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「あなたに会えてよかった。お陰で気付けた。あなたは鏡のように私の本質を見抜いてしまう。ドレスを選んでも、絵を描いても。私がちょっと我慢して不幸になるだけで他の人が救われるなんてこと、本当はありえなかったのよ。だから、私も、もっと視野を広くして考えることにした。公爵家の新しい後継者を探すにしろ、このまま断絶した後の事を考えるにしろ、皆のために最善を尽くす」

 

絵が好きだったけど、仕事にするのは無理だった。

中途半端な才能もなくて夢をスパッと諦めて就職した青年が、たまたま見かけたアプリで「俺の考えた最強画家スキルセット」を作って遊んでいたら、その設定のまま異世界に転生することになってしまった。

 

自分で選んだ、センスと描写力などなどを持った状態で異世界に転生したかと思えば、ある程度成長するまではAIによるオート操作のゲームを見ているような状態で……しかも操作ミスでうっかり死ぬオマケつき。

蘇生された後、穴埋めとして追加のスキル貰ってましたけど、この転生させてきた超常の存在アホだぞ……。まぁいつでもメモできるスキルや、鑑定技能は使えるからまだ有情か。

ちなみに死亡原因は婚約者が浮気していて、その浮気相手に魔法を放たれたとか言う不祥事でした。お貴族様がなにやってるんだか……。貴族だからか。無礼討ちと言わんばかりに魔法で一撃お見舞いしてきたらしいし。

 

主人公アレンの父が当主を務めるランペトリー商会は東の国が発祥の紹介で、異国で有力者との繋がりを欲した婚約だったようですが。

婚約解消によって新しい庇護者を探す必要が生じて……そこで、ついにアレンの絵の才能が輝いていくことに。

婚約が解消されて夜会に集中する必要がなくなったこと。負傷したことも併せて噂になっているから、ほとぼりを冷ます時間を取る必要がある事。

そうした要因で絵を描く時間が多くとれるようになって。そこから新しい繋がりが生まれていくのが良いですねぇ。

オート操作でもアレンのスキルは効果を発揮していて、元婚約者の底上げがされていて、婚約解消後に評判が落ちて行ったり。無礼討ちをしてきた浮気相手も、隠していたことが暴露されて落ちぶれて行ったりして。

浮気公子を迎え入れる必要があった公爵家の令嬢、シルヴィア個人は良い人で。
アレンに個人的に謝ってくれたし、覚悟を決めてからはしっかり相手を糾弾したし。継承に関して面倒な前例があったせいでややこしくなってましたが、最終的には丸く収まって良かった。