「謝るんじゃなくて、ありがとうって言って。そっちの方が、嬉しいから」
「桐紗ちゃんの言うとおり。それに、私も仁愛ちゃんも、できることがあればするから」
「……ありがとう。お前らには、感謝しかないよ」
果澪の抱えていた問題故に、好調すぎるスタートを切った後に裏でトラブルが発生していたVTuber「雫凪ミオ」。
それを乗り超えて活動を継続できるようになったのは本当に良かったんですが……それはそれで問題があった。
あくまで個人VTuberでしかない「雫凪ミオ」ですが、急激にリスナーが増えて人気コンテンツになりすぎてしまったわけです。
これがじわじわ伸ばしていった結果だったら、その過程で学んでいくことも出来たでしょうけど、駆け抜けてしまった彼女にそれは難しい。
そこで果澪が考えたのは、自分にマネージャーをつけるか、そうでなければどこかの事務所に所属する、ということだった。
「雫凪ミオ」名義のまま来てくれて構わない、という複数の企業から連絡をもらったりもしていたようですしね。
そこでミオの製作チームの友人たちに相談を持ち掛けたわけですが。
果澪も今の自分に必要なのは専門的な大人のアドバイスだし、主人公には絵師としての活動もあるから、と彼にマネージャーを頼むみたいな安易な選択を取らなかったのは好印象。
主人公も、自分にも彼女にもそれそれのライフプランがあるから、友人として相談には乗るけれど、一方が一方のためにやりたいことを我慢するようではいけないと思ってるところも好感が持てる。
主人公も全く何もしないつもりではなくて、小ぶりながらVTuber事務所を経営している知人に相談してみたりしてたわけですが。
……その知人から、逆に所属しているVTuberのマネージャー業務を頼まれてしまって、引き受けることになるんだから、どうしたものやらって感じですが。
その子の魂が同年代である上、またしても同じ学校に通っているという点で、人材の宝庫過ぎるな……。
1巻のチームのまとまりが良かったと思っているので、そこの掘り下げをもっとしていって欲しかった気持ちもあり、新キャラ登場からの展開も悪くはないながら前回ほどは刺さらなかったかなぁ。
今回のVの子にも抱えている事情や悩みがあり、揺れ動いていた中で踏みとどまったのは良かった。