団と遠目に目撃はしますが、ちょうどオークたちの襲撃を受けており、助けられる状況ではないと逃げることになって。カズトは自身をロクデナシと称してましたけど。

 

あそこで割り込んでも死体が一つ増えただけですし、そこまで卑下する事もないような気はします。実際、極限状態で無償の協力を要請される可能性もあったし、面倒に感じたのも間違ってないしな……。

カズト以外にもこの世界に適応してスキルを取得し、生き延びようとしてる人々が要るのは良かったですけど。その数があまりにも少ないというか、その割に強力な敵が居て人類ヤバそうですよね、本当。どうにか生き延びて欲しいものですが、さて。

冒険者ライセンスを剥奪されたおっさんだけど、愛娘ができたのでのんびり人生を謳歌する

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「大丈夫だ。俺が必ず助けてやる」

 

なろうからの書籍化ですが、WEB版は削除済みの作品。

腕利きであったものの、スキルを使う度に最大HPが減少するという症状に見舞われて、ついには冒険者ライセンスを剥奪されてしまったダグラス。

止む無く当てのない旅を始めたところ、彼は負傷したフェンリルを発見。それが呪いによって姿を変えられた人間だと気付いたために、解呪を試みることに。

スキル使用にデメリットを抱えている状態でも、誰かを助けようとする心意気は貴いものだと思います。

 

一度は失敗してしまったものの……ダグラス自身もまた呪われていたことが分かり、元の力を取り戻して。

それによって、今度こそ救うことに成功したわけですが。フェンリルと化していたのは十歳ほどの少女で。帰る場所もないという少女を連れて、旅を再開。

呪いにかかっていたということは、2人それぞれに「呪いをかけた相手」が居るわけで。ダグラスの方は、それが知人だったということでショックを受けてましたが。ラビが居た事で、彼も救われてるんですよね。いいなぁ。

 

力を取り戻したことで、魔物討伐とかもこなせるようになって。

ライセンスの再取得に協力しようって人も出てきてくれたけど、今の暮らしも悪くないと断って。2人で楽しく過ごせればいいのに、周囲がそれを許してくれないんだもんなぁ。

助けられたと感謝される方はまだいいですけど、ラビを狙った暗殺者が来るのは困りものです。

俺にはこの暗がりが心地よかった 絶望から始まる異世界生活、神の気まぐれで強制配信中

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嫌いだ。明るい場所も。正しさも。

この世界に来る前は、こんなじゃなかった。もっと普通だった。――普通だったのに。

 

突如世界中に『神』を名乗る存在からメッセージが届く。

全人類から無作為に1000人を選ぶので、その1000人には異世界にいってもらう、と。生きるのに役立つギフトと自由を与えるが、自由の代償として死ぬかもしれないし……異世界での生活は常時ライブ配信されることになる。

 

そんな、普通なら信じられないような話ではありましたが。実際に選ばれた1000人の掌には突如として印が浮かび上がるし、そもそも『神』は世界中の未使用のモニターで同じ映像を垂れ流したとかで、超常存在であることは疑いがなく。

ただ、当然ではありますが宗教関係者からすれば「神」であると、真実認めることは出来なかったらしく、その辺も紛糾しそうだなぁ、とは思いました。

 

実際、転移者に選ばれた中にも「悪魔に魅入られた」として殺された人まで出る始末。枠が開いたら無作為に抽選を行うあたり、システマチックな存在なのかと思いきや、神、いろいろと愉快な性格してはいるんですよね。

システムアップデートもどんどんいれてますけど……人の心が分からないので、それで追いつめられる存在の事は考慮に入れてないのが、ますます超常存在っぽくて怖い。

 

主人公のヒカルは、幼馴染の少女が転移者に選ばれてしまい、彼女のために情報を集めたり転移当日も励ましに行ったりしてました。

けれど、「転移者を殺すことで、転移権を奪える」なんて都市伝説を真に受けた馬鹿に幼馴染が殺され、彼自身も致命傷を負った。けれど、幼馴染の死によって開いた枠に何の因果かヒカルは選ばれ……転移の際に負傷も癒えた。

ただ、事件の衝撃が薄れたわけではなく、困惑していた彼はランダムで転移する羽目になり初手から危険地帯を冒険する事に。

 

そこからヒカルメインの異世界側のエピソードが進んでいくんですが、合間に現実世界側の情報が読み取れる掲示板回が挟まれている形ですね。

ヒカルが生きる為に足掻く姿は応援したくなりますし、掲示板回で読み取れる異世界事情とか現実サイドの話とか、複数の楽しみ方が出来る作品だと思いますね。

 

私が掲示板回ある作品好きなのもあって、作品全体で言えばイチオシです。

……微妙な言い方になったのは、悪意にさらされたヒカルが沈んでいく様子はリアル過ぎて胃が痛くなるし、異世界の迷宮で出会った少女リフレイアのガツガツ来る部分が苦手だったりするからなんですけど。それでも、面白いんですよ!! 

失格紋の最強賢者~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~3

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「ああいう魔物は普通、倒してもロクに素材が取れないんだ。でもああやって安定させてやれば、素材が取れる。どうせ倒すなら、そっちのほうがいいだろ?」

(略)

「あ。倒せるのは最初から前提条件なんですね……」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで331日まで。

魔族が命と引き換えに残した魔法。魔物を大量発生させて王都を襲撃させようという大掛かりな工作。

それもマティアスにかかれば魔石や素材がたくさん手に入るチャンスになるんだから、なんというか桁違い過ぎて笑うしかない。

 

魔物の襲来に備えた特訓や準備が進む傍ら、学園行事は恙なく行われて文化祭とかやってましたが。そんなタイミングか……? この辺りまでWEB版で読んでた気がするんですが、料理パートあったっけな……。私の記憶は割とガバガバなので自信はない。

第二学園は実力主義と言うこともあって、マティアスの無詠唱を取り入れるのにもためらいがありませんでしたが。

 

第一学園は、魔族によって歪められた定義で増長していた栄光紋の人々が多く、方針転換に対しては抵抗が激しいとかで。

最終的には、国王の指示に背いた学園長を排除した上で従わせる、という力技を取ってましたが。国王陛下がこっち側だから取れる技ですなー。

 

で、実際作戦を実行して。魔族の襲撃とかもありましたが、準備期間があったので割と危なげなく対処できていた印象。

アルマとルリイだけでもある程度対処できるようになってるのは驚き。スキルアップの速度が速すぎるのよ……。

魔物襲撃を撃退した所で今回は終了。この騒動の影響が残ってそうだから、大きめの迷宮に向かおうとするようですけど、まーた騒動巻き起こすんだろうなぁ。

 

失格紋の最強賢者~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~2

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「悪いが、次に死ぬのは少なくとも千年先の予定なんでね。死に方を決めるにはちょっと早いかな」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで331日まで。

学院に潜り込んでいた人類の敵・魔族を撃退したマティアス。詠唱という非効率なシステムを広めたのも彼らだろうと推測していましたが。

実際、国の中枢にも潜り込んでいたり、諜報用の魔法仕込まれたりしてましたから間違ってはなさそうな雰囲気。

 

魔族に対抗できる実力・知識を持った存在が居ることが、敵に筒抜けになって。

先んじて叩きに来るのが賢いはずですけど、足並みを揃えられない辺り敵としての格が低い。……まぁまとまって来ようとも、マティアス相手に善戦できる未来があまり見えませんけどね……。

 

突然現れた実力者で、今は失われている知識をもったマティアスって、正直かなり怪しいと思いますけど。魔族を撃退したこととかもあるからか、第二学園のトップや国王陛下からの評価が高いのは良いですね。

 

対抗策として用いる結界に必要な資材を探すためにダンジョンに踏み込んで、パーティーメンバーの底上げも図ってましたが。どんどんルリイやアルマもどんどん常識はずれになっていって笑えます。

ダンジョンの壁を壊して金属採集してる挿絵とか、凄い楽しそうでしたし。

 

敵の所在に辺りを付けた後、マティアスが移動手段を確保しに行ってましたが……前世時代からの知り合いな龍を足代わりにしようとか、スケールがデカいというかなんというか。

別の場面では『異常なのはいつものことだから、放っておいてください』とか言われるだけの実績を、いくつ積み立てる気なんでしょうね……。

失格紋の最強賢者~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~

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「もちろん本気だ。この紋章での付与なんて、たかが知れてるからな。ちゃんとした第一紋……いや栄光紋の熟練付与師なら、魔法の十や二十はまとめて付与できるよな?」

(略)

「いや無理だが」

 

元はなろうからの書籍化ですが、書籍化作業の忙しなさとかの兼ね合いで掲載取り下げされた作品ですね。

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで331日まで。

 

魔法が存在する世界。人々の適正は、手に現れる紋章で区別されていた。

生産向き、威力特化、連射特化、近距離特化の4種類。それぞれに特性があり、生産向きは初期状態のスペックは高いものの成長率が低く、他の3種に抜かれていくとかがあるようで。

 

その生産向きの紋章で、世界最強クラスの実力になった賢者。彼は、外宇宙にいる強大な魔物に挑みたかったが、今のままでは無理だと判断。三つの国を滅ぼした龍を二十七秒で滅ぼしておきながら、ダメだというあたり目標が高すぎる……。

そして紋章を後天的に変更する方法もないため、一度死に生まれ変わる事で紋章を変えようとするチャレンジをすることに。思い切りも良すぎる。

 

転生には成功し、六歳になった時点で前世の記憶を取り戻した主人公でしたが。

しかし、そこに至るまで長い年月が過ぎ去っており……さらには、魔法技術が不自然なほどに衰退していた。

「前世では常識の様に広まっていた知識」も今世では解析されていない命題になってしまって居たり、世知辛い部分はありますが。

 

これ主人公がマティアスなせいで、失われた常識パートと、最強の賢者故にぶっ飛んだ彼の知識という二重のツッコミ要素が登場してて周囲の人々は大変そうですよね。

兄に魔法の才能がありそうだと思った時に「数百年も修行を積めば」と当然のように考えてる辺り、マティアスの知識大分歪だと思うんですよ……。

前世ではボッチだった彼が友人を作ったり、知識を広めて底上げを図ろうとしたりしてるのはいいんじゃないでしょうか。


窓際の天才軍師 左遷先で楽しようとしたら救国の英雄に祭り上げられました

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「戦争はするしかないでしょう。そのうえで、まともに戦わずに済む方法を考えますよ」

(略)

「まったく戦わないのは無理ですが、双方の犠牲が最小限に住んで、戦争を終わらせる方法を取ります」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで331日まで。

異世界転生の際に「卓越した知性」という特殊技能を授けられた主人公ハルト。

初期はそれをまとめた本を出したりしていたようですけど、識字率の問題もあって広まらず。

閑職である地方の書記官に潜り込んで、ダラダラと自堕落な生活をしていたものの……上司が無能で、敵の挑発に乗ってしまい戦闘状態に入ってしまったのが誤算で。

 

街の防衛隊長に残った少女に、せめて人々の命だけでも助けたいと懇願されて、逃避行の為に動き始めて。

魔術はあるけれどそこまで利便性が高くない世界で、銃火器を作り出して対抗するって言うのは厄介だなぁ。

ただ主人公が知識チートで秀でているのはいいですけど、敵キャラに格があるのが少ないというか。周囲に想定が甘いキャラが多いので、そこはちょっと残念に思いましたね。

 

救国の英雄と祭り上げられたからには、軍に入って協力してくれるだろうと甘い計算をする宰相とか。

難攻不落の城砦を打ち破れば戦争が終わると信じ切っていた考えが甘い姫様とか。

夢のような話に乗って戦争に踏み切る王子と、彼を焚き付けた調子が良い書記官とか。どうにも、ねぇ。最悪のパターンを考えるくらいの事はしてほしい。

そういう意味では、帝国皇太子が主人公の才覚を認めて招き入れようとしたあたりとか、わざと内側の反乱分子を決起させて叩き潰してる辺りとかは良かったですけどねー。

エリスの聖杯3

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「あなたの誠実さが、わたしを助けてくれたのよ」


スカーレットの処刑の真実に辿り着いたコニー達。

ランドルフを頼りにスカーレットの父、アドルファスに会いに行って。

挿絵で触れられてるので行ってしまうと、思いっきり平手を叩き込むことに。

いやぁ、コーネリアの系譜に属する女性たちは強いですね。代々伝えられていた、とっておきの魔法の呪文が、中々痛快でした。

 

スカーレットの両親のエピソードも間に挟まっていましたが。

章間の登場人物紹介で父親が「歪んでいるように見えて意外に真っすぐな人」とか言われてて……生きるのに不器用という感じがしたなぁ。

国の為に決断をした。いや、出来てしまった父親の慟哭が痛かった。

 

少しずつ少しずつ。コニー達は味方を増やし、【暁の鶏】の手駒を洗い出し、敵の計画に迫っていた。

当然、あちら側からすれば邪魔をする勢力なんて面白いはずがなく。

末端を囮にコニー達を罠に嵌めて。それに気づいたコニーが取った行動が、無謀で勇敢で、そんな勇気を出さなくていいんだよ、と言ってあげたかった。

 

でも、コニーが冤罪を被ったことで、ランドルフたちが自由に動けるようになって、結末に繋がるわけだから、全く無駄でもないんですよね。

ハームズワース子爵がただの丸い貴族ではなくて、曲者だったのも愉快でしたし。

グレイル家が積み重ねてきた「誠実たれ」という家訓。それが、この局面で活きてくるのが面白い。

 

【暁の鶏】達も、一網打尽とまでは行かずともかなりの痛手を負ったでしょうし。

セシリア王太子妃の秘めていた事情と、彼女が導き出した答えもまた悲しいものでしたけど。

全く。誰も彼も、いざという場面で覚悟が決まりすぎでしょう。そういう血でも流れているのか、この国には。

誰も彼もが諦めず、意外なつながりから助けを得る事が出来たりして、多くの人が手を取り合った結末を祝福したい。

 

巻末には描き下ろし短編が2編。上手く逃げ延びた二人を描いた「ショシャンナとサルバドル」。終章後を描く「花笑む人々」。

どっちも良かったですけど、特に後者が好きですねー。

ハームズワースが笑いそうな場面で、しばらく耐えていたのはお見事。正直、目の前でアレを繰り広げられて、笑わない自信がない。最後には耐えきれなくなってましたが、仕方ないね……

WEBでは後日譚とか掲載されてますが、ひとまず書籍は完結なんですかね(電子ストアで完結タグがついてた)。
イラストも綺麗ですし、章間にある登場人物紹介が笑えて楽しいので、書籍版いいですよー。是非是非。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
 新刊・既刊を問わず読んだタイミングで記事を作成しております。
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