「――君と僕の間に、壁があるというのならば、ぶち破る」
(略)
「――天と地の差があるのならば、手を伸ばしてつかみとる」
(略)
「――そして、僕は君に勝って押し通り、あの空の向こうにいる灰村君をおいかける!!」
長く続いたシリーズでしたが、ついに完結。
ラノベで20巻越えは中々珍しいですが、最後まで楽しめるいいシリーズでした。
諸葉が中々いいキャラでしたよね。
才能に溺れず、自分だけで抱え込まず、仲間を信頼して頼る。
それだけではなく、その仲間から諸葉自身が助けられることもあって。
かなり真っ当に主人公しているんですよねぇ、彼。
そして、そんな諸葉に負けず主役らしいムーブしているのが石動ですよね。
本来の構想ではランクSに届かない筈だった。報われない努力の儚さ、美しさの体現者となるはずが……長い付き合いとなったことで作者の考えも変わったそうで。
この期に及んで安東に与しようとしていたヂーシンを、正面から打倒し、諸葉たちの応援に駆け付けてくれたのは熱かった。
安東の元へ諸葉、エドワード、シャルルというランクSが集まり、安東と戦っていましたが。
でたらめなランクSを三人相手取って、優位に立つとか、安東はどれだけ手札隠していたんだか。
オマケに世界各地で同時に異端者を発生させてテロを起こすとか、かなり準備をしていてのが伺えましたが。
途中、鉄戈の独白が入ってましたが……諸葉を敵に回したのが一番の敗因ですよねぇ。
エピローグには色々と驚きました。
キャラが多い分、その後が気になる個所は多くてどう演出するのかと思っていたら。
エピローグ1~4と章わけされて、1年後~4年後のそれぞれの様子を描いていて、かなり贅沢な感じ。
1で石動や丈弦たち先輩世代の実戦部隊の姿、2でロシア支部のカティアや中国支部のヂーシンの交流が。
3で卒業を迎えた田中一郎と漆原理事長の会話が。4でついに結婚することとなったシャルルやその周囲の話。
それらを踏まえて、最後諸葉達のエピローグとなっていたわけですが。豪快なハーレムエンド。まぁ、幸せそうだし、いいんじゃないですかね……