「だから、これは僕のお願いであり、わがままだ」
(略)
「一緒に、生きて欲しい。君の為に……そして、僕の為に」
人と獣とで戦いの歴史を繰り返してきたレムディプス共和国。
人は魔術を編み出して戦いに用いたが、獣も魔獣によって統率されているために容易い相手ではない。
そんな中で娯楽として作られたのが、人と魔獣の戦いを見世物にする闘技場だった。
主人公のレーヴェは闘技場の見習い闘士の中で序列1位に君臨する実力者であったが……同時に、「灰色」と呼ばれる魔獣の声が聞こえる特異体質ゆえに蔑視される対象でもあった。
見習い闘士の中にも低く見てくる輩はいたけど、序列2位のソフィーネだったり仲良くしてくれる相手もいた。
ある日、回復術士でもあるソフィーネを雇い入れるために貴族家が動いて。2位を誘うのに、1位に声を掛けないのは下の見習いたちに不信感を持たれるから、という気乗りしない理由でレーヴェも取り込もうとした。
闘士と認定するための試験には魔獣を用いるのが正式なのだが……レーヴェの為に連れてこられたのは、魔力で作った泥の体に魔獣の魂を乗せた使い魔を扱うために「灰色」と同様に迫害された「魔女」と呼ばれる少女だった。
その少女ミィカを見たことで、レーヴェはいろんな感情を刺激されて。彼女を救おうとちょっと暴走気味な行動をとることになって。
闘技場では本物の魔獣を使うため、戦いの中で命を落とすものもいたりして。そんな中で序列1位になっているレーヴェは結構実力はあるんですが。
それはあくまで見習いとしてであって、実戦経験のある純闘士を相手取って勝てるほどのものではなく。
ミィカを連れて逃走しようと図ったものの、失敗。ただ、闘技場の理事長が手回しして仮に見習い闘士としての身分を貰って、近くで暮らせるようになったのは良かった。
……とはいえ、それも善意からではなく。「魔女」や「灰色」を使った計画を企んでいる勢力だったり、歴史上迫害をされた勢力が蠢いていたりして。
魔獣との争いがある、というのを差っ引いてもドロドロしてる世界ではありますねぇ……。レーヴェとミィナ含め、メインキャラの交流は微笑ましいんですが。大人たちの謀略に振り回されていきそうなのが気掛かりですねぇ。負けずにいて欲しいものですが。