「私はたとえ命を失っても自分の国は渡さない。やっと分かったの。順序が逆よ。王になれば覚悟ができるんじゃないわ。誰よりも国の未来に覚悟を背負える人が王になるの。だから、私が王になる」
旧華族・銀条家に生まれたものの、落ちこぼれ故に両親からも期待されずにいた主人公の余一。兄が死んでから迫害は増すばかりで。
そんなある日、不可思議な現象によって彼の肉体は地球から消失し……異世界の田舎貴族の息子ルシウスとして生まれ変わることに。
異世界では魔力の源【魔核】を作るため、幼少期に死の危険がある儀式を行う伝統があって。
ルシウスは赤ん坊の時期に、苦痛を伴う儀式を受けさせられたことで「今世も毒親か……?」とう恐怖を感じて。
儀式の後に体内に魔力の存在を感じ、それを動かせることを知って。動かす中で、儀式と同じような痛みを感じることに気付いて。また儀式を受けるくらいなら、自分でやった方がマシだと繰り返し挑戦することにして……。
その結果、彼はこの世界では前代未聞の魔核四つ持ちとして存在が知られることに。陛下から吉兆か凶兆かわからんけど、吉兆に賭けたと剣を下賜されることになったりもして、幼いながらに色々背負わされることになってました。
彼の住む北方は、様々な事情から立場が弱く……ルシウスの実家もまた男爵なのもあって立場的には微妙なところで。
それでも家族仲は良好であり……ルシウスは、自分の意志で良い男爵になろうと決意をしていくことになるわけです。
同年代のシュトラウス侯爵家の令嬢、オリビアは同年代の有望株であるルシウスや、北方領土の置かれている状況に思う所があって。兄が政治的な立ち位置が弱く、危険な戦地に送られた結果死んだという過去もあって、彼女は現状を変えるべく王になろうと足掻いていたんですよね。
そう、足掻いていた。あのままだったら夢の大きさに潰れそうだった所ですけど、ルシウスとの交流や危機を乗り越える経験を通して、成長する機会と出来たのは良かった。