気ままに読書漬け

とりあえず気が向いた時に読んだ本の感想などを上げてます。ラノベメインに、コミック、TRPGなど各種。推しを推すのは趣味です。 新刊・既刊問わず記事を書いてるので、結構混沌しているような。積読に埋もれている間に新刊じゃなくなっているんですよね。不思議。ま、そんなノリでやっているブログですが、よろしく。 BOOK☆WALKERコインアフィリエイトプログラムに参加しております。

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クプルムの花嫁6

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「木目金は量産できる代物じゃないけど 異なる素材を重ねた積層金属というテーマには挑戦してみたい」

「多分…それが俺の原点だから」

 

38話~44話を収録した第6巻。

「銀座の百貨店の企画展に出す目玉商品を考える」ことになった修。

異業種と交流していたエピソードに決着がついたのが良かったですね。

方針を考えるにあたって、修の父が名手であった木目金という技術に挑戦することにして。

素材に金を使っているから高くなるし、火を入れすぎるとただの合金になってしまうし、金属の伸び率が違うから叩いて平面に広げるのすら難しい。

 

そんな木目金で立体を作ったから、「いずれは人間国宝」とまで言われていた、と修の父の掘り下げが入っていくのは良かったですね。

自分で挑戦したことで、職人としての父に思いを馳せていましたし。良い父ではなかった、という気持ちもあって、大分複雑ではあったようですけど。

それでも原点を見つけて、面白そうな素材を見つけて。三条の番頭・五十嵐さんにも報告して。あっちの伝手も使って話がどんどん進んで行ったのは良かったですねぇ。

「人と人を繋げて集めてお祭りにする」というのが番頭の仕事の醍醐味だ、って言うのが印象的でした。

 

しいなが商品発表の際に前面に出てったのも、修が積層金属にチャレンジした理由も、なかなか良かったですね。

まだまだしいなも番頭として未熟なところがあって、現場ではFAXが現役! とかって話も聞けたりするので五十嵐さんとの接点が出来たの、しいなとしても良かったですね。

修が祖父から企画展の後に「こういう問題あると思うけどどうだ?」と指摘されたとき「ターゲットがそもそも違うから、このままで良い」と返せていたのも成長を感じる。

……まぁその後、疲れたから外に出ないと言い出すので、まだまだ発展途上というか。青さもあるのが、彼らしくて良いと思いましたよ。はい。



クプルムの花嫁5

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(……今までは「かっこいい」だけが動機で良かった もうそれだけじゃ足りないのか)

「……むすかしいな色々と」

「そうですねぇ」

 

第三十一話から三十七話を収録した5巻。

最初は一緒の部屋でぼーっとしている二人。修は本読んでてしいなはスマホ見てるんですけど、ソファーでくっついて座ってるの良いなぁ。可愛い。

最近は仕事忙しかったり旅行もいったりして、暇な日を堪能していたようですが。そんな中でなにかしたいとしいなが言い始めて。

自宅で簡単にできる燻製キットを使って楽しんでみることにしたの、良いなぁ。「ちょっとだけわかったかも」のしいなも可愛い。

 

マイスターと呼ばれる先輩職人が、高齢から手の震えで引退することが決まっていると聞いたりもして。

腕前があろうと、美術家ではなく商業の職人である以上「需要と供給」については考えて行かないといけなくて。

修、技術的には祖父たちも認めている若手の有望株みたいですけど。売り物、プロダクトしてみるとまだまだ凡百とも言えてしまう段階で。

跡取りである修の父が亡くなってしまっていることもあって、修のハードルが高くなってはいますねぇ。

 

当代である総一郎たちになにかあったら修が困るだろうから、ともうちょっとゆっくり教えていきたい気持ちもあるみたいですけど、色々経験を積んでいってもらいたいと、外部の職人との交流を持たせることになったりして。

厳しめの意見を言われたりしてましたけど。あそこで踏みとどまれるようになったのは成長かな。興味の幅が狭いだけで、色々と考えている部分もあるわけですからそこを広げていけたら修の成長にはつながりそうなので楽しみです。



クプルムの花嫁4

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「……ん――修とあたしが覚えてればそれでいっかなって」

 

巻頭収録の「第二十三話 ギャルと出会い」がツボでしたねぇ。

タイトル通り引っ越してきたしいなが、妖怪銅叩きと出会ったときのエピソード。

友人の妹が祭りで踊るのを見て、自分も踊った気がすると言ったら友人から否定されて……。

修が来た時に飛びついてるしいなが可愛かったですよね、この話。

お祭りで踊るために練習していたけど当日寝込んでしまって。その夜、体調が治ってから修と一緒にこじんまりと踊ったのが印象に残っていた、というのがとても良い幼馴染エピソードだと思いました。

 

銅器が好きすぎて夢中になっちゃう修と、そんな彼の事が大事なしいなはやっぱりいいコンビですよねぇ。

妖怪銅叩きすぎて独特のムーブばっかりしてますけど、しいなや祖母がしっかりツッコミ入れてくれてるのが良いですねー。

しいなも番頭見習いとして頑張ってるみたいですけど、まだまだ甘いみたいだし。

お互いの関係という意味では大分完成しているけれど、職人と番頭としては成長の余地が多いというのが好きです。

 

少しずつ成長していくことで、また2人の距離感も変化していきますし。

しいなの為に旅行しようと考えた修に対し、まだ銅器関連の勉強だなと思ってしまうしいなとかも微笑ましい。4巻も堪能しました。

クプルムの花嫁3

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「今のって ちょー愛って感じ」

 

妖怪銅叩きな修の体調不良に、速攻で気が付くしいなが良いですね。

祖父母ですら気付かなかったのを発見して連れ帰るんだから、行動も迅速だし。あとしれっと祖母が「総一郎さんのことならわかりますし」と言ってる辺り強い。

で、修を寝させた後に手料理を準備してくれるしいな偉いし、熱ある状態でしいなに甘えたりする2人の距離も好き。

無理しないなら約束1つ聞いてあげると言われて、しいなと同棲の約束を取り付けるシーンも良いし、可愛いところばっかりなんですよねホント。

 

そうやって修としいなが新生活を始めたところで、以前教えを乞うた錦銅の高畠先生の孫であるあさひが乗り込んできて。

あっかんべーしてきたのに、わざわざ会いに来たのはなぜかというと……彼女は職人の祖父に憧れていたけれど、弟子入りを許されなかった。

でも、修が教わってるのを見て弟子を取るようになったなら教えて欲しいといったら、「あさひを弟子に取るつもりはない」と拒絶されて、それで家出してきたって言うんだから行動力は凄い。

 

一方で、家族の反対があったからかもしれないけど、銅器を叩いたことはないそうで。

小学生のことから工房に忍び込んで打ったりしてきた、妖怪銅叩きな修とは価値感が違う子だなぁ。

でも銅を叩いてみて、「むずいなこれ!」と言いながら笑っているところは輝いて見えましたね。はじめの一歩を踏み出す手助けをしてしまった感。

 

高畠さんも、孫が憎くて弟子にしなかったわけじゃなくて、職人の道の厳しさを知っているからこそ孫を連れ込めなかったようですし。

その真意が伝わってなかったのはアレですけど、「大事なことは言わなきゃわかんない」と切り込んでくしいなが格好良かった。勢いで言った部分はあって、まだまだ勉強が必要だけど頑張ってほしいものですね。

クプルムの花嫁2

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「いつだって全力で 苛烈で 本当に赤が似合う」

 

修の父親の代から贔屓してくれているお客さん。

彼が1巻最後のエピソードで修を悩ませていた銅器の修理を依頼してきた人で。当時の風合いがよみがえるようだ、と期待通りの出来だと評価してくれました。

もっとも、修の父親は存命であれば人間国宝に手が届いたかも、という凄腕だったそうで。それを託した「今の職人の色」が感じられなかったの部分は残念がられてしまいました。

当人曰く「不埒にもそんな人が磨いていた技法を息子に継承してほしい」なんて願いがあったそうですが。

 

自分よりも腕が良かった父の作品を見て、そんな勝手な願いまできかされて。ちょっと気落ちしていた修でしたが、しいなとの交流で自信を取り戻したのは良かった。

父と自分はあくまで別の人間で、今の自分には極めたいものがある、と自己主張してくれたのは良かった。父の研究していた木目金が、今選んだ道の先にある可能性もあるし、それとは関係なしに父を超えていくつもりだ、なんて。

口数が少ないけど、どこまでも職人と言いますか。修の祖父が彼の事を銅のようだと例えたのも納得。

 

しいなに合う銅を打つのを目標にしている、としいな自身にも告げて。

そういう事をさらっと言ってのける彼の事が本当に大好きなんだなぁと伝わってきたのが良かったです。

いつも一緒にいるかに思える2人ですが、修はもう職人として働いてるし、しいなは大学生なのでそれぞれの時間もあるんですよね。

第十話はしいなが友人と遊ぶエピソードだったわけですが。しれっと惚気が出てくるのでとても良かった。修との時間が減るのが嫌だったからサークルにも入らなかった、とかもうねぇ……。

クプルムの花嫁1

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「ぜんっぜん! あたしはただ

 修の一番カッコいい顔 見てもらおうと思っただけだよ」

 

職人の町にくらす金髪ギャルしいなには、幼馴染の恋人・修が居た。

彼は槌起銅器という、槌で銅板一枚から様々な形を作り出す技術を修めた職人だった。大学生のしいなより歳上ではあるものの、職人としてはまだまだ発展途上の段階ではあるようですが。

そんな彼が唐突にしいなに求婚してきて。テンパって思わず逃げ出しちゃうしいな可愛いですけど、修はちょっと言葉が足らなすぎる……。

 

どうも読み進めていくと、彼の祖父も父もまた同様に口数が少なかったようですけど。

しいなと共通の知人である職人・咲は「じいさんから三代に渡る切実なコミュニケーション不足」なんて評価されてました。

そもそもしいなからして、修の事を妖怪銅叩きとか言ったりしてますしね……。

で、しいなが逃げだしてしまったのも結婚するのが嫌だから、とかじゃなくて突然過ぎて驚いた部分が大きいようですし。最終的には婚約と言う形で落ち着いてましたが。

 

なんというか見ていて微笑ましい2人だなぁ、と思います。

第六話とか、「このままじゃ銅を打つだけで一生が終わるよ!」ってしいなが激を飛ばすシーンから始まるんですが、別にそれでいいなって顔してる修が笑えます。

ちなみにこの発言の真意は、たまにはデートしようぜってお誘いなので、本当にもう可愛い。

 

そんな2人の微笑ましさだけではなく、修の職人としての成長もテーマの一つなんですかね。……まぁ成長しないと、いつまでも結婚できないからな……。

修の父親もまた銅器職人だったようですが、4年前に事故で亡くなっていて。

父親が作った銅器の修理依頼が持ち込まれて、それを通して父親の事を思い出し銅を打つ自身を喪失しかけてる修でしたが、そんな彼の背中を押してくれる婚約者がいて本当に良かったなーって思った次第。


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ちゃか

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