気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

UnnamedMemory

Unnamed Memory after the end4

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「俺は、ずっとお前の傍にいるからな」

(略)

「知ってますよ。信じてます」

 

完全書下ろしで贈られる、アンメモアフター第4巻。

魔法大陸と東の大陸の呪具の捜索は進めていたが、近ごろでは成果がなく。

大陸分割神話によって、この世界は1つの大陸が5つに分かたれたことが分かっていたため、残り5つの呪具を求めてオスカー達は別大陸を求めて海路を旅することに。

 

海は危険なので、ティナーシャが船を浮かべて空路を行ってる時間も多かったようですし、それだけの事をしてもなお半年かかったそうですから、一般的なアイティリス大陸の住人がこの新天地を目にすることってほぼないんじゃないでしょうかね……。

魔法士を狙った襲撃が隣の大陸から起きて、その侵攻による忌避感から外部への進出が止まったという流れもあるみたいですし。

 

章扉で虚無大陸と題されていましたが、オスカー達が到達した場所は現地住人が誰一人として存在せず、滅びた街しかなかった。

調べても調べても滅びた村と街しかなく……最終的にオスカー達は、野営では休まりきらないからと、拠点を創り出していたのは笑っちゃった。

もとからあるもので使える物を使ったりしてましたけど、オスカーもティナーシャも長く生きてきた経験で色んな技術身に着けているし、ティナーシャは精霊術士でもあるので開拓めっちゃ楽しんでて良かったですね。ほのぼのした。

 

 

そんな人が生きていない場所で、オスカー達がただ一人出会えたのがナフェアという少女であった。

呪具によって統一された言語を経験していないナフェアとオスカーが、最初は言葉が通じなかったけれど……Babel時代に雫が遺して今も伝わっている言語学習用のアイテムが活用されていたのは、このシリーズならではの繋がりを感じて味わい深かった。

 

WEB既読の民として、五大陸の一つが「楔しかない」って言う情報は知っていたんですよね。その真相がアレかぁ……と思うと、無常を感じたと言いますか。

長く続いていた停滞に決着を齎すのが、逸脱者たちであるというのは良かったですね……。未来への希望ではなく、過去の思い出に準じたのそれだけの想いを感じて痛かった。

 

ナフェアと交流できたことで情報が得られて。ティナーシャが派遣していた海への探査。ナフェアの居た大陸しか見つけられなかったのは、残り2大陸は神の遺した力によって封じられていたから。「水の檻」で覆われているため、そのまま「檻中大陸/埋没の大陸」と呼ばれていましたが。

後半はその埋没大陸についてのエピソードでした。魔力がエギューラという呼称で認識されていたり、魔法として出力する文化がなく……むしろ病気とみなされていたり。

雫の故郷である現代地球に比べると未成熟な部分はあれど、車や銃と言った科学技術が発展している、これまでの大陸とはまた違った毛色の大陸でありましたが。

 

7章「新天地」の冒頭が、外部者たちの世界の描写で送り込む呪具についての会話が一部

収録されていたのは、嬉しかったというか。世界観の解像度上がっていくのは良いですよね。……それはそれとして、「影響が出るとしても良い影響のはずだ」とかいう楽観が含まれてるのは「この……」って気持ちになったし。

送り込む呪具が壊れた時にも作用するような補完性を持たせようとしていたりするのは、もうちょっとお手柔らかにって思う気持ちも沸いたりしましたが。

でもエイリアドの「挑み続けるという意思が大事だ」という願いに似た祝福が、嫌いじゃないんだよなぁ……。エルテリア製作者……。

 

埋没大陸は人が生きている場所だったので、序盤は大陸に馴染むためのエピソード。そして後半が本命である呪具にまつわるエピソードとなっていましたが。

なんというか、ままならないなぁと思ったと言いますか。「良い影響のはずだ」とか言ってた外部者を見てからだと無駄にダメージがありましたが。

この大陸の楔が秘匿し続けた神代の遺物に触れてなお生還できたのは何よりでした。……毒を貰ったような状態で、緩やかに死に向かっている状況にはなってしまってましたが。

それでも。幾度繰り返しても別れが痛むとしても。ただ静かに見送れる時間が与えられたのが、良かったなと少しだけ思いました。失われない方が、なお良いに決まってますけどね。


Unnamed Memory6

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「だからこそ俺が手を伸ばす

 俺が立ち止まっていては永遠にあいつに届かない」

 

内部に入り込んでいたミラリス。

その目的は宝物庫に収められた宝玉であったわけですが。

ティナーシャに捕捉された状況でそんな強奪劇が成功するはずもなく。それでも魂すら魔力に変換して抗おうとしたわけですが……失敗。

ただ、ミラリスが最後にティナーシャへ「女王候補者さま」だったり、「妄執との再会」だったりと彼女が引っ掛かりを覚える発言を残していったわけです。

 

その宝玉はオスカーの亡き母が持ち込んできたものだそうですが、オスカーの父である国王の口は重く。

ティナーシャは気になるから心当たりにあたることも考慮してましたが……ルクレツィア以上に厄介だと称する相手なために、即行動というわけにもいかず。

色々と刺激されて迷いが生じているようなティナーシャ相手に「好かれている自覚を持て」と宣言して、アピールしていくんだからオスカーが強いなぁ。

 

31話のティナーシャファッションショー、実に良いですよね!

ティナーシャ自身が頼んでいたものは彼女らしいシンプルさで動きやすさも考慮してそうなのが性格でますよね。

そのあとのシルヴィア、三パターンも選んでるの本気すぎて笑う。ティナーシャの目が泳いでるのも笑えますけど。シルヴィアセレクションだと見開き左のページに載っている奴が特に好きです。

オスカーが選ぶのは式典用なのもあって豪奢でティナーシャに似合ってるのが好き。

 

その次の話で、解呪シーンが見られたのも嬉しいポイント。初出の詠唱では……?

強力な祝福を掛けられていたオスカーに対し、同じ個所に呪いをぶつけることで相殺するという解決方法を見出してるのは凄い。

実際、それを聞いてから詠唱を聞くと呪ってそうだもんな……。

順調に解呪が出来たかと思ったタイミングで、ティナーシャが探し求めていた過去が追い付いてくるんだから悪魔的というか。

オスカーもこれまでの経験でより逞しくなっていて、必要な仕事を片付けた後ルクレツィアに会いに行こうとしているあたり、行動力あって良いですよね。

Unnamed Memory after the endⅢ

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「感情は、人を愚かにもさせますが、賢明にもさせます。それを放棄させれば思考の放棄にも繋がる。別の失敗をするだけです」

 

書き下ろしの『幸福な街』とWEBに掲載もされていた『Void』の2編を収録。

さらに電子書籍には限定短編で3万字ほどある『愛の指輪』も収録されていて、他のエピソードの裏で起きていた事件について描かれているので、紙派の人でも今回だけでも電子買うのは結構オススメです。

 

逸脱者たちの旅路も、大陸歴で2000年を超えてきましたね……。まぁ2巻の「神に背く書」からして1963年だったわけで、時間の問題ではありましたが。『幸福な街』は2064年なので、サクッと100年立つのがこのシリーズだよなぁ。

3巻は慣れ親しんだ魔法大陸を離れて、1冊丸ごと東の大陸が舞台のエピソードとなっていました。

かつて来た時には、長い歴史を持つ大国ケレスメンティアが君臨していた東の大陸。しかし、その国が滅び……荒れた大陸に満ちていた諦観は、変化の熱によって動くように変化していた。

とは言え、長い争いの爪痕は大きく、大国として落ち着き始めている場所もあれば、立て直そうとしてうまくいかなかった地域もあって。

 

そんな状況の中で、外部者の呪具を探して旅をしていたオスカーとティナーシャが、親代わりの男性2人と姉が行方不明になったしまった兄弟を保護することになって。

逸脱しているからこそ一線を引こうとするオスカーと、人との交流が避けられないんだから選別して関わっていくのはいいと思う、とティナーシャが言うのが意外ではありましたね。

一度関わると見ると決めた以上は、しっかり教え込んでいるあたりは面倒見がよいというか。彼等らしい人の好さが見えて好きでした。

 

『幸福な街』を超えた後に『Void』が収録されているの、味わい深いというかなんというか。「章外:月光」まで収録してくれていたのは、良心的でしたね。

電子書下ろし『愛の指輪』は、本編中でさっくりと流されていた、口絵に登場する呪具に関してのエピソードでこれもまた良かったです。

……と、当たり障りない範囲だとこれくらいしか語れないので、ネタバレ込みの感想をちょっと下の方に書きますね……。

 

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Unnamed Memory5

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「お前は俺が他の選択肢を持てるように気を回してくれているようだが そんなものに意味はない」

「選択肢が一でも百でも千でも 俺は必ずお前を選ぶ」

 

表紙イラストが良い! この衣装好きだなぁ……。
不快なクスクルの使者の来訪後、ティナーシャはオスカーに修行をつけることに。

距離を取って魔法を使われるとオスカーでもさすがに厳しいようで……最終的には魔法の核を見抜くのに成功。それを会得したのが魔法士殺しのアカーシア持ちだというのが、末恐ろしくはあります。

 

今回収録の最初のエピソードから、ティナーシャは自身が魔女だからと一線を引き、オスカーには偏見無く選択肢の中から未来を選んで欲しいと思っていて。

一方のオスカーは、彼なりに既に決めているものがあって……そこを軽んじられたことで、少し暴走気味な反応を見せて。

 

このあたり、好きな部分と苦手な部分とが多いエピソードでもあるんですよねぇ。

苦手部分で言うとティナーシャは選択肢を与えようとしているけど、その実オスカーを見ていないし。オスカーの父エドガーも、息子を叱る一幕がありますが「すべきことをしてくれてるんだから、お前も向き合え」というの、どの口で感はある。

オスカーも勝手に話が進んでいくのに苛立って、特訓でラルス叩きのめしたり、ティナーシャのトラウマ刺激する行動をとってしまったりと、みんな微妙に選択を誤っている感じがどうにも引っかかる。

 

でもそれは、いつも完璧な選択を出来るわけでもないという彼らの人間らしさの証明でもあるので、好ましさを感じる部分もあるんですよねぇ。

原作知っているとルクレツィアも「魔女らしい魔女」だとは思うんですが、今回ティナーシャに「魔女である前にひとりの人間」と良い助言してくれてるので、地味に一番株上げてるかもしれない。

あとこのすれ違いの中だからこそ、オスカーの最短&最少人数の塔攻略記録が樹立していて、あのエピソードめっちゃ好きなので……あれ読めるなら多少ギクシャクしても「ヨシ!」って言うかな……。

そしてオスカーが彼のスタンスを明言してくれたのも、結構好きですねぇ。

Unnamed Memory4

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「俺に…お前を殺させるな」

「あれは私じゃありません」

「それでもだ」

 

「森の見る夢14」と「形に命を吹き込む13」を収録。

ティナーシャが魔女と周知されてからも、彼女はなんだかんだ変わらず城での日常を送っていたようです。

1P目の講義受けてる時の目が小さく描かれてるティナーシャ好き。布の展示会も1コマだけですけど大き目に取ってくれてたので良かった。ティナーシャが困惑してる傍らシルヴィアが生き生きしてて良い。奥にしっかりオスカー居るし。

 

そんなある日、塔の魔法具を点検するため数日ティナーシャが留守にすることになって。

その隙を縫って危ない地域に踏み込んでいくんだから、オスカーはちょっと反省してもらって……。

「なるべく守る キリッ」ってやってるシーンはおふざけ交じりですけど、その後陳情書をみて「なるべくな」って言うシーンでは目が真剣になってる切り替えをコミカライズの絵付きで見れたのは良かったですけど。

 

確かに調査は必要だったでしょうけど、王太子自ら危険地域に踏み込むんじゃないよ……。

ティナーシャにバレないように試みてた主に、「いっそばれちゃえ」と言えるラザルが面白い。

調査に行った先でヤバいものみつけてたし、派遣する人員は選ばないといけなかったでしょうけど。

問題を解決したと思ったら新たな魔女ルクレツィアと遭遇するんだから、もう……呪いをかけてきた魔女を含めれば、これで5人いる魔女のうち3人と出会ってるんですから引きが強い。

ティナーシャが子守歌を歌ってるところや、幻影の彼女が満面の笑みを浮かべるシーンとかは好きです。

 

ここでルクレツィアと縁が出来て、彼女がティナーシャを気にかけているから、呪いの解析のヒントが得られたりもするので、割と得はしてるんですけどティナーシャが頭を抱えるのも分からないではない。

その後にクスクルの使者が来て彼女の傷えぐってくるんだもんなぁ……必要なエピソードだけど辛い。だからってわけでもないでしょうが使者カガルが、登場した巻で速攻退場したのはちょっと胸がスッとしました。

Unnamed Memory after the endⅡ

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「ああ。だからお前のことも否定しない」

(略)

「だが王とは……民を守る精神そのものだ」

 
皆さん帯を見ましたか、帯を!! 驚きのアニメ化決定ですってよ!! 
しかも2023年公開予定とか楽しみすぎる。生きる喜びが増えました。

Unnamed Memory』の後日譚、第2編。

逸脱し、外部者の呪具を探し続けている彼らですが……なかなかその成果は上がらず。

序盤も「まぁまず違うだろうな」と思いつつ調査に行って、やっぱり違ったけど別の問題発生したりして。必要以上の干渉は避けようとしつつも、ほどほどの着地点を模索したりしてるのは真面目だぁと思います。

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Unnamed Memory3

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「貴方が私の契約者で 私が貴方の守護者である限り」

「私はどこへ行っても何をしてても 必ず貴方のところに戻ります」

 

ついに発売された『Unnamed Memory』コミカライズ第3弾!

今回は魔法湖でのエピソード「湖の畔」37と、第16話「馬鹿王」を収録。

結界を維持しつつ剣を振るい、他の援護をする余裕まであるティナーシャ本当に強いんだなぁとしみじみ。

でも本領はやっぱり魔法なんですよねぇ。オスカー帰還後の一掃が、見開きで派手にやってくれてカッコよかった。

 

今回も要所で可愛いんですよね、ティナーシャ。

「逃げられた」って舌出してるコマとか、余計な事言われて「あの魔法士…」ってなってるコマのかまぼこみたいな目とか好き。

「どんだけフサフサなんだ」の疲れたような顔とかも良いし、あとはやっぱり15話で目覚めたシーン、これまでも可愛かったり綺麗だったりしたんですけど、なんかより美人になった感じがしていいですよね。

 

オスカーが叩きだされた場面を見てたシルヴィアが目を細めて、頭に手を置いてるコマもなんか可愛くて好き。好きなコマしかないな……。

15話はあくびしてたり、ぺって魔石をオスカーにあげたり、その後ティナーシャのとこへ飛んでいって喉をなでられてたりするナークが可愛いシーンも多かった。

 

後はオスカーが魔女との距離を感じて「ただ届かないということだけがわかるだけだ」のコマも良いですよねぇ。ティナーシャが塔の螺旋階段の上に居て、オスカーは下から見上げている。

そしてティナーシャの座ってる部分は断絶を現すように、周囲が崩れているし……第15話でも描かれてましたが、彼女より上の場所には「彼女を通り過ぎていったかつての契約者達」の影があるんですよ!!

青き月の魔女としての彼女を現すのに、必要十分条件を満たしててあまりにもエモい。オマケに15話では、12話時点で下に居たオスカーがティナーシャの元までたどり着いてるっていうのもまたいいなぁ。味わい深い。


Unnamed Memory –after the end-1

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「心配しなくても、充分優先してもらってます。だって私と一日中一緒にいてくれますし」

「おれが一緒にいたいからな」

「あと私のために変節しなくていいです。王であったころから、そういう貴方のことが大好きですよ」

 

16巻で完結した『Unnamed Memory』。その本編後の時間軸を描くエピソードですね。

感想記事にはネタバレも含まれますので『Unnamed Memory』を読んでない方はご注意を。

 

同じく電撃の新文芸から刊行された『Babel』は、『Unnamed Memory』から300年後の物語となっていましたが、ate1巻はUM6巻~Babel1巻の間の時間軸を描いています。

作者様サイトなどWEB版を知ってる人向けに言うと、「双頭の蛇」などが収録されています。

 

以下詳細感想。

 

いやもう、カラー口絵からして破壊力高いですよね。オスカーが繰り返しティナーシャを着せ替え人形にしている気持ちも良くわかるというか。麗しい……。

エルテリアを砕いたことで、人の理から外れた逸脱者となった2人。冒頭は禁呪を抑えた関係で不安定になったティナーシャが、自分たちの立場について自覚する話だったんですが。そのメッセンジャーがルクレツィアと言うのがにくい。

 

今回も断片的に描かれてますが、最古の魔女である彼女は色々と秘密を抱えているんですよねぇ。

UMateはあくまでオスカーとティナーシャをメインで描く予定なのか、2人の子供たちも登場はしますがWEBからすると割愛された部分とかもありますし。ルクレツィアの情報も、コレだけだと完全には分からないんですよね……。未書籍化の『Rotted-s』とか読むと面白いですよ。

子供達のエピソードも、カクヨム公式連載の方の『Unnamed Memory』のページ(https://kakuyomu.jp/works/1177354054892436933)で発売記念SS『新しく始める前に』が掲載されたりもしてて、描写が増えてる部分もあります。

作者様サイト「noseen flower」内には、ほかにも子供達のエピソードはあるんですが……書籍化による加筆で分かりやすくなってる部分も多いので、今すぐ手を出すべき! とオススメして良い物かは悩ましい部分もありますね……。

 

狂い刃のエピソードとか、nsf内のSSでちょっとだけ触れられてたんですよね。でも、あれがどうやって生まれたのかとか、どんな仕組みで動いているかとかは書籍で詳細が語られた形になってますし。

 

この世界で生まれた呪具として、外部者の呪具を砕く役割を与えられた2人。

オスカーは王位を息子に譲ったのち、死を偽装してティナーシャとその探索に入るわけですが。

大陸が広いということや、異能が存在するため「不可思議な噂イコール呪具ではない」という状況下では、この2人でもサクサク破壊して回るというわけにもいかず。

 

いざ目の前に転がってくれば大体対処出来てしまうのがこの2人でもありますが……。かつてUM本編において、オスカーがアルカキアの毒を食らったように、2人も完全無欠の存在ってわけではないんですよね。

逸脱した2人は不老であっても不死ではなく、喪失を重ねて永い永い旅を続けていくことになるのです。その始まりを描いているのが、「狂い刃」~「双頭の蛇」なわけで。

 

比翼連理の相手を失い、気落ちしまくっている様子はとても胸が痛くなります。その後、再会が叶った時の、これまでとは違ったアプローチをしている様子とかはとても微笑ましく見えていいんですけどね。

UMは本編後が本番、と言うのはこの逸脱後のエピソードの濃さが大きいので、ate2巻以降続いてほしいものです。

Unnamed Memory2

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「…私は 貴方以外を守る義務はないです」

「そんなことは承知している」

 

6話~10話までを収録したコミカライズ2巻。

夜の透明編全部と、湖の畔12までが描かれているわけですが。宮廷魔法師姿だったり、剣の特訓に参加するために動きやすい服+髪をまとめたスタイルだったり。完全武装状態だったり、服装が変化してるティナーシャが本当に可愛くて、コミカライズ最高って感じですね!

8話とか日中は白い服着てたっぽいのに、夜犯人を追及しに行く場面では、何度か出てる黒服に着替えてるのは、やっぱり闇に紛れたかったからなんだろうか……。

 

宮廷魔法師の仕事を受ける場所で、わーわー言い合いして「いつものやつだ」「お気に入りなんでしょうな」と受け止めてる周囲のモブ魔法師たちが笑えて好き。

他にも、媚薬盛られた後「何?」って言ってるとき目が暗くなって呆れた風味だしてるのとか、「私に魔法薬は効かないんですよ!」の吹き出しに描かれた「バカ!!」とかティナーシャの表情、オスカーと一緒にいるとコロコロ変わるので本当見ていて楽しいですよね。

 

でも、そうやってふざけているのも彼らの素ではあるけれど。どちらも王太子と魔女という力ある者として、相応しい振る舞いもちゃんと出来るというか。

覚悟を決めて進むときの表情とかもあるので、そういう描き分けがされてるように思えてとてもいいですねー。

巻末には書き下ろしSSで「魔女の横顔」が収録されてます。オスカーとティナーシャのやりとり、楽しいですよ。

Unnamed Memoryコミカライズ7話 感想

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電撃大王掲載、『Unnamed Memory』コミカライズ感想です!

◇第7話「夜の透明2

夜、オスカーが私室で書類を眺めていると、ティナーシャが来訪。

表から来ると噂が激しくなるから、と飛んで窓からやってくるあたり規格外です。

扉絵の窓からふわーっと入ってくる絵が好き。

 

オスカーが見ていたのは、ティナーシャに頼まれていた案件だそうで。

先のアイテア祝祭において殺された魔法士テミス。彼が殺されたのはあ、愛憎のもつれなんかではなく、何か理由があったのでは、と言うことで。

彼の研究内容について知りたかったそうです。極秘のものまでティナーシャに見せる辺りオスカーは彼女を信用してるんですね。まぁ、契約期間中はわざわざ害そうとはしないでしょうし。

 

ティナーシャが見た、別の不審な魔法士についても情報共有されましたが。

創作して事情を問い詰めた後、無関係だったらあとで記憶を消しておくとか言う当たりがとっても魔女……。

会話中にオスカーが部屋の水差しから水を飲んだ所、妙な甘さを感じたとかで。

 

それまでは饒舌だった彼が、口数が減っていき真顔になって。ティナーシャを追い返そうとしますが、逆に詰問されて。

「何を飲んだ? 答えろ」とコマとか、そのひとつ前とか、彼女の目が暗く沈んでて容赦しないぞってのが見えて良い……。

 

で、近づいてきたからオスカーが行動を起こすわけですが。「例のシーン」が、それまで背景も描き込まれてたのに、まっさらになるのがそれだけの衝撃的な場面だ、と言う演出になってるのが好き。

盛られた薬の正体について打ち明けた個まで、ティナーシャを凝視してるコマ、注目してる場所がアップになって生々しい……。目が点になってるティナーシャ可愛かったです。

薬が効いてる間は結構精神的に負荷かかってたっぽいのに、解呪してもらった後にしれっと「お前に媚薬が効いても俺は止めないぞ」と言える辺りがオスカーだよな……強い。

プロフィール

ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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