「願え! あなたはもっとたくさんの事を願っていい!」
(略)
「いいえ、いいえ。吾輩の願いは、一つだけでございます」
交易都市ドゥナに新たなダンジョンが発生したことが観測されて。
クローバーも前回の騒動で課されていた謹慎が明けるタイミングで、そのダンジョンの探索を任されることに。
他にも複数のパーティが参加するうえ、王立学術院と現地のギルドがバックアップするかなり規模の大きなミッションで。
ダンジョンを一般開放する前の事前調査なので、基本的に配信を繋げた状態でダンジョン探索を行うことになったわけですが。
新たに表れたそのダンジョン……「黄昏の王都、グラッド・シィ=イム」に登場するモンスターはどうにも奇妙な存在感があって……。
侍の技能を発現したマリナ的には、ダンジョンの壁とかを斬った時にも「人」を斬ったかのような感覚があると証言するし。
配信に移らない存在が謎の助言をしてきたり。ダンジョン内部で意識を失った少女をユーク達が保護したり。ダンジョンそのものもややこしい問題をはらんでいましたが。
さらに配信を通して顔が知れたことで、これまで彼女の存在を無視してきた親族が彼女の婚約をまとめたと勝手に伝えてきて。
それが男尊女卑国家の王族との婚約話ということで、貴族の権力でごり押しされると面倒くさい、なんて問題も同時にやってきて。
国が認定するAランク冒険者であるユークが、相手側の論理に合わせてシルクの所有権を主張したり、頼れるママルさんに工作を依頼したりして。
かなりややこしい事情を抱えていたダンジョン攻略に加えて、パーティメンバーを守るためのアレコレをやってのけたユークはお疲れ様です。