気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

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Unnamed Memory after the end4

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「俺は、ずっとお前の傍にいるからな」

(略)

「知ってますよ。信じてます」

 

完全書下ろしで贈られる、アンメモアフター第4巻。

魔法大陸と東の大陸の呪具の捜索は進めていたが、近ごろでは成果がなく。

大陸分割神話によって、この世界は1つの大陸が5つに分かたれたことが分かっていたため、残り5つの呪具を求めてオスカー達は別大陸を求めて海路を旅することに。

 

海は危険なので、ティナーシャが船を浮かべて空路を行ってる時間も多かったようですし、それだけの事をしてもなお半年かかったそうですから、一般的なアイティリス大陸の住人がこの新天地を目にすることってほぼないんじゃないでしょうかね……。

魔法士を狙った襲撃が隣の大陸から起きて、その侵攻による忌避感から外部への進出が止まったという流れもあるみたいですし。

 

章扉で虚無大陸と題されていましたが、オスカー達が到達した場所は現地住人が誰一人として存在せず、滅びた街しかなかった。

調べても調べても滅びた村と街しかなく……最終的にオスカー達は、野営では休まりきらないからと、拠点を創り出していたのは笑っちゃった。

もとからあるもので使える物を使ったりしてましたけど、オスカーもティナーシャも長く生きてきた経験で色んな技術身に着けているし、ティナーシャは精霊術士でもあるので開拓めっちゃ楽しんでて良かったですね。ほのぼのした。

 

 

そんな人が生きていない場所で、オスカー達がただ一人出会えたのがナフェアという少女であった。

呪具によって統一された言語を経験していないナフェアとオスカーが、最初は言葉が通じなかったけれど……Babel時代に雫が遺して今も伝わっている言語学習用のアイテムが活用されていたのは、このシリーズならではの繋がりを感じて味わい深かった。

 

WEB既読の民として、五大陸の一つが「楔しかない」って言う情報は知っていたんですよね。その真相がアレかぁ……と思うと、無常を感じたと言いますか。

長く続いていた停滞に決着を齎すのが、逸脱者たちであるというのは良かったですね……。未来への希望ではなく、過去の思い出に準じたのそれだけの想いを感じて痛かった。

 

ナフェアと交流できたことで情報が得られて。ティナーシャが派遣していた海への探査。ナフェアの居た大陸しか見つけられなかったのは、残り2大陸は神の遺した力によって封じられていたから。「水の檻」で覆われているため、そのまま「檻中大陸/埋没の大陸」と呼ばれていましたが。

後半はその埋没大陸についてのエピソードでした。魔力がエギューラという呼称で認識されていたり、魔法として出力する文化がなく……むしろ病気とみなされていたり。

雫の故郷である現代地球に比べると未成熟な部分はあれど、車や銃と言った科学技術が発展している、これまでの大陸とはまた違った毛色の大陸でありましたが。

 

7章「新天地」の冒頭が、外部者たちの世界の描写で送り込む呪具についての会話が一部

収録されていたのは、嬉しかったというか。世界観の解像度上がっていくのは良いですよね。……それはそれとして、「影響が出るとしても良い影響のはずだ」とかいう楽観が含まれてるのは「この……」って気持ちになったし。

送り込む呪具が壊れた時にも作用するような補完性を持たせようとしていたりするのは、もうちょっとお手柔らかにって思う気持ちも沸いたりしましたが。

でもエイリアドの「挑み続けるという意思が大事だ」という願いに似た祝福が、嫌いじゃないんだよなぁ……。エルテリア製作者……。

 

埋没大陸は人が生きている場所だったので、序盤は大陸に馴染むためのエピソード。そして後半が本命である呪具にまつわるエピソードとなっていましたが。

なんというか、ままならないなぁと思ったと言いますか。「良い影響のはずだ」とか言ってた外部者を見てからだと無駄にダメージがありましたが。

この大陸の楔が秘匿し続けた神代の遺物に触れてなお生還できたのは何よりでした。……毒を貰ったような状態で、緩やかに死に向かっている状況にはなってしまってましたが。

それでも。幾度繰り返しても別れが痛むとしても。ただ静かに見送れる時間が与えられたのが、良かったなと少しだけ思いました。失われない方が、なお良いに決まってますけどね。


Unnamed Memory6

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「だからこそ俺が手を伸ばす

 俺が立ち止まっていては永遠にあいつに届かない」

 

内部に入り込んでいたミラリス。

その目的は宝物庫に収められた宝玉であったわけですが。

ティナーシャに捕捉された状況でそんな強奪劇が成功するはずもなく。それでも魂すら魔力に変換して抗おうとしたわけですが……失敗。

ただ、ミラリスが最後にティナーシャへ「女王候補者さま」だったり、「妄執との再会」だったりと彼女が引っ掛かりを覚える発言を残していったわけです。

 

その宝玉はオスカーの亡き母が持ち込んできたものだそうですが、オスカーの父である国王の口は重く。

ティナーシャは気になるから心当たりにあたることも考慮してましたが……ルクレツィア以上に厄介だと称する相手なために、即行動というわけにもいかず。

色々と刺激されて迷いが生じているようなティナーシャ相手に「好かれている自覚を持て」と宣言して、アピールしていくんだからオスカーが強いなぁ。

 

31話のティナーシャファッションショー、実に良いですよね!

ティナーシャ自身が頼んでいたものは彼女らしいシンプルさで動きやすさも考慮してそうなのが性格でますよね。

そのあとのシルヴィア、三パターンも選んでるの本気すぎて笑う。ティナーシャの目が泳いでるのも笑えますけど。シルヴィアセレクションだと見開き左のページに載っている奴が特に好きです。

オスカーが選ぶのは式典用なのもあって豪奢でティナーシャに似合ってるのが好き。

 

その次の話で、解呪シーンが見られたのも嬉しいポイント。初出の詠唱では……?

強力な祝福を掛けられていたオスカーに対し、同じ個所に呪いをぶつけることで相殺するという解決方法を見出してるのは凄い。

実際、それを聞いてから詠唱を聞くと呪ってそうだもんな……。

順調に解呪が出来たかと思ったタイミングで、ティナーシャが探し求めていた過去が追い付いてくるんだから悪魔的というか。

オスカーもこれまでの経験でより逞しくなっていて、必要な仕事を片付けた後ルクレツィアに会いに行こうとしているあたり、行動力あって良いですよね。

捨てられた聖女はダンジョンで覚醒しました2 真の聖女? いいえモンスター料理愛好家です!

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『――リゼット。あなたは、誰かの為ならどんなリスクにも飛び込んでいくのですね。実に好ましいです』

(略)

『わたしが言いたいのは、あたなはとても強い人。失ってはならない人。その自覚を持ってほしいということです。自分を大切にしてください』

 

自由を手に入れた令嬢リゼットは、ダンジョンで出会った仲間レオンハルトやディーと共に新たなダンジョンを目指して旅を初めて。

その道中、ゴブリンによって被害を受けている村を発見。よくよく調べてみたところ、未発見のダンジョンを見つけて、そこに突入することを決めたわけですが。

入ることはできても、出ることに制限がかかっている特殊なダンジョンになっており、困惑することになって。

 

さらにダンジョン内部で、不審な二人組ケヴィンとユドミラに遭遇したり。

特にユドミラの方に難癖をつけられたりと、面倒事が立て続けにやって来る状況になってしまったわけですが。

リゼットは相変わらずダンジョン内でのモンスターご飯を堪能しているのが、面白くて良かった。

彼女の求める自由を堪能しつつ、不審な動きをしているときには対策を取っていたりするので完全に無防備という訳でもないのは良かったですね。

まぁ祖母の教えがあって一つダンジョンを踏破したとはいえ、新人冒険者であることに変わりはなく、時折危うく見えるシーンもありましたけども。

 

新たな聖遺物の発見と女神との交流があったりして、リゼットの素質が光る回でもありましたねぇ。

ケヴィン達の所属、ろくなことしないなぁ……というか。黒魔術を察知して動き出したように思える速度があるわりに、現場での情報を信じずに暴走していたりするのが、統率取れてない感がひしひしと伝わってきて面倒くさいって感想になりましたが。

前回と今回の一件でリゼットの味方も増えているだろう、という希望があるのだけが救いか。

捨てられた聖女はダンジョンで覚醒しました1 真の聖女? いいえモンスター料理愛好家です!

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(――私は、前に進む!)

もう失うものは何もない。この魂は誰よりも自由だ。

逃げずに戦う。リゼットは心を決めた。

 

クラウディウス侯爵家の長女として生きてきたリゼット。

なんでも姉のものを欲しがる義妹と、その義妹ばかりをかわいがる父とに挟まれた彼女はある日、聖女の力に目覚めたが……。

その力すら義妹は欲しがり、父は禁じられた黒魔術を扱う者を招き、聖痕を義妹へと移しリゼットを罪人としてダンジョンに送る刑罰に処されることになってしまった。

ダンジョン内部でお金を稼げば解放されるとされるが、過去に成し遂げたものはいない実質的な死刑。

 

けれどリゼットは、全てを奪われた状況でも決して絶望はしていなかった。

それどころか、かつて冒険者だったという祖母に教えられた知識を活用したい、とワクワクダンジョンに乗り込んでいくことに。

一応そこには元家族の干渉などがあるかもしれないから、それを振り切って自活するため、という理由もありましたけど。

 

ダンジョンに挑むのは罪人だけはない、というか罪人の方が珍しい存在で。教会側の人員とかも派遣されていたりもしましたが……。教会も聖女と思われている義妹側の存在ですからねぇ。

実際、速攻でダンジョンに潜ったリゼットが、その後に冒険者ギルドに入ったところ、彼女が借金を背負った罪人であるっていう噂が広まっていたので、彼女の懸念は正しかったんですよね。

義妹視点もたびたび挟まるんですが、ダンジョンに挑ませて殺したわけではないから、冒険者相手に春を売ってればよいと思っているあたり、より悪辣だと震えましたね。一般的な貴族令嬢にはそっちの方が心を折るでしょう、と。幸いリゼットは普通じゃなかっただけで……。

 

トラブルを回避するために、彼女は極力地上に戻らずダンジョン内部で活動できるように装備を整えてダンジョンへ突入。

そしてダンジョン内部で倒した魔物を美味しく味わいながら、ソロ冒険者ライフを満喫していくことになります。いやはや、本当に自由で良いですね! 強くて笑っちゃった。

その過程で、様々な事情で仲間に裏切られたりした人物と出会ったり、魔物料理を振舞ったりして、奇妙な交流をしていくことになるわけですが。

 

出逢いこそ変わった形でしたけど、そこからパーティーメンバーとして進んで行く中で良い関係を築いていけていたのは良かったですねぇ。

横暴を働いた義妹たちへ報いが与えられる展開ですとか、作中におけるダンジョンの設定の開示とかも含めて1巻でまとまっていたので読みやすくて良かったですね。

Unnamed Memory4

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「俺に…お前を殺させるな」

「あれは私じゃありません」

「それでもだ」

 

「森の見る夢14」と「形に命を吹き込む13」を収録。

ティナーシャが魔女と周知されてからも、彼女はなんだかんだ変わらず城での日常を送っていたようです。

1P目の講義受けてる時の目が小さく描かれてるティナーシャ好き。布の展示会も1コマだけですけど大き目に取ってくれてたので良かった。ティナーシャが困惑してる傍らシルヴィアが生き生きしてて良い。奥にしっかりオスカー居るし。

 

そんなある日、塔の魔法具を点検するため数日ティナーシャが留守にすることになって。

その隙を縫って危ない地域に踏み込んでいくんだから、オスカーはちょっと反省してもらって……。

「なるべく守る キリッ」ってやってるシーンはおふざけ交じりですけど、その後陳情書をみて「なるべくな」って言うシーンでは目が真剣になってる切り替えをコミカライズの絵付きで見れたのは良かったですけど。

 

確かに調査は必要だったでしょうけど、王太子自ら危険地域に踏み込むんじゃないよ……。

ティナーシャにバレないように試みてた主に、「いっそばれちゃえ」と言えるラザルが面白い。

調査に行った先でヤバいものみつけてたし、派遣する人員は選ばないといけなかったでしょうけど。

問題を解決したと思ったら新たな魔女ルクレツィアと遭遇するんだから、もう……呪いをかけてきた魔女を含めれば、これで5人いる魔女のうち3人と出会ってるんですから引きが強い。

ティナーシャが子守歌を歌ってるところや、幻影の彼女が満面の笑みを浮かべるシーンとかは好きです。

 

ここでルクレツィアと縁が出来て、彼女がティナーシャを気にかけているから、呪いの解析のヒントが得られたりもするので、割と得はしてるんですけどティナーシャが頭を抱えるのも分からないではない。

その後にクスクルの使者が来て彼女の傷えぐってくるんだもんなぁ……必要なエピソードだけど辛い。だからってわけでもないでしょうが使者カガルが、登場した巻で速攻退場したのはちょっと胸がスッとしました。

転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す A Tale of The Great Saint1

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「私は妹にそんな騎士道を教えた覚えはない…」

「私も教わった記憶がないわ 兄さんはずっと私を無視していたもの」

 

騎士の家系に生まれたが、剣術の才能がなかったフィーア。

それでもなお騎士になりたいという彼女は、魔石を取ってくるという成人の儀をさせてもらえることになったわけですが。

姉はフィーアの実力と彼女のことを思って止めに来るけど、父と兄は興味なさそうなんだよなぁ……家庭環境が伺われる。

 

まぁ実際、黒竜なんて伝説級の魔物に遭遇してしまったからとはいえ死に瀕したわけですし、心配も正しくはあったんですが。

怪我した竜を心配して回復薬を与えたが、現代の回復薬無理やり回復力を高めるもので激痛が走るため暴れた竜に噛まれた、っていうのは避けようがないか……。

でもそれで死にかけたことで、前世で大聖女として活動していた記憶を取り戻し、回復魔法その他を扱えるようになったことで、彼女の世界は開かれるわけです。

 

……とはいえ前世でもその能力を駆使して、魔王封印に貢献したのに同行した王子たちに裏切られ、魔王の側近によって責め苦を味あわされたという辛い経験をしていたわけで。

だからこそ今世では聖女にならないように、魔王の側近に存在がばれないようにしようと考えるわけですけど。

根が明るく軽いというか。自身の持つ魔力が現代では桁違いだと指摘を受けながら、それを用いた強化魔法とか普通に使って注目集めてるし、大丈夫だろうかと心配になる。

でも、今に至るまでの間のどこかで歪んでしまった聖女の姿を見て涙を流したり、聖女として真剣であった彼女だからこそ、その在り方を正してほしいという気持ちも若干あるのですが。

……前世の最期が最期だから無理強いもできないんだよなぁ。でも、今世の聖女の腑抜けっぷりを見ると、もどかしさが募る。


Unnamed Memory after the endⅡ

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「ああ。だからお前のことも否定しない」

(略)

「だが王とは……民を守る精神そのものだ」

 
皆さん帯を見ましたか、帯を!! 驚きのアニメ化決定ですってよ!! 
しかも2023年公開予定とか楽しみすぎる。生きる喜びが増えました。

Unnamed Memory』の後日譚、第2編。

逸脱し、外部者の呪具を探し続けている彼らですが……なかなかその成果は上がらず。

序盤も「まぁまず違うだろうな」と思いつつ調査に行って、やっぱり違ったけど別の問題発生したりして。必要以上の干渉は避けようとしつつも、ほどほどの着地点を模索したりしてるのは真面目だぁと思います。

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転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す2

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「お礼を言わせて、フィーア。私を聖女にしてくれて、ありがとう。私はずっと、聖女としての力がほしいって、聖女の力で皆を救いたいって思っていた。だから、聖女になれてとてもうれしい。ありがとう、フィーア」

(略)

「どういたしまして、シャーロット。立派に聖女に慣れて、おめでとう。私の想いを尊重してくれて、ありがとう」

 

第一騎士団所属となったフィーアは、大聖女時代に培った魔物の知識と戦闘力の分析技術を飼われて、第四騎士団に派遣されたわけですが。

第四の騎士団長は任務で不在。副団長のギディオンには受け入れてもらえず、別の任務を振られる始末。

その状況を察した第一騎士団長が詰問している場所に、第四の騎士団長が帰って来て、と中々混沌とした状況でスタートするんですよね、2巻。

 

第四騎士団長クェンティンは、相手のエネルギーをぼんやり感じられるという能力があり……その視界では、フィーアの能力もその従魔である黒竜ザビリアの力も感じ取れて、それ故に変な態度になってて、彼の胃がちょっと心配になりました。

帰還早々こんな問題に直面して大変だったね……。まぁそのあとフィーア信奉者になってテンションぶっ壊れた振る舞いが目立つので、最終的には幸せそうでオッケーなんじゃないでしょうか。

むしろ、これまでとのギャップに周囲が振り回されている感。一応フィーアがいない場所では、しっかりとした騎士団長の顔を見る事も出来たりしますけど、ギャップがひどい。

 

今回のポイントだと、フィーアの教えを受けた聖女シャーロットが、能力を覚醒させたことと、その時のやり取りからフィーアの能力に気付き……でも黙っていると約束してくれた事でしょうか。

かつての大聖女としての矜持があるフィーアのことを尊重してくれる、現役聖女が居るのは結構大きな要素になりそうな気がします。例え、今まで落ちこぼれとされていた子であっても。

 

黒竜の目撃情報があり、その存在から魔物の分布が乱れているという話が出て。

元の住み家に帰ってもらうべく、黒竜探索をすることになった騎士団でしたが……想定していたよりも大騒動になっていて草。

当人たちは全く笑う余裕なかったでしょうけど。探索前の騎士団長たちの会話で、「10割の確率で、黒き王に遭遇する」って断言した場面とかは、持ってる情報の差で態度に違いが出てて少し笑っちゃった。なんならもう居ましたからね、あの時。

 

予想より強大な魔物が登場した中で、フィーアが知識を惜しみなく発揮してた場面。

実は簡単に追い払う方法もあるんですよ、と言うトーク。現場の騎士たちから、前回わざとその情報出さなかったな……! とか突っ込まれてましたが、「人間と対峙して生き残った魔物は狡猾になるから、出来るだけ仕留めたい」と言う内心まで吐露してたら、受ける印象も変わったんじゃないでしょうかね。

騎士団総長とかに、支配者の目を持っていると見抜かれているフィーアですが、戦闘関連では本当に覚悟決まってて格好いいなぁ。

 

黒竜ザビリアも、今回の一件で覚悟を一新したようですし。

フィーアの異質さに触れた第六騎士団長ザカリ―が、彼女の秘密を守るための誓いをしてくれたのも良かったですよね。

実際、誓い通りに色々と心を配りながら行動してくれてるのが彼視点で描かれていくので、かなり株を挙げた感じがします。

その問題を共有した騎士団長たちは、頭と胃が痛くなるかと思いますが、多分フィーアが居る限りこれからも新しい問題続々出てくるでしょうから……えーっと、頑張ってください。

転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す

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「フィーア、お前は今日、初めて聖女と戦ったのだったな。どう思った?」

「くそったれ」

(略)

「聖女をゆがめてしまった誰かがです。あれは、聖女のあるべき姿ではありません。……300年前の聖女が見たら、悲しむんじゃないでしょうか」

 

騎士家に生まれた少女、フィーア。彼女は昔から騎士を目指していたが剣の才能が無く、姉以外の家族からは見向きもされない存在だった。

それでも騎士になるべく成人の儀に挑みますが……道中で大けがを負ってしまい死にかけて。その時に、彼女は300年前大聖女として生き、魔王を封じた後裏切られて死んでしまった前世の記憶を取り戻します。

 

一緒に大聖女としての能力もほぼ取り戻し、怪我をしていた伝説級の魔物、黒竜の傷を癒したことで懐かれ、従魔の契約を結ぶことに成功したり、歴史を揺るがす重要人物になってるなぁ、と言う感じ。

どうして昔から騎士になりたかったのかと言えば、前世の死の記憶が強すぎて、絶対聖女にはなりたくないという気持ちがあったからだろう、と自己分析していました。

そして自分を殺した魔族はまだ生きているだろうから、自分の存在がばれたくない。なので大聖女としての能力を隠していきたい、というタイトルに繋がるわけですが……。

 

彼女、素で抜けている部分とか常識が不足してる部分がって、本当に隠す気があるのかと問いただしたくなってきますね。

死にたくないから大聖女としての力を隠したいけど、聖女として生き抜いた前世の在り方は誇りに思っているようですし、だからこそ必要な時に能力を使うのを自重しないフィーアの事、好きですけどすごく不安になりますね……。

早く誰か事情を知った上で彼女を守ってくれる人を確保したいところです。

 

フィーアの事は結構好きなんですが。読んでいてモヤモヤする部分がある作品でもありました。それは主人公とか周辺のキャラに関する事ではなくて、国の在り方についての方ですけど。

大聖女だったフィーアの前世は、兄王子たちと協力して魔王を封じ……兄たちに裏切られ、敵地に捨て置かれた結果として魔王の右腕に殺されたわけですけど。

ともに討伐を行った勇者と大聖女が結ばれ、それが今の王家だなんて偽りを伝えているのは……まぁ、正当性を主張するために国としてやってもおかしくない、とは思います。

 

大聖女が最後に見た兄王子たちの下劣な振る舞いを見ると、そこまでする頭があったのかとか思っちゃうなぁ。

大聖女の赤を国旗に採用してたりあちこちで尊重する姿勢は見せるくせに、かつてと今とで聖女の在り方が変わりすぎてる辺り、知識を守るつもりはなくて形だけでーすみたい考えが伺えて、王家への不信感が募る一方なんですよね。

他視点では「王族の聖女への執着は尋常じゃない」と書かれてましたけど、執着の仕方が間違ってるんだよなぁ……。

で、そんな状態で、フィーアが後に王族か聖女かの護衛に採用されるかもしれないみたいなやり取りとか、いまの変わり果てた聖女の姿に涙したフィーアの事を思うと、モヤモヤするしかない、みたいな。

 

フィーアが接してる現場の騎士たちの多くは、真っ当なんですが、フィーアの家族は彼女への扱いがアレだったので、この国一回性根叩き直した方がいいんじゃないかなぁ、とか思ってしまうんですが。

フィーアは自らそういう選択をすることはないんでしょうね。……彼女の自由な言動に、常識を揺さぶられた人が生まれたりはしてるので、その流れが大きくなってより良い未来に辿りついてほしいものですが、さて。

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「貴方が私の契約者で 私が貴方の守護者である限り」

「私はどこへ行っても何をしてても 必ず貴方のところに戻ります」

 

ついに発売された『Unnamed Memory』コミカライズ第3弾!

今回は魔法湖でのエピソード「湖の畔」37と、第16話「馬鹿王」を収録。

結界を維持しつつ剣を振るい、他の援護をする余裕まであるティナーシャ本当に強いんだなぁとしみじみ。

でも本領はやっぱり魔法なんですよねぇ。オスカー帰還後の一掃が、見開きで派手にやってくれてカッコよかった。

 

今回も要所で可愛いんですよね、ティナーシャ。

「逃げられた」って舌出してるコマとか、余計な事言われて「あの魔法士…」ってなってるコマのかまぼこみたいな目とか好き。

「どんだけフサフサなんだ」の疲れたような顔とかも良いし、あとはやっぱり15話で目覚めたシーン、これまでも可愛かったり綺麗だったりしたんですけど、なんかより美人になった感じがしていいですよね。

 

オスカーが叩きだされた場面を見てたシルヴィアが目を細めて、頭に手を置いてるコマもなんか可愛くて好き。好きなコマしかないな……。

15話はあくびしてたり、ぺって魔石をオスカーにあげたり、その後ティナーシャのとこへ飛んでいって喉をなでられてたりするナークが可愛いシーンも多かった。

 

後はオスカーが魔女との距離を感じて「ただ届かないということだけがわかるだけだ」のコマも良いですよねぇ。ティナーシャが塔の螺旋階段の上に居て、オスカーは下から見上げている。

そしてティナーシャの座ってる部分は断絶を現すように、周囲が崩れているし……第15話でも描かれてましたが、彼女より上の場所には「彼女を通り過ぎていったかつての契約者達」の影があるんですよ!!

青き月の魔女としての彼女を現すのに、必要十分条件を満たしててあまりにもエモい。オマケに15話では、12話時点で下に居たオスカーがティナーシャの元までたどり着いてるっていうのもまたいいなぁ。味わい深い。


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ちゃか

 ライトノベルやコミックを中心に、読んだ作品の感想を気儘に書き綴るブログです。
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