「手を繋いで君と一緒に……彼等には、その方が似合っている」
ついに物語は平成へ。
それはつまり170年の時を経て、遠見の鬼が予言した鬼神降臨の年が近づいている証でもあって。
甚夜が葛野の地に戻ってきたの感慨深いですねぇ……。
かつての里長や、千夜の願いを継いだ人々が、甚太神社やいつきひめ、姫川という苗字などなどを残してくれていたのも、胸に来るものがある。
それはそれとして、目的があるとはいえ甚夜が学校通ってるのなんか面白すぎるな……。
そば打ちして店を構えたりしてたし、庭師として働いてみたり、人間社会に馴染む意味を込めて仕事をしてる姿はこれまでも見てきましたけど。
学園生活となると、若い世代との交流が出てくるわけで、それまでとは違いますよね。……まぁ、子育て経験もある年長者でもあるわけで、卒なくこなしてましたけど。
あとは、藤堂夏樹についての描写がなろう版より少し詳しくなってましたかね?
なろう版にも都市伝説関係の短編が番外編に収録されていましたし、そのあたりについてより触れられていたように思います。
嫌なものを察知する感覚は強いけど、対策を取る腕はない夏樹からの願いもあって、甚夜が高校入学することになったようです。過去の因縁もあってのことではあるようですけど、今の縁も大事にしてるのが彼らしい。
今回収録のエピソードだとやっぱり「いつきひめ~妖刀夜話・終章~」が好きですねぇ。
夜刀守兼臣についての過去が明かされて、甚夜が当代いつきひめを「姫川の娘」と呼ぶ真意が明かされる。さらには予期せぬ、けれど大切な、思いが巡った果ての出会いもある。短いエピソードながら満足度が高い。