気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

PASH!文庫

ナンパモブがお仕事です。~フラれに行ったらヒロインとの恋が始まった~

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「モブが物語に奉仕するんだ、その逆はない。物語に奉仕させようとしたら、モブは終わりだ」

 

この作中における「現実世界」は多くの「物語世界」と繋がっている。エタった作品のキャラが能力を失った状態とは言え「現実世界」に現れる、なんてこともあるみたいです。

そんな中で主人公のB介(びーすけ)が務めているのは、モブ派遣会社。

 

登場人物の行動に驚きを示すモブ観衆だったり、ちょっとした解説を挟む名前を付けるほどでもない知識キャラだったり。ゾンビとかのパニックものやミステリーで、無謀な行動をとって最初の犠牲者になる名も無き人物とか。

異世界モノだったら、メイン級のキャラに絡んで蹴散らされるモブ戦士とか、能力覚醒シーンに巻き込まれるキャラだとか。

一つの物語がある時、主人公たちの周囲に居る名前のあるキャラ以外にも、多くのモブが居るんですよね。スポーツ漫画とかでトーナメントがあったら、主人公たちのチームが戦わず視界に入ることもなく負けているチームとかだってあるわけですし。

 

そんな中でB介が主に担っていたのは、ヒロインをナンパしてすげなくあしらわれて、主人公との出会いに貢献した後その後物語に登場することはないチャラ男だった。

A太という同じモブ派遣会社の同僚と2人でナンパに繰り出して、撤退していく。それだけのキャラだったはずが、とある物語のヒロインをナンパして振られた後、モブ派遣会社のシフトに穴が開いて……同じキャラをナンパしに行く羽目になって。

不思議と縁が出来て、本来のストーリーからは少し違うルートを進むことにはなったものの、ヒロインの背中を押す選択をB介はしたわけです。

 

あそこで「ここで弱ってるヒロインに付け込めば自分が恋人になれるのでは」と行動に移さなかったのは偉い。

実際「モブの闇落ち」として、そういう事例は描かれましたしね。物語で想定された以上に介入して、「モブ」の役割を果たせなくなった輩の末路が。

異世界で消滅させられても復活出来たり、そもそも物語世界に現実世界のB介たちが入り込めたり、トンデモ要素がある中でもモブにはモブなりの流儀があったのは良かったですね。

 

……ただ「モブの闇落ち」が起きる余白があるのはなぁ……とも思いましたが。

創作で「キャラが勝手に動く」とか言うのは、よく聞く話です。ただ、それはあくまで生みの親である作者の中から出てくるべきだと思うんですよねぇ。

映画やドラマでも俳優さんがアドリブ入れた、とかは聞きますけど。それもあくまで、演技という武器を磨いてる人だからこそ出来る事でしょうし。

闇堕ちするような相手はプロ意識が足りなかった。まぁ、派遣だからそれはそうなんですけど……他人様の世界に乗り込んで、好き勝手振舞おうとする「闇落ち」現象があまりにも肌に合わなかったな……。

派遣とは言え報酬貰ってるんだったら、要求以外のことして状況壊すなよ……ってなった。

隣国から来た嫁が可愛すぎてどうしよう。 冬熊と呼ばれる俺が相手で本当にいいのか!?

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「もし、わたしの知識で救える人がいるのなら、わたしはわたしの知識を提供すべきでしょう」

 

その性格と体格の良さ、敵を蹴散らす強靭な姿から「ティドロスの冬熊」という異名を持つサリュ。

ティドロス王国の三男でもある彼は、辺境での野党狩りに赴いて身だしなみを後回しにしがちで……25になっても未婚で婚約者もなし。

もう結婚は諦めているつもりだったが……そんな彼が王妃である母と一緒に、隣国ルミナス王国の王太子の婚約式に参列。サリュたちのように各国の要人が集まる場で、王妃はサリュのお相手探しをしようと考えていたわけです。

 

しかし、ルミナス王国の王太子アリオスは、婚約者であったタリア王国の令嬢シトエンを婚約式の場所で糾弾し、婚約破棄を宣言。

彼女の悪行をあげつらっていきましたが、その中で彼女の容姿すらもけなし始めて。さすがにそれは許せないとサリュは彼を

そしてサリュの相手について全権を委任されたサリュ母が、「婚約破棄になるなら、ウチに来ませんか」と声をかけることになって。

 

シトエンの父親は、サリュの母を知っていたこともありその提案を飲むことに。

あくまでタリア王国の臣下であるため、一度国許に帰って許可を得てからという話にはなりましたが、提案は受け入れられてシトエンはサリュの婚約者となったわけです。

女性の扱いに不慣れだとは言いますけど、シトエンを守ろうと立ち上がれる善性はあるし、不慣れなりに彼女を大切にしようとしてるのは好感が持てます。

だからこそシトエンもサリュに惹かれて行ったんでしょうしね。サリュとシトエンには幸せになって欲しいものです。

 

実はシトエン、別の世界で生きた記憶を持つ転生者で。前世では医師として働いていた。

それは会話の中で「ビタミンCやクエン酸を取ると良い」とか零した時点で分かってた話ですけど。

前世の記憶に引きずられることなく、王太子妃となるための貴族教育を完璧にこなし、ティドロス王国の言葉も習得している。スペック高い良い子ですよね、シトエン。

作中の世界よりも深い医療知識はあるけれど、医師ではない。そんな彼女だからこそ頼りたい、とサリュの友人からも頼りにされたりもしてたの良かったですね。

始まりこそ婚約破棄された悲劇ですけど、そこから良縁に恵まれているわけですから。

 

ルミナス王国王太子は大魚を逃した。それは、シトエンが竜紋と呼ばれる、鱗状の紋を宿していることを忌避したため、みたいですけど。

尊いものだからこそ隠され、それゆえに誤解した部分はあるみたいですけど。誤解を原動力に婚約破棄に踏み切ったのは自分なのに、その過ちを飲み込めてないのが愚かすぎる。

……国王はシトエンの父に対して頭を下げられる人でしたけど、息子は止められなかったし。宰相も馬鹿げた行動に踏み切っていたし、ルミナス王国終わってますね……。

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ちゃか

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