
「手札はきちんと揃えてから勝負に挑みなさい。それが、長生きの秘訣だ」
その内書きます、とか言いながら本編が面白くて勢いで読んでしまった。
更に、続きが気になったのでWEBの方にも手を出してます。面白い。
王国では、今、確かに何かが起きている。
いいや。正確には、スカーレットが処刑された10年前から、起き続けていた。
「毒を盛った」という、犯してない罪によって処刑された令嬢スカーレット。
その真実を探るコニーに近づく怪しい勢力が居て、さらには彼女の友人を誘拐するなんて強硬手段まで取るわけですから。
1巻からでしたが、事件を探るコニーの視点だけではなく、暗躍している勢力の視点なんかも描写してくれるので、読者としては満足。
敵の特徴なんかが描写された後、ソイツが偽名を使って動いてる場面とか「うわぁ、ヤバいのが動いてる!」とか、そこが接近するのかとハラハラしましたし。
彼女が嘘を吐けない性格であったことや、コニー以外にスカーレットを見られる少女とも出会って。
コニーも少しずつ味方を増やしていって。
これで真実に迫れるのだろうか、と良い方に動きだしたと感じても、敵の手が伸びて情報源を始末されてしまったりするし。
そこから追及する手が伸びて来たりする。
敵について知るたびに、その根深さに驚かされましたし、それでも抗う人々が居た事には感服する。
社交場での狩りみたいに、この国の貴族には、どうもおっかない印象がありましたが。
ランドルフはまぁ堅物すぎるきらいはありますけど、腐っていない貴族もまだ多いのだ。
リリィ=オーラミュンデは鍵を残していった、じゃないか。
コニーじゃないですけど、怒涛の展開で正直ちょっとすっぽ抜けてましたね。
エリスの聖杯について。リリィは、過去に何を為したのか。
スカーレットは何故処刑されたのか。蠢いている組織の目的とは。
それらが少しずつ明らかになって行く様は、ただただ見事でした。
章間の人物紹介は相変わらずコミカルで良い息抜きになりますね……
「生かされたものの責任だ」。
賭けは、私の勝ちだ。
「思い知らせてやる」。
この辺りは、特に印象に残ってる台詞ですね……
あぁ、全く。カスティエル公も王も、どれだけの物を背負ってきたんだ。
回想シーンの美しい光景が、あまりにも遠すぎる。
平和惚けしていた、と言われてしまえばそれまでですが。
だからと言って、幸福を失っていいわけじゃないですからね……暁の鶏、許すまじ。