恋愛感情での“好き”はまだ芽吹いてないけれど、もう少しでそれが芽吹く予感はある。
「この世界に来てからわたしに『大丈夫か』って訊いてくれたのは、ディザーク殿下だけだったから」
主人公の少女、篠山沙耶は普通の女子高生……だった。
しかし、クラスメイトの少女・香月優菜と一緒に日直の仕事をしていたところ、異世界に召喚されてしまって。
優菜の方は、異世界の人々が召喚術を使ってでも異世界から招き入れたかった人材「聖女」として祭り上げられたものの……魔力を感じられなかった沙耶は、あまりにも適当な扱いを受けることになって。
侍女は新人が一人、監視役の護衛に就いた騎士もやる気はなく、食事もロクなものを与えられない。
そんな折、他国の要人がやって来るという噂を沙耶は聞いて。
王国ではこれからもロクな扱いは受けないだろうから、どうにか接触して連れ出してもらおうと画策。
彼女の想定とは違う形にはなったものの、接触には成功。
帝国の皇弟ディザークは、元より巻き込まれた少女の事も聞きつけており、さらに彼の国で「黒髪であること」は重要視される要素だったので、状況によっては保護することも考えていたこともあって、亡命は成功するわけです。
まぁただ連れ出すのは王国側との交渉が難航する可能性もあったため、ディザークの婚約者として迎え入れることになって。
さらに、実は沙耶にも魔力はあった……どころか、優菜以上の才能が秘められていたことが帝国に移ってから判明。彼女もまた聖女としての素質があるとされて、教育を受けることになって。
帝国ではディザークの婚約者候補たちからの嫌がらせがあったり。逃した聖女を惜しんだ王子がちょっかいを出してきたり。トラブルもまぁまぁありましたが。
沙耶を大事にしてくれるディザークと良い関係を気付いていけたのは良かったですね。